野宿者排除は、安全対策なの?…武蔵野市の安全対策は人を殺す

 12日(金)朝、武蔵野市安全対策課が、A公園にいる野宿の仲間に、「B小学校の保護者から苦情があったのでここで寝ないでほしい。どかないなら、強制的に移動してもらう」と言われたそうです。私たちは、9月17日、事実を確かめに行きました。
 大雑把な様子を書きます。


武蔵野市防犯安全部安全対策課との話
(羽柴諭・安全対策課生活安全担当) 12日に対応しました。A公園はB小学校の通学路になっていて、児童が恐がっているので、PTAに野宿者移動を要請されました。校長からは言われてない。児童からは聞き取っていないから、何が恐いかはわかりません。知りたいなら、自分で訊いてみればいいでしょう。通学路になっていなくて近くに小学校がない場所に行ってほしい。
(夜まわり三鷹 具体的に、どこにいけばいいのか? 
(羽柴諭・安全対策課生活安全担当) そんなことは、知らない。住んではいけないところに好きで住んでるんだから、どこに行けばいいかは自分で決めてください。
(夜まわり三鷹 どこに行けばいいかを示すことができないのに、どこかに行けと言われても困る。
強制的に退去させるとはどういうことか?
(小林秀綱・防災対策課長) すぐに退去させる権利はありません。
(羽柴諭・安全対策課生活安全担当)  そんなに強く言ってないですよ。やさしく言いいましたよね?
(夜まわり三鷹 強く言われました。
強く言われたかどうかを感じるのは、言った方ではなく言われた方では? あなたは、今も、強い調子で私たちに対応していますよ。役人が仕事で誰かと会う時に名刺も渡さなかったのもおかしいでしょう。野宿の仲間を軽く見てますよ。
(羽柴諭・安全対策課生活安全担当)  名刺を持っていなかったから、渡しませんでした。
(夜まわり三鷹 名刺を持たないで人に会いにいく公務員なんて、みたことありませんよ。二人も役人がきたのに、誰も渡さないって?
そもそも、いきなり安全対策課が来るっていうことに、びっくりした。安全対策課の業務は、ホームページで紹介されている。退去させに来たのは、この中のどの業務か?
(小林秀綱・防災対策課長) 市民が不安に思っているとのことで、話しに行った。それが業務です。
(夜まわり三鷹 具体的にはどの業務か?
 ホームページにある「安全対策課の主な業務」のうち、これは違いますよね?
× 警察や防犯協会との連絡、調整
× 吉祥寺駅周辺を中心とした環境浄化
× 新たに建築する建物について、防犯面強化のお願い
× 国民保護法関係
(小林秀綱・防災対策課長) (うなずいている)
(夜まわり三鷹 そうすると、残ったのは、これですね?
○ 市内の防犯活動に関すること(ホワイトイーグル、ブルーキャップ、武蔵野市市民安全パトロール隊など)
○ 危機事態の発生が予測される場合や、発生初期の段階における総合調整
(小林秀綱・防災対策課長) まあ、犯罪の被害とまではいかないけど…。
(夜まわり三鷹 私たちは、ボランティアの子どもたちとも交流している。今年の夏は、たくさんの子どもたちがボランティアに参加してくれた。小学校1年生も来てくれたたし、私たちを恐いなんて言う子は一人もいなかった。大人が「ホームレスは価値がない」などと言えば、子どもはそれを信じてしまって、それが襲撃につながってしまう。野宿者が子どもに暴力をふるうなんて聞かないが、子どもが野宿者を襲う事件は時々起きている。「野宿者が恐い」と子どもが言ったら、野宿者は事情があって路上で暮らしていることや排除はいけないことを伝えることのが、大人の責任でしょ。「出て行け」って、結局は「死ね」ということなんですよ。
(小林秀綱・防災対策課長) そこまでは言ってない。
(夜まわり三鷹 人間は、煙じゃないんだから消えるわけにはいかない。どこに行っても「どこかに行け」って言われるってことは、三次元に存在できないってこと。「死ね」っていうこと。
学校で、野宿者と授業しているところもある。私たちは、教育委員会と話したり、子どもたちと交流することもできる。話す場を設定してほしい。
(小林秀綱・防災対策課長) 教育委員会とも話してみる。
●また話すことを約束して、帰る。



 吉祥寺は、東京で住みたい街1番になることも多い、おっされ〜な商店街と緑豊かな井の頭公園と閑静な住宅街が素敵な街、ということになっています。つい最近になって駅ビルが新しくなり、グローバル企業の店が増えだしています。それと同時に、駅前でやっていた屋台がいつのまにかいなくなり(多分追い出され)、武蔵野市に雇われて異様に増えた警備員が路上で話しこんでいるだけの若者に「邪魔だからどけ」と暴言を吐く、とんでもない「きれい」な街に生まれ変わろうとしています。一方で、お店に並ぶ長蛇の列は、警備員が認めているのです。店舗を構えたお店は優遇されています。
 野宿の仲間が追い出しにあっている公園は、敷地が広くておしゃれな街灯に彩られた庭がある新しいマンションが近くにあります。
 「“低きに合わせる”のが、この国の生存権保障なのか? 〜次に狙われる住宅扶助基準と冬季加算の削減〜」という集会で、講師の平山洋介さん(神戸大学教 授)が、木造住宅が少なくなって低価格で借りられる物件が少なくなってきた、と話されていました。多少ぼろくても安い貧乏人が住める物件が減って「きれい」でセキュリティー万全の「安全」な住宅が増える、「きれい」で「安全」な街になるにつれて、基準がより高くなってちょっとでも基準に満たないものをみかけると排除したくなっているのではないか、と思いました。そして、基準に満たない野宿の仲間を排除しているのではないでしょうか。でも、野宿の仲間は、人間です。人間を排除するとは、死を意味するのです。