YAMDAS現更新履歴

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2009-04-29

[] スラムドッグ$ミリオネア  スラムドッグ$ミリオネアを含むブックマーク

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]

正直ダニー・ボイルはもう終わったんじゃないかと思っていた。

鮮烈な『トレインスポッティング』で一躍時の人になったものの、『ザ・ビーチ』が決定的にダメだったためにハリウッド進出に失敗し、その後は迷走といったイメージがあった(ゾンビ映画の『28日後...』は面白いらしいが未見)。その彼がインドで映画を撮ると聞いたとき、正直「都落ち」という言葉が浮かんだくらいである。

この印象は、ワタシがインド映画に興味がなかったせいもある。『ムトゥ 踊るマハラジャ』以降日本でもインド映画が話題になっが、ワタシはそれを完全にスルーしてしまったので。

それがどうだ。この怒涛のエンターテイメント大会は。

少年時代の主人公たちが縦横無尽に走りまくり、カメラがダン、ダン、ダンとボンベイ(後のムンバイ)の街を映し出す冒頭からゾクゾクくる。

物語自体は割とシンプルな純愛ものだが、『クイズ$ミリオネア』というテレビ番組の組み込み方が巧みで、分かっちゃいても盛り上がる。

本作を「インドをリアルに切り取った映画」みたいに評するのは間違っている。『トレインスポッティング』が一種のファンタジーであったように(ボビー・ギレスピー曰く「ヘロインの禁断症状はあんな甘いものじゃない」)、主人公の過去とクイズとの符合はむしろほら話的で、それがむしろ映画的高揚につながっている。

そして何より猥雑なムンバイの街。主人公の兄は街を見下ろしながら「今ではここが世界の中心だ」と言うが、ダニー・ボイルは貧困と急成長がないまぜのムンバイの街を題材として、いかにも彼らしい想像力の羽の伸ばし方でこの疾走感溢れる映画をものにした。

[] グラン・トリノ  グラン・トリノを含むブックマーク

グラン・トリノ [DVD]

グラン・トリノ [DVD]

これぞ映画である。

中盤以降、ワタシはもうどうにもこうにも泣き通しだったので、これが良い映画なのかそうでないのか冷静に判断できない。しかし、これこそが映画である。

奥行きの乏しい映像を見れば、前作『チェンジリング』より低予算なのが分かるが、その分クリント・イーストウッドの一挙一動に集中できる。そしてワタシは彼から目を離すことができなかった。

本作でイーストウッドは、かつて朝鮮戦争に従軍もした主人公コワルスキーを演じている。人種偏見を隠そうともせず、息子たち家族にも疎まれる毒舌の老人は、ある意味我々観客がイーストウッドに対して抱く旧弊なアメリカ人のイメージを突き詰めたものとも言える。

白人が去りスラム化した街に居残る主人公が磨きあげる72年製(ワタシが生まれるより前だ)のグラン・トリノが何を象徴しているかは言うまでもない。主人公の隣に越してくるのがモン族の家族であるのを含め、本作はいろんな意味で今のアメリカを語っている映画である。

司教に対しても毒舌を吐き懺悔を拒む主人公が語る、戦場で自分がしたことをどうして本当に恐ろしいと思うかの話が象徴的だし、心を通わすことができた隣人の家族が襲撃を受け、「俺がしたことが悪かったのか」と愕然とする主人公にアメリカと暴力の関係を見てしまう。

本作でイーストウッドは、そうした図式をちゃんと引き受けた上で、一人前の男として生きること、そして特に人間として落とし前をつけることについて答えを出している。

本作のラストで主人公がとった落とし前のつけ方は、かつてのアクションスターの頃には考えられないものだが、個人的にはこれを観て『ミスティック・リバー』に感じた後味の悪さを払拭できたように思う。

思えば二日続けて『スラムドッグ$ミリオネア』と『グラン・トリノ』を観たことになるが、もしかしたら今年のベスト1、2を体験した濃密な二日間だったのかもしれない。

[][] au oneラボの「にたうた検索」でJamendoのフリーミュージックが採用されている  au oneラボの「にたうた検索」でJamendoのフリーミュージックが採用されているを含むブックマーク

au one ラボ(KDDI ラボ)の類似する音楽を検索する実験サービス「にたうた検索」Jamendo の楽曲が採用されているとのこと。

screenshot

CC コンテンツの利用の観点で面白い試みだと思う。百度の MP3 検索のようなものでなく、リスナーにとってのより良い音楽の出会いと表現者の利益につながる音楽に関する検索サービスが実現するとよいな。

2009-04-27

「ちんさや」の「ハケンCD」が届いた 「ちんさや」の「ハケンCD」が届いたを含むブックマーク

今年の3月で惜しまれつつ終わった「ちんさや 〜 電脳系FMラジオ」だが、スタッフが作成、梱包、発送まで行なった番組終了記念「ハケンCD」が届いた。

「ちんさや」には、ワタシが林さやかさんのファンであるというだけで出演というムチャをさせてもらったのは一生の思い出である。実は今年に入ってちんさん、浅原プロデューサーと飲む機会があり、いろいろと面白い話を教えていただいたのだが、おっさん三人して「林さんには活躍してほしいよねぇ〜」と遠い目をしたものである。

スタッフの皆様、ありがとうございました。

[] 塚本牧生さんの「企業内ウィキにシグネチャを」  塚本牧生さんの「企業内ウィキにシグネチャを」を含むブックマーク

Walrus, Voxing. で塚本牧生さんが IBM developerWorks に Wiki 原稿を書いているのを知る。すごいじゃない!

企業における Wiki 参加者が増えない理由を「ウィキは参加を誘う動機付けが弱い」と考え、「ウィキにはコンテンツ所有者がいないこと」にその原因を仮定した文章である。

企業内に Wiki を立ち上げれば Wikipedia みたいに盛り上がると考えるのは浅はかとして、それならどのように参加者に動機付けを行なうか。

ワークプレイス型ウィキではシグネチャで参加者を集めろとのことだが、silube というサービスは知らなかった。これは面白そうだ。

本のlast.fmを目指すBookArmy 本のlast.fmを目指すBookArmyを含むブックマーク

Boing Boing で、本の last.fm を目指す BookArmy というロンドンを拠点とするスタートアップを知る。

screenshot

ただワタシ自身は last.fm のユーザではないのでピンと来ないのだが、「すべての書籍とすべての著者をリンクする」ことを目指しているそうな。もちろんそれだけではなく、そのデータから同じ本を読む人が読む本をお勧めするわけだが、一風変わったリンクというか意外なレコメンドを実現することをもくろんでいるようだ。

ただ現時点では Amazon の個別ページに情報量的に負けているので改善の余地はいろいろありそう。

ウェブサービスと書籍というと最近では Google ブック検索の話題ばかりだが、この分野にも活きのいいスタートアップが出てこないと詰まんないよね。

[] ロックスターのドラッグにまつわる逸話集『Everybody Must Get Stoned: Rock Stars on Drugs』  ロックスターのドラッグにまつわる逸話集『Everybody Must Get Stoned: Rock Stars on Drugs』を含むブックマーク

例によって Boing Boing でロックスターのドラッグにまつわる逸話を集めた本を知る。

Everybody Must Get Stoned: Rock Stars on Drugs

Everybody Must Get Stoned: Rock Stars on Drugs

この本の著者の R. U. Sirius って聞き覚えがある名前だなと思ったら、『Make: Technology on Your Time』Vol.6 で彼の記事を訳してるね。

10 Zen Monkeys で本から抜粋された8つのエピソードが読めるが、好むと好まざるとロックとドラッグは切り離せない関係にある。かつてデヴィッド・ボウイは、「ドラッグをやったおかげで確実に得られたものがある」と堂々と語っていたが、もちろんその一方でこれにより無駄に失われた才能が数多くあるのも確か。

[] ミルク  ミルクを含むブックマーク

ミルク [DVD]

ミルク [DVD]

本作はアメリカではじめて同性愛者であることを公言して公職(サンフランシスコの市政委員)についたハーヴェイ・ミルクの伝記映画である。

おそらくはガス・ヴァン・サントにとって映画化を熱望してきた題材だろうし、同時に絶対に失敗することのできない題材でもあったと思う。

本作はすごくオーソドックスな作りになっている。ハーヴェイ・ミルクはオペラのファンであり本作でもオペラが多用されているのが象徴的で、もちろん70年代のポップミュージックも使われてはいるが、本作は非ポップな作りの映画とも言える。

サンフランシスコというと、ヴィレッジ・ピープルの "Go West" を引き合いに出すまでもなくゲイに寛容な地域というイメージがあったのだが、70年代のサンフランシスコでもこれほどゲイが迫害されてたとは不明にも知らなかった。

ショーン・ペンは、ただ理想にまい進するだけでなくプラクティカルな面ももつ魅力的なゲイの活動家を見事に演じていて、さすがだと思った。

政治活動に入れ込むあまりミルクの元から恋人たちが去っていくことも本作には描かれるが、その一人であるスコットと早朝電話で話す場面は何とも儚い。

その日ミルクがダン・ホワイトの銃弾に倒れるとき、観客は本作がミルクの30代最後の日にはじまり、10年足らずの物語であることに気付きはっとする。30代最後の日に「人生を変えたい」と願い、たった10年足らずで彼をそれを成し遂げた。

本作のラストは必然的に悲劇で終わるが、本作全体から受ける印象は暗くない。それは本作にはマイノリティであるために被る非合理な扱いや恐怖も描かれるが、それ以上に主人公がマイノリティにとっての希望を体現しているからだろう。

ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]

ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]

boostedboosted 2009/05/05 23:43 ちょうど昨夜レイトショーで見てきたところです。
僕はヘテロですが、ベッドシーンを見て「これはエロいな……」と思いました。それだけ魅力的なベッドシーンでした。
あと、たった30年前、僕が既に物心がつきまくっていたころに、まだ同性愛に対するこれほどの迫害があったのかという事実にビビりました。アメリカ合衆国が宗教国家であるということを折り込んで考えれば不思議なことではないのですが……。

保守派のレーガンが提案6号についてミルクの側に着いたのはなぜなんでしょうね。単に政治的な理由なのかな。

yomoyomoyomoyomo 2009/05/06 00:07 そうそう、レーガンも提案6号には反対してたのは「そうなんだ」と思いましたね。
ワタシはそのあたりについて詳しくないので見当違いかもしれませんが、彼が前カリフォルニア州知事だったのが影響してたのかなと思いました(ゲイピープルの多くが彼を支持したかは疑問ですが)。
レーガンがミルクの側についたというのではないと思いますが、彼は確かに保守政治家ですが同時に自由主義者でもあり、規制を増やすことをよしとしなかったのかもしれません。

boostedboosted 2009/05/06 01:35 ミルクももともと共和党支持者ということでした。
冷泉彰彦さんの著書などを読んでいると、アメリカでは時代によって政治的スタンスと支持政党のねじれが度々発生するようです。
ちょこちょこと調べてみると、レーガンも「ガチガチの頑迷固陋な保守オヤジ」というわけではなかったようですね(頑迷固陋ではゴルバチョフと渡り合うことなんて出来るわけがない)。面白いです。

yomoyomoyomoyomo 2009/05/06 01:57 >ミルクももともと共和党支持者ということでした。
なるほど。確か映画にもそれについての言及があったような。
当時はまだ共和党におけるキリスト教原理主義の影響力がそれほど強くなかったのかもしれませんね。

boostedboosted 2009/05/07 01:39 またちょこちょこと調べてみましたが、キリスト教原理主義は南部に根を張り、南部では民主党支持者が多かったとのこと。その状況が変わり始め、ファンダメンタリストたちが共和党を指示し始めたのは70年代後半に入ってからのことらしいです。

2009-04-23

最近いただいた本の紹介 最近いただいた本の紹介を含むブックマーク

定期的にこうしたエントリを書いている気がするが、新たに献本いただいた本が読書記録が書けないまま溜まっているのでまとめて紹介させてもらう。

Arduinoをはじめよう (Make:PROJECTS)

Arduinoをはじめよう (Make:PROJECTS)

これは『Make: Technology on Your Time』関連で、オライリーのページによると「この商品は好評につき現在入荷待ちです」とのことで何より。来月の Make: Tokyo Meeting 03 も成功するといいですな。

前作『理系のためのプレゼンのアイディア』に引き続き、著者より献本いただいた。今回もプレゼンテーションの技術を指南する本である。

More Joel on Software

More Joel on Software

一年近く前に原書を紹介した『Joel on Software』の続編の邦訳を編集者より献本いただいた。翻訳は当然青木靖さんなので間違いないだろう。

Software Design (ソフトウェア デザイン) 2009年 05月号 [雑誌]

Software Design (ソフトウェア デザイン) 2009年 05月号 [雑誌]

そしていつもありがたい Software Design だが、5月号は Ubuntu をはじめる人向け特集で、これが個人的にはタイミング的にありがたかった。そういえば Ubuntu といえば、『Ubunchu!』が話題になってますな。

[] はてな流コラボレーションの方法論が確立されたのか?  はてな流コラボレーションの方法論が確立されたのか?を含むブックマーク

京都新聞写真コンテスト「京滋の130景」だが、このコラボレーション企画はいいね!

任天堂、京都新聞という京都を本拠とする企業が相手というだけでなく、はてな流コラボレーションの方法論みたいなものが確立されつつあるのだろうか。お互いにとってメリットのあるサービスを提案できるようになったのか、逆にコラボレーションを持ちかけられるだけの存在にはてながなったのかどちらかは知らないが、これぞ Web 2.0 for the Rest of Us だと思う。

これがはてなユーザ増につながれば素晴らしい。ただそれにはこのコラボ企画で得た新規ユーザからのフィードバックを得てフォトライフなりダイアリーをさらに改良していく必要があるのだろうが、もちろんそれは望むところだろう。うごメモバージョン2とあわせ、有益なはてな流コラボレーションを押し進めていただきたいところ。

何よりワタシも来月あたり京都に遊びに行く機会があるだろうから、写真を撮ってコンテストに応募できればいいな。

ウィキノミクス』のドン・タプスコットの新刊『デジタルネイティブが世界を変える』 『ウィキノミクス』のドン・タプスコットの新刊『デジタルネイティブが世界を変える』を含むブックマーク

「子供たちに「Wikiリテラシー」を習得させることは可能か」でも原書を取り上げているドン・タプスコットの『ウィキノミクス』に続く新刊が、栗原潔さんの翻訳で来月出る。

デジタルネイティブが世界を変える

デジタルネイティブが世界を変える

邦題に「デジタルネイティブ」とあるが、同名の NHK の番組名から取られたものだろう。しかし、それは John Palfrey らの『Born Digital: Understanding the First Generation of Digital Natives』が元ネタなので混乱の元かと思うが、そちらの邦訳が出ていない以上これはやったもの勝ちで、『クラウド化する世界』に続く邦題の勝利だと思う。

一月ほど前に翔泳社の編集者からちらと伺っていたのだが、もう刊行されるとは。訳者も書かれるように編集者の尽力あってのことだろう。

この方は拙訳『デジタル音楽の行方』を担当してくださった恩人であり、気安さからお会いするとついつい罵ってしまうのだが、その見識の高さと仕事の速さは尊敬している。

たまにどうしたらこんなに誤植が多い本が出せるのだろうと不思議になるが、それはすべて山形浩生が悪いのだと思う。

[] ブレット・イーストン・エリス『レス・ザン・ゼロ』の続編が出るのか……  ブレット・イーストン・エリス『レス・ザン・ゼロ』の続編が出るのか……を含むブックマーク

個人的には『レス・ザン・ゼロ』映画版は、なんか平板な青春恋愛ものになっていて、原作のはなから感覚が麻痺したまま進むようなニュアンスが失われていて全然好きじゃないのだが、確かにロバート・ダウニー・Jr.ははまり役ではあったね。

危うく禁書に近い扱いを受けそうになった『アメリカン・サイコ』が映画化されて復権したのもあって、ブレット・イーストン・エリスは自身の作品の映画化を好意的に見ているのかも(何の確証もなし)。

しかし、『レス・ザン・ゼロ』の続編か。Imperial Bedrooms というタイトルは『レス・ザン・ゼロ』同様エルヴィス・コステロ由来だね。

彼らが中年になった設定とのことだが、でも映画版ではダウニー・Jr.役のジュリアンは死ぬんだけどな(笑)

aoshimakaoshimak 2009/04/23 15:34 京都新聞はこういう新技術に積極的な印象があります。Acrobat3日本語版が出たころに、毎日京都新聞PDF版をWebで配布してましたし。

yomoyomoyomoyomo 2009/04/23 21:03 情報ありがとうございます。京都新聞のほうにも進取の文化というか、ウェブに積極的なキーマンがいるんでしょうね

s-yamanes-yamane 2009/04/24 10:36 "Grown Up Digital"には Digital Native/Digital Immigrant という用語を流行らせたMarc Prenskyも出てくるので、Prenskyの線でこの題名になったのかもしれない
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2009/01/grown-up-digita.html
http://www.marcprensky.com/blog/archives/000045.html
http://anotherway.jp/seriousgamesjapan/archives/001178.html
...とおもったけど、ゲーム活用の本ではないみたいなので(^^)やはりNHK番組の影響か。

yomoyomoyomoyomo 2009/04/25 00:57 恥ずかしながらMarc Prenskyの仕事は知りませんでした。なるほど、彼が流行らせたのですか。確かにどこかで"Digital Immigrant"の言い回しを読んだような覚えがあるような
http://en.wikipedia.org/wiki/Digital_native

2009-04-20

[] YAMDAS更新  YAMDAS更新を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録深町秋生『果てしなき渇き』を追加。

果てしなき渇き (宝島社文庫)

果てしなき渇き (宝島社文庫)

深町秋生さんというと、「小説家(ライター)になろう講座」だよりに登場されているが、確かワタシより少しお若いのにヤング梶原一騎な風格を備えていて慄いてしまう。氏の背後に竹刀が転がっているに違いない。

円堂都司昭さんと栗原裕一郎さんが日本推理作家協会賞受賞 円堂都司昭さんと栗原裕一郎さんが日本推理作家協会賞受賞を含むブックマーク

これは素晴らしい! 円堂さん、栗原さん、おめでとうございます!

お二人ともはてなダイアリーをはじめ文章をいろいろ読ませてもらっており、光栄にも昨年夏お目にかかる機会があったのでワタシまで勝手に盛り上がってしまった。

栗原裕一郎さんの受賞作は氏の初の単著であり、よくできた本なのでワタシも力いっぱい読書記録を書かせてもらったが、まさか日本推理作家協会賞を取るとは。日本推理作家協会も粋なことをするね。

そして円堂さんの文章は、遠藤利明さん名義で20年近く(!)読ませてもらっているので、昨年お目にかかったときに『YMOコンプレックス』にサインをいただき感激したものである。近いうちに「ロック問はず語り」で氏の文章を取り上げて血祭りにあげることでお祝いにかえたいと思う(笑)

「謎」の解像度

「謎」の解像度

〈盗作〉の文学史

〈盗作〉の文学史

[] ニール・ヤングの最新アルバムは電気自動車がテーマ  ニール・ヤングの最新アルバムは電気自動車がテーマを含むブックマーク

ニール・ヤングの最新アルバムは LincVolt という電気自動車がテーマ……ってホントかよ、と調べてみたら、曲目からして "Road" という単語が含まれる曲が3曲もあったりするし、ホントみたい。

Fork in the Road

Fork in the Road

音的には普通のロックだけど、ホントこの人フリーダムだよなぁ。

ニール・ヤングというと過去のライブ音源のリリースが続いており、Neil Young Archives という彼のキャリアを総まくりする大プロジェクトがいよいよ始まるが、一方で意欲的な新譜もあるわけで、その表現意欲の衰えなさには敬服する。

Neil Young Archives 1 (1963-1972)

Neil Young Archives 1 (1963-1972)

[] ある被差別音楽家の場合 〜 ケニー・ロギンスマイケル・マクドナルド  ある被差別音楽家の場合 〜 ケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドを含むブックマーク

小島慶子 キラ☆キラ」でノーナリーブスの西寺郷太さんが「"We Are The World" の呪い」について語っていて、ちょっと強引かなとも思ったが、ケニー・ロギンスの名前を久しぶりに聞いてはっとした。

70年代ロギンス&メッシーナでヒットを飛ばし、80年代に入ってからはソロで『フットルース』、『トップガン』という極めて80年代的なメジャー映画に曲を提供して大ヒットという鉄壁の順風満帆だったはずなのに、言われてみればその後不思議なくらいパッタリ名前を聞かなくなった。

調べてみるとケニー・ロギンスは、ロギンス&メッシーナの再結成などもありつつ地道に活動を続けてるようだ。懐かしくなって YouTube で彼の動画をみていたら、彼がマイケル・マクドナルド"What a Fool Believes" を共演している動画にアレっと思った。

ワタシが不思議に思ったのは、この二人のつながりが分からなかったからだが、"What a Fool Believes" はこの二人の共作だったのね。ケニー・ロギンスが共作者だったのを今まで知らなかった。

マイケル・マクドナルドという人もロック界を代表する被差別音楽家なのだが、こうやって久しぶりに聴くと "What a Fool Believes" が以前より好きになった。思えばこの曲は歌詞も苦いラブソングの傑作だよね。

マイケル・マクドナルドは21世紀に入ってモータウンのカバーアルバムを二枚地味にヒットさせていてしぶといところを見せているが、そのモータウンもスティーブン・レヴィによると被差別音楽らしい。ケッ。

The Essential

The Essential

Ultimate Collection

Ultimate Collection

2009-04-16

[] 『ウォッチメン』 〜 放っておけないアメリカ人とアメリカの神話  『ウォッチメン』 〜 放っておけないアメリカ人とアメリカの神話を含むブックマーク

元々はワタシの観る映画リストには入ってなかったのだが、熱狂的に推す評をいくつか読んだので観てきた。

原作のコミックは読んだことがなく、しかも映像に含まれる情報量が多い映画らしいことを聞いていたので公式サイトで情報は一通り押さえておいたのだが(他の映画では基本的にしない)、それでも見落とした文脈はあっただろう。ボブ・ディランの「時代は変る」をバックに、ウォッチメンの活躍とその後と、現実とは違う歴史を辿るアメリカを見せる秀逸なオープニングからして情報量たっぷりで盛り上がる。

監督はザック・スナイダーで、『300<スリーハンドレッド>』でもみせたスローモーションの静と激しくもスムーズな動のアクション描写は見事で、しかも『300』に個人的に感じた空虚さがなかった。しかし、暴力描写は手加減がなくて、ここまでやらんと原作ファンは納得しないのかなとも思った。

本作の主人公であるロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリーが好演)は行動第一の右派であるが、ワタシはかつて村上龍が『ディア・ハンター』や『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』の主人公を指して言った「放っておけないアメリカ人」の系譜につながるものを感じた。昔の仲間の特に訳ありな奴が殺されただけで「ヒーロー狩り」と断言して律儀に昔の仲間に忠告してまわるんだもの。その点も本作は実にアメリカ的であり、本作の原作は「神話としてのアメコミ」の域に達してるのだろうか。読んでないで勝手に書いてるが。

スーパーヒーローをやめさせられた人たちを描く映画として『Mr.インクレディブル』があった。両者ともスーパーヒーローとしての自分を取り戻すことで性的にも回復していくキャラクターが共通していたのは興味深かったが、あの映画のように家族の絆といったところに落ち着かず、異人としてのスーパーヒーロー、その超法規的存在の正義の行使は認められるのかという『ダークナイト』と共通する問題に向かい合い、本作はスーパーヒーローと世界平和の問題まで本気で行ってしまう。

ただその驚くべき形で世界平和が実現するラスト近くまでにワタシは本作の緊張感に疲弊してしまっており、十分に衝撃を受ける余裕がなかったのは残念だった。

ルールが分からなくても将棋を観て楽しみ語るということ ルールが分からなくても将棋を観て楽しみ語るということを含むブックマーク

ワタシ自身は、インターネットのおかげで今が最も多く将棋を指している人間なので、周りにもっと指す人が増えてほしいし、そういえば一年前に「てめー、羽生さんにお会いしていながらどうして将棋指そうという気にならないんだよ。はてなの連中、信じられねぇよ! 将棋指せや、将棋!」と叩き割ったビール瓶片手に id:kiyohero さんに絡んだっけ。その節は大変失礼しました。

梅田望夫さんは新刊で「指さない将棋ファン」宣言を掲げているが、指さない将棋ファンとして棋士を語った人として、真っ先に坂口安吾が浮かぶ。彼が将棋について勝いた文章で有名なのは以下のあたりか。

安吾は特に升田幸三を高く評価しており、以下の文章など久しぶりに読み返して思わず安吾とハイタッチしたくなった(彼は半世紀前に死んでますが)。

 これは、悲しいほど、当りまえなことだ。三、四十年もたってみなさい。坂口安吾の「堕落論」なんて、なんのこったこんな当り前のこと言ってやがるにすぎないのか、こんなことは当然にきまってるじゃないか、バカ/\しい、そう言うにきまっている。そのあまりにも当然なことが、今までの日本に欠けていたのである。

 升田八段の将棋における新風がやっぱり原則は私と同じもので、たゞあまりにも当然な、勝負本来の原則にすぎないのである。然し、日本の各方面に於て、この敗戦によって、日本本来の欠点を知って、事物の当然な原則へ立直ったもの、つまり、ともかく、当然に新しい出発というものをはじめているのは、文学における私と、将棋における升田と、この二人しかおらぬ。

坂口安吾 坂口流の将棋観

安吾が偉いのは升田の弱点、彼の将棋がハッタリになるところもちゃんと書いているところだが、ともかく升田や木村義雄といった人たちのキャラの立ち方は現代の棋士と比べ物にならない。

もちろん現代のトップ棋士にそれを望むのはお門違いであり、一方で将棋を伝える側も安吾の時代とは違った心構えが必要になるだろう。

梅田望夫さんは「指せもするけど、あえて観る」将棋ファンなので、将棋を指せなかった安吾と比べるのはある意味失礼であるし、新刊は極めて現代的に羽生善治をはじめとする当代のトップ棋士を語っている本になっているだろう。

羽生世代を中心に現代将棋が高みに達する一方で、正直将棋界としては残念な、もっと率直に書けば将棋ファンとして腹立たしい話ばかりを耳にするのだが、梅田さんの新刊が、その光の部分を指し示し、将棋ファンを増やすことを期待する。

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

『Debug Hacks』こそオライリー・ジャパンからの逆輸入第一号にならないか 『Debug Hacks』こそオライリー・ジャパンからの逆輸入第一号にならないかを含むブックマーク

ワタシ自身は今だ printf デバッグを駆使する程度の人間なのでデバッグについて偉そうなことは書けないのだが、『Debug Hacks――デバッグを極めるテクニック&ツール』が面白そうだ。刊行を記念して開かれる Debug Hacks Conference 2009 も盛況そうだし。

若い方にとってオライリーというと、Web 2.0 みたいな言葉を仕掛けてカンファレンスビジネスやってるところというイメージが強いかもしれないが、それができるのも技術系出版社としての長年蓄積された信用があるからで、我々技術者はオライリーの翻訳書で多くのことを学んできた。

ただオライリー・ジャパンからは訳書だけでなく、日本独自企画の本もいくつも出ている。ワタシが知るのでは以下のあたり。

他にもあったと思うけどぱっとは思いつかない。そしてこれまで日本オリジナルの書籍が本家に逆輸入されたことはなかったはずだ(Binary Hacks は韓国版が出ているが)。

『Debug Hacks』は普遍的な内容を扱った本みたいだし、一方で類書が思いつかないというユニークな本である。これが第一号になったら素敵だと思うのだがどうだろう。

Debug Hacks -デバッグを極めるテクニック&ツール

Debug Hacks -デバッグを極めるテクニック&ツール

[追記]:日本独自企画の本として id:takagimasahiro さん、id:teramako さん、id:taninsw さんにご教示いただいた本をリストに追加しました。ご指摘ありがとうございます。

[] デペッシュ・モードの新作ビデオが真剣に怖い  デペッシュ・モードの新作ビデオが真剣に怖いを含むブックマーク

正直最近のデペッシュ・モードにはあまり関心がなくなっていたのだが、偶然その新作からのビデオを観て驚愕し、俄然新作への興味が湧いてきた。

彼らの公式 YouTube チャンネルで、問題の "Wrong" のビデオが公開されているのでリンクしておく。

予め警告しておくが、このビデオはショッキングな描写を含むので、そういうのが苦手な方は観ないほうが精神衛生上よいでしょう。

しかし、これ MTV とかで無事に流れたのかな。

Sounds of the Universe

Sounds of the Universe

サウンズ・オブ・ザ・ユニバース

サウンズ・オブ・ザ・ユニバース

takagimasahirotakagimasahiro 2009/04/16 12:05 日本独自企画といえば、「プログラミングGauche」とか「初めてのRuby」もそうですね。

yomoyomoyomoyomo 2009/04/16 21:01 これはひどい。『初めてのRuby』持ってるのに思いつかないとは…
早速追記させてもらいます。ご指摘ありがとうございました

2009-04-13

[] YAMDAS更新  YAMDAS更新を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』を追加。

読みたい本がたまっているなぁ……

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

センサー+ソーシャルネットワークというトレンド センサー+ソーシャルネットワークというトレンドを含むブックマーク

これは面白い。こないだリアルタイムに都市の動きを視覚化する WikiCity の話を書いたが、Richard MacManus はそれから一歩踏み込んで、携帯電話などモバイルにより遍在するセンサーとソーシャルネットワークの融合というトレンドについて書いている。

そこで Integrating Social Networks and Sensor Networks という W3C の論文が紹介されているが、そうそう、「WWWからGGGへ?」という文章を自分も書いたなと思い出した。

この論文によると GGG(Giant Global Graph)を通すことでプライバシーを考慮した信頼できるアプリケーションが実現されるというシナリオなのだが、これは大きなポイントである。

ただ今はセンサーにより大量に利用できるようになった実時間データをどう活かすかということに、プライバシーなどの問題でフライングを重ねながら実験される段階かと思う。

今年はGoogle App Engine本が刊行ラッシュ(ただし海外の話) 今年はGoogle App Engine本が刊行ラッシュ(ただし海外の話)を含むブックマーク

来月オライリーから Using Google App Engine という本が出るのを知り、調べてみたら海外では今年 Google App Engine 本がいろいろ出るのね。

日本ではまだ Google App Engine をタイトルに冠した本は出ないようだ。

Google App Engine といえば先週 Java への対応が発表された。これが JRuby や Rails への道を開くことになるわけだが、今からそのあたりまで踏まえた Google App Engine 本を企画すればいいのではないかと思うのだがどうだろう。

逆にこれから出る Google App Engine 本の編集者は今頃頭を抱えていたり、なんてことはないのかな。

[] 児島由紀子とデヴィッド・ボウイ『スケアリー・モンスターズ』  児島由紀子とデヴィッド・ボウイ『スケアリー・モンスターズ』を含むブックマーク

「児島由紀子のロンドン通信」に面白い話があった。

1980年に発表されたデヴィッド・ボウイの(栄光の RCA 時代最後となる)アルバム Scary Monsters (and Super Creeps) の冒頭を飾る "It's No Game (No.1)" は、芝居がかった日本語ナレーションが入るのだが、児島由紀子は当時そのナレーターであるミッチ広田のフラットに住んでいたというのだ。

というか、今まであのナレーターの名前をワタシは知らなかったぞ。

児島由紀子はジョー・ストラマーが急死したとき、追悼文でジョー・ストラマーをはじめとするパンクスにお世話になった話を書いていてそのつながりに驚いたものだが、そんな縁もあったとは。このサイトでも何度か彼女の豪傑ぶりを取り上げてきたが、やはり並のコレポンではない。

それはともかく、

当時のボウイはかなりのアル中だったらしく、「朝から酒の匂いがするのよ(苦笑)」というミッチさんの言葉が今でも印象に残っている

という当時のボウイの話は意外だった。ヤク中ではあってもアル中なイメージはないので。

Scary Monsters

Scary Monsters

ozricozric 2009/04/13 01:12 >『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
出版社がソフトバンク新書になっとるよー。

yomoyomoyomoyomo 2009/04/13 01:25 おっとこれはひどい
早速修正させてもらいました。ご指摘ありがとうございます

2009-04-09

[][][] WIRED VISIONブログ第61回公開  WIRED VISIONブログ第61回公開を含むブックマーク

WIRED VISION ブログに「OpenStreetMapへの期待と課題」を公開。

いろいろ書きたいことはあったのだが、久しぶりにコラムを書くとどうも感じがつかめずにちぐはぐな文章になってしまった。というかタイトルがヘンですな……

それはともかく OpenStreetMap は(本文には書き忘れたが)プログラマーでなくても貢献できるし、これから伸びるプロジェクトじゃないかな。

このプロジェクト全般の紹介となるように、主要な情報源となるウェブサイトやメーリングリストのアーカイブなどにリンクを網羅的にはるように意識した。

[] 無料で読めるLinux本ベスト20  無料で読めるLinux本ベスト20を含むブックマーク

最近では書籍がウェブに無料公開されることも珍しくなく、オープンソース関係だとそれが顕著なわけだが、その中から20冊チョイスされている。

結構知らない本が多かった。オライリーから出ている本はもはや古典といえる本ばかりですな。ネタ元は LWN.net

[] Androidは電話のOSではない。なぜならいずれ電話はなくなるのだから  Androidは電話のOSではない。なぜならいずれ電話はなくなるのだからを含むブックマーク

この Marshall Kirkpatrick のエントリにははっとさせられた。

  1. 音声とデータは別々のままにはできない
  2. 音声とウェブは不可分になる
  3. ウェブアクセスへの需要は遍在する

という彼の主張を突き詰めればそういう結論になるということか。

そうした意味で Android を組み込み機器全般に適用しようとする Open Embedded Software Foundation の方向性は正しいし、それどころか HP はネットブックに Android 搭載を検討してるんだからね。

そういえばここでも何度も取り上げているオープンソース携帯電話 OpenMoko次期版開発が打ち切りになってしまったが、かわりに取り組むプロジェクト次第では結果オーライだったりするのかも。

リアルタイムに都市の動きを視覚化するWikiCity リアルタイムに都市の動きを視覚化するWikiCityを含むブックマーク

これも RWW からだが、今年のMIT の SENSEable City Lab で取り組まれている Wikicity プロジェクトの Etech での講演が取り上げられている。

screenshot

この WikiCity について日本で取り上げているのは「破壊的トレンド」ぐらいしか見つからなかったが、携帯電話の通信データを分析することで、都市における人間の動きをリアルタイムに視覚化しようとするものらしい。

名前に Wiki とついているけど、それよりモバイルウェブ技術の分野で、今年の Etechのテーマの一つである「センサー」ネットワークに関するもので、「G空間」サービスの話ともつながるものだろう。

ただまだ実用的となるまでは課題も残っており、今の時点では WikiCity はまだ情報ポルノ(info-porn)の段階という指摘もある。ただ情報を集めて視覚化しただけで、そこからのフォロースルーがないということか。

科学用語と思っているかもしれないが実はSFが由来の9つの言葉 科学用語と思っているかもしれないが実はSFが由来の9つの言葉を含むブックマーク

Boing BoingSlashdot で話題になっているが、実はサイエンスフィクションに由来する9つの言葉が Oxford University Press のブログで取り上げられている。

ロボティクス(Robotics)や遺伝子工学(Genetic engineering)もそうなんだ。

紆余曲折を経て『クルーグマン教授の経済入門』が復刊 紆余曲折を経て『クルーグマン教授の経済入門』が復刊を含むブックマーク

クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)

クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)

クルーグマン教授の経済入門』は、昨年ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンの一般向けの解説書なんだからさぞかし増刷がかかっているかと思いきや、増刷どころか版権が切れていたらしい。

せっかくノーベル賞をとったのに増刷しないようなので日経に電話したら、最初に電話に出た女の子は「版権の確認中だけどいずれ増刷されるかも」といっていたが、次の日にこの会社から出したいとの連絡あり。そこで日経にどうなっているのかもう一度電話したら、こんど電話に出たお兄さんによれば、実は販売部数が契約に満たない年があってそこで契約中断、とりなおす予定はないとのこと。なーんだ、版権切れてるんだ、というわけでこちらの会社がめでたく版権を取得、こちらから出ることになりました。

Books that I wrote/translated

今となってみては日経もマヌケな決断をしたように思えるが。いずれにしろちゃんと復刊されて何よりである。

そういえば山形浩生訳の経済書というと、経済学におけるトレードオフの考え方を説明した本も出ている。

人でなしの経済理論-トレードオフの経済学

人でなしの経済理論-トレードオフの経済学

2009-04-06

[] 『フロスト×ニクソン』 〜 成功に執着した二人を分けたもの  『フロスト×ニクソン』 〜 成功に執着した二人を分けたものを含むブックマーク

フロスト×ニクソン [DVD]

フロスト×ニクソン [DVD]

モンティ・パイソンに「ティミー・ウィリアムスのコーヒータイム」というスケッチがある。エリック・アイドルが演じる、愛想は良いがひたすら自己中心的で軽薄で自己宣伝にしか興味がない業界人ティミー・ウィリアムスのモデルは、本作の主人公デヴィッド・フロストである。

フロストはそのアイドル、グレアム・チャップマンジョン・クリーズといったケンブリッジ派の先輩筋にあたり、実際若き彼らを自分の番組で起用しているが、その後輩達がモンティ・パイソンとしてイケるとみるや、フロストはクリーズに電話をかけ、「今から僕もパイソンズに加わりたいんだけど、もちろんOKだよね?」と擦り寄ったという。それに対してクリーズは "No! Piss off!" と言い放ったそうだ(出典:モンティ・パイソン大全 (映画秘宝コレクション))。

自分を取り立ててくれた先輩に対して断固とした態度をとったクリーズ先生は偉いが、「出世の手段にコメディを利用した人」と評価されるフロストという人をよく表したエピソードである。

これだけ書くとただただイヤな奴だし、本作においても機内でナンパした女性に「大した才能もないのに有名人」という評言を言い放たれているが、本当にそれだけだったら成功を掴むわけはない。何より彼には人を惹きつける陽性の才能と、臆面もなく成功に執着する愚かさがあった。

本作のもう一人の主人公は言うまでもなくリチャード・ニクソンだが、本作ではフランク・ランジェラが、任期中に辞職するという屈辱を味わいながら権力と金への執着を失ってない老獪な政治家役を魅力的に(!)演じていて素晴らしかった。

本作を見て感じるのは、アメリカ大統領のステータスである。ニクソンを糾弾する本を四冊書いたフロスト側のスタッフが、憎き敵を目の前にして、半ば呆然としながら「ミスター・プレジデント」と握手をしてしまう場面がある。ウォーターゲート事件の位置づけもそうだが、一生「大統領」と呼ばれるアメリカ大統領の象徴性が分かってないと本作は面白く感じられないかもしれない。

アメリカでの成功を熱望するフロストは、政治的な使命感など何も持たないままニクソンにインタビューをオファーする。それが汚名を晴らし中央政界への復帰を果たしたいニクソンと利害が一致してインタビューが実現するわけだが、アメリカでの実績がないフロストのインタビューは買い手もスポンサーもつかず、私財を投げ打つこととなる。このインタビューでニクソンを謝罪に追い込めるかは、レストランで VIP 席にありつける云々のレベルでなく、フロストのキャリアそのものがかかっていた。

そうした二人それぞれの追い込まれた事情があるから盛り上がるわけだが、本作におけるインタビューの場面は(ケヴィン・ベーコン演じるニクソンの側近も示唆するように)完全にボクシングを模していて、フロストも何とか相手を出し抜き一発かまそうとするものの、ニクソンは実に老獪に逆襲し、返り討ちをくわせる。

しかし、夜中にニクソンからフロストにかかる一本の電話が転機となる(現実にはこうした電話はなかったようだが)。これがフロストを奮起させるのだが、それ以上に興味深いのはニクソンが、成功への執着という点で二人が同じであり、自らを駆り立てる原動力がコンプレックスに起因することを語っていること。

成功の執着という点で二人が共通するとして、それでは二人の違いは何か。それはやはり人間的な陰陽だろう。それだけで勝ち負けが決まってはたまらないが、それが引き寄せるものは確かにあると思う。それが分かるだけに、最後のインタビューでニクソンが浮かべる失望、後悔、自己嫌悪が入り混じる表情が際立つし、それにある種運命的なものを感じるのである。いや、フランク・ランジェラの演技はお見事。

本作は元々舞台劇だったはずだが、二人のやり取りとなると照明が暗くなるなど二人の対決にフォーカスする心配りの利いた演出は見事で、映画としていささか手際が良すぎるきらいはあるものの、ロン・ハワードは本当に優れた監督だなぁと感心した。

クラウド・コンピューティングとグリッド・コンピューティングの違いとは? クラウド・コンピューティングとグリッド・コンピューティングの違いとは?を含むブックマーク

ワタシはクラウド・コンピューティングという言葉をアンブレラタームとしてとらえて緩く使わせてもらっているが、この IBM developerWorks に掲載されている記事は、クラウドという言葉が出る以前によく言われたグリッド・コンピューティングと何が共通して何が違うのか解説するものである。

この記事では「クラウド・コンピューティングはグリッド・コンピューティングから進化したもの」という立場をとっているが、Amazon Web サービスを例にしていて参考になる。

[] Amazon.comが選ぶインディーロックアルバム100選  Amazon.comが選ぶインディーロックアルバム100選を含むブックマーク

Digg で知ったページだが、Amazon のエディター(という職がまだあったのね)が面白いリストを作っている。

インディーロックというところが渋いが、うーん、聴いたことないアルバムが多いな。トップ10を紹介しておく。

  1. Bee Thousand by Guided by Voices (asin:B000002363)
  2. In the Aeroplane over the Sea by Neutral Milk Hotel (asin:B000AE8M3S)
  3. Spiderland by Slint (asin:B0000019HU)
  4. Exile in Guyville by Liz Phair (asin:B00197KG4S)
  5. Imperial f.f.r.r. by Unrest (asin:B0007Z9R3O)
  6. Slanted and Enchanted by Pavement (asin:B00006JLX4)
  7. If You're Feeling Sinister by Belle & Sebastian (asin:B00000JHAU)
  8. Surfer Rosa by Pixies (asin:B00008YJH5)
  9. Either/Or by Elliott Smith (asin:B00000373U)
  10. Bakesale by Sebadoh (asin:B0000035GN)

ベルセバの 1st とピクシーズはワタシも自信をもってお勧めできます。

2009-04-02

[] ニール・テナントは神 〜 YouTubeで辿るペット・ショップ・ボーイズの歴史  ニール・テナントは神 〜 YouTubeで辿るペット・ショップ・ボーイズの歴史を含むブックマーク

こんばんは渋谷陽一です。今夜の1曲目はペット・ショップ・ボーイズのニューアルバムから "Love Etc." です。

Yes

Yes

イエス

イエス

Napsterペット・ショップ・ボーイズの新譜を聴いていて何かヘンな気分になった。思えば、ワタシが初めて彼らの曲を聴いたのは20年以上前になるが、それから20年経って自分が U2 とモリッシーとペット・ショップ・ボーイズの新譜を聴いてるなんて当時想像できなかったな。

こないだの BRIT Awards では25年の功績を称え功労賞をもらっていたが、彼らは四半世紀にわたり第一線の地位を守り続けた。エレクトロポップをやっている人は80年代半ばには掃いて捨てるほどいたが、当然ながら現在まで残っているのはごくわずかで、やはりそれは才能なのだろう。

リリー・アレンのときも書いたが、彼らが所属するレーベルである Parlophone は偉くて、公式 YouTube チャンネルで惜しげもなく PV を高画質対応、ブログはりつけ可能設定で公開してくれている。

PSB に関してもプレイリストが用意されている。折角なのでその中からワタシが好きな曲をいろいろ紹介して、彼らの栄光を称えたい。

忙しいので年寄りの繰言に付き合っているヒマがない! という方は、彼らの代表曲を一気に総まくりするメドレーだけでもみてくだされ。

それにしてもニール・テナントのミャーミャー声も最初聴いたときは奇異に思ったものだが、なかなか衰えないね。

1987年の全英1位シングル。「哀しみの天使」とかいうアレな邦題がついたんじゃなかったっけ。

この曲と "Opportunities (Let's Make Lots of Money)" における、80年代的拝金主義を歌った身も蓋もない歌詞により、ニール・テナントはシニカルな冷血漢というイメージがついた……というのは言い過ぎか。

これも1987年の全英1位シングル。ウィリー・ネルソンのカバーだが、完全に自分達のものにしている。当時連発されたヒット曲の中でも、ワタシはこれが一番好きだった。

ビデオはヘンテコな映像が続くが、これは彼らの映画 It Couldn't Happen Here(邦題は『ペット・ショップ・ボーイズ/夢色の幻想』)からとられたもので、ストーリーなど無きに等しい退屈でヘンな作品だが、ワタシは結構好きである。

ちょっと時期があいたがここから90年代。シングル曲でクリス・ロウがリードをとるのはこの曲だけじゃなかったかしら。それにしてもクリス・ロウは帽子+グラサンのスタイルを崩さないので年齢的な衰えが隠せて得だよな。

この曲も大好きなのだけど、ビデオの前半部のニューヨークの描写があきらかにヘンというか人工的で、これは何か意図があってのものだろうか。

この曲は PSB の曲の中でもワタシ的にトップ3に入る曲で、初めて聴いたとき泣きそうになったのを覚えているが、それにしてもこのビデオは信じられないくらいひどくて、なんでこんな視聴意欲をそそらないビデオを作ったんだろう。

そういうわけで PSB の歴史を大雑把に振り返ったが、これ以外にもヒット曲は山ほどあるので、はじめての人にはやはりベスト盤をお勧めしたい。

ポップアート

ポップアート

新譜の話に戻ると、(厳密にではないが)彼らは躁と鬱をアルバムを行き来する傾向にあり、最新作は鬱側にあたるのだが、落ち着いて聴ける作品である。

ニール・テナントはとても頭が良い人なのでインタビューでの発言が面白くて、「ロック問はず語り」で取り上げようと思ったのだが、彼らがロキノンの表紙を飾った1989年9月号、1990年11月号のいずれもインタビュー記事をなぜか保存し忘れていたため、YouTube を使わせてもらった。

[] SkypeWeb 2.0時代に生まれた最大の勝者である10の理由?  SkypeがWeb 2.0時代に生まれた最大の勝者である10の理由?を含むブックマーク

ワタシも早速出たばかりの Skype for iPhone をインストールさせてもらったが、Bernard Lunn がタイトルのように主張する理由は以下の通り。

  1. ちゃんと稼いでいる(2008年はおよそ5億ドル)
  2. 収益性が高い
  3. 厳しい市場で成長を加速させている
  4. 破壊的な技術である
  5. バイラルマーケティングの成功例
  6. 電話は既存サービスへの忠誠心の低い居住者を対象とする巨大市場
  7. 利用者が高額な料金を払っている携帯市場への参入可能性
  8. アーリーアダプターだけでなくもはやメインストリームに達している
  9. 定着性のあるサービスである(sticky service)
  10. SkypeならIPO可能

うーん、そうかい? ちょっと強弁すぎないかい? 確かに eBay が Skype を売却すれば、また新しい展開があると思うが。

[] 塚本牧生さんによる「組織的なウィキの導入」日本語訳  塚本牧生さんによる「組織的なウィキの導入」日本語訳を含むブックマーク

Atlassian社の人のプレゼン資料を塚本牧生さんが翻訳されている。企業に Wiki を導入するのにとても参考になると思うのでご紹介。Wiki が企業に導入されるのに重要なのはツールではなく、人とプロセスというのはその通りだろう。

個人的には、『Wiki Way』の原書の表紙にも使われているエッシャーの絵にニヤリとしてしまった。

Wiki Way, The: Collaboration and Sharing on the Internet

Wiki Way, The: Collaboration and Sharing on the Internet

[] モンティ・パイソン結成40周年記念ドキュメンタリー番組が制作される  モンティ・パイソン結成40周年記念ドキュメンタリー番組が制作されるを含むブックマーク

やはり結成40周年プロジェクトが進んでいた。

調べてみたところ、このドキュメンタリー番組のタイトルは "Monty Python: Almost the Truth (The Lawyer’s Cut)" で、監督はなんとアラン・パーカーらしい。

30周年記念番組 Python Night ではケン・シャビーやガンビーといった懐かしいキャラクターを再演したり、少し新ネタをみせていたが、今回は純粋なドキュメンタリー番組なんだろう。

今年の10月にアメリカで6回に分けて放送された後、パッケージ化される模様。そりゃ日本盤が出たら買うよ。

[追記]:eiga.com に「伝説的コメディ集団モンティ・パイソン、米TVドキュメントで再結成!」という記事が出ているが、この中の「メンバーが一堂に会するのは20年ぶりのこと」というのは大ウソ。↑のアンソロジーに収録されている Live at AspenSpamalot 絡みなどで「フルモンティ」は何度も実現している。

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