重力ピエロ

yomimaru2005-08-26

bk1
著:伊坂幸太郎 新潮社*1

連続放火事件の現場に残された落書きが意味するものは。謎に挑むのは、落書き消しを業とする春と遺伝子解析業社に勤める泉水の兄弟だが――「これが代表作」。
ミステリーの近代史と分類を簡単に知るには、愚者のエンドロール(米澤穂信)*2がお薦めなんですが、愚者〜でも〈ミステリー〉とは何かについて登場人物が論じています。個人的には、二重の意味を込めて張られた伏線を劇的に一点に収束させる、という構成の作品はどれも〈ミステリー〉と思っています。伏線を、いかに伏線じゃないように感じさせ、かつ、必然的であるように思わせるか。
その意味で、本作はまさしく〈ミステリー〉にふさわしい構成の話といえると思います。過去と現在とを行き来する緻密な構成の巧みさとクライマックスの衝撃には驚き。まだこの作者の本を一冊も読んでいないなら是非この本からどうぞ。
本作を読み終えたらこの小論が読みたくなってきた。電子決済で購入に挑戦。