もう2週間近く前の話になるが、ウオッカが引退を発表した。
通算成績は26戦10勝 うちG1は7勝。
その7勝のうち5勝は牡馬と戦ってのG1勝利であった。
64年ぶりの牝馬ダービー制覇となった2007年の日本ダービー、3馬身半も差をつけた2008年の安田記念ダイワスカーレットとの歴史的名勝負となった天皇賞(秋)、前が壁になりながらも強烈な末脚で突き抜け、ファンを驚かせた2009年の安田記念、そして前年のダイワスカーレットとの叩き合いを彷彿させたジャパンカップなど記録だけではなく、記憶の面でもファンを魅了させた。


そのウオッカが出たレースで以前気になった事を昨年6月7日の日記で書きましたが、ウオッカの勝負服Tシャツを着たファンが非常に目立った事。
その後も天皇賞(秋)ジャパンカップウオッカの出たレースを見に行きましたが、やはりTシャツを着たファンが目立っていました。
何で彼ら(彼女ら)はウオッカに惹かれたのだろうか。
また、何でウオッカの勝負服Tシャツを着て行ったのだろうか。


天皇賞(秋)ジャパンカップ前日のラジオNIKKEIの番組でパーソナリティの1人がファンに「何でウオッカが好きなんですか」とインタビューした事がある。
するとこういう答えが帰って来た。
「男(牡馬)を相手に強いレースをしているから」
移動しながら番組を聴いていて、記憶がやや曖昧になっているため、正確な答えではないが、だいたいこのような答えが帰って来た。
他にも別の放送局のラジオ番組でウオッカ好きのパーソナリティが「強い」「男の子相手に一生懸命戦っている」と言っていた。
そう、ファンがウオッカに惹かれたのはただ強いだけではなく、牡馬相手でも互角に戦っているのも惹かれた理由の1つのようだ。
確かにウオッカは牡馬相手でもG1を5勝している。ただ、それだったら同じく牡馬相手に勝ち負けを繰り広げたダイワスカーレットはどうなんだ。
3歳暮れの有馬記念で2着、4歳になってから産経大阪杯優勝、天皇賞(秋)では名勝負を繰り広げ、有馬記念では快勝をしている。
だが、ダイワスカーレットの勝負服を着たり、応援グッズを持ったファンはほとんど見かけなかった。
この差は何だろうか。
理由としては考えられるのは勝った時のインパクトと競走生活の差だと思う。


ウオッカに惹かれた理由は牡馬相手に勝っているだけではなく、その勝った時が前にも書いたとおり、かなりインパクトがある物が多い。
インパクトがあるからこそ、人々の記憶に長く残り、起こした馬に惹かれて行く。
それに対し、ダイワスカーレットはルックスの面ではこちらが上だが、ウオッカに比べて勝った時のインパクトが薄い。
その面でウオッカと差が出てしまったのではないかと思います。
また、ダイワスカーレットが5歳に入ってすぐに故障で引退したのも大きかったと思います。
有馬記念を快勝。暮れのドリームレースでの快勝劇だっただけにインパクトは残りましたが、すぐに引退してしまったのは惜しまれる。
さらに引退が早かったことで出たグッズが少なかった。
ターフィー通販クラブを調べると、ウオッカは46件あるのに対し、ダイワスカーレットはわずか8件しか無かった。
ウオッカのように勝負服Tシャツが発売される前に引退してしまった。
もし、故障を起こさず現役を続けていればウオッカと同様ダイワスカーレット、ダイワの勝負服を着たファンを多く見かけたかもしれません。
ダイワスカーレットは色んな面で勿体無い馬だったと思います。


話がやや逸れてしまいましたが、ウオッカに惹かれたファンは勝負服Tシャツを着て彼女を応援しに行く。
何故、普通の服じゃなくて勝負服Tシャツなのか。
それは彼女をより強く応援したいという気持ちで着て行っているのではないでしょうか。
これはウオッカやその前のハーツクライディープインパクトに限らず、サッカーや野球などでもユニフォームを着て応援に行くファンが多い。
これらを着て行くと、普通の服を着て行くよりもさらに応援に気合いが入るからだと思う。
また、心理面からでも応援している物と同じ物を着ている事でその物と一体になれる。
だからファンは勝負服Tシャツやユニフォームを着て応援しに行くのだと思います。


沢山のファンを作り、競馬界を盛り上げたウオッカだったが、ただ彼女が出来なかった物がある。
それは競馬ブームを起こす事だった。
何故、それが出来なかったのか。それはウオッカは牡馬相手にG1 5勝もその5勝は全て東京コースでの勝利だったからだ。
全10勝中半分以上の6勝が東京で、あとは京都と阪神が2勝ずつだった。
東京コース以外でのウオッカの成績を見ると、牡馬相手だけではなく、牝馬同士でも勝ち切れないレースが多く、絶対に強いわけでは無かった。
引退の時に、とあるスポーツ紙で「強さと脆さが同居しているのも人気の秘訣だった」と書いていたが、正直、これは人気にはあまり繋がっていないと思う。
女で強さと脆さが同居する奴で真っ先に思い浮かぶのがいわゆるツンデレ少女である。
彼女たちは主人公たちに対しては普段はツンとした強い部分を見せているが、しかし、恋になると素直になれなかったり、大切な言葉が言えなかったりと脆い面が出てしまう。
そんな二面性を持っているからこそツンデレ少女に惹かれる大きな要因の1つだと思います。
ウオッカの場合はどうか。
ウオッカが脆い面を見せたのは3歳夏から4歳春の時。この時は今ほど人気がまだ無かった時だ。
それ以降も敗れたレースが幾らかあったが、これはヤネの責任だったり、勝ち馬の決め手に屈したり、異国かつ相手が揃う海外遠征だったりと個人的には脆いという面ではあまりピンと来なかった。
上でも書いているが、ウオッカは牡馬相手に強く、さらにインパクトのあるレースをするから人気が出たのであって、脆いからという面では人気は出ていないと思う。


ここまで長々とウオッカの事を色々と書いてきましたが、ここまで人々を惹きつけた牝馬は久々ではないでしょうか。
おそらくウオッカの事は今後何十年と語り継がれて行く事でしょう。
強いだけではなく、インパクトのある勝ち方やレースを見せ、記録と記憶の両方で大きく残る名馬になったウオッカ
果たして繁殖の面でも成功して完全な名牝になれるか。
ちなみに自分はウオッカはレースの面ではかなり印象に残っていますが、馬券という面では相性が凄い悪かった。
消した日本ダービーは外れ、以降も本命をつけたレースでは飛び、軽視したレースでは来るという繰り返しだった。
だからウオッカはあまり好きにはなれなかった。
だからウオッカの子供で母親で大損した分を取り戻せたらと思っている。
その時が来るのは早くても3年後、2013年からになる。
果たして母親で損した分を子供で返せるか。あるいはまた損を増やすか。
そして母親の印象がどれくらい変わるのか。それはこれから先の話である。