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読丸電視行

本に遭っては本を読む活字中毒系プログラマー 読丸 の読書感想文日記です。    [総目次]    この日記をアンテナに追加    rss

2009/05/31 IS - 小豆餡で南瓜を煮たいとこ煮は甘い

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小豆餡で南瓜を煮たいとこ煮は甘い
著:弓弦イズル 画:okiura MF文庫J*1

究極兵器ISを起動させられるのは女性だけ、マッチョな男がすっかり肩身の狭い思いをする世界で、ISを唯一起動させられた男 一夏は、女の子ばかりの操縦訓練高校に一人入学し――ドキッ! 女の子だらけのIS学園、バトルもあるよラブコメ

女子校に単独入学した男子、という点では、『私立! 三十三間堂学院』(佐藤ケイ) *2と同じ設定の本作ですが、『三十三間堂』の後白河法行の超越度に比べて、一夏は超鈍感なことを除いては普通高校生。一夏を巡る女同士の戦いも『三十三間堂』のような知略謀略の世界とは異なり、ささやかで微笑ましい限り。

一夏のほかに男がいないにもかかわらず、何故かクラスの雰囲気に『バカとテストと召喚獣』(井上堅二) *3に似た匂いが漂っています。勉強ができない系の面倒臭いコンプレックスが全然出てこないところが似てるのかも。

天賦の才のみでここまできてしまった一夏が熱血スポコンで特訓する展開か、同じく強い女性に虐げられる男のコ『想いはいつも線香花火』(一色銀河) *4の優夜的に、こすからい作戦に走るのか、次巻が楽しみ。

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2009/05/30 宵月閑話 - 「ただしイケメンに限る」は必要だが十分ではない

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ただしイケメンに限る」は必要だが十分ではない
著:佐々原史緒 画:toi8 トクマ・ノベルEdge*1

祖母の死の真実を知るため、親戚に霊能者がいると噂のクラスメイト 仁希に相談した麻里は、彼女が家令として仕える変わった青年 閑に相談するが――小野篁の裔は甘い物好きホラー

本当は能力があるのに働く気がない駄目主人に仕えるしっかり者の女の子、というキャラ配置は、『トワイライト・トパァズ』(佐々原史緒) *2や『占者に捧げる恋物語』(野梨原花南) *3と同じですが、弟子女の子の視点から描くのと、駄目主人に仕えるメイド仁希のクラスメイト麻里の視点から描くのとでは、大分印象が違います。事件解決に男の能力が必要になっちゃうので、どうしても異能の持ち主であることが強調されて、男の駄目度が緩和されるからかも。

駄目男モノって、なんとなく女性作家が得意とするジャンルのような印象があります。駄目男を続けるには、女の子に好き勝手に言われても動じない度量、ある種のヒモ的才能が必要。どこに惹かれてしまうのか、それを読者に納得させる心理描写がキモになるからかもしれません。

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2009/05/29 これから自首します - いま、自首にゆきます

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いま、自首にゆきます

殺人自首する決意を翻した友人をカッとなって殺してしまい、自首したいと勝馬に告白する小鹿だが、小鹿に自首されては困る事情が勝馬にはあって――自首自白微妙な違いミステリー

1時間モノのTVドラマ的な自首小ネタの挿話が、本筋ときちんと絡んでいる構成。日常ミステリの連作短篇集の最終話の量をぐぐっと増やして、その前の話をコンパクトに埋め込んだような感じ。

台詞回しが舞台的なんですが、勝馬のモノローグストーリーが展開する構成なので、このまま演劇化すると説明台詞の嵐になってしまいます。そういう意味では、小説に適した題材と言えそうです。

伏線がぴったりかっちり噛み合った真相に、ちょっと『フィッシュストーリー』(伊坂幸太郎) *2を思い出しました。無駄をどんどん削ぎ落としていくと、世間の狭さが強調されて、すべてが偶然のなせる技に見えてくる、そんな悲喜劇性も舞台っぽい印象を与える理由なのかも。

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2009/05/28 鉄球王エミリー - 遺恨なり輝鉄一球を投じ、流星光底長蛇を逸す

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遺恨なり輝鉄一球を投じ、流星光底長蛇を逸す
著:八薙玉造 画:瀬之本久史 集英社スーパーダッシュ文庫*1

最後の要塞がヴェルンスト軍に包囲され、国王を喪い混乱に陥ったままのラゲーネン王国王位継承権を放棄してしまった第一王女エミリーが取る計略は――鉄塊が唸りをあげる重装甲ファンタジー完結編。

ヴェルンストを率いる血風姫ヴィルヘルミーネは、あまりに優秀過ぎて何でも自分でやろうとしちゃうタイプ。一方のエミリーは、腹心の部下が少ないこともあって、大胆に人任せにしたり。性格が曲がり度合は両者に共通しているんですが、ミーネが一騎駆けする信長なら、エミリーは実力本位で家臣をとる信長、という感じ。

一時ヴェルンスト寄りの態度をとっていた猿騎士エルネストの態度が前半の見処。前巻までは、単なるイヤな奴で終わっていた彼ですが、今巻では秀吉っぽい?活躍を見せてくれます。

となると、エミリーに仕えるグレンは、幼い頃に信長と誼を結び、同盟を結んで最後まで家臣であり続けた家康、ということになるのかも。

剛腕で場を和ませる伯爵令嬢ヘーゼルと、かつてエミリー達を襲い今では味方となった元亡霊騎士リカードのやりとり等、最終決戦を前に死亡フラグ満載ですが、こういうエンディングも素敵。

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2009/05/27 踊る陰陽師 - さんま、人形、捜査線

[][][] 踊る陰陽師 山科卿醒笑譚  踊る陰陽師 山科卿醒笑譚を含むブックマーク

父と兄の死で急拠 陰陽師熊太夫をついだのは良いものの、病除けの祈祷で失敗し、評判は落ちる一方。そんな彼に、山科家の家人 掃部助は竈祓いを依頼するが――室町末期の小咄集。

表題作に描かれる祈祷って、今でいうカウンセリングに近いような感じ。なるほど確かに、「気休め」という言葉がふさわしい。その意味では、陰陽師を信じる心こそが重要で、自分で埋めた錆刀を発見してみせる《演出》も、プラセボ効果を引き出すための必要悪ということなのでしょう。

SEO対策万全のビジネス書のようなタイトル短篇信長を口説く七つの方法」/『難儀でござる』(岩井三四二) *2もそうですが、この著者の描く人は、何故かみんなお金に困っていて、その状況を自嘲しつつも、鬱屈した思いの発散の方向性が陽性。

人生革命的な一発逆転を求めないことが、日々をこなしていく秘訣なのかもしれません。

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2009/05/26 神のみぞ知るセカイ - 同時攻略必須でハーレムエンドがない苦しみ

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同時攻略必須でハーレムエンドがない苦しみ

ギャルゲー攻略天才 桂馬は、ゲームの知識を駆使して《駆け魂》に取り憑かれた現実女の子を《攻略》し、悪魔エルシィに回収させることに。今回の相手は桂馬が苦手な電波系、しかももう一人女の子が登場して――落とし神がテキスト降臨ノベライズ

原作の方は、美少年桂馬コミックスの表紙を占めて、女の子が出てこないところも好きなんですが、文庫ノベライズ化にあたってはそうはいかなかったみたい。ちょっと寂しい。

体言止めが多めな文体は、『いぬかみっ!』(有沢まみず) *2も同じなんですが、ギャルゲーテーマの本作だと、なんだか久弥直樹/Cork Boardの同人誌*3の文体を思い出したり。「……」はあまり使われてはいないのですが。基本が女の子トラウマ解決ストーリーだからかも。

今さらギャルゲーをするほど時間はとれないけど、数年前にギャルゲーで泣いたことがある人が、ギャルゲーノベライズの雰囲気をライトに楽しむのに好適な一冊です。

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2009/05/25 プログラミング言語C++ 第3版 - int()は0、bool()はfalse

[][][][] プログラミング言語C++ 第3版  プログラミング言語C++ 第3版を含むブックマーク

int()は0、bool()はfalse
著:Bjarne Stroustrup アジソン・ウェスレ*1

数年に1回、C++で短期で開発しなければならない状況に陥ります。今回はTx*2やsary*3を使ってのテキスト処理。

C++言語仕様も、第1版*4Turbo C++、Zortech C++から考えると、その巨大さには目もくらむばかり。関数オーバーロード演算子定義があるだけで嬉しかったあの頃が懐しい。

第3版も出てから10年以上たつんですが、せっかく数年ぶりにC++で書くならば、と、今回はテンプレート関数オブジェクトに挑戦してみました。ちなみに前回のテーマは、using namespaceの使い方と、setjmp/longjmpせずに例外処理

関数へのポインタを渡したくなっちゃうところで関数オブジェクトを使う方法が良くわかっていなかったのですが、__gnu_cxx::hash_map 用のハッシュ関数定義してみて、やっと自分の血肉になった感じ。T (*foo)(A, B, ...) は template<class T,class A,class B,...> struct foo { T operator()(A, B, ...){...} }; と foo<T,A,B,...>() に機械的に書き換え、でいいのか。

この仕事のおかげで、g++のテンプレート関係エラーメッセージ、何が書いてあるのかはよくわからないけど、何が言いたいのかは、心にずんと伝わってくるようになりました。『よくわかる現代魔法』(桜坂洋) *5でこよみがのコードを体で感じ取るのって、こういう感覚なのかもしれません。

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デスマーチはなぜ遠くまで聞こえるの♪な状況でも、桜坂洋応援強化月間開催中です。

よくわかる現代魔法アニメ版ウェブラジオを聞いたり、まんたんウェブを読んだり、秋葉原看板を見たり、感想リンクを収集したり。

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2009/05/13 雪螳螂 - 斧よりも剣を選んだ雪蟷螂

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斧よりも剣を選んだ雪蟷螂
著:紅玉いづき 画:岩城拓郎 電撃文庫*1

和平のため敵族に嫁ぐアルテシア、彼女影武者ルイ、停戦交渉を成功させたロージア。ファルビエ族の女達は、想い人を喰らうほどに愛して――相手を噛むのはコトの前か後か、人食い譚第三弾。

優れた剣の使い手が自分の心の奥底を最も見つめることができるのは、相手と剣で戦っているとき。『神のみぞ知るセカイ』(若木民喜) *2春日楠篇でも言及されていた通り、久しぶりで「勝負して勝つのが落ちる条件」系を読んだような気がします。

当初はアルテシアにルイが献身的に尽くす話か、と思っていたら、思わぬ急展開。アルテシアの見せ場を食ってしまう大活躍で、本人が死んだ後の『影武者』(黒澤明) *3モノというよりは、本人が生きたままの『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』(清水邦夫) *4系かも。

三者三様とはいいつつも、雪螳螂と称される激しい愛し方をそれぞれに、この長さで必要十分に描き切ったお薦め三部作の中では一番好きかも。

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2009/05/10 横柄巫女と宰相陛下 - アロエリーナは聞き上手

[][][][] 横柄巫女宰相陛下  横柄巫女と宰相陛下を含むブックマーク

アロエリーナは聞き上手
著:鮎川はぎの 画:彩織路世 小学館ルルル文庫*1

言葉足らずの返事のために仲間から目の敵にされる巫女見習いのノトは、戴冠の儀式に合わせて宰相カノンを亡き者にしようとする世継エリオ陰謀に巻き込まれ――不器用な男女が理解し合えるまでファンタジー、第2回小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門期待賞受賞作。

日常会話では、ひとまず相槌だけはうっておく、ということが重要なようで、どう答えようか熟考して返事をしないでいると、相手に「話をちゃんと聞いているのか」と詰め寄られるタイプの私としては、方向性は違うものの、不器用なノトの悩みにちょっと共感

カノンとノトに対してエリオが仕掛ける陰謀は、『キャンディ・キャンディ』(名木田恵子) *2キャンディとテリィに対してイライザが仕掛ける陰謀と同趣向なんですが、こういう手段を男がとると、彼の卑小さが一層極立つ感じ。

今巻では、ノトの唯一の理解者サナの性格のうち「良い娘」面だけが出ている印象。次巻以降では、ノトよりもサナがどういう葛藤を抱くのか、を見てみたい。

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2009/05/09 “文学少女”見習いの、の初戀。- お初天神に散る露は、菅原道真の悔

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お初天神に散る露は、菅原道真の悔し涙

文芸部部長 心葉に一目惚れした新入生 菜乃は、本好きと偽って入部するのだが、すぐに見破られてしまい――本読みの高校デビューは可能か心中ミステリー

子供の頃に『デミアン』(ヘッセ) *2と『オーメン*3ダミアンに因縁を感じていた私としては、菜乃に共感しないわけにはいきません。その『デミアン』、中高時代に何とか読了した記憶だけが残る一方で、今回の本作のモチーフ『曾根崎心中』(近松門左衛門) *4は、途中で挫折した苦い思い出があります。

今までに本はあまり読んだことがない、という設定の菜乃なんですが、その割には『曽根崎〜』がかなり読み込めているようで、何だかちょっと差をつけられた気分。たとえば『円紫師匠シリーズ』(北村薫) *5ヒロインに負けるのは当たり前に思えるんですが、自分より本読みじゃない相手に負けるのは、ちょっと悔やしい。

近松に馴染めなかった理由は、心中に対して、やるせなさ美しさよりも、『ゼウスガーデン衰亡史』(小林恭二) *6的な滑稽さ、『宇田川心中』(小林恭二) *7的な軽さを感じ取ってしまうちょっとひねくれた私の性格のせいかも、なんてことを思いました。

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2009/05/08 本日の騎士ミロク - 薔薇の花嫁から剣を抜けるのはエンゲージ者だけ

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薔薇花嫁の胸から剣を抜けるのはエンゲージした者だけ

すぐに仕事を首になるミロクは、唯一得意な剣技で王国騎士団に見事合格し、ジェルメーヌ姫の挨拶に感動したのも束の間、配属された赤目隊は変人ばかり、剣も支給されず――就活後の五月病を乗り越えられるかファンタジー

剣には自信があるものの、人を殺したことがないミロクは、配属先や上司に不満たらたら。『宇宙戦艦ヤマトIII』*2の土門竜介が、訓練学校ではトップなのに生活班に配属されてふて腐れる姿を思い出しました。実務経験がないのに資格だけで仕事ができると思い込んじゃう症候群、という感じでしょうか。

可愛い女の子上司を親のように温かく見守るエリート男隊員のミルク隊/『伝勇伝シリーズ』(鏡貴也) *3みたいな感じの赤目隊ですが、隊員の紅一点 アーニィの存在が違います。ミロクのことが気になる彼女は、気の毒なことに今のところ 完全な当て馬ポジション彼女が今後、どう折り合いをつけていくかが楽しみです。

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文中、作家・評論家等の公人については敬称を略します。
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