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監督失格

監督失格 Blu-ray(特典DVD付2枚組)

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独りで観て、そして観終わって独りで帰るのが悲しくなる映画だった。

原一男が『全身小説家―もうひとつの井上光晴像』(asin:4873761050)の中で、ドキュメンタリーは狙って良い画が撮れるものではないが、撮らないことにははじまらないといったことを書いていた。

本作は「カメラを回し続けること」への執着が大きなポイントである映画だ。映画のタイトル自体、カメラを回すことを躊躇した平野勝之監督に対し、彼にとってミューズだった林由美香が腹立ちとともに放った一言に依っている。

本作には観ているのがつらくなる映像がいくつも出てくる。林由美香の亡骸を確認する場面、その夜振り出した雨……それは平野監督をはじめとして本作に登場する人たちがカメラを回し続けたから撮れたものである。

しかし、そこまでカメラを回し続けることに執着しながら、本作においてきれいにオミットされている存在がある。それは平野勝之監督の妻である。

何でも撮ればよい、誰でも出せばよいというものではもちろんないが、この点は平野監督の過去作品に詳しくない当方にはいささか不可解だった。

本作のプロデューサーは庵野秀明で、監督が自らのとても惨めな姿をとことん晒すラストに特にらしさを感じた。おそらくは彼がそこまで平野勝之を追い込んだからこそ完成した映画なのではないか。

こんな映画そうそうないのは確かである。

リチャード・ストールマンの発言がそんなにおかしいか?

リチャード・ストールマンが自身のサイトで、スティーブ・ジョブズの死を受け、彼を愚者を自由から切り離すことを目的とする監獄としてのコンピュータをクールなものにしたパイオニアと呼び、「彼が死んで嬉しいとは言わないが、彼がいなくなって嬉しい」と書いたことについて、すんげー怒っているわけである。

そして、これはフリーソフトウェアを広めるのにも悪影響だとか脅しのように書いているが、この記事の著者は rms を何だと思っているのだろう? ストールマンならそう言うだろうよ。もちろん、それを支持賛同するかはまったく別問題で、スティーブ・ジョブズが考える製品のあるべき姿、ユーザに与えるべき自由についての考えが、ストールマンとまったく相容れないだけの話だろう。

ストールマンは、娘が生まれたばかりの Emacs メンテナに対し、「子孫を作るってのには大した才能は要らない。植物でさえできることだ」と言い放った人だぜ? 仲間だろうが敵対者だろうが、弔事だろうが慶事だろうが空気を読むなんてしないし、ワタシとしてはそんなストールマンこそ見たくない。

ワタシ自身 iPhone ユーザなので、ストールマンから見れば愚かな囚人なのだろう。一方でストールマンこそ自由という名の牢獄に囚われていると見る人もいるかもしれない。ワタシはスティーブ・ジョブズリチャード・ストールマンも、それぞれ違った形で深い敬意を持っている。

その反面、最近のオープンソースを巡る論争でも明らかになったように、ストールマンが自説を曲げない場合、彼はいつもそれにより立場を強固にするための方法を模索していたのだ。「ストールマンの主な性格上の特徴の一つに意見を変えないことがある」と Ian Murdock は言う。「もしそれだけの時間が必要なものなら、彼の立場に人々が同調するまで十年でも彼は待つだろう」

Murdock 個人としては、その変わらぬ気質こそがすがすがしいし、貴重だと考えている。ストールマンはもはやフリーソフトウェア運動の唯一の指導者ではないかもしれないが、彼は今なおフリーソフトウェア・コミュニティの北極星なのだ。「彼の意見が首尾一貫しているのは前から分かっているだろう」と Murdock は言う。「大抵の人達はそうはいかない。君が彼の意見に同意するにせよしないにせよ、君は彼の意見を真に尊重しなければならない」

http://sourceforge.jp/projects/faif/document/ch11_txt/ja/

オープンソースな音楽検索/再生アプリMielophone

Hacker NewsMielophone という音楽アプリを知る。

screenshot

シンプルなインタフェースで、楽曲、アルバム、アーティストの名前で検索して音楽の再生ができるのだが、MusicBrainzLast.fmBBC Radio 1 のデータベースから情報を引っ張っているというのがポイントか。

詳しくは以下の動画をどうぞ。

宣伝動画においてもアプリとしてまだ未完成であることを隠さず、協力を募っているのは面白いね。

しかし、このアプリの機能には download も入っており、それって合法なんだろうか?

4chanの匿名性と不確実性についての論文

4chan が、ふたば☆ちゃんねるの画像掲示スクリプトを流用してできた、いわば「アメリカの2ちゃんねる」的な匿名掲示板であることは日本でも知られているが、これを題材にした論文とかあまり見たことがなかった。

First Monday の Volume 16, Number 10Lee KnuttilaUser unknown: 4chan, anonymity and contingency という論文が掲載されていた。

4chan の歴史を辿り、昨今の個人のアイデンティティーの一貫性を求めるソーシャルメディアとその匿名文化を対比させて考察している。

こういう研究って他にもあるのかね。

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