合掌 米長邦雄実力制第八代名人逝去

将棋連盟の米長邦雄会長が逝去されました。びっくりしました。
1●年ぶりに買った将棋世界天童市での将棋祭りにいらっしゃらなかったなあと思い至った次第。

最近将棋関係の投稿が続いていますが、これは娘が将棋に興味を持ったから。そもそも私が将棋に興味を持ったのは米長先生の著作から。高校生だった私は米長先生の著作を読み漁るうちに、次の名著に出会ったのでした。



高校生だった私は、人間は借り方よりも貸し方になる方がよい、という記述(今手元にないので、あいまいな記憶)に、雷を受けたかのように衝撃を受け、感動したのでした。大地主だった米長先生のご実家が農地解放やらで戦後貧乏になったのは国に対する貸しだ、という文脈だったと記憶しています。


この本をきっかけに米長先生への尊敬はさらに深まり、将棋界への興味は米長先生が名人である間続きました。


米長先生が名人になった日は、高校生だった私は、柔道で鎖骨を折り全身麻酔の手術を受けた日でした。手術の次の日、病院を訪れた父親に「米長さん名人になったよ」と伝えられ、病院のベッドでガッツポーズをしたのを憶えています。今も手術痕は残っています。折った鎖骨はいまだに多少折れ曲がっています。傷痕や鎖骨を見ると米長先生を思い出します。


貸し方になる方が良いという考え、今考えると、私の人生の骨格を作っている気がします。とはいえ、私自覚していないものも含め、親からの借り、先輩、先達からの借りはいっぱいあるので、自分が貸し方とはとても言えません。せいぜい、悪いことがあればその分だけ良いこともあるぞという楽観的な人生観でしょうか。


佐藤優氏は、人の内在的論理を探るには20歳前後にどんな本を読んだのかがポイントである旨著作で述べていました。その意味で、私の内在的論理を形成した本だったのかなと。実家に置いてあるので、正月に帰省した際に、読み直してみようと思いました。


それはともかく、5歳の娘に将棋に興味を持ってもらうのが、私ができる供養なのかと考えております。これは何が何でも将棋に興味を持ってもらわねば。


米長邦雄実力制第八代名人、永世棋聖のご冥福をお祈りします。