アニメ製作労働者の過労自殺

またしても痛ましい過労自殺の記事が。
以下、共同通信の配信ニュースから。



アニメ制作で過労自殺
カルテに「月600時間」 28歳男性、労災認定

2014年04月18日 共同通信

東京都のアニメ制作会社「A―1 Pictures」に勤め、辞めた後の2010年10月に
自殺した男性=当時(28)=について、新宿労働基準監督署が過労によるうつ病が原因として
労災認定したことが18日、分かった。遺族側代理人の和泉貴士弁護士が明らかにした。
認定は11日付。
和泉弁護士によると、男性は正社員として06年から09年12月まで勤務。会社にタイムカードで
労働時間を管理する仕組みはなかったが、通院した医療施設のカルテには「月600時間労働」
との記載があった。
新宿労基署は時期を不明としつつ、在職中にうつ病を発症し、その前の2〜4カ月に少なくとも
100時間を超える残業があったと認定した。
一方、弁護側は男性が残した会員制交流サイトの日記などから発症時期を08年12月ごろと推定。
男性が在職中に控えた記録では、それまでの半年の残業時間は月134時間から、多い時で
344時間に上ったという。
和泉弁護士は「家に帰れないこともしばしばで、残業代が支払われた形跡もない」と指摘。
7日連続で会社に泊まったり、3カ月間休みがなかったりしたこともあったとしている。
昨年9月に労災申請した両親は弁護士を通じ「アニメが好きで熱心に働いていた。アニメの現場で
二度と同じようなことが起きないでほしい」とのコメントを出した。
男性は作画を担当者に依頼したり、完成品を受け取ったりする「制作進行」と呼ばれる現場の調整役を
務めていた。人気アニメ「おおきく振りかぶって」「かんなぎ」などに携わった。
体調を崩したことや関連会社への異動を断られたことから退職。10年10月に東京都内の
自宅アパートで死亡しているのが見つかった。会社は「認定が事実であるとすれば予想外であり、
判断理由も不明のためコメントできない」としている。

10カ月で休み3日 運転中に意識飛ぶ 過酷労働、日記につづる
「10カ月で3日しか休みがない」「運転中に意識が飛んだ。1日1〜3時間しか寝ていない」。
新宿労働基準監督署が自殺を労災と認定した男性=当時(28)=は、勤めていたアニメ制作会社の
過酷な労働の一端をインターネットの日記に残していた。業界関係者は「彼のケースは
例外とは言えない」と指摘、労働環境の改善を訴えている。
男性は会社で「制作進行」と呼ばれる仕事に就いていた。業界関係者によると、一つのアニメ作品が
出来上がるまでには、原画を描くアニメーターだけで20〜30人、演出家、
コンピューターグラフィックス(CG)担当、監督、プロデューサーも合わせるとスタッフは
100〜200人にも上る。制作進行担当は全体スケジュールを管理し、多数の下請け会社や
個人の作業者を束ねる役割を果たす。
制作は1カ所で行われるわけではなく、分業が一般的。アニメーターの事務所や作業場を一軒一軒、
車で回って原画を回収し、CGを制作する部署や演出家に届けることも制作進行担当の仕事だ。
業界内ではこの車を「進行車」と呼び「睡眠不足で運転するため事故が多く、問題になっている」
(関係者)という。
「朝8時に退社し、6日ぶりに家の布団で寝る。11時に電話で起こされて出社」「3カ月くらい
家に帰れないなんてことはざらにある」。男性は会員制交流サイト「ミクシィ」の日記に、
仕事に追われる日々を書き連ねた。自殺前に通院していた医療施設のカルテには
「月600時間労働」「名ばかり管理職」「不眠、食欲低下、気力低下」の記載もあった。
日本アニメーター・演出協会副代表でアニメ監督のヤマサキオサムさんは、制作進行の仕事について
「締め切りに追われ、深夜に突然『来てくれ』と言われることも多く、精神的にいつも
拘束される仕事だ」と話す。
別の業界関係者は「彼は正社員だったが、契約社員も多い業界。身分が不安定な契約社員
もっと酷使されている」と指摘している。



私はアニメーションも漫画も好きです。
テレビでは何局もで毎週放送のアニメーション番組があり、
とてつもない量のしかも一定以上のクオリティの作品が
製作されています。
作品はとてもすばらしい、しかし製作現場の労働が過酷であるというのは
もれ聞こえてくるところで、過重労働、低賃金、アジア地域の外国への作業の外注、
問題も多く抱えているようです。
日本社会全体が、低賃金の非正規労働者の増加という問題を抱える中、
もともと時間に追われる業界の労働条件が厳しいのは想像するに易い。
けれど、仕方ないで推し進めないで、一歩踏みとどまって
こういう事件を受けて現場を見直してほしい。
労働安全衛生にも様々な手法があって、改善方法がないということは
ないはずです。
人に夢を与えるすばらしい作品を生み出す業界だからこそ、
取り組んで欲しい課題です。

私に依頼してくれれば全力で職場改善やるんですけどね。
大手制作会社さんからぜひやってほしいですね。