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単著もないのに〜2008年夏〜 この一年で単著を出した文化系はてなダイアラーをまとめてみる



本エントリは鈴木芳樹さんに捧げるものである。

はてなのユーザ層に関して、ギーク層が目立ちがちだがライターなど文化系の書き手が多いというのを以前から思っていて、その証拠というわけではないが、およそこの一年で単著を出した文化系はてなダイアラーをまとめてみようと思う。

文化系の定義についてはwikipedia:文化系をどうぞ。上に書いた趣旨のため技術系の専門書は外させてもらう。また、もともとライターなり評論家なりで一家を成している方、つまり既に単著を何冊も出している人も勝手ながら除かせてもらう。もしこの条件で以下紹介されていない人がいたら、それは単にワタシが知らなかったためで他意はないことを予め書いておく。

さて、文化系はてなダイアラーといえば、まず何より文化系女子叢書と銘打たれた吉田アミさん(id:amiyoshida)の初の単著『サマースプリング』を紹介しなくてはならない。

サマースプリング [文化系女子叢書1]

サマースプリング [文化系女子叢書1]

そしてその吉田さんと同じくエクス・ポで連載をもっている栗原裕一郎さん(id:ykurihara)。こないだ渾身の読書記録を書かせてもらったが、『<盗作>の文学史』はすごい本だよ!

〈盗作〉の文学史

〈盗作〉の文学史

そして奇しくもその栗原さんを介して林心平さん(id:kipuma)を知ったが、氏も『札幌はなぜ、日本人が住みたい街NO.1なのか』の続編を出されている。

今回この企画を思いついたのは、件の読書記録で書いた集まりに参加された方が、(ワタシを除き)はてなユーザにして単著の著者、あるいはその担当者だったからで、例えばソフトバンク・クリエイティブの上林さんは、近藤正高さん(id:d-sakamata)の初の単著『私鉄探検』の担当をされている。

私鉄探検 (ソフトバンク新書)

私鉄探検 (ソフトバンク新書)

そして、同じく集まりに参加くださった円堂都司昭さん(id:ending)は、『YMOコンプレックス』に続く二冊目の単著『「謎」の解像度』を出されている。

「謎」の解像度

「謎」の解像度

円堂さん、というかワタシ的には遠藤さんなのだが、15年以上前から原稿を読んできた方に会えたというのはワタシにとってとんでもない体験で、『YMOコンプレックス』にサインをいただいて悶絶してしまった。確認したところ、今手元にある一番古い文章は rockin' on 1991年2月号に掲載されたプリンス原稿「人工子宮のハイブリッド・チャイルド」だが、それより前のケイト・ブッシュの原稿を読んでいると記憶する。

それはさておき、円堂さんと同じく二冊目の単著を出された方というと、『モテと純愛は両立するか?』に続く『アーティスト症候群』を刊行された大野左紀子さん(id:ohnosakiko)、『カソウケン(家庭科学総合研究所)へようこそ』に続く『恋する天才科学者』を刊行された内田麻理香さん(id:kasoken)がいる。

アーティスト症候群―アートと職人、クリエイターと芸能人

アーティスト症候群―アートと職人、クリエイターと芸能人

恋する天才科学者

恋する天才科学者

この一年で複数の単著を出されたはてなダイアラーもいる。まずは件の集まりにも参加された速水健朗さん(id:gotanda6)。速水さんは少し前に「もう専業ライターという職業は成り立たなくなる」と書かれているが、実はワタシはライターとして食っていく最も有力な、みもふたもない解決策を知っているのでいつか書くかもしれない(偉そう)。もっともそれに気付いたのは、実は速水さんにお会いしたからなのだが。

自分探しが止まらない (SB新書)

自分探しが止まらない (SB新書)

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

『自分探しが止まらない』も面白かったが、今読んでいる『ケータイ小説的。』は、今のところそれよりも「引き」が強い。早く読了したいところ。

二冊単著を出されたはてなダイアラーというと、伊藤剛さん(id:goito-mineral)がいる。伊藤さんというと『テヅカ・イズ・デッド』の印象が強いが、この一年で『マンガは変わる』と『マンガを読む。』という二冊の単著をものにしている。

マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ

マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ

マンガを読む。

マンガを読む。

しかし上には上がいる。この一年で三冊の単著を出された方がいる。荻上チキさん(id:seijotcp)である。すごい!

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

12歳からのインターネット

12歳からのインターネット

ネットいじめ (PHP新書)

ネットいじめ (PHP新書)

以上のように複数冊出されている方もいるが、最も売れた単著というと、多分海部美知さん(id:michikaifu)の『パラダイス鎖国』なんだろうな。

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

さて、これで終わり……じゃないんだな。これから単著を出す(はずの)人がいる。

そう、松谷創一郎さん(id:TRiCKFiSH)、3月の Life 花見のときに伺った『ギャルと不思議ちゃん(仮)』頼みますよ!

そして濱野智史さん(id:shamano)がいる。モバイル社会研究所未来心理 vol.012に寄稿している「Googleを攻略せよ ―情報環境≒ゲームを通じた「学び」の可能性」によると WIRED VISION に連載中の濱野智史の「情報環境研究ノート」を『アーキテクチャの生態系(仮題)』として書籍化するそうだ。

WIRED VISION ブログの書籍化というと小島寛之さんに続くことになるが、濱野さんが単著を出すことで、WIRED BLOGS 執筆陣の中で(最近加わった人や編集部関係を除けば)単著がないのはワタシだけになってしまう。そしてワタシが単著を出すことは、端的に言えば、ない。

ワタシはこれから田舎で人知れず朽ち果てていくだけであるが、ワタシを憎む人はせめてそれを心の慰めにしていただきたい。


[2008年07月12日追記]はてなブックマークでの指摘により、以下の方々がリストから抜けていることをご教示いただきました。加野瀬未友さん(id:kanose)、速水さん、そして有村悠さん(id:y_arim)に感謝します。なお上にも書いている通り、本エントリでは既に単著を何冊も出している人は予め対象から外させてもらっていますので御了承ください。

有村悠さん(id:y_arim)から、複数のライトノベル作家の方が別名義ではてなダイアリーをやられていることを教えていただきました。本エントリを書いた原動力の一つに、「はてなの人たちは自分のとこのユーザにこれだけ優れた書き手がいることに自覚あんのか、コラ!」という半ば逆恨みに近い感情があったのですが、自分が見ている領域もまだまだ狭いことを痛感します。

同じく当方が詳しくない漫画・イラスト系のはてなダイアラーについては、萌え理論Blogのまとめが詳しいですのでそちらを参照ください。

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