YAMDAS現更新履歴

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2005-01-31

iNTERNET magazine 2005年3月号  iNTERNET magazine 2005年3月号を含むブックマーク

週末は友人達と飲みなどがあり時間が取れなかったので、本サイトの更新はなし。YAMDAS対談初期の対談相手だった海坊主と何年ぶりかお互い思い出せないほど久しぶりに会ったりした。彼も医者になり、もう対談をやることはないだろうが、達者なのは何よりである。

さて、iNTERNET magazine リニューアル号を編集部よりいただいた。版型が変わって小さくなり、付録の CD-ROM もなくなり雑誌本体としても薄くなった。個人的にはこの変化は非常にありがたいのだが、雑誌経営的にはどうなのだろう。

本号から「ビジネスイノベーションを発見するテクノロジー誌」と謳い文句を替えているのだが、印象的なのはリニューアルしてブログ関係の記事が一掃されていること。リニューアル前の iNTERNET magazine はブログ周りへの大幅なシフトが目立っただけに意外な感じもしたが、「リニューアルのご挨拶」で編集長が書く「有線と無線の融合」、「放送と通信の融合」という本質的な流れに今一度向かい合ったコンクリートな内容になっている。ただまだまだ始まりの段階で確固とした方向性が見えてくるのはこれからだろう。

個人的には正直言ってブログ関係の記事に食傷していたので、内容面の変化も歓迎するが、上と同じく雑誌経営的にはどうなのだろうなとは少し不安にも思った(まあ、必要とあればそちら方面の記事もまた載るのだろうけど)。

記事としては特集における塩田紳二さんの大車輪ぶりが印象的だったが、他では「Skypeが与えるアプリケーションモデルへの衝撃」は4ページでは全然足りない。Skype 周りの話は上に引用した編集長の文章にも合う内容だと思うので、次はこのあたりを特集で期待したいです。

あと忘れてはならないのは、バックナンバーアーカイブスの公開。1994年の創刊号から2002年2月号にいたるまで、発売後3年以上経過した号については、ウェブ上で PDF 形式で無料公開するとのことである。

今年還暦の有名人  今年還暦の有名人を含むブックマーク

先日取り上げた文藝春秋二月特別号だが、特集は飽くまで戦後60年の話であり、その関係で1945年生まれ、つまり今年還暦を迎える有名人の一覧が載っていた。個人的に気になった人をランダムに挙げておく。

タ、タモさん!

[] 京都賞アラン・ケイ 〜 ヴァニヴァー・ブッシュ  京都賞 〜 アラン・ケイ 〜 ヴァニヴァー・ブッシュを含むブックマーク

土曜日に NHK で放送された「ETV 特集・京都賞、歴代受賞者からのメッセージ」をうっかり録画し損ねた。

yet another 自分用メモによると、アラン・ケイがヴァニヴァー・ブッシュの「われわれが思考するごとく(As We May Think)」に影響を受けた話を語っていたらしい。

奇しくも iNTERNET magazine のリニューアル号には Douglas Engelbart インタビューがフィーチャーされているが、joesaisan さんも書いているようにその彼がブッシュに大きな影響を受けたことは、例えば「マウスと共に生まれたWWWの起源――第2次世界大戦中までさかのぼる」に詳しい。他にも「ハイパーテキスト」をお題目にベイパーウェア生活40年以上なテッド・ネルソンの Xanadu、ビル・アトキンソンの HyperCard、そしてアラン啓の Dynabook……先人達はみんな Memex の洗礼を受けているのである。

そして joesaisan さんが続ける通り、『ウェブログ・ハンドブック』も、「われわれが思考するごとく」からの引用で始まる。

検索経路の開拓が新たな職業となり、これに従事する人々は、公的記録の膨大な集積のなかに有益な検索経路を進んで確立していくのである。師から弟子たちへ受け継がれるものは、世界の記録への追加ばかりでなく、弟子たちがよって立つ足場全体になるだろう。

ウェブログ・ハンドブック』を訳すにあたり、これだけは既訳に頼った。何よりワタシ自身西垣通『思想としてのパソコン』における訳になじんでおり、それ以外の訳が考えられなかったからである。

ブッシュの60年前に書かれた論文がウェブログにまで当てはまるというのは別にレベッカ・ブラッドだけが言っていることではない。それについては、Ethan Cerami の「Memex に立ち戻る」が分かりやすいだろう。これを訳していて、『思想としてのパソコン』の訳に脱漏があったのに気付いたりもしたっけ。

この文章を訳した後、Memex から始めてウェブログや Wiki や検索エンジンやらを語る文章を構想していたが、能力が足らずまとめられなかったのは残念である。

[] モンティ・パイソンTV版初の舞台化はフランス語上演  モンティ・パイソンTV版初の舞台化はフランス語上演を含むブックマーク

何ともシュールなニュースだが、そのシュールさもまたパイソン的と言うべきなのだろうか。「TV版の舞台化」とは何かヘンな表現だが、要は『空飛ぶモンティ・パイソン(Monty Python's Flying Circus)』のスケッチを舞台化ということである。

舞台を見たマイケル・ペイリンは「(自分達は)年寄りの叔母みたいだった」と語っているが、同じく観劇したテリー・ギリアム『モンティ・パイソン・スピークス!』において、自分達でなくカワイ子ちゃん達がパイソンのスケッチを舞台でやり、当人達は脇で椅子に座ってそれを見ているというアイデアを語っており、それがちょっと変わった形で実現してしまったとも言える。

この記事では触れていないが、パイソンにはフランス(人)を茶化したスケッチも多く、さすがに「鼻に指を突っ込むとフランス国家が流れ出すテープレコーダ男」スケッチはできないだろうな。

そういえば「横縞のシャツにベレー帽」がフランス人労働者階級の典型的なカリカチュアであることを知ったのは、パイソンの「羊のコンコルド」スケッチだった。このスケッチは、ジョン・クリーズとペイリンのインチキフランス語が肝なので、やはりこれもフランス語ではできない。

そういえば、Jibjab.com の最新曲 "Second Term" でもシラクが「横縞のシャツにベレー帽」をやっている。件のカリカチュアがイギリスだけでなくアメリカでも浸透しているらしい。

記事の最後にはエリック・アイドルのブロードウェーミュージカルに触れてあるが、『モンティ・パイソンと聖杯』とは『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』のこと。

[] ロバート・デ・ニーロ、『タクシードライバー』続編に意欲?  ロバート・デ・ニーロ、『タクシードライバー』続編に意欲?を含むブックマーク

はじめこのニュースを聞いたときには冗談だろと取り合わなかったが、いくつも見かけるにつけ、まさかデ・ニーロやスコセッシは本気じゃないだろうかと真剣に不安を覚えるようになった。

『タクシードライバー』を観て、何かしら思うところのあった人なら誰でも同意するだろうが、絶対に止めてほしい。冗談じゃない。一体あの映画にどんな続編がありうるというのか。

デ・ニーロやスコセッシが一番そのことを承知しているだろうに。デ・ニーロは「アクターズ・スタジオ・インタビュー」に出た際、あの映画の "You talkin' to me?" をやってくれという司会者の申し出に対し、「それはできない」ときっぱりと断ったじゃないか。スコセッシにしてもインタビューで、「あれは自分の映画ではない。(脚本の)ポール・シュレイダーの映画だ」とまで語っていたじゃないか。確かにあの映画は、主人公トラヴィスにも劣らぬ精神状態だったシュレイダーなくして考えられない。それにあの映画の役柄のせいでジョン・ヒンクリーという負債を抱え込むことになったジョディ・フォスターが出るわけはないし……何をどう考えても映画になる見込みがもてないのだが。

もっとも名作の続編の噂は常に話題にのぼるもので、これもその一つだと思いたい。以前定期的に取り沙汰されたのは『卒業』で、それを逆手に取ったのがロバート・アルトマンの復活作『ザ・プレイヤー』である。あの映画の冒頭の、主要な登場人物を一通り紹介した上に、アラン・ルドルフがスコセッシに間違われるなどのくすぐりまである8分6秒の長回しの中で、脚本家が主人公である映画会社の重役に『卒業』の続編のアイデアを熱心に売り込む場面がある。その脚本家は、『卒業』の脚本を務めたバック・ヘンリー本人で、台詞はすべてアドリブだったそうだ。

[] 花とアリス  花とアリスを含むブックマーク

DVDジャケット

岩井俊二おそるべし。

考えてみれば彼の映画は『Love Letter』しか観たことがなく、あれはあれでできた映画だったと思うが、どうも小手先な技に頼る映像作家という先入観を勝手に持っていた。本作についても、違和感の演出が主目的のような一部キャスティング、本筋への集中を妨げるカメオ出演、柔らかい光の撮り方はいいけどビデオじゃなくちゃんとフィルムで撮ってくれよ、など文句をつけようと思えばつけるポイントはいくつもあるのだが、これだけの少女映画を作ったとなればこれは賞賛するより他ない。

冒頭、思いきりダラダラした退屈な映画をみせられるのではないかという懸念を持ったが、美しい春の場面になりそれは消し去り、あとは二時間この映画の世界にとらわれたまま。この間『ブラッド・シンプル/ザ・スリラー』について「久方ぶりに痺れる映画だった」と書いておいて何だが、端的に言って、痺れた。

『スウィングガールズ』といい、お前は女子高生が主役なら何でもいいのかと言われそうなので書いておくと、あれにしてもこれにしてもエロやロリの要素が皆無なのが私的に楽しめるポイントなのだと思う。正直、この年になって自分の半分(!)ぐらいの年齢のエロなんか見てもまず虚しくなるということだが、本作は単なる少女映画に留まっていない。それだったら、鉄腕アトムをあんな形で出すなんて思いもつかないだろうし。

ストーリー的には、鈴木杏演じる花が主人公の映画と思いきや、最も印象に残る言葉も動きも蒼井優演じるアリスが持っていってしまうのだが、特にアリスに関する伏線が回収される後半は話もよくできている。またちゃんと花にとっての見せ場となる場面があるのもよかった(ただ花屋敷の話は余計だったかなと思う)。

斎藤美奈子なら本作に『紅一点論』の裏返しを見るのかもしれないが(宮本には自分の過去について問い質す同性の友人がいない)、冬に始まり、春、夏、そして秋と巡っていく季節をとらえた美しい画とその中にいる主人公三人はずっとワタシの記憶に残るだろう。特に若い主人公達の相応しい夏の画は。いやはや、岩井俊二おそるべし。

GomadintimeGomadintime 2005/01/31 02:31 僕も単なる噂と思いたいですが、デ・ニーロもスコセッシも近頃迷走していると感じるので結構不安です(http://us.imdb.com/news/wenn/2005-01-26#celeb2など)。ジュリアーニ以後のNYに生きるトラヴィスなんて想像できません。

yomoyomoyomoyomo 2005/01/31 08:36 確かに迷走といえるかもしれません。デ・ニーロなんて、あんた映画出すぎだって、といわれ続けて15年以上ですし。さて、今年のアカデミー賞がスコセッシにどんな影響を与えるでしょうかね……

s-yamanes-yamane 2005/02/04 22:25 最近トラヴィス見ましたよ.

タクシー運転手しながら政府機関の仕事もしていて,ウィル・スミスをみぐるみはがしたりジャック・ブラックと組んで仕事してた.
映画の邦題は「タクシードライバー2」じゃなくて,たしか「エネミー・オブ・アメリカ」だったなあ.
http://us.imdb.com/title/tt0120660/trivia

yomoyomoyomoyomo 2005/02/04 22:35 な、なんだってー!(AA略)ううっ、全然気付きませんでした。というか、ガブリエル・バーンが出ているのも忘れてたくらいで

s-yamanes-yamane 2005/02/05 04:22 監督のスコット弟は「セブン」の線を狙っていたのだが,
悪名高きシンプソンとブラッカイマーが最初の脚本にはなかった激走大爆破シーンを
延々と入れたために,
観客の誰も身分喪失とかサスペンスの部分は思い出せないのだった....

http://www.simpson-bruckheimer.com/enemyofthestate/enemyofthestateproduction.htm

yomoyomoyomoyomo 2005/02/05 11:33 いやでも、あの時点でちゃんとプライバシー関係の話題を扱ってもらった映画をメジャー作品では知らなかったので、人に説明するときにありがたかった覚えはあります……が、印象に残るのはやはりアクションですな。でも、「セブン」の線というのはそれはそれでちょっとどーなんかいという感じではありますが(笑)

hokuto-heihokuto-hei 2005/02/06 13:34 すみません「アラン啓」ってギャグなんでしょうか?

yuh-sukeyuh-suke 2005/02/20 21:34 タモリさんは年始の週刊ダイナマイクで自分の還暦について言及しまくってましたよ

2005-01-27

[] はてなカウンタ再設置  はてなカウンタ再設置を含むブックマーク

わざわざ告知するような話ではないが、はてな住所登録騒動の際に外していたはてなカウンタをこのYAMDAS現更新履歴に再度設置させてもらった。

[] 「より良いCMSを作る」反応集  「より良いCMSを作る」反応集を含むブックマーク

今回も「メンテナンス可能なコードの書き方」同様、いろんなところで訳文が取り上げられているのを見て嬉しかったので、主な反応を列挙させていただく。

Zopeジャンキー日記
ワタシが翻訳をやる目的を汲んでくださり、とても嬉しかった
ちはるの多次元尺度構成法(日記)はてな版
ワタシも以前は3コラムレイアウトが嫌いで仕方がなかった(最近は嫌悪感はほぼなくなったが)
Harukiからの平面波
こちらにも仲間が。あとドキュメンテーションは何だかんだいって常に OSS の課題である
てくのーと
お察し通り、blosxomOpenSourceCMS.com の blog 部門のリストに含まれていない。NucleusWordPress が入っていて、MT が入ってないのは謎(追記:謎でも何でもない。オープンソースの CMS なのだから)
鵺的:想空間
というわけで、この文章は blog ツール全般にあてはまるわけです
pooneilの脳科学論文コメント日誌
ユーザ登録とログインの心理的障壁についての考察
優雅なブログが最高の復讐である
これはおまけ

「文藝春秋二月特別号」が熱い 「文藝春秋二月特別号」が熱いを含むブックマーク

既に各記事が取り上げられていたので本屋で立ち読みしたら、いろいろ読みどころのある記事が多そうだったので購入。(この雑誌本来の読者層でない)我々が注目しそうな記事をまとめて紹介。

ネット書店アマゾン潜入記
やはりこれが一番だろう。読んでいくつかの意味で恐怖を覚えた
電車男』を読む
鹿島茂福田和也、松原隆一郎による鼎談書評。実は『稼ぐが勝ち』や『キッパリ』も取り上げられている
紀宮様「オタク伝説」を追う
これも話題になってましたね。彼女がその趣味を全開にしたサーヤブログを書く日は……まあ、来ないでしょうが
「禁煙ファシズム」は怖いぞ
書いているのは小谷野敦。そういえば自宅での喫煙を理由に従業員を解雇した米企業がニュースになってましたね
「幽体離脱」を二人で語ろう
なんじゃこりゃ。一人はよしもとばなな
今月買った本 児童性愛の闇を暴く
精神科医斎藤環の連載。仲俣暁生さんの『極西文学論』も取り上げられている

詳しくは書店で。

[][] 料理のレシピを登録するWikipes  料理のレシピを登録するWikipesを含むブックマーク

Going My Way で、オリジナルレシピを Wiki で公開・共有化する Wikipes が紹介されている。

Richard Stallmanフリーソフトウェアについて語るときよくたとえに出すのが、料理のレシピを友達からもらい、それを改良するのは自由だろうという、プログラムとレシピのアナロジーなので(例:Richard Stallman インタビュー)、まさにレシピを改変可能な Wiki 上に置くというのを面白く思った。

旅行者情報集積サイト Wikitravel「旅行者の役に立つコピーレフトなコンテンツ」を謳っているし、言わずと知れた Wikipedia について、その創始者は自由なソフトウェアと自由なファイル形式の重要性を力説している。それぞれのやり方で「自由な知識」には貢献できるのである。

さて、その真打 Wikipedia については、それが直面している問題について何度か取り上げてきたが、野尻ボードにおけるスイングバイ議論の火付け役となった狩野宏樹さんが、「Wikipedia について」という文章に経緯をまとめており、Wikipedia の問題点への考察には非常に鋭いものがあるので、興味のある方はご一読をお勧めします。

[] WikiのRSSフィードはどうあるべきか  WikiのRSSフィードはどうあるべきかを含むブックマーク

続けて、これまで取り上げ忘れていた Wiki 絡みの話を二つ。

正直 Wiki による RSS の出力は、更新チェックができればよく、大枠で(てけとーに)blog などと連携が取れればそれでいいんじゃないかと考えていたのだが、実地的な問題点も見えてきた。

WalWiki の作者である塚本さんによる翻訳を含む考察を読み、自分の考えが全然甘いことを認識させてもらった。

[][] WikiproxyがTechnorati主催の開発者コンテストで入賞  WikiproxyがTechnorati主催の開発者コンテストで入賞を含むブックマーク

WikiproxyBBC News Online に Wikipedia へのリンクを追加するページフィルタであり、正確には Wiki そのものの技術の話とはいえないかもしれないが、それはともかく日本進出が伝えられ、最近のタグ流行に素早く対応している Technorati の Developer's Contest で入賞したとなればアルファ・ギーク層への認知も高まるだろう。

おっ、入賞者には、ワタシが訳した「ウェブサービス、RSS、そして Sun のブロッガー」の著者 Timothy Appnel もいますな。

しかし、今じゃ Sun も blogs.sun.com をやっているわけで、この業界は本当に展開が速い!

[] ブラッド・シンプル/ザ・スリラー  ブラッド・シンプル/ザ・スリラーを含むブックマーク

DVDジャケット

コーエン兄弟のファンを自称しながら、彼らのデビュー作である本作を観てなかった。で、ようやく観たわけだが、これは傑作である! とにかく面白い。彼らの後の作品につながるテーマ性や映像世界がばっちり詰まっていて、これはお勧めである。

正確には本作はデビュー作の再編集版なのだが、タイトになるよう編集されたことが伝わり、ポイントとなるシーンの衝撃度(まだこなれてないゆえの唐突さも含め)もオリジナルより強まっているのではないか。今回「ザ・スリラー」と付加されているが、正にその名に恥じないゾクゾク感を観る側に与える。

上に書いたように、本作を観ると後の『赤ちゃん泥棒』『ミラーズ・クロッシング』へのつながりがよく分かりニヤリとしてしまうが、最も作品として相関性が強いのはやはり『ファーゴ』だろう。

以前中原昌也が「SPA!」のコラムかで、コーエン兄弟についてその説教臭さが嫌になるといったことを書いていて(うろ覚え)、彼らの作品についてそのように思ったことのなかった、むしろ逆に思想性の欠落を感じていた当方は意外に思った覚えがある。唯一それがあてはまる映画となると『ファーゴ』だろうか。実際、この映画はファンの間でも賛否両論が多く、そのあたりも関係しているのかもしれない。

ワタシは『ファーゴ』を当代きっての名女優であるフランシス・マクドーマンドのための映画、もう少しちゃんと書けば、それこそ『ブラッド・シンプル』の頃から一貫して描かれる行き違いの末に殺し合いをしてしまう人間の悲喜劇をよそに、まっとうに夫を愛し、まっとうに仕事をし、自分の与えられた環境の中でまっとうに生きる聡明な女性を描く映画だと割り切っているので、『ファーゴ』は好きだ。うーん……こうやって書くと思い切り詰まんない映画みたいだが(笑)、なんだかんだいって、あの映画におけるウィリアム・H・メイシーの徹底的な情けなさが他人に思えないだけかもしれない(おい!)。

話を『ブラッド・シンプル』に戻すと、本作制作後結婚するジョエル・コーエンもまだ手探り状態でフランシス・マクドーマンドを使っていることが想像できる。つまり『ファーゴ』のように整理されておらず、それが彼女を他の登場人物同様疑惑の中に置く形になり、ストーリーの緊張感を高めている。コーエン兄弟の映画は中盤ちょっとだれることが多いのだけど、本作はそれもない。正に100%スリラー。久方ぶりに痺れる映画だった。

あと DVD の作りに文句をつけさせてもらうと、特典におけるストーリー解説の文字が小さすぎて読めんっちゅうねん! それに拳銃の弾についての解説に間違いあるし。

babiebabie 2005/01/27 14:16 「Harukiからの平面波」へのリンクが「ちはるの多次元尺度構成法(日記)はてな版」のものになっていますね。
正しくは、http://d.hatena.ne.jp/harux/20050124#p1 かな。

yomoyomoyomoyomo 2005/01/27 15:34 ご指摘ありがとうございます。早速修正させていただきました

2005-01-24

[][] YAMDAS更新、もしくはより良いCMSの作り方指南  YAMDAS更新、もしくはより良いCMSの作り方指南を含むブックマーク

Technical Knockoutより良いCMSを作るを追加。Jeffrey Veen の文章の日本語訳です。

内容には異論もあると思うが、ちょうど同時期に書かれた Where's the Movable Type of the Wiki World?(これも訳したかったが…)とあわせ興味を持ったというのがある。ちょうどタイミング良く、この原文が掲載された adaptive path が主催する CMS がテーマのセミナーで Jeffrey Veen が喋るようだ。

著者の Jeffrey Veen の文章をはじめて読んだのはHotwired の Webmonkey だったと思う。『戦うWebデザイン―制約は創造性をはぐくむ』など翻訳もされている著作もある。

そしてその adaptive path は、ウェブデザインを中心的に扱うコンサルティンググループという説明でいいのかな? 創設者に『The Elements of User Experience』の著者である Jesse James Garrett もいる。

そしてこの人は、『ウェブログ・ハンドブック』の著者 Rebecca Blood のダンナさんにして、『ウェブログ・ハンドブック』の最後でのろけてた相手だったりする。

[] レベッカ・ブラッド再びBlogtalkに登場  レベッカ・ブラッド再びBlogtalkに登場を含むブックマーク

さて、その Rebecca Blood が、昨年のウィーンに引き続いて今回はシドニーで開かれる Blogtalk にスピーカーとして参加する模様。レベッカさん、髪型もアナーキックなままですな。

こないだも書いたが、Blogtalk にしろ Blogging, Journalism & Credibility にしろ、海外のブロガーの方々はこうした公的なカンファレンスを積極的に開き、外部への認知を高めているという印象がある。

ヨーロッパより近いとはいえ、さすがに日本からシドニーのカンファレンスに参加する人はいないのだろうな。

[] バージョン管理システムを巡るBram CohenとSubversion開発者の丁々発止のやり取り  バージョン管理システムを巡るBram CohenとSubversion開発者の丁々発止のやり取りを含むブックマーク

先週「メンテナンス可能なコードの書き方」を訳した際にあわせて紹介した Great Programmers には、Subversion の実装を腐すところがあるが、コメント欄に Subversion の開発者である Greg Hudson が登場して Bram Cohen とバージョン管理システム(VCS)の設計と実装について丁々発止のやり取りを繰り広げている部分を森田さんが訳して紹介されている。コメント欄まではちゃんと読んでいなかったのでありがたい。

Bram Cohen も Codeville という VCS の開発者であるというのは、恥ずかしながら知りませんでした。

待望の新刊『ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち』 待望の新刊『ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち』を含むブックマーク

さて、その森田さんが担当された『ハッカーと画家』が今月末遂に刊行される。言うまでもないが、著者 Paul Graham、監訳川合史朗の鉄壁タッグによる本で、かなりの割合の文章は川合さんの Practical Scheme 経由で読めるが、書籍化にあわせて丁寧な作業を経ているようだし、当然ワタシは購入させてもらいます! サポートページも紹介しておこう。

本書がオライリージャパンからでなくオーム社から出るのにあれっと思ったが、オーム社はオライリージャパンの主要取引先だし、そんなに不思議でもないのかもしれない。

でも……どうして Amazon は発売前なのに在庫切れステータスなんだろう。

[] 短い行数で書くWikiコンテスト  短い行数で書くWikiコンテストを含むブックマーク

というわけで、Perlの4行222文字が最小なようだ。

Wikiばなでライトニングトークみたいなのができれば、こういうネタが受けるかもしれません。

[][] MOK Radioと伝説の映画『ウォータームーン』  MOK Radioと伝説の映画『ウォータームーン』を含むブックマーク

金曜深夜 MOK Radio を聞いていたら、実験さんが昔デートに映画『ウォータームーン』を観に行ったという話をしていて、勝手に受けてしまった。

というのも、小娘の2ちゃん日記の【映画一般板】映画バカなエピソード【なにもそこまでしなくても】でこの映画制作の裏側について読んだばかりだったからだ。

ただデートにコンドームをつけていったという話は、正直ベースに言うとネタであると実験さんはおっしゃってましたので誤解なきよう。

あと前半部の津田さんが吐き捨てるように愚痴るのを聞いて、スケールが遥かにしょぼいとはいえ、当方も似たような文脈で大層嫌な目に合ったことのある身として(勝手に)親近感を持ち、またこの人が好きになった。

モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズの最新インタビュー&新刊 モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズの最新インタビュー&新刊を含むブックマーク

AztecCabalモンティ・パイソンのテリー・ジョーンズの Salon.com インタビューと新刊が紹介されている。おおっ!

パイソンを知らないと、Salon の記事の挿絵にたじろぐだろうが、これはテリーJの持ちネタ「裸のオルガン弾き」の現在版である。

ワタシもテリー・ジョーンズがイギリスの高級紙に寄稿していたことなど知らなかったのだが、『Terry Jones's War On The War On Terror』は早速ポチっとさせてもらった。読む暇はないかもしれないが。

Gomadintime さんは、「ジョーンズが本気で怒っているのが透けてみえてしまい、そこが諷刺としては疵となってるきらいはある」と書かれているが、それはテリーJのウェールズ人としてのラテン気質、激情家肌に由来するのだろう。彼はチョーサーや十字軍の研究でも名高いインテリなのだが、『空飛ぶモンティ・パイソン』製作時などジョン・クリーズと口論になってタイプライターを投げつけたという逸話のある人なので。

いずれにしてもパイソンズが健在であるのが分かって嬉しかった。さて、次はテリーGの新作映画かな。

[] デストラップ/死の罠  デストラップ/死の罠を含むブックマーク

DVDジャケット

今度のアカデミー賞でアカデミー名誉賞を受賞するシドニー・ルメットが、名実ともに巨匠だった最後の頃の佳作である(つまり80年代中盤以降、彼は名ばかりの巨匠に堕したということなのだが……)。

元々舞台劇を映画化したもので、プロットのまとまりの良さ、どんでん返しの面白さは言うまでもなく、カメラワークも見事だし、役者陣もダイアン・キャノンの金切り声は癪に障るが、落ち目の劇作家を楽々と演じるマイケル・ケインも、後半サイコさん的本性を露にするクリストファー・リーヴも気持ちの良い演技をしている。

クリストファー・リーヴは昨年惜しくも亡くなったが、スーパーマンシリーズだけでなく、本作などの演技などもっと評価されてよいと思う(←紋切り型な言い回し)。

2005-01-20

「メンテナンス可能なコードの書き方」反応集  「メンテナンス可能なコードの書き方」反応集を含むブックマーク

「プログラミングはソングライティングに似ている」を訳したときも思ったのだが、プログラミングに関する文章はご同業の方々の食いつきがよいようで、Bram Cohen の How to write maintanable code 日本語訳についても、通常より多くリンクいただいた。ありがたいことである。

単なるクリッピングでなく何かしら感想・意見が書かれているものを以下に列挙しておく(抜けがあるかもしれませんがご容赦を)。

こういうとき blogmap が便利なのは言うまでもありません。

金髪ゴリラ棋士(失礼!)、羽生二冠に挑む  金髪ゴリラ棋士(失礼!)、羽生二冠に挑むを含むブックマーク

勝手に将棋トピックスによると、今度の日曜日のNHK杯将棋トーナメントは、羽生善治二冠と橋本崇載四段の対局とのこと。

橋本崇載四段については当方がとやかく説明するより、「将棋界に新たなスター誕生」を見ていただくのが一番だろう。ワタシもこのときの対局を寝ぼけ眼で見て、一瞬自分の目がおかしくなったかと思ったものだ。

ここで彼が対局開始時に(「よろしくお願いします」でなく)羽生に向かって「大暴れするぞ、かかってこんかい!」と親指を下に向けながら啖呵を切ったら、彼は間違いなく将棋史に残る伝説となるのだが(笑)、まあそれはないでしょう。

大分変わっているとは思うが、基本的に将棋界は非常に陰湿なムラ社会なので、彼のような異質な人物に対する風当たりは強いのかもしれない。それに負けずに大暴れして、将棋ファン以外をも大いに楽しませてほしいものである。

彼を応援する FLASH も作られたとなれば、準備万端だ(何の?)。

[] 買収されたと疑われないためのブロガー倫理  買収されたと疑われないためのブロガー倫理を含むブックマーク

「新聞コラムニスト買収に続き、ブロガーお前もか」ということで、ハワード・ディーン陣営が大統領選挙の予備選でブロガーに報酬を渡していたことが報じられている

レベッカ・ブラッドは『ウェブログ・ハンドブック』の中で「ブロガーの倫理」と題して守るべき6つの規範を示しているが、その中に「利害の衝突があれば開示する」というのがあり、今回の件もそのあたりをちゃんと開示しておけば問題なかったのではないか。

向こうのコラムニストの文章などに、「当方は○○の株式は所有しない」とか文章で取り上げた企業などについての言及が文末にあったりして、以前はこういうのを読むと、何をすかしたこと書きやがって、お前の話など知らんわい、と勝手に反発したりもしたものだが、「ブロガーの倫理」を訳し、そういうことだったのかと合点がいった。以来、ブロガーでない当方もそれを守るようにしている。具体的には、雑誌や書籍などを献本してもらった場合、それについて何か書くときにはその旨を明記して(心置きなく好き勝手書いて)いる。

実際ブロガーでも有名どころでいえば BoingBoing の Cory DoctorowTechnorati のタグ導入を報じるエントリの最後に、自身が Technorati のアドバイザーを務めているという情報をちゃんと開示している。

さて、件の報道の元となった Zephyr Teachout とともにハワード・ディーンのブロガーを利用した選挙戦略を担った Joe Trippi は、そのときの模様を記した『The Revolution Will Not Be Televised: Democracy, The Internet, And The Overthrow Of Everything』という本を書いており、なかなか面白い本に仕上がっているらしい。

追記:Joe Trippi のブログを利用した選挙戦略については、レッシグブログの「Joe Trippiインタビュー」が分かりやすい。Zephyr Teachout の名前も出てくる。

[] 「ブロガー vs. ジャーナリスト」はもう終わり、なのか?  「ブロガー vs. ジャーナリスト」はもう終わり、なのか?を含むブックマーク

件の買収報道には、やはりブロガーとジャーナリストの緊張関係が背景にあるとワタシは思う。

そうした中、Jay Rosen が Bloggers vs. Journalists is Over という長文のエントリを書いている。結論はタイトルに言い表されているわけだが、そこにいたる過程についてはやはりエントリを読んでもらうほかない。

面白いのはこのエントリが Blogging, Journalism & Credibility というカンファレンスのために書かれたもので(Rebecca MacKinnon が主催者側にいる)、向こうのブロガーの方々はこういった外に向けたプレゼンテーションをよくやるなという印象がある。

件のエントリは Dan Gillmor の Ending One Fruitless Debate で知ったのだが、草の根ジャーナリズム、市民ジャーナリズムを唱道する彼にしてもこの手の対立を煽る話はうんざりらしい。

ブロガーはジャーナリストなのかと聞かれると、私はあきれて言う。「そういう人もいるでしょうし、そうでない人もいます」

結局はそれだけのことなのだが、話を日本に移して「ブログから生まれるジャーナリズムは」のような夜郎自大なジャーナリスト側の文章を読むと……

[] 名探偵登場  名探偵登場を含むブックマーク

DVDジャケット

大昔にテレビで一度だけ見たことがあったが、レンタル屋で DVD をみかけて懐かしくなり借りてみた。

既にオチは知っているわけだが、本作は推理劇というより何よりそのパロディなのでさして支障はない。もっとも「コメディの傑作!」と力むような映画ではなく、リラックスして緩く笑いながら観るのが合っている。各探偵役の元ネタを知っているとより楽しめるのだろうが、彼らの会話の妙を楽しめるよう吹き替え音声が用意されていてもよかったのではと思う。

出演者はかなり豪華で、ピーター・フォーク、アレック・ギネス、マギー・スミス、デヴィッド・ニーヴン、そして我らがピーター・セラーズというキラ星のような面々がバカ映画に分類されかねない本作で一堂に介しているのは、脚本がニール・サイモンだったからだろう。小説で言えば残り5ページになって突然真犯人が明かされる探偵劇のパロディである、何の脈路も伏線もなく次々と真犯人を言い当てる探偵達とそれをなじる犯人の場面の後、最後の最後に納得のいくもう一捻りを加えているのは彼なりの矜持のあらわれか。

まあ、当方にとっては、動くトルーマン・カポーティを見れる! というのが一番嬉しいわけだが。作家としては当時既に下り坂にあった彼だが、本作では見事な怪演を果たしており、『夜の樹』の諸作をはじめとする彼の短編小説を愛する人間にはありがたい映画に違いない。

[] 映画トリビア 〜 アカデミー賞とラジー賞の同時ノミネート  映画トリビア 〜 アカデミー賞とラジー賞の同時ノミネートを含むブックマーク

さて、アカデミー賞の発表が近づいてきたが、アカデミー賞とその対極にあると言われるゴールデン・ラズベリー賞ラジー賞)の両方に同一の映画からノミネートされた例はあるのか。ワタシが知るのは、先の『名探偵登場』にも出演しているジェームズ・ココが、『泣かないで』でアカデミー賞助演男優賞とラジー賞ワースト助演男優賞の両方にノミネートされた例だけである。残念ながらというべきか、どちらも受賞はできなかったが、両方受賞していたらどうなっていただろう。

監督賞や作品賞では実は結構あるのかもしれないが、演技についての賞となると多分これだけではないだろうか。他の同時ノミネート例についてご存知の方は教えてくだされ。

2005-01-17

[][] YAMDAS更新、もしくはBitTorrent作者によるプログラミング指南  YAMDAS更新、もしくはBitTorrent作者によるプログラミング指南を含むブックマーク

Technical Knockoutメンテナンス可能なコードの書き方を追加。Bram Cohen の文章の日本語訳です。この手の文章を訳すのが久しぶりなので誤訳があるかもしれません。例によって原文をコメントで残してますので、気がついた方は当方までお知らせください。

これを P2P カテゴリに入れるのはおかしいのだが、WIRED の最新号に Bram Cohen インタビューが掲載されたのを見て、この今をときめく BitTorrnet の作者の文章を何か訳したいなと思った次第である。

書かれたのが2001年という古い文章で、文章中の URL が切れていたりするが、Wikipedia にある彼のページによると、同年には彼は BitTorrent の開発に着手しており、言語の好みも変わっていない。内容的に今でも通用する文章だと思う。

最近彼が書いたものでは、Great Programmers あたりが彼のそっち方面の考えを知るのに適切でしょうかね。

[] WikiばなVol.4 Wiki博覧会  WikiばなVol.4 Wiki博覧会を含むブックマーク

Wiki ばなの運営を見ていて思うのは、shinoさんを中心としてできるだけフェアに透明性を持つよう取り組んでいることである。これはなかなかできないことで、当方は正に端から見ているだけなのを申し訳なく思うほどである。

今回は一般参加者の枠も多いので、これまで Wiki に興味はあったが敷居の高さを感じて参加しなかった方には良い機会ではないだろうか。

[] 開発者たるものBlogを書くべし  開発者たるものBlogを書くべしを含むブックマーク

さらりと Joel on Software の文章が紹介されているが、個人的には2000年10月に書かれた文章の中に weblog という単語が登場しているのに興味を持った。思えば Blogger が一気に広まったのは1999年だから不思議ではないのだけど。

さて、ウェブログのススメという意味では似た文章を読んだことがあります(笑)。以下、『ウェブログ・ハンドブック』の第二章より。

 真摯に取り組むなら、毎日下手に書くのは難しい、というのがおそらく最も正確なところだろう。ポテトチップスを食べたり、テレビのチャンネルを変えるようにウェブログのエントリを投稿することも可能である。そうした行き当たりばったりのちっぽけなテキストが、人の心をつかんで離さないということは決してないけれど。でも、あなたが何か語るべきことを持っているなら、自分が意図することを正確に語れるようになるまでウェブログを書くのに毎日時間を割けば、あなたはきっとより良い書き手になる。

[] ブログ至上主義?  ブログ至上主義?を含むブックマーク

以前「ブロガー部隊?」を訳した Rebecca MacKinnon が "Blog triumphalism"? というエントリを書いている。この triumphalism という単語だが、普通に辞書をひくと「勝利主義」という訳語が出てくる。しかし、これでは分かったようでよく分からない。

リーダーズには「特定宗教の教義が他のいずれのものにもまさるとする」とあるので、上のエントリの文脈にあてはめていえば「ブログ至上主義」、もしくは「ブロガーの勝ち誇り」といった感じが適切だろうか?

triumphalism という単語の意味が伝わる文章はないかとぐぐったところ、「おごる米国への国際支持は薄かった湾岸戦争のときと際立った違い」という文章がひっかかった。

週刊朝日の「船橋洋一の世界ブリーフィング」という連載の一遍らしいが、これが1998年に書かれたことを鑑み、またその後の米国、英国、フランス、ロシア、そしてイラクの展開をあてはめると内容がとても興味深かったりする。

話を元に戻すと、この "blog triumphalism" という言い回し自体結構多く使われているものみたい。ダン・ラザーを追い落としたからっていい気になるなよ、といったところだろうか(違います)。

[] 定年制に関する覚え書き  定年制に関する覚え書きを含むブックマーク

「現在は60歳未満で定年とすることは法律で禁じられている」というのを知ったのも比較的最近のことだったりする。あと、

少し前に20代の会社員にとったアンケートで、定年まで今の会社にいると思うか、という質問にNOという回答が過半数を超えた。

というのは、質問自体もう成立していないのではないだろうか。自分自身がどうこうの前に、「定年を迎えるまで今勤務している会社が存続していると思う」と自信をもって言える20〜30代がどれだけいるのだろう。

なぜキルロイはそこにいたのか なぜキルロイはそこにいたのかを含むブックマーク

shikencho.comKilroy Was Here - War Posters が紹介されていたが、「検索の鉄人」である関さんでも "Kilroy Was Here" をご存知なかったんですな。

もっともワタシもキルロイのことを知ったのは、青山南さんの「ロスト・オン・ザ・ネット」の「キルロイ、参上」を読んでからなのだが。ネットってありがたいよな。

メトロセクシャル』のマイケル・フロッカーの新刊『快楽主義ハンドブック』  『メトロセクシャル』のマイケル・フロッカーの新刊『快楽主義ハンドブック』を含むブックマーク

『メトロセクシャル』という言葉を広くアメリカに知らしめたマイケル・フロッカー(Michael Flocker)の新刊『The Hedonism Handbook: Mastering the Lost Arts of Leisure and Pleasure』が出ていた。

快楽主義のススメとは、またしても目の付け所がいいですな。邦訳は今年の夏までには出るだろうが、前回同様話題になるかな。

さて、メトロセクシャルという言葉自体はマイケル・フロッカーが考えたものではなく、1994年にイギリスの作家マーク・シンプソンが作中で使った言葉のようだが、現在使われる場合の定義は iSexyHealth.com のページを参照くだされ。まあ、ワタシは範疇外です(笑)

調べてみたらメトロセクシャル推進委員会なんてブログもあってビックリ。

[] チャンス  チャンスを含むブックマーク

DVDジャケット

ピーター・セラーズのほぼ遺作といってよい映画であり、本作によりセラーズは『博士の異常な愛情』以来15年ぶりにアカデミー主演男優賞にノミネートされる。しかし、前回同様オスカーは獲得できなかった。

本作の主人公はやはり innocent と形容されるのだろうか。もっとも純真というよりも、テレビへの執着に見られる正に子どもっぽい一心さが勝っており、最初この映画を観たときはそれにいささか不気味さも覚えたほどである。

とにかく本作はテレビと車の映画である。この二つなしには成立しない。それはアメリカという国の暗喩であり、メディア批判も含まれ……などと賢しらに語ることもできるのだろうが、そうしたのは当方の得意とするところではない。面白いと思ったのは、主人公がご主人の家(それなりに裕福だったろう)を出るとそこは黒人が多く住むごみごみしたところだったり、ハンバーガー屋のネオンのすぐそばから大富豪の邸宅に入っていくなどアンバランスさを感じるところである。それも含めてアメリカ的なのか?

ただ極めてアメリカ的な映画なはずなのに、どこからしくない落ち着きも感じる。まあ、主演のセラーズにしてもイギリス人だし、映画の主な舞台が大富豪の邸宅内というのもあるのだろうが、ジョニー・マンデルの音楽もその印象を強めている。またその落ち着きは、ストーリーにも感じる。随所に笑いどころのあるコメディではあるが、題材的にもっとドタバタな笑いも引き出せるはずなのに、ある種の静謐さを保っている(唯一毒を感じたのは、黒人メイドがテレビに向かって「白人なら誰でもいいのさ」と毒づくところぐらいか)。そしてその静謐さが本作を他のセラーズの映画と一線を画している点だろう。

当方はこの手の映画に主人公の転落/決定的な破綻を期待してしまうというのがあり、本作にしても邸宅付きの医師が主人公の素性を突き止めるところや、主人公が男色を持ちかけられる場面などその契機はいくつもあったと思うが、ストーリーも飽くまで抑制されておりそうした破綻は訪れない。結局主人公は原題の通り「そこにいた」だけであり、周りが勝手に解釈して右往左往したり、意識を変えたりしたわけだが、決して後味は悪くない。特にシャーリー・マクレーンのコメディエンヌぶりはチャーミングである。

ラストにおいて主人公が大統領候補に祭り上げられることが暗示される一方で、主人公はそうした現実から一足飛びに遊離してしまう。こういうのをズルいとする向きもあるだろうが、上記のような破綻がないとしたら、ファンタジー以外に終わりようがないのだと思う。

ただエンディングロールでのNG集はないよな。ジャッキー・チェンの映画じゃないんだから。

[] ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方  ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方を含むブックマーク

さて、そのピーター・セラーズの伝記映画が日本でも公開される。以前調べたときは『ピーター・セラーズの異常な愛情』というタイトルだったはずだが、上のような邦題になっている。あとねぇ、公式サイト、作りダメすぎ。

今セラーズに対する(異常ではない)愛情が高まっている時期であり、またジェフリー・ラッシュの演技が素晴らしいようなのでこれは観に行くことになるだろう。

2005-01-14

[][] YAMDAS更新  YAMDAS更新を含むブックマーク

インターネットドラフト UDP Encapsulation of IPsec Packets が RFC3948 になったので日本語訳も追従。細かい修正点をなるだけ見落とさないよう努めたつもりだが、訳におかしなところを見つけたらお知らせください。

これまでずっと翻訳してきたインターネットドラフトがようやく RFC になったわけだが、この RFC の位置づけについて知りたい方は、無印吉澤の「IPsecのNAT越えに関するRFC」が分かりやすいです。

[] ゲイツ会長「著作権改革論者は共産主義者」発言でひと騒動  ゲイツ会長「著作権改革論者は共産主義者」発言でひと騒動を含むブックマーク

先日触れた CNET によるビル・ゲイツインタビューの波紋の話だが、おいおい、CNET Japan がもったいぶるものだから、件のインタビューの(問題の発言が含まれない)前半部しか公開してないのに Wired News の翻訳が出ちゃったじゃない。

さて、調子の出ないゲイツ君とは対照的に絶好調なのはスティーブ・ジョブス君だが、確かに Mac mini のニュースにはかなり白熱してしまった。冷静に考えると安くもないのだけど、スペック的にも価格的にもすげー商品に思えてしまえたところが今のアップルの勢いなのか。

さて、「Mac mini で始める自宅サーバ」みたいな記事が再来月あたり雑誌に載るのでしょうか。

[] 拡大するフリー百科事典『ウィキペディア』の課題  拡大するフリー百科事典『ウィキペディア』の課題を含むブックマーク

これも先日触れた Wikipedia についての Wired News の翻訳が出ている。こうやってそれぞれの論点がまとまった記事を前にすると特に付け加えることはありません。

[] Wikiの父Ward Cunningham、Wikipediaについて語る  Wikiの父Ward Cunningham、Wikipediaについて語るを含むブックマーク

さて、Wiki の祖であるウォード・カニンガムは Wikipedia についてどのように思っているのだろうか。

c2.com Wiki の WikiPedia ページに面白いやり取りがある。上の記事にも登場する Wikipedia の創始者 Jimmy Wales が問いかける。

この評価の高いコミュニティに私が問いたいのはこのことだ。Wiki は使いものになる百科事典を成功裡に生みだせるとあなた方は考えるだろうか?

それに対してウォード・カニンガム応えて曰く、

うん、でもとどのつまりそれは百科事典にはならんよ。それはWikiだろうね。

うむむむ……

考えてみれば、もっとまともに Wikipedia について語った「ウォード・カニンガム、ウィキとウィキペディアを語る」というページがあった。

[][] 巨大Wikiコミュニティ集積地、WikiCities  巨大Wikiコミュニティ集積地、WikiCitiesを含むブックマーク

これはまだ取り上げてなかったか。Wikia がホストしているということは Jimmy Wales 絡みのプロジェクトと考えてよいだろう。昨年12月に始まったばかりだが、久しぶりに見に行ったらコミュニティ数がかなり増えていた。イメージ的には GeoCities の Wiki 版というか、早い話巨大 WikiFarm を目指しているものみたい。

Wikipedia と同様に、Wikicities 上のコンテンツは GNU Free Documentation License(GFDL)などの自由なライセンスが適用されるというのもポイントか。

Angela Beesleybloglines 上に Wikicities についてのブログを開設しているので、そちらで主要なトピックは追える。

[][] Lenny Kravitz "Mama Said"  Lenny Kravitz "Mama Said"を含むブックマーク

CDジャケット

忘れた頃にAmazon980円劇場。

今更ワタシが書くまでもなく、レニー・クラヴィッツは非常に優れたソングライター、ヴォーカリスト、プレイヤーである。彼の作る楽曲は、ワタシの好みのツボを突くコンセプトで作られたものが多い。またクオリティ管理に長けた人でもあるから、アルバムトータルとしても破綻することなくバランスをとってくるし、第一彼は質の低いアルバムをリリースしたことは一度もない。そしてそうした彼を、ワタシはこれまでずっと、どうも今ひとつ好きになれずにいる。

ほとんどいいがかりのような感想だが、彼のそうした達者さが鼻につくのだ。彼のロックンロールにしろソウルにしろファンクにしろ、ここまで有能だと結局有効性が過去に立証された方法論の有効性を再度示しているだけじゃないか……などと理屈っぽく考えることはさすがにないのだが、何か一言文句を言いたくなるところがある。

そうしたワタシもヘンな抵抗なく聴けるアルバムとなると、このセカンドアルバムになる。好きな曲を挙げていくと……ほぼ全曲挙がってしまう。他の作品と比べても、名曲揃いといってよい。つまりは文句なしの名盤です。

2005-01-11

[] 当サイトの翻訳文書におけるクリエイティブ・コモンズライセンスの一部修正  当サイトの翻訳文書におけるクリエイティブ・コモンズライセンスの一部修正を含むブックマーク

年始に風邪をひいてから酒を断っていたのだが、友人達に囃されてウィスキーを飲んだら、翌日どうも体調が悪く、今日も本サイトの更新はなし。

せっかくなので以前から懸案だった、当サイトの翻訳文書におけるクリエイティブ・コモンズライセンスを一部修正した。まだ不完全なところが残っているかもしれないが指摘していただければおいおい変更していきます。というか、閲覧者には基本的に何の影響もない話ですんません。

この件については、FlowerLounge さん、ced さん、そして何より平山雅浩さんから多大なご教示をいただきました。この場を借りて深く感謝します。

良い機会なので、クリエイティブ・コモンズライセンス指定された文書を翻訳した場合の当サイトの方針について書いておく。翻訳文書のライセンスは、できるだけ新しいバージョンの可能であれば日本版のライセンス、そして原文のライセンスに近いものにすることにしている。

当然ながら派生作品を許さないライセンスならはじめから翻訳の対象にならないし、同一条件許諾がついていれば自動的に翻訳文書のライセンスも決まる。しかし、原文が2.0ライセンスであれば、日本版へのインポートが可能なのでそうしている。「できるだけ新しいバージョンの可能であれば日本版のライセンス」というのは、そうした方がトラブルの可能性を少なくできると考えるからである。

問題は(同一条件許諾がない場合)の商用条件の扱いだが、これは原文の条件に倣うことにしている。これはあまり意味がないのだろうが、原文が商用を許可していないのに当方がそれを許可するのがいささか気が咎めるのだ。もちろん原文が商用許可の場合、翻訳でそれを禁じる理由はない。

[][] 音楽ファイルへのクリエイティブ・コモンズの適用と検証その他  音楽ファイルへのクリエイティブ・コモンズの適用と検証その他を含むブックマーク

さてその ced さんが立て続けに音楽ファイルへのCCの適用・公開・検証に関する文章を翻訳している。

先日は活動領域を特許や科学分野にまで拡大することを発表したクリエイティブ・コモンズだが、一方で最新の CNET インタビュービル・ゲイツがフリーカルチャーを唱える勢力を「コミュニスト」呼ばわりしており、レッシグ教授も「なんとまあ期待はずれの男か」と嘆いているが、当のインタビューやそれに対する反応も今週ニュースサイトにおいおい上がっていくのだろう。

[] Wikipediaの試練その後  Wikipediaの試練その後を含むブックマーク

「試練を迎えるWikipedia」を書いたところ、呼応する「Wikipediaとアンチエリート主義」という文章を Moleskin さんが書かれており、何かしらトスを上げることができたようで嬉しく思った。

結局元の Larry Sanger の批判は、Wikipedia には専門分野のエキスパートを軽視する風潮があり、そうした人たちからの訂正を検閲だなんだと騒いで吊るし上げる連中のコミュニティが形成されているということのようだ。

その Wikipedia を擁護する Clay Shirky のエントリについては、Danah Boyd による反応、そしてそれに対する Shirky のエントリと議論が続いている。

そうしていると、WIRED NEWS に Wikipedia Faces Growing Pains という文章が公開されており、上に名前が挙がる人たちの議論がまとめられている感じで、これの翻訳が公開されるのを待ってもよさそうだ。

[] 露出狂注意の標識  露出狂注意の標識を含むブックマーク

これホントに存在するものなんだろうか。もしかすると全然違う意味なのかも。

露出狂関係では、サイコドクターぶらり旅で知ったミラクルゴールが素晴らしい。何度見ても笑える。

追記:このゴールの真相については、サイコドクターぶらり旅に解説がありました。有名な動画だったんですね

[] BitTorrent Newsその他  BitTorrent Newsその他を含むブックマーク

ドメインを見ても BitTorrent に関する情報の集積地を目指しているんだと思うが、例えば最近のビッグニュースである WIRED の最新号で BitTorrent の作者である Bram Cohen へのインタビューがフィーチャーされた話などは取り上げられていない。まあ、これは海外ネタだからかな。

BitTorrent に関するニュースというと、「BitTorrentコミュニティから新たなPtoPソフトが登場」に対する Discreet Blog のツッコミが参考になる。

原文中のリンクを全部取っ払っちゃう CNET Japan の方針については以前取り上げたことがあるが、一向に変わらないねぇ。

[] ミーガン法のまとめ  ミーガン法のまとめを含むブックマーク

奈良小1女児殺害事件を契機として日本でもその必要性が論議されているミーガン法について、以前より自身のブログで取り上げてこられた macska さんがその歴史的背景から運用プログラムの実際にいたるまでしっかり書かれたまとめページを作られている。

一通り見たが、メディアで使われている性犯罪者の再犯率は嘘といった話とあわせ、冷静な議論の前提になる資料だと思う。

[] 多民族国家日本 戦後日本の…族たち  多民族国家日本 戦後日本の…族たちを含むブックマーク

さてその奈良小1女児殺害事件を巡る報道の中で、大谷昭宏が提唱したフィギュア萌え族という珍妙な言葉に触発されて鈴木芳樹さんが書かれていたが、しかしそれやそれに対する反応を見ても、金川欣二教官がまとめられた族ガイドが取り上げられていないのが不満だった。が、考えてみたら、金川さんのサイトは閉鎖されていたんだ。

というわけで、Internet Archive に残っているものをリンク。

[] ミスティック・リバー  ミスティック・リバーを含むブックマーク

DVDジャケット

間違いなくクリント・イーストウッドの晩年の傑作に挙げられる作品であり、クラシックとして残る風格を備えた映画である。しかし、後味の悪い映画である。

本作は俳優陣の演技が素晴らしい。本作の演技によりショーン・ペンティム・ロビンスがオスカーを獲ったが、それぞれの妻役であるローラ・リニーとマーシャ・ゲイ・ハーデンの存在があってこそだったのは間違いない。特にマーシャ・ゲイ・ハーデンの怯えた目とその生活感を漂わせる貧相さ、特に暗い室内におけるティム・ロビンスとの絡みは絶品である。ローラ・リニーも最後の最後になって、実に恐ろしい言葉とともに存在感を示す。

本作については、その思想性、政治的意図が論議されたようだ。当方はまだ観ていないがいずれ観るつもりでいる映画については、あまり映画評、感想の類は読まないようにしており、本作についても同様だったのだが、実際に観て、なるほど、これはそうした意見が出るのも仕方ないなと思った。つまりは力を持つ者が自分の信じる正義を暴力として行使し、結果的にそれが誤った力の行使であってもその罪は見逃される、これは現在のアメリカを肯定する思想そのものではないか、というものだろう(未だに映画評はほとんど読んでないので違うかもしれませんが)。

そうした声については当の出演者も承知していたようで、ケヴィン・ベーコンとロビンスによる音声解説では、シェークスピアを引き合いに出したり、決して主人公が許されたとは思わない、結局暴力は暴力を連鎖し破滅に向かうだろうといった意見を述べて本作の結末を擁護している。

しかし、殺人者にとっての赦しを描いた『デッドマン・ウォーキング』において、それぞれ監督と主演を務めたロビンスとペンが、本作のような形で対峙するのはどうなんだろうと思ったのも事実である。当方の考えはまだまとまっていないが、一つだけ言えるのは、当方はどうしても弱き者、裏切られる者に感情移入してしまうということ。本作でいえば、一人だけ正直だったために拭いがたい傷を背負うことになり、以後嘘を重ねるようになり、最終的にやはり嘘をついて殺される人間に対してである。

本当は『フューネラル〜流血の街〜』におけるマフィアのファミリーに対する忠誠と神に対する忠誠の破綻と本作を比較した文章を書きかけていたのだが、上に書いたように当方の考えはどうにもまとまらないのでうまく書けない。無理はしないでおく。

しかし、答えは意外なところにあるのかもしれない。音声解説において、本作を自分の子どもに見せたかという話題が出るのだが、ロビンスはそれはできないと言う。特に自分がこんな目に遭う映画では、と。しかし、ペンは自分の子どもに見せたよと言ったらしい。ロビンスは言う。「そりゃ君が殺す側だからだよ」

殺される側になるくらいなら殺す側に回るべきというのは、これはもうどうにも変えようのない真理なのだろうか。

2005-01-07

[] 「諸君」における佐々木俊尚氏によるWinny裁判レポート記事  「諸君」における佐々木俊尚氏によるWinny裁判レポート記事を含むブックマーク

正月帰省した際に、居間にあった「諸君」2005年2月号を読ませてもらった。「諸君」のような雑誌はこういう機会でないと読むことがないわけでそうした意味でありがたい。以前にも書いたが、宮崎哲弥の「今月の新書 完全読破」は別の媒体でやるべき連載じゃないかねぇとまたしても思ったわけだが、稲葉振一郎氏も執筆するようで侮れないところもある……あれ? 2月号にはお名前がなかったような。

2005年2月号で特に目をひいたのは、佐々木俊尚氏による Winny 裁判レポート「Winny裁判被告 東大院助手は“IT思想犯”になれるか」だった。iNTERNET magazine 2004年8月号の特集をはじめ、佐々木氏は既にこの件に関する文章をいくつか書いているが、「諸君」のは12ページに及ぶ分量で、また読んでいてちょっと気になったところがいくつかあったので、そうしたところを引用しながら記事内容を紹介しておきたい。

記事は「天才技術者の挑戦状」という章から始まる。2004年9月1日に京都地裁において始まった「世紀の裁判」第一回公判の模様、並びに被告の経歴の説明。

 ところが私の期待とは裏腹に、金子被告はみずから確信しているはずの思想についてはいっさい口にしなかった。それどころか、

「ウィニーの開発は、新型のソフトを作り出すことができるかという技術的な実験として行ったもので、著作権侵害行為の手助けをするという意図はありませんでした」

 と自身の思想と哲学を否定するような発言を延々と続けたのである。しかも用意した意見書を、ただ早口で読み上げるという方法で――。(p.161)

次の「ウィニーとは何か」は、P2P技術についての解説、そしてナップスターからウィニーまでの簡単な歴史解説。そして「魔神は解き放たれた」において、金子氏の2ちゃんねるでの発言を引用しながら著作権の概念が時代遅れになっている(と考えている人たちがいる)ことを解説してローレンス・レッシグに言及している。

 さらにインターネット時代に入り、音楽や映画のファイルが自由に流通できるようになった。これまで著作権を頑迷に守ってきたシステムが、少しずつ崩れつつある。こうした状況の中で、著作権をめぐる考え方はいったん白紙に戻し、新たな枠組みを考えなければならないのではないだろうか?

 レッシグ教授を中心とする反著作権勢力の主張は、おおむね以上のようなものだ。しかし、このような考え方が音楽・映画業界に受け入れられるはずもなく、ここ数年その対立はますます先鋭化している。(p.164)

「新たな枠組み」はいいとして、「著作権をめぐる考え方はいったん白紙に戻し」なんてレッシグは言っているか? ましてや「反著作権勢力」とは一体何なんだ。佐々木氏は本当にレッシグの著作を読んだのか?

 そんな中で、著作権破壊の狼煙を上げたのが金子被告だった。

 彼は確信犯としてレッシグ思想の実現を目指し、著作権概念の崩壊をはかったのである。その試みはテロリズムに近いものではあったものの、著作権問題に懸念を抱く人たちにとってある種のヒロイックな行為と映ったのは否めない。(p.165)

「レッシグ思想」はそんなものではないと思います。

「"革命"のための危険な思想」では検察官の冒頭陳述からみた金子被告像、そして以前「オヤジ系 vs 技術者系の溝は埋まるか」で披瀝していた技術者気質を金子被告にあてはめている。

「初のウィニー利用者摘発」では京都府警ハイテク犯罪対策室の捜査、続く「最強ウィルスの誕生」、「ソフト開発者逮捕の"異例"」では、それでもなお逮捕するつもりがなかったはずの京都府警が態度を硬化させた原因とされるキンタマウィルスについて、不倫チャットの内容を暴露されたテレビ制作会社の編集マン(38歳)の事例や、当の京都府警の捜査資料流失をまじえ解説。一方で、逮捕の原因は、挑発的な金子氏の態度にあったという説も紹介されている。

そして最後の「なぜ「哲学」を語らないのか」はタイトル通りの佐々木氏の不満を述べたものである。インターネットマガジンの特集を読んだときも「多分そう思ってんだろうなぁ」と思わせながらもはっきり書かなかったことをぶちまけている様相だ。

 当初はあれほど盛り上がった支援活動も、沈静化している。「著作権に対する挑戦に賛同して支援金を贈ったのに、これではカネを返してほしい気分だ」と不快感を示す支援者さえいるほどだ。法廷では京都府警捜査員に対する間延びした証人尋問が延々と続けられ、裁判は何とも形容のしようのない肩透かしのまま続いている。(p.171)

公判の模様はワタシはまったく知らないのだけど、本当に上に書く通りなのだろうか。記事は以下のようにしめられる。

 彼が超一流のコンピュータ技術者であるのは、間違いないだろう。しかしそうであるならば、彼はみずから作り上げた最高傑作について、その思想と哲学を社会に伝えるべきではないか。「著作権侵害の手助けの意図はない」という彼の主張こそ、みずからの思想と哲学を闇に葬る行為でしかない。

 もし金子被告が本当にわが国の誇るべき頭脳であるのであるならば*1、有罪という汚名を恐れることなく、果敢に古い枠組みに対する論戦を挑んでほしい――そう私は願うのである。(p.171)

個人的には噴飯ものの主張であると思う。当方の考えは、昨年5月の頃と変わっていない。

ワタシ自身は Winny を使ったことがない。だからこのソフトウェアにも、その作者にも思い入れはない。正直47氏を必要以上に持ち上げる言説には違和感を感じるところが多々ある。

しかし、逮捕されてしまったわけである。ワタシ自身が当事者面するわけにはいかないが、ソフトウェア技術者としてもう関係ないでは済まされない。裁判となれば、これは何がなんでも勝たなければならない。判例は積み重なる。

ワタシは、有罪になっては元も子もない、という考えに与する。だから無罪を勝ち取る可能性を最大化しようとする現在の弁護団の戦略は別に不思議とも何とも思わない。話せば分かる式の「オヤジ系」の価値観をそのまま持ち込んで裁判を語らないでいただきたいものだ。

[] リンクシスWRT54G向けディストリビューション作成プロジェクトOpenWRT  リンクシスWRT54G向けディストリビューション作成プロジェクトOpenWRTを含むブックマーク

Linksys が無線ブロードバンドルータ WRT54G などの製品の OS に Linux を使っているのはよく知られた話で、Linksys も自身のサイトに GPL Code Center を設けてソースを公開してきた。ただ以前、公開するソースコードが正しくない/足らないのではないか、GPL 違反ではないのかというのを『Wireless Hacks』『LinuxサーバHacks』などの著者でもある Rob Flickenger が何度か文章に書いていたな……と調べてみると、2003年の夏のことだった。そんな前になるのか。

その後の経過についてはワタシは情報を追ってないので分からないのだが、WRT54G 向けにディストリビューションを作ろう、という OpenWRT なるプロジェクトが立ち上がっているところを見ると、Linksys も一通りのソースを公開したんでしょうか。

プロジェクトの Wiki を覗いてみると、6to4トンネルの作り方のページもあって驚いた。家庭内ブロードバンドルータにおける Linksys の米国でのステータスが非常に高かったとはいえ(現在も Cisco の一部門として健在ですが)、こういうのを作り上げてしまう Linux ハッカーに敬服。

[] 自分戦略研究とジーン・シモンズの関係  自分戦略研究とジーン・シモンズの関係を含むブックマーク

@ITの自分戦略研究所に「自分戦略のプラン作成の参考にしてほしい6冊」が公開されている。

スローライフやニートの本(ちょっと謎…)に混じって、ジーン・シモンズの自伝が取り上げられているのに笑った。いや、書いた人は真剣に選んだのだろうが、真面目に読んでいるところにいきなり例のこうもりメーク+舌出し顔が目に飛び込むんだもの。仕事場でふきだしてしまったじゃないか。

さて、KISSがオリジナルメンバー、しかもかつてのメーク全開で見事な復活を遂げてから結構経つ。ひょっとして若い子の中には、彼らがメイクを落として活動していた時期があることを知らない人もいたりするんだろうか。

ワタシがまともに洋楽を聞くようになった時分がそのノーメーク時代だったわけだが、彼らがメークを落とした理由が気になった。その方面の師匠筋だった兄に尋ねたところ、彼はこともなげに「肌荒れに決まってるだろ」と言い放った。それをそのまま素直に信じてしまったのは懐かしい思い出である。彼がギャグでそれを言っていたことを知るのはその数年後のことだった……

参考(ウソ):suchi today 2004/05/04

*1:原文ママ

FlowerLoungeFlowerLounge 2005/01/07 12:28 わはははは。レッシグたんは反著作権勢力だったのか!

佐々木氏の論には一部賛同するけど、自分の描くヒロイズムを47氏に投影しすぎだと思います。

yomoyomoyomoyomo 2005/01/07 22:44 佐々木氏はWinny裁判にしろACCS裁判にしろちゃんと取材して記事を書かれていて、非常に貴重な方なんですが、「有罪という汚名を恐れることなく」とか簡単に書くなよな、と。
大体裁判は思想や哲学をぶつける場じゃないんだから。

2005-01-05

新年あけましておめでとうございます 新年あけましておめでとうございますを含むブックマーク

挨拶が大変遅れましたが、本年もよろしくお願いします。

元旦の夜に風邪で寝込んでしまい、何年かぶりの寝正月になってしまった。おかげで元日夜に予定していたベンジャミンとの新春対談もキャンセル。楽しみにされていた方には申し訳ない。

風邪をひいたらとにかく睡眠をとるに限るのだが、体調を反映した気持ちの悪い夢にうなされなかなかぐっすりとはいかず(あれが初夢とは…)、二日になっても一向に快復しないどころか熱が39度に達したため急患センターに出向く羽目に陥り、そこで朦朧となりながら島田紳助の復帰生放送なんぞを見たりもした。紳助も苦しかったが、ワタシも相当に苦しかった。

二時間待ちで五分診療だったが、処方された抗生物質が見事に効いて大分楽になったのはありがたかった。けれどもまったく散々な正月だった。何といっても最悪だったのは、寝込んでいたため自室に戻る日を勘違いしてスウィングガールズのコンサートのテレビ放送を録画し忘れたことである。おとなしく DVD を購入するしかなくなりました。

というわけで、体調がまだ本調子には程遠いので本格的な更新はもう少し先になります。ご了承ください。

今年はネットに関係ないところを充実させていければと思います。

[] ダン・ギルモア続報  ダン・ギルモア続報を含むブックマーク

ワタシが『We The Media』の Introduction 翻訳を公開した日に奇しくも San Jose Mercury News を退社することを発表した Dan Gillmor だが、その総括となるコラム「A Final Newspaper Column, and My Thanks」を残し、新年から Dan Gillmor on Grassroots Journalism にブログを移転した。タイトルを見る限り、やはり彼は本気で市民ジャーナリズム、草の根ジャーナリズムに関わるつもりのようである。

[] ABCワールドニュース、People of the Year に「ブロガー」を選出  ABCワールドニュース、People of the Year に「ブロガー」を選出を含むブックマーク

Time誌は Person of the Year にジョージ・ブッシュ米大統領を選出したが、そこでも「ブロガー」が選ばれるのでは、という噂が確かあったと思う。それを踏まえたのか ABC World News が、People of the Year として Bloggers を選出している。ニュースの内容は、リンク先を見ていただければお分かりの通り、ブログの説明、ブログを楽しむお子様の例、大統領選挙にまで影響を及ぼしたブロガー、そして先日のインド洋津波の際にもレポートの役割を果たした……と結構時間を取っており、早い話 BoingBoing のエントリ経由で動画(Windows Media)を見ていただければ分かります。

個人的にツボだったのは二つ。一つは、BoingBoing を見てもお分かりの通り最後のほうで登場する Time 誌にダン・ギルモアの『We The Media』がコラージュされていること(ううっ)。あと一点は、件のエントリの作者である Xeni Jardin がニュースに登場してコメントしていること。この Xeni さん、ワタシが訳した「ストロベリー・ぶっかけ・フォーエバー」を BoingBoing にポストしたり、Wired にも「アニメからアダルトまで、日本の大衆文化を世界に発信する『Jリスト』」という記事なんぞ書いていて、ワタシは密かに「BoingBoingの腐女子」と呼んでいたのだが、動画を見るとばしっとしたファッション・髪型をきめ、ばしっとしたコメントを出していて、当方の甘さを思い知った。

思わず、ごめん、とパソコンの画面に向かって謝ってしまった。

[] 試練を迎えるWikipedia  試練を迎えるWikipediaを含むブックマーク

Wikipedia が(最初の?)試練のときを迎えているようだ。利用者が爆発的に増える一方で、昨年後半あたりから Wikipedia に対して批判的な記事がいくつか書かれているが、その Wikipedia の共同創始者にして現在はプロジェクトを離れている Larry SangerWhy Wikipedia Must Jettison Its Anti-Elitism(Wikipedia がアンチエリート主義を捨てなくてならない理由)という文章を人気ブログである kuro5hin に投稿している。彼が挙げている大きな問題は以下の二つ。

  • 一般に信頼性を認知されていないこと(Wikipediaの内容に信頼性がないという意味ではない)
  • 扱いにくい連中や荒らしやもろもろのしがらみが大きくなってしまっている

ごめん。身体がきつく、実はまだ全部ちゃんと読んでいないので、間違ったことを書いているかもしれません。詳細は記事を読んでくだされ。Larry Sanger の考えについては、Technology Review に掲載されたインタビューも参考になると思います。

Larry Sanger の記事については、論客 Clay Shirky が、Wikipedia のアンチエリート性は特長であり誤りではないという趣旨の反論エントリを書いている。

そうそう、以上とは関係ない(のだろう)が、Jimmy Wales のブログが消えてしまっているのを yet another 自分用メモで知った。彼のブログから「自由な知識には自由なソフトウェアと自由なファイル形式が必要」を訳しておいてのは正解だったが、原文がなくなるというのも困ったものだ。archive.org を検索しても残ってなかったし。

追記:逆リンク! ということで、Jimmy Wales のブログは元に戻ったようです。ありがたや

USBメモリー付きネーム印 「ED-NAME32」 USBメモリー付きネーム印 「ED-NAME32」を含むブックマーク

デジタルガジェット好きの人たちはとっくに話題にしているのだろうが、IO Data が「未来系ギフト登場!ノベルティ専用のUSBメモリー+ネーム印」といううたい文句で USB ハンコを売り出していたのを知り、笑ってしまった。電子印鑑としても使えるって……

ワタシがこれを知ったのは例によって BoingBoing だが、その元ネタとなった AkibaLive.com なんかを見て、ガイジンさん達はジャパニーズのデジタルガジェットの情報を得ているのだろうか。

[] 2004年度第2回未踏ソフトウェア創造事業 公募結果  2004年度第2回未踏ソフトウェア創造事業 公募結果を含むブックマーク

ワタシの知った方では、江渡浩一郎さんが「メール・Web・会議を垂直統合するグループウェア」、美崎薫さんが「SmartWrite & SmartCalender」で選ばれている。江渡さんのテーマにはやはり qwikWeb も入るのだろうか。

大きな成果につながることを期待しております!

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