探偵小説のためのゴシック「火剋金」

怪盗黒蜜柑はどの探偵と恋におちる?

怪盗 黒蜜柑からの挑戦に敢然と立ち向かう陰陽師コモと江戸っ子あかねだが、鉄壁の密室はあっさり破られ――肩から上は堪忍しても股間は蹴り上げる、貧乳俎板ミステリー。
殺人事件がメインだった相剋シリーズですが、最終巻は盗難トリックがテーマ。ということで、『怪人二十面相』(江戸川乱歩) *2を彷彿とさせる怪盗ですが、その名前の衝撃度といったら! 『黒蜥蜴』(三島由紀夫江戸川乱歩) *3に対する『紅蜥蜴』(広井王子) *4どころの騒ぎではありません。
このシリーズは、トリックはトリックで本格っぽく数学っぽい証明でやって、動機は動機で陰陽師モノとしてやって、ヒロインのキャラ立ては学園コメディとしてやって、と、三本立てのお得感が好き。今巻は、あかねの妄想も変身も付録から本編に格上げで嬉しい。
次は「相生」シリーズが開始のようですが、その後は是非、「反剋」「反生」シリーズを継続して、『孔子暗黒伝』(諸星大二郎) *5的な世界に突入して欲しい。お薦め。

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