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単著祭2009夏 〜 この一年で単著を出した文化系はてなダイアラーをまとめてみる

「単著もないのに〜2008年夏〜 この一年で単著を出した文化系はてなダイアラーをまとめてみる」から一年が経った。

誰に頼まれたわけではないが、単著童貞にして増刷童貞のワタクシめが今年もまとめてみようと思う。この企画の趣旨については昨年のエントリーを参照いただきたい。リストに含める基準として、今回は以下の3条件を挙げる。

  1. 2008年7月からこの一年の間に刊行された単著/刊行が予告されている単著
  2. 著者がはてなダイアリーはてなグループの日記をそれなりに書いている
  3. 著者がこれまで出した単著が五冊以内

少なくとも条件3は厳格に適用させてもらう。これには異議もあるだろうが、できれば若い書き手を応援したいというのがあるので。それにこういう条件をつけないと、以下のリストは倍以上に膨れ上がってしまうという現実的な理由もある。不満のある方はご自身でコンプリートリストを作られるとよい。

ただ今回は、前回除外した技術系の書籍も含めさせてもらった。文化系が体育会系の対義語であるならば、技術系の書籍を除外するのはおかしいので。

昨年同様、以下のリストは不完全に違いない(公開前に suchi さんに数名教えていただいた)。上記条件に合致するのに取り上げられてない書籍があるとしたら、それは単にワタシが知らなかったためで他意はないことを予め書いておく。遠慮なくコメント欄やメールなどでお知らせいただきたい。

まずは昨年に続いて今年も出た著者を紹介しておく。

トップバッターは、昨年に続き前衛家吉田アミさん(id:amiyoshida)の『雪ちゃんの言うことは、絶対。』である。

雪ちゃんの言うことは、絶対。 (講談社BOX)

雪ちゃんの言うことは、絶対。 (講談社BOX)

昨年二冊目の著書を紹介した大野左紀子さん(id:ohnosakiko)と内田麻理香さん(id:ut-tlounge)が今年も単著を出されている。

「女」が邪魔をする

「女」が邪魔をする

昨年のエントリで三冊の単著を紹介させてもらった荻上チキさん(id:seijotcp)は今年も著書を出されている。荻上さんの場合、他にも芹沢一也Synodos を立ち上げ共著を出されていてすごいなと思う。

社会的な身体~振る舞い・運動・お笑い・ゲーム (講談社現代新書)

社会的な身体~振る舞い・運動・お笑い・ゲーム (講談社現代新書)

小島アジコさん(id:orangestar)の「となりの801ちゃん」はシリーズとして定着しており、9月に第4弾が出る模様。

となりの801ちゃん4 特別限定版 (Next comics)

となりの801ちゃん4 特別限定版 (Next comics)

昨年のエントリを公開後に『ウェブは菩薩である』を追加させてもらった深見嘉明さん(id:yofukami)が、今年も『文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画』を出している。

文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画

文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画

そして昨年のエントリでは予告段階だった濱野智史さん(id:shamano)の『アーキテクチャの生態系』が無事刊行されている。

アーキテクチャの生態系

アーキテクチャの生態系

あと昨年のエントリーにわざわざコメントいただいたが、村上吉文さん(id:Murakami)の『しごとの日本語 IT業務編』も遅ればせながらリストに入れさせてもらう。

しごとの日本語 IT業務編

しごとの日本語 IT業務編

さて、はてなダイアリーこんな人も書いてます日記一覧に含まれる著名ユーザの本で条件に合致するものを紹介しておく。

まずは吉野健一さん(id:yoshino8dr)の『眼科医が教える 目の衰え・疲れ目がスッキリする本』。

眼科医が教える 目の衰え・疲れ目がスッキリする本

眼科医が教える 目の衰え・疲れ目がスッキリする本

続いて大友良英さん(id:otomojamjam)の『大友良英のJAMJAM日記』だが、これは日記のタイトルと同名なので、ブログの文章がそのまま書籍になったというはてなダイアリー的には珍しいものではないか(『祖母ログ』以来?)。

大友良英のJAMJAM日記

大友良英のJAMJAM日記

そしてこれは反則かもしれないが、テレビドラマ化もされた大ヒット漫画『神の雫』の原作者亜樹直id:agitadashi)の『神の雫作者のノムリエ日記〈1〉』が、単著となるとこれが実は初めてだと思うのでリストに入る。

神の雫作者のノムリエ日記(1)

神の雫作者のノムリエ日記(1)

ワタシは以前から週刊ビジスタニュースが面白いよとお勧めさせていただいているが、ここに寄稿する人たちにはてなダイアラーが多い印象がある。そしてその寄稿者がソフトバンク新書から新書を出している例がいくつかあり、今年の場合、多根清史さん(id:bigburn)の『日本を変えた10大ゲーム機』と大山くまおさん(id:kumaokumao)の『名言力』がそれにあたる。

名言力 人生を変えるためのすごい言葉 (SB新書)

名言力 人生を変えるためのすごい言葉 (SB新書)

今回は昨年まったく該当の無かった文学作品を紹介できるのは嬉しい。まずは早坂類さん(id:hayasaka_rui)の歌集が出ている。

黄金の虎(ゴールデン・タイガー)―早坂類歌集

黄金の虎(ゴールデン・タイガー)―早坂類歌集

続いて今や人気作家の仲間入りをしつつある深町秋生さん(id:FUKAMACHI)の『東京デッドクルージング』。著者の本は『果てしなき渇き』が面白かったので、以降の作品も読まないといけない。

東京デッドクルージング このミス大賞シリーズ (『このミス』大賞シリーズ)

東京デッドクルージング このミス大賞シリーズ (『このミス』大賞シリーズ)

そして藤野可織さん(id:myopie)の第103回文學界新人賞受賞作を収録した『いやしい鳥』。藤野さんはとてもキュートで、フリーダムで、しかも映画『ヒッチャー』が好きという素晴らしい方で、もっともワタシはそんなチャーミングな方に無礼を働いてしまい知人面できないのは残念である。

この場を借りてお詫びを述べさせていただく。その節は大変失礼しました。

いやしい鳥

いやしい鳥

藤野さんは、『すばる』2009年3月号で発表した「いけにえ」が、第141回芥川龍之介賞の候補となっている。「いけにえ」は栗原裕一郎さんが選ぶ2009年度上半期文芸誌新人小説ベストのリストにも入っていて候補になって当然だが、文学賞云々とは関係なしにマイペースに充実した執筆を続けられることを心からお祈りします。

文学賞云々」といえば、円堂都司昭さんと栗原裕一郎さんが昨年のエントリでも紹介した単著で第62回日本推理作家協会賞を受賞し、円堂さんは第9回本格ミステリ大賞も受賞した。はてなダイアラー文学賞をとるというのも珍しいことではなくなっている。

さて、昨年のエントリでは意図的に外させてもらった IT 系の書籍を紹介させてもらう。まずはるびきちさん(id:rubikitch)の『Ruby逆引きハンドブック』。

Ruby逆引きハンドブック

Ruby逆引きハンドブック

そして、「こんな人も書いてます日記一覧」枠で紹介してもよかったが、やねうらおさん(id:yaneurao)の本も出ている。

ひなた先生が教えるデバッグが256倍速くなるテクニック (Software Design Books)

ひなた先生が教えるデバッグが256倍速くなるテクニック (Software Design Books)

そして日本初の Mercurial 本が藤原克則さん(id:flying-foozy)の『入門Mercurial』である。

入門Mercurial Linux/Windows対応

入門Mercurial Linux/Windows対応

藤原さんからコメントいただいたところによると、オライリーMercurial 本も個人的に翻訳されてるとのことで、そちらも書籍になるかもしれない。

さてさて、ここまでいろいろと紹介させてもらったが、ここからが(個人的には)メインイベントである。今月刊行されたばかりのココロ社さん(id:kokorosha)の『クビにならない日本語』だ!

クビにならない日本語 成果を出さずに平和に暮らす! 究極のコミュニケーション・テクニック

クビにならない日本語 成果を出さずに平和に暮らす! 究極のコミュニケーション・テクニック

Amazon のページには「大人気ブログ「はてなダイアリー」の書籍化」とあるが、書名を見ると CAREERzine で連載中の革命的サラリーマン宣言も含まれてそうな感じだがどうなのだろう。

いずれにしても、元から著名人というのでなく、ブログが純粋に面白くて注目を集め、書籍化にいたるのは素晴らしいことだと思うし、ココロ社さんのようにワタシも大好きなブログならこちらまで嬉しくなる(平民金子さんや伊藤聡さんあたりに続いてほしいところ)。

そしてはてなブックマークニュースでも伝えられているが、メレンゲが腐るほど恋したいが『メレンゲが腐るほど旅したい』として来月書籍化される。ワオ!

なお、このブログが見出した「わさお」の本『ブサかわ秋田犬 わさお』(asin:407266815X)は『メレンゲが腐るほど旅したい』より一足早く刊行される。

メレンゲが腐るほど恋したい」というと何と言っても「執拗な旅行記」だが、個人的にはメレ子さんが以前書いていた旅行記以外のテキストサイトっぽい文章も好きで、たまにはそうしたのもまた書いてもらえないかなと勝手にも思ったりする。

まだ刊行されていないが予告済という意味では、三谷純さん(id:JunMitani)の立体折紙の展開図集が書籍として出版されることが告知されている。三谷さんの折り紙作品は Flickr で見れるが、これの本となるとすごいものになりそうだ。

さて…………忘れてはいけない人がいる。伊藤計劃さん(id:Projectitoh)だ。

ご存知の通り、伊藤さんは今年の3月20日にお亡くなりになられた。昨年末刊行された『ハーモニー』は、伊藤さんの最後の長編になってしまった。

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ワタシが伊藤さんのことを個体識別したのは、恥ずかしながら昨年の単著祭エントリを書いて加野瀬未友さんから教えてもらったときで、ブログのほうは何度か読んだ覚えがあったが、もちろん著作は読んでなかった。

ブログをちゃんと読んでみると、映画などについての洞察力に満ちた文章に驚き、そのうち本も買って読もうと思っていたら病状が尋常でない様子で、一方でまったく平然とした文体を恐ろしくも思っていた。

今、手元には『虐殺器官』がある。少し前から読み始めた。伊藤さんを知ってからは、Make でブルース・スターリングの文章を訳すたびに伊藤さんのことを少し考える。

ネットをやっていて悲しいことはいくつもあるが、ネットを通じて知った才能ある表現者が死んだのを知るのにまさる悲しみはない。その人が、自分より年少であればなおさらである。

本エントリを伊藤計劃さんに捧げる。


[以下、随時追記]

やはり抜けがあったので、以下、はてなブックマークトラックバックなどでいただいた情報を追記する。

まず id:zaikabou さんに情報いただいた高世えり子さん(id:eriko_takase)の『理系クン』シリーズ。

理系クン

理系クン

理系クン 結婚できるかな?

理系クン 結婚できるかな?

また今村勇輔さん(id:Imamura)にはご自身の著書を紹介いただいた。ありがとうございます。

作れる!わたしのWebサイト

作れる!わたしのWebサイト

あと id:surumeno13 さんからは越水利江子さん(id:rieko-k)のことを教えていただいた。児童文学レーベルの書籍の場合、単著のカウントの仕方が問題になりそうだが、ここはかたいことは言わずに紹介させてもらう。

恋する新選組(1) (角川つばさ文庫)

恋する新選組(1) (角川つばさ文庫)

ワタシが見落としていただけです、『C言語ポインタ完全制覇』でお世話になったのに申し訳ありません! というわけで前橋和弥さん(id:kmaebashi)の『プログラミング言語を作る』。

プログラミング言語を作る

プログラミング言語を作る

今日ふと自分が掲げた条件をみて、梅田望夫さん(id:umedamochio)さんの『シリコンバレーから将棋を観る』も条件に合致することに気付いた。大物を見落としていた。

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

そして id:otsune さんにコメントで、石垣憲一さん(id:charsbar)の『カクテルホントのうんちく話』を教えていただいた。

カクテルホントのうんちく話

カクテルホントのうんちく話

田邉亨さん(id:ringojuku)から自身の『算数パズルで難関中学の入試問題がスラスラ解ける』を紹介いただいた

算数パズルで難関中学の入試問題がスラスラ解ける (YELL books)

算数パズルで難関中学の入試問題がスラスラ解ける (YELL books)

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