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対人援助は山登り

2012-05-07

統計学ユーザーの初学者へ

 ときどき統計学に関する質問を受けたり、教えたりするなかで確かに統計学に対して取っ付きにくい人もいるのは確かである。私は心理学から統計学に触れたが、もともと数学統計学を学んわけでもなく、基本的な考え方も持ち合わせていなかった。かといって授業だけで統計学を学んできたわけではない。そこで、私がどのような本を読み、統計学を専門として研究するのではなく、統計学のユーザー視点でどのように統計学を学んできたかを書いてみようと思う。これから統計学を学ぼうとしているユーザーの皆様の参考になれば幸いである。ここで紹介するのは統計学ユーザーになるための紹介である。

統計学の考え方概念を学ぶの本(「超初級統計学ユーザー」)

 理論というよりはそのもとになっている考え方(概念)を学ぶのなら以下の2冊がおススメ。ほとんど数式はでてこない。しかしながら、実際にありそうな場面で基本的なところ(代表値・標準偏差・分散・相関係数)や統計検定(t検定・分散分析)、多変量解析(因子分析など)について説明してくれている。理論ではなく概念的なところまず掴みたいのなら、この2冊はおススメである。

 しかしながら、あくまでも考え方を学ぶのにはいいが、これだけで実際に心理学統計や、社会統計調査を行うことはもちろんのことだができない。これらの本の内容を理解できれば「超初級統計学ユーザー」といったところ。

統計学がわかる (ファーストブック)

統計学がわかる (ファーストブック)

統計学がわかる 【回帰分析・因子分析編】 (ファーストブック)

統計学がわかる 【回帰分析・因子分析編】 (ファーストブック)

基本的理論を学ぶための本(「初級統計学ユーザー」)

 これが私がはじめて統計学に出会った本である。Amazonで「統計学」をキワードにして調べて一番初めに出てきた物だった。何か学べばいいかわからなかったため、とりあえず選んだ本でもある。しかしながら非常に分かりやすい本である。基本的な理論を学ぶにはいいと思う。私はこの本を毎日1章以上ずつ読んで大事な箇所をノートに書き留めながら学んだ。

 記述統計と推測統計の違いについてもはじめに書いてくれているのでいい。統計学的思考を持って社会にある様々な統計情報を読み解くにはこの本の内容は理解する必要があるだろう。

完全独習 統計学入門

完全独習 統計学入門

もう少し理論を学ぶための本(「中級統計学ユーザー」)

 ちゃんと数式が出てきます。「統計学の考え方概念を学ぶの本」で紹介した本よりも断然、理論的である。数学にとっつきにくい人はちょっと難しいかも知れない。しかしながら、「多変量解析がわかる」の方では数量化についても扱ってくれているので、多変量解析をしなければならない人はいいかもしれない。出てくる例は抽象的な例だが、最低でもここにでてくることが理解できなければ、専門的な統計学ユーザーになれないだろう。

統計解析がわかる (ファーストブック)

統計解析がわかる (ファーストブック)

多変量解析がわかる (ファーストブック)

多変量解析がわかる (ファーストブック)

心理学統計をする人へ

 さて、上記の5冊が私が統計学ユーザーの初学者におすすめしたい本である。これ以上は各分野によって異なる本が必要となってくるだろう。心理学統計なら以下の2冊がある。

多変量データ解析法―心理・教育・社会系のための入門

多変量データ解析法―心理・教育・社会系のための入門

 そして、さらに専門的にというならこの1冊。検定力分析に関しても書いてくれている。

心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

統計調査をする人に非常におススメする本

 統計調査をする人だけではないが、社会調査に関して非常におススメの本である。文章も少し(?)攻撃的でおもしろい。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

最後に

 あくまでも統計学ユーザーの視点からであるので、専門的に統計学を研究している人からすれば生ぬるいもであると思う。しかしながら、統計学ユーザーとしてははじめに挙げた5冊はとてもとっつきやすいものであると思う。ということは、それらの内容が理解できないのであれば、残念ながら統計学は向いていないことということなのかもしれない。

 後は、何度も実際に様々なデータで統計調査を行ってみるのがいいだろう。そこで統計検定を行う必要あるだろうし、さらに多変量解析をする必要があるかもしれない。経験的にはちゃんと調査計画が立てられていないデータから、何が言えるのかを依頼されたときに、個人的にだいぶ勉強になった。

 統計的知識は社会に氾濫している様々なデータを客観的に見れることができるリテラシーの一つであろう。さらに、自らの調査を根拠づけるのにも非常に強力なツールと成り得る。統計リテラシーをしっかりと身につることは今の世の中では必須のリテラシーである。

プロフィール

yohei1115

yohei1115

専門は応用行動分析学/対人援助学。修士(人間科学 立命館大学)。工業高校から電気整備エンジニアを経て大学・大学院へ。現在は福岡教育大学附属福岡小・中学校にて合理的配慮協力員(文科省のインンクルーシブ教育システム構築モデル事業)。

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