きみとぼくが壊した世界

ロゼッタ ロゼッタ 心の石よ

読むと死ぬ《呪いの小説》の謎を解けとの依頼を受けて、ロンドンに向かうことになった病院坂黒猫と櫃内様刻だが、行きの飛行機内で早速不可解な事件が――きみとぼくが互いに綴る本格世界ミステリ。
妹 夜月を溺愛しつつも彼女を親友と認めるシンプルな様刻くんを、高校は保険室登校なのに卒業したら米国に留学することになっているヒロインくろね子さんが、一体どう見ているのか、赤裸々な心情が綴られる「せんたくもんだい編」を読み終わった段階では、小学館学年誌の付録「世界の名探偵」を読んだ子供の頃を読み返したかのような気分。
ところが読み進めているうちに、『青春時計』(森橋ビンゴ川上亮・緋野莉月) *2とか『プリズム』(貫井徳郎) *3や『毒入りチョコレート事件』(バークリー) *4を読んでいるかのように印象が変わって、気分はもう本格。
同シリーズの前2作*5 *6に比べると後味が悪くないのは、本作の設定から必然的に導びかれる意図的な《キャラいじり》があるからかもしれません。
後書によるとシリーズは全5巻になるみたい。次巻では兄 様刻を溺愛する夜月の活躍に期待したいところですが……

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