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「yomaju」−小説・書評−

2009-05-13

LAST KISS  佐藤 ケイ

| 01:07

 ずっと入院していた妹が、夏休みの間だけ退院することになり、井崎は夏休み中、妹と過ごすことになる。

 無口で苦手だった妹と親の命令とはいえ面と向かって接することによって、その苦手意識は徐々に払拭されていく。

 妹の由香もそんな兄に対して好意的な印象を抱いていく。

 そんなある日の朝、由香が吐血してしまい、入院生活に逆戻りしてしまう。そして、井崎は両親から由香の命が残りわずかだという事実を知ることになる。



 出だしから、お涙頂戴な雰囲気満載です。

 珍しく関西弁の一人称。新鮮でした。

 内容としては、セカチューの妹バージョンといった感じ。

 ラストが分かりながらも、ラストが気になって読むスピードがどんどん速くなる構成、文章は秀逸。

 延命せず、やりたいことをやって死ぬか、かすかな希望にすがり、やりたいことをやらず安静にして過ごすし緩慢に迫る死を待つか。

 ちょっと考えさせられる作品です。

 

 以後ネタバレ

 なかなかどうして、王道のピュアストーリー。

 三角関係。

 女の子の複雑な思い。

 なかなかうまく書かれていると思います。

 ただ・・・起伏がない。

 淡々としたイメージです。盛り上がらないし、盛り下がらない。

 なのぜ、全キャラとも薄いですし、話そのものも透明な感じ。

 綺麗なんですけどね・・・。

 

 白血病の由香。稀な骨髄なんたらのため、適合するドナーが現れる確立は低い。

 ラストシーン。安静にして少しでも延命し、かすかな希望である適合のドナーが現れるのを待つか、死期は早めるけれどもやりたいことをやって少しでも未練を少なくして死ぬか。

 由香は後者を選んだ。

 兄との最後のデート。そして、最初で最後のキス。

 そして、死。

 その直後、ドナーが見つかる。

 あの時、安静にしている道を選べば、由香はもっと兄とデートができるようになったかもしれない。でも、あの時点ではドナーが現れるかどうかなんて分からなかった。むしろ、現れない可能性のほうが多かった。

 もし・・・

 それを考えさせられる作品です。

 そして、妹が死んでも井崎の日常は続くわけで・・・。

 さらに夏尾ともいい感じになってるし。

 とてもリアルで、とてもシュールな終わり方でした。

 

 妹がかわいそう・・・>< 

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