穴 HOLES

yomimaru2007-01-09

bk1

無実の罪で少年矯正キャンプに送られたスタンリーは焼けるグリーン・レイクの大地に穴を掘る作業を課せられるが、収容生ゼロに文字を教えて欲しいと言われ――曾祖父から続く呪いの伝説と、友情をかけた脱出の物語。
題名とあらすじの「矯正キャンプ」の文字から大脱走*2のトンネルを想定していたんですが、趣向が異なることが早々に判明。賽の河原の石積みと同じ種類の無意味な作業に、穴を掘らせた後に埋めさせる、というのかも、なんて考えていたら、そういうことでもなし。
収容所の暮らしに曾祖父スタンリーの物語とまだ雨が降っていたころのグリーン・レイクの物語が挿話として入っていますが、各所各所で出てくるちょっとした事項が、どれもこれも結末に至る伏線になっていて、その納まりの良さは感動的。最後の1ピースに至るまで無駄のないパズル、といった風情です。
飜訳のせいか、ゼロの口調が女の子のように感じるところがあります。本作が、少年同士の友情モノではなく、リバーズ・エンド(橋本紡) *3のようなボーイミーツガールモノとしてストーリー構成されていたら、収容所脱走型ライトノベルとして大受けかもみたいな作品。お薦め。

><