オーデュボンの祈り

yomimaru2005-09-03

bk1

肯否を逆に言う画家、他人にはわからぬ理由で人を殺す詩の愛読家、未来が見えるが未来は語らない案山子、地面に寝転がって音を聞く少女ら、奇妙な人間が住む荻島に連れてこられた伊藤。案山子がバラバラにされ、頭を持ち去られた殺人事件が発生して――第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。
未来を見通せる案山子が、なぜ自分の死を阻止できなかったのかの謎、繰り返し語られる「荻島に欠けているものが島の外からやってくる」という伝説、変人達のそれぞれについてバラバラに提示された断片が最後に集中していく感じは、このデビュー作からそうなんですね。
色々と物議を醸したトリックスターズ(久住四季)*2の方が、伝統的な「ミステリー」に近いと思われるくらいに、ジャンルとしての「ミステリー」の幅の広さが感じられる作品です。グリーンマイル*3超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか*4がまた見たくなりました。