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読丸電視行

本に遭っては本を読む活字中毒系プログラマー 読丸 の読書感想文日記です。    [総目次]    この日記をアンテナに追加    rss

2009/10/28 BG、あるいは死せるカイニス - 女装する女の男スイッチとは

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女装する女の男スイッチとは
著:石持浅海 画:ヨシツギ 創元推理文庫*1

男性化は確実と噂されていた姉 優子が深夜の学校で殺された。遙は、彼女が遺した言葉「BG」と犯人との関わりを探るが――男女比1対3の性転換世界ミステリ

題名が似ているせいか、『信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』(宇月原晴明) *2と混同してました。片や性転換、此方両性具有、とテーマも似てるし。

魚の性転換が比喩に使われていて、本作の設定は『ファインディング・ニモ*3の主人公でもあるクマノミとは逆で、雌性先熟。生まれたときはすべて女性、一旦妊娠出産した後に、優秀な者のみが自然に男性化するという形態は、魚だと結構あるんですね。

本作や『大奥』(よしながふみ) *4と、『東京島』(桐野夏生) *5では、同性カップルOKな雰囲気どうかが違います。これは、男女比の開き具合に依存するのかな。1対3ぐらいだと、それなりに異性がいるので、同性愛OKの方向じゃなくて、『疾走れ、撃て!』(神野オキナ) *6海軍みたいに、女が男を堂々と襲う世界になるのかも。

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2009/10/26 ヘヴィーオブジェクト - 赤と青、今日のリード線はどっち?

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赤と青、今日リード線はどっち?

軍で技術を身につけて楽に暮らそうと考える学生クウェンサーは、「戦いの不文律」を破る敵に襲われた整備基地から不良貴族軍人ヘイヴィアとともに逃げ出すが、知り合いの美少女エリートが捕えられたことを知り――究極兵器を人の知恵で、小能く大を制す近未来アクション

本作の《敵》は、究極兵器オブジェクト。『鉄人28号』(横山光輝) *2や『ジャイアントロボ』(横山光輝) *3の大型ロボットみたい。その大きさ重さ異様さに、スチームパンクとは違った昭和への郷愁を感じます。

ヒロイン相当の女の子がどんどんクウェンサーに惹かれていく展開は『とある魔術の禁書目録』(鎌池和馬) *4の主人公 上条に通じるところがありますが、本作の場合、オビには「ボーイミーツガール」と謳われてはいるものの、むしろ男同士のクウェンサーとヘイヴィアの掛け合いに重点が置かれています。上条一方通行幸せな出会いを果たし、二人でトラブルに巻き込まれては解決する、とかそんな感じでしょうか。

アクションシーンは、『鈴木爆発』*5や『魔法鍵師カルナの冒険』(月見草平) *6のような解体パズル系。究極兵器にこういう弱点があっていいものか、ドキドキの展開です。

次巻でも、男同士のボヤキ重視に期待。

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2009/10/20 ごくペン! - 何の因果かヤクザの頭

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何の因果ヤクザの頭
著:三原みつき 画:相音うしお MF文庫J*1

一緒に東大に入ろうと約束した幼馴染み 凛子に再会すべく真太郎が入学した高校はヤンキーの吹き溜まりで、彼女は仁侠を極める女親分に――前生国と発しますところコメディ、第5回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作。

彼女東大に行くことを誓い合うきっかけになった漫画は、たぶん『ドラゴン桜』(三田紀房) *2を想定しているのだと思いますが、話全体の雰囲気からすると、『東大一直線』(小林よしのり) *3や『エリート狂走曲』(弓月光) *4の方がマッチしている感じ。

ヤンキー生徒にツッコんだのがきっかけで一目置かれるようになる、と、真太郎の境遇は何だかうまくいきすぎている感じはしますが、彼自身の生徒達に対する偏見事なかれ主義でもめごとを避けるところは、何とも小市民的。

変わり果てた凛子の姿を見て、真太郎がどう変貌していくのか。真太郎の姿を見て、生徒達はどう変わっていくのか。クライマックス対決の展開は、超燃えます。ハイパーヨーヨーの使い手のボクっ娘 切原菊枝は、『超速スピナー』(橋口隆志) *5の霧崎マイとは、また違った魅力を見せてくれます。

ヤンキーに対して《コンプレックス》を抱くオタク優等生なら是非。お薦め

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2009/10/18 yom yom - 世の中はみんな平等に不公平

[][][][][][] yom yom ヨムヨム七月号 vol.12  yom yom ヨムヨム七月号 vol.12を含むブックマーク

世の中はみんな平等に不公平
yom yom (ヨムヨム) 2009年 10月号 [雑誌]

十二国記の最新短篇が掲載とのことで手にとりました。その「落照の獄」(小野不由美)は、柳国が傾きつつある中、連続殺人犯死刑とすべきか否か悩む裁判官の話。ついつい今の日本に重ねてしまう一篇。

幼稚園学童保育で起きた事故を描く「天使おやつ」(沢木耕太郎)も、今の日本少子化対策や異常を発見できなかった医者の話題が頭に浮かびます。

アイドルの心得――使者生まれる日」(辻村深月)は、『スカイハイ』(高橋ツトム) *2を逆転させたような設定の幻想譚。飯島愛の突然死の後日談みたいな感じ。

日が出ていないと働けなかった雲使いの一族の娘を描く「晴れたら長靴」(栗田有起)は、ファンタジーかと思って読んでいたのに、意外な結末。ちょっとライトノベルに毒されている自分発見しました。

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2009/10/15 小春原日和の育成日記 - イナゴの足は歯茎に刺さる

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イナゴの足は歯茎に刺さる

貧乏アパート管理人 祐介(高1)は、店子 日和(中3)の地味ななりを温かい目で見守る毎日。大人の女性になりたい、という切実な願いを日和から聞いた祐介は――頼りないヒギンズ教授ストーリー

日和をお嬢様に仕立てあげるための上流階級マナー蘊蓄の内容はかなりライト。この《入り口》感が、初々しい中高生カップルによくマッチしています。

内気なヒロイン精神的な支えになっているだけで、それ以外はあんまり役に立っていない祐介。『スイート☆ライン』(有沢まみず) *2の正午同様、炊事洗濯家事に長け、おさんどん少年の《内助の功》系で好み。

瞳を髪の毛で隠す内気なヒロイン日和に、『化物語』(西尾維新) *3 *4の撫子を思い出しますが、撫子が《二人の世界》を指向しているのに対して、日和はもっと外交的な自分を目指しているみたい。日和が目指すお嬢様学校も、良妻賢母というよりは、専制君主の闘気をまとった女王を育てる雰囲気です。

甲子園を目指すタッちゃんよりも、連れていって欲しい南に共感したい男の子お薦め

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2009/10/13 ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 - ヨン、イチ、ニ、ロク。

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ヨン、イチ、ニ、ロク。

都会で結婚したフリーライターみずほ(30歳)は、母親が刺されて死んだ幼馴染みの未婚OLチエミ(30歳)の失踪事件を追い、地元に戻って知人たちを《取材》するが――妊娠と女女格差微妙な関係サスペンス

同級生同士の意地の張り合いをテーマにした『太陽の坐る場所』(辻村深月) *2とを進め、本作では、さらに母娘(孫)関係にまで踏み込んでいるんですが、「出産」を直接扱う『もうすぐ』(橋本紡) *3とは異なり、本作では、「妊娠」をベースにしつつ女同士のフクザツな関係を描くことに注力した印象です。

負け犬の遠吠え』(酒井順子) *4的な観点からすると、チエミは負け犬にどんどん近付きつつあり、みずほは勝ち犬になりきれず、という状況ではあるのですが、外見的には勝ち犬な政美ですら、自分の《負け》に自覚的で、女の世界は、『負け犬〜』のような単純な二項対立では分類できない感じ。

男同士の喧嘩の場合、殴り合って仲直りという定番がありますが、女同士では、これといったものがないせいなのか、本作に登場する和解も、バリエーション豊富で興味深い。

神林長平+新世代作家トークショーでも触れられていた《優等生の苦悩》は本作でも堅調。大人びた秀才女の子の裏側に隠されたドロドロに親近感を持つ方にお薦め

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2009/10/08 少女たちの羅針盤 - めろんのまち夕張

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めろんのまち夕張
著:水生大海 装:スタジオ・ギブ(川島進) 原書房*1

本音を言っては周囲と対立する瑠美、身長ゆえに男役を振られるバタ、姉が芸能人のかなめは、演劇部を出て小劇団を立ち上げるべく、他校で柱をつとめる蘭を誘うが――四年前に小劇団で起きた殺人真相を探る復讐ミステリ、第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。

演劇集団 羅針盤を立ち上げた高校生活躍を描く過去パートが芸名を舞利亜にかえて芸能人を続ける真犯人が追い詰められる現代パートに挟み込まれる構成の本作。

過去の事件で真犯人被害者を攻撃するために使うのが、女の子同士の悪意とか、学校内での嫉妬とかなんですが、そのままやるのではなく、心理的な《読み》を使って他人にやらせ、自分は安全圏に逃げるやり方で、その人が必ずしもその通りに動くわけじゃない、という不確実性が折り込み済み。妙にリアルな陰湿さです。

ストリート演劇を始めて人気を得るまでの出世劇には、北島マヤが体育倉庫で一人芝居をして再起を図る「女海賊ビアンカ」/『ガラスの仮面』(美内すずえ) *2にも似た躍動感があります。街頭で演劇をするにあたってのアイディアも、「四人の女の子」ならでは。ク・ナウカとは微妙に違っていて、確かに見てみたい。

お薦め

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2009/10/04 武士道エイティーン - 桐谷は斬り屋でありkillerである

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桐谷は斬り屋でありkillerである

高校最後の全国大会で再戦を誓った香織と早苗だが、香織は急に反抗的になった後輩田原に戸惑い、早苗は右膝を痛め――近くでも離れても険しい道を進む武士道シリーズ最終巻。

最終巻は、香織と早苗だけではなく、脇を固めるキャラをメインにした挿話が多数。モデルになるために上京した早苗の姉、香織が通う桐谷道場の由来、早苗が所属する剣道部先生過去、そして、香織に憧れる後輩 田原葛藤と、盛沢山です。

全国中学生大会で香織に勝って優勝したレナとの因縁の対決は、『スラムオンライン』(桜坂洋) *2テツオとジャックの対戦に通じる ど迫力のテンポ。その道の技を知らなくとも、その《妙味》の一端が感じとれそうな描写です。

剣道と対戦格闘では伝統歴史こそ違いますが、ある種達人の域に達すると、そこに広がるのは似た風景、ということなのかもしれません。

お薦め

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2009/10/01 よくわかる現代魔法 SPECIAL CODE ALBUM - 現代カレーの味は遅延評価

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現代カレーの辛さは遅延評価で効く
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嘉穂とともに美鎖邸を訪問したこよみがふとしたはずみで召喚したたらいは、いつものように聡史郎の頭を直撃。記憶をなくした彼が美鎖に伝えようとした大切なコトとは――「きおくそーしつ」に始まるミニドラマ声優陣によるキャラソン5曲を含む現代アルバム

全4話構成ミニドラマは『comic edition』*2アニメ第0話「cruncha cruncha cruncha」のような一般的な日常パート。強いて違うところをあげるとすれば、嘉穂の小ネタに凄みがあるってとこかナー。作者本人がかなり加筆修正している模様で、美鎖の鼻歌もかなりマニアックです。

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そんな嘉穂の活躍の場は、Twitterよりもまだ2ちゃんねるみたい。弓子登場時の嘉穂の超シビアな書き込みの言葉に、これでなくっちゃ!と膝を打ちました。

嘉穂と小野寺笑が遠隔通信だけで状況を打破する『jini使い』*3のエピソードは、残念ながらアニメ化されませんでしたが、笑の活躍は『世界でいちばん簡単な現代魔法の本』(桜坂洋宮下未紀) *4掲載の短篇exit(jini)」で補充できました。嘉穂分の補充はこのドラマで。

やっぱり声付きは印象が強いです。お薦め

追記
スタッフの記載は歌詞カードだけと思い込んでいたんですが、CDケースの内側でした。気付くのが遅れました。脚本:門田祐一脚本・監修:桜坂洋とのこと。「加筆修正」どころか作者本人の「執筆」ということで、『256倍』*5同様、気合いが入っているのも頷けます。(2009/10/03)

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