V.T.R.

文学少女とイケメンのヒモ

3年前に別れた美女アールからの電話を受けたティーは、「アタシは変わっていない」との彼女の言葉に、ヒモ的怠惰生活を抜け出して街に出るが――スロウハイツの神様*2 *3登場の作家チヨダ・コーキのデビュー作、リバーシブルカバー版。
主人公は、殺人ライセンスを持っていながら職業殺人者としての仕事をしない駄目男。
同じ駄目男の恰好付けでも、『彼女はたぶん魔法を使う』(樋口祐介) *4の草平のモラトリアム年齢は高校生〜成人直後ぐらいな感じなのに対して、本作のティーは二十代半ばっぽい。逆に、語り口は、草平の方がティーよりもずっと老けています。この想定年齢の差が、女性作家と男性作家の違いでしょうか。
本当の愛を知らないモテ系男子が主人公の『名前探しの放課後』(辻村深月) *5 *6を読んだときにも感じたのですが、学生時代に真面目に図書委員を務めた系の女の子って、意外にこういう奴の世話をしてあげたいと思うものなのかもしれません。

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