エキストラ・ラウンド

君は光 僕は影
Slum Online (Novel)

バーサス・タウンで今日も情報屋 忍者ハシモトをプレイするぼく、山之内純は、武闘会決勝を放棄して辻斬りジャックに挑み勝利したテツオから、優勝トロフィー盗難事件にまつわる依頼を受け――スラムオンライン』(桜坂洋) *2の英訳版*3に向けて、ゼロ年代を締め括る書下し。
本篇『スラム〜』では、物事の道理とか自分の存在意義とかをはっきり自覚した完璧キャラ系の印象があったハシモトですが、そのプレイヤー 純の感じている焦燥の《微温さ》が、進路を決めかねてぐだぐだだった学生時代を連想させて、すごい身につまされます。
ネットゲームがテーマになると、リアルは仮初めの姿、バーチャルが本当の自分、みたいな、今の自分と《違う私》にスポットが当たりがちですが、このシリーズの登場人物には、バーチャルもリアルも全部を貫く《私の根幹》は何なのか、それを究めんとする無意識の姿勢があるのが好き。お薦め。

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