YAMDAS現更新履歴

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2012-03-29

[] 企業サイトにおける忘れがたき個人のコラムやエッセイ  企業サイトにおける忘れがたき個人のコラムやエッセイを含むブックマーク

ネットワーカーとしてのワタシは「雑文書き、翻訳者」を肩書き(?)にしているが、自分の中で重きを置いているのは「雑文書き」のほうである。元々「プッと笑える雑文サイト」をやりたくてウェブサイトを立ち上げたのがすべての不幸の始まりだった。とにかく読ませる文章が好きなのだ。

今日は企業サイトの中で輝きを放っていた個人のコラムやエッセイを思い出すままに取り上げる。

「思索の副作用」はなぜ書籍化されなかったのだろう

これを書こうと思ったのは、少し前にふと思い出して Tech-On! の「思索の副作用」に久しぶりにアクセスしたからだ。

http://techon.nikkeibp.co.jp/column/shisaku/

最後に更新されて、実に二年経っていた。

「思索の副作用」は編集委員の仲森智博さんのコラムで、息の長い文章を楽しみにしていたものだ。

連載が止まっているのに2010年中に気づいていたが、そのときは何の根拠もなく、ああ、この連載がもうすぐ書籍化されるのだな! とむしろそれを楽しみにしていた。

調べてみると仲森智博さんは日経BP社から日経BPコンサルティングに移られているようで、もうさすがに書籍化は難しいだろう。本当に残念である。

ワタシが書籍化を楽しみにしていたのは、一つのコラムを10ページ前後に分割するやり方にヘキエキしていたせいで、一まとめで読みたかったのがある。今もあれを見るだけで反射的にイライラするくらいなのだ。

それなら AutoPagerize 入れろよと突っ込まれそうだが、Greasemonkey には頼らないという方針がありまして……

それはともかく、仲森さんの激さず平易で、しかも懐が広く思いもよらぬ鋭さを秘めた文章が懐かしい。しつこいが、ワタシは古い人間なので、一冊の本の形で手に取りたかった。せめて今からでも電子書籍化はどうだろう。

深夜のつぶやきにご本人から……

企業サイトに掲載されていた個人のエッセイで忘れがたいものに「aiaiときどきブログ」がある。

screenshot

これを書かれていたのは、プレジデントのプレジデントロイター編集部で副編集長を務められていた中嶋愛さんで、ワタシはこのブログ(?)が始まったときも、更新が途絶えたのに気づいたときも取り上げている。

要はこの方の文章が好きだったのですね。今回調べていて梅田望夫さんのエントリを読んで知ったのだが、中嶋さんは翻訳もされている。

仕事の裏切り なぜ、私たちは働くのか

仕事の裏切り なぜ、私たちは働くのか

徹底のリーダーシップ

徹底のリーダーシップ

「思索の副作用」再訪後、同じく2010年から連載が止まっている「aiaiときどきブログ」を思い出し、そもそも中嶋さんは今何をされているのだろうと思い、深夜になにげなくつぶやいた。

ワタシ自身はツイート(tweet)を「つぶやき」と訳すことに抵抗があるのだが、これはまぎもなく「つぶやき」だった。

するとご本人から Twitter でリプライをいただいた。現在は書籍の編集をされているそうで、最近手がけた本に以下のものがあるとのこと。

ワタシもネットユーザとしては紛れもなく年寄りに属する、すれっからしと言ってよいのだが、中嶋愛さんからのリプライには驚いたし、嬉しかった。

Take IT Easyの隔週化と一人の男の旅立ち

これは持ち回りコラムなので「個人」のコーナーではないが、毎週楽しみに読んでいたので取り上げさせてもらうが、三菱総研の研究員らによるTake IT Easy がずっと週刊だったのが、4月から隔週公開となるそうだ。

毎週楽しみにしてただけに残念だが、いくら持ちまわりとはいえ、それなりの期間書いていると苦しくなるものなのか。それとも例えば会社の方針など他の理由があるのか。

思えば、最新回「インターネットでつかまえて」を書かれている小関悠さんの存在を知ったのもこの連載でだった。

実は小関さんが Take IT Easy の筆を執る(という表現はおかしいか)のはこれが最後である。ご本人が Twitter に明かされていたので書いてもよいと思うが、まもなく IPO を果たすあそこに移籍されるからだ。

それを知ったときはワタシも大層驚いた。ワタシは端的に言って嫌いだが超ビッグサービスである。そこでしかできないご活躍を期待したいところである。

先読み「情報脳」の鍛え方 〜情報中毒社会サバイバルガイド〜

先読み「情報脳」の鍛え方 〜情報中毒社会サバイバルガイド〜

2012-03-26

[] YAMDAS更新(内田麻理香『おうちの科学: 暮らしに効く おいしい!うれしい!なるほど!サイエンス』)  YAMDAS更新(内田麻理香『おうちの科学: 暮らしに効く おいしい!うれしい!なるほど!サイエンス』)を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録内田麻理香『おうちの科学: 暮らしに効く おいしい!うれしい!なるほど!サイエンス』を追加。

久々の読書記録である。ワタシは本を読むのが絶望的に遅いな。そういえば以前ワタシがお世話になっていたお店でコーヒーかすをタバコの吸殻入れに使っていて、そのときは単にコーヒーの匂いでタバコのそれを打ち消すということなのかな程度にしか思ってなくて、本書を読んでそうだったのかと納得がいった。そういうのが各自いくつもある本だろう。

プライバシーとデータ保護の観点でクラウドコンピューティングに関する法規制が少ない国はどこか プライバシーとデータ保護の観点でクラウドコンピューティングに関する法規制が少ない国はどこかを含むブックマーク

プライバシーとデータ保護の観点でのクラウドコンピューティングに関する法規制についてインフォグラフィックが紹介されている。

http://rww.readwriteweb.netdna-cdn.com/cloud/clicksave.png

法規制が少ない、つまりクラウドコンピューティングビジネスがやりやすい国としてアメリカ、イギリス、ドイツとともに日本が挙げられてるがホントかね?

あと紹介しておいてなんだが、最近さぁ、やたらとこのインフォグラフィック(Infographic)が海外ブログで多用されてるけど、本当に必要かいなと思っちゃうんだよね。

ウェブページには適宜図表が入れられるはずで、このインフォグラフィックで本当に絵にする必要があるのは世界地図だけじゃないのか?

『Making Things Talk』に続く新刊『Making Things Move』(そしてそれに続く新刊……) 『Making Things Talk』に続く新刊『Making Things Move』(そしてそれに続く新刊……)を含むブックマーク

Arduino をフィーチャーした電子工作本『Making Things Talk』asin:4873113849)に続く新刊『Making Things Move――動くモノを作るためのメカニズムと材料の基本』が発売になった。

まさか Making Things... とシリーズ化されるとは思わなかった。で、実は海外ではこれに続く新刊『Making Things See』asin:1449307078)が今年になって出ているのですな。Processing や Arduino といったおなじみのものに加え、Kinect がフィーチャーされているのが大きい。

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なお、オライリーからは『Making Things Happen』(asin:0596517718)という本が2008年に出ているが、これは『アート・オブ・プロジェクトマネジメント』(asin:4873112990)の原書の改版で、このシリーズとは無関係である。

こうしてみると『Make: Technology on Your Time』日本版の影響はホントいろんなところに及んでいるなとこの手の本の拡充を見るにつけ思うわけだが、Volume 11 が出てから一年近く経っており、そろそろ新しいのが出てほしいところである。

実はちゃんと作業が進んでおり、ワタシも Volume 12 のために翻訳をあげたのだが、まだ仕事が振られる可能性があるという話のまま数週間経っているんだよね。田村さん、大丈夫かしら……

Make: Technology on Your Time Volume 11

Make: Technology on Your Time Volume 11

初来福の津田大介村さ来に連れていった男の弁明 初来福の津田大介を村さ来に連れていった男の弁明を含むブックマーク

津田大介の「メディアの現場」の No.26 part2 の「津田大介のデジタル日記」に以下のくだりがある。

 ●ということで21時30分から福岡在住の人たちと食事会。お店はまあまあおいしかったが、福岡に来ると毎回感動的においしいお店を地元の人から紹介されるので、結果的には肩すかしを食らった格好に。

 ●そしてこの店のチョイスも香月だった。「お前ホントに大丈夫か?」と何度も確認したものの「大丈夫です! おいしいです!」と言いはるので、それを信じてそこにしたら、残念な結果に終わった。もう二度と福岡での店選びを彼に頼むことはないだろう。

 ●まあそれでも「おいしいお店紹介してよ!」と伝えて福岡を生まれて初めて訪れた際「村さ来」に俺を連れていった@yomoyomoに比べればマシなわけだが……。

 ●おもてなしの心って大事ですよね。

もはや津田大介が福岡に来たときの鉄板ネタな「初来福時に村さ来に連れて行かれた」話だが、メルマガで配信されるや否や「これはひどい」「東京生まれの福岡市民です福岡で「村さ来」見たことないですが」「せっかくの来福で「村さ来」はないわwww」「外食の文化がない人だったのかな」と津田っちに同情する声が噴出した。

おそるおそる Twitter 検索で「村さ来」を検索し、その結果を見たワタシは泣き崩れてしまったが、自業自得である。懺悔の気持ちをこめ、張本人であるワタシがその真相について書こうと思う次第である。

あれは2008年の秋、山口で仕事があるので、それが終わったら福岡で飲もうぜというメールを津田さんからもらい、ワタシが店をセッティングすることとなった。

このときが初めての福岡で、「福岡と言えば美味しい魚が食えるに違いない!」とwktk状態だった津田さんをいきなり博多駅近くの何の変哲もない居酒屋に連れて行き、何の変哲もない焼き鳥を食わせるという先制パンチを食わせてしまった。

実は当日は二人ではなく、FM 福岡の浅原プロデューサーもお誘いしていたのだが、「これはないだろ……」と呆れていたそうだ。後でそれを聞いたワタシは、だったら一言言ってくれよ! と逆切れしたのだが、初対面の人間(そう、浅原さんとはそのときが初対面)にそれは言えないよな。

一軒目で津田大介を意気消沈させた後は中洲に向かい、二軒目は浅原さん行きつけのまともなお店でひとしきり飲み、ことなきを得た。

ここらへんから記憶が怪しいのだが、その後浅原さんは先に帰られたと思う。その後、津田さんは「せっかく福岡に来たのだからラーメン食おうぜ!」と中洲の屋台でラーメンを食べたのだが、そのときもそれならここが美味いよ的な地元民ならではのサジェスチョンはまったくなしで、津田さんの心を再び冷やしてしまった。

その後天神方面に歩いたのだが、もうかなりいい時間で、始発まで時間をつぶそうということになった。その時点で朝の3時過ぎだが、天神ならその時間でもいくらでもお店はあるだろうが! と福岡在住の方なら思われるだろう。しかし、ワタシは特に考えなしに、西通りから目に入った「村さ来 天神本店」に案内したのである。

自分でも書いてて、当時のワタシは頭がおかしかったとしか思えないのだが、実際当時本業関係で精神的にかなり追い詰められており、「おもてなしの心」が皆無だったのは確かである。しかし、ワタシが半ひきこもりなのを差し引いてもひどい所業だったことに何の弁解もない。

かくして津田大介に福岡に来るたびに使える鉄板ネタを提供し、実際、彼は使っているが、後にまた福岡でお会いしたときに彼から「yomoyomo さん、あれはおかしいよ。あのさ、女性とデートとかしないの? お店に連れていったりしないの?」と淡々と諭されたときは、窓ガラスに体当たりしてぶち破り、"I can fly!" と叫びながら飛び降りたくなったね\(^o^)/

一応言っておくと、さすがのワタシも今はあんなことをやらかすことはないです。(もちろんこちらの都合が合えばだけど)知り合いの方が福岡に来られるときに一声かけていただければまともなお店にご案内しますよ! そうそう、最近「魚民」という魚が美味しそうな名前の居酒屋を知ってですね――

2012-03-22

「ちんさや リターンズ」終了に寄せて 「ちんさや リターンズ」終了に寄せてを含むブックマーク

その前身番組になぜかワタシも二度出演したことがある FM 福岡のラジオ番組「ちんさや リターンズ」が今月いっぱいで終了する。

思えば津田大介がゲスト出演した回を見学したときもつくづくヘンな番組だと思ったものだが、あれから一年半経ちヘンさはさらに度を増している。この番組はちんさんと林さやかさん、そして浅原プロデューサ、生森ディレクターの四人組の誰が欠けても成立しない番組なため、我が愛しの林さんが充電期間に入るとなれば終了するより他なく、おっさんとしてはその未来が光あることを願うばかりである。

f:id:yomoyomo:20120322001813j:image

ワタシはずうずうしくも番組の身内のようなつもりでいたのだが、長らく番組に何の貢献できなかったわけで、その点申し訳なく思う。最終回はこれまでの感謝を込め、しっかり見ないといけないのだが……………

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ブログ記事+αな電子書籍を無料配布するオライリー・メディアの勝算 ブログ記事+αな電子書籍を無料配布するオライリー・メディアの勝算を含むブックマーク

オライリーというと10年前から Safari Books Online というサブスクリプションモデルのデジタルライブラリを手がけ、またカタログの DRM を排した電子書籍化にも積極的だが、少し前から電子書籍の無料配布が目立つ。

例えば、先月紹介した『Best of TOC 2012』アンソロジーがそうだが、最近はビッグデータ関連で以下の二つがある。

こうしてみると分かるが、『Planning for Big Data』を除けばいずれもオライリーのブログ O'Reilly Radar に掲載されたブログ記事をまとめて(プラスアルファして)電子書籍化したものである。確かに PDF で20ページを超えるくらいになると、ウェブページよりもファイルとしてまとめて持ちたい気もする。

ただ元々無料で公開したものとはいえ電子書籍化にもコストはかかるし(しかもオライリーePub、Mobi、PDF と各種フォーマットに対応する)、執筆してもらうのにギャラも発生しているはずだ。どうやってペイしているのかというと、やはりカンファレンスビジネスの導線の役割をこれが担っているのだろうな。

オライリー本流といえる(?)プログラミング関係でも、Google のウェブ開発向けプログラミング言語 Dart の解説記事 What is Dart? がすかさず電子書籍版が無料公開されている。

ウェブ時代の情報の流れの速さへの対応ももちろんあるのだろうが、そんな無料で公開していいのかねという気にもなる。

[] Rhapsodyの創業者が語るTED講演「著作権の数学」  Rhapsodyの創業者が語るTED講演「著作権の数学」を含むブックマーク

ストリーミング音楽サービス Rhapsody の創業者である Rob Reid の TED 講演 The $8 billion iPodBoing BoingReadWriteWeb、そして Slashdot などで話題になっている。

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「著作権の数学」とは、音楽著作権団体が「インターネットにより○○億ドルの損失が!」と言い立てるその額がいかに馬鹿げているか説くもので、Cory Doctorow なんか「これは自分が見た中で最高の TED 講演かも」とまで書いているが、それほどのものかね? ただ、こうして言い立てられる金額が SOPA、PIPA、そして ACTA の論拠になっているのだから見ておいて損はない。

いずれ日本語字幕もつくだろうが、ビジュアル的な講演なので、英語字幕でも大体の趣旨は理解できる。

そうそう、TED というと NHK で「スーパープレゼンテーション」という番組が始まるようで、日本でもますます TED の認知が進むのだろうね。

あと Rob Reid の小説が7月に刊行されるようだが、表紙を見ただけで彼が何について書いているか分かるね(笑)

Year Zero: A Novel

Year Zero: A Novel

[2012年3月28日追記]:日本語字幕版ロブ・リード「80億ドルが詰まった iPod」が公開されている。

ようやく我々世代の人間に光が……もしくは津田大介はどこまでいくのか ようやく我々世代の人間に光が……もしくは津田大介はどこまでいくのかを含むブックマーク

上でとりあげた「スーパープレゼンテーション」のプレゼン解説に井庭崇さんが出演するが、ようやくワタシと同年代、もしくはもっと若い論客が深夜枠とはいえ NHK に登場する話をいくつも聞く。

これって「ニッポンのジレンマ」あたりからの流れなのか。まぁ、1970年代生まれも前半だと立派なアラフォーなわけで若手でも何でもないのだが、ワタシは同世代人として素直に応援したいと思う。

特に4月から始まる「NEWS WEB 24」には津田大介速水健朗さん(id:gotanda6)という1973年組の星が二人も出るとのことで楽しみである。

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TBS RADIO 文化系トークラジオ Life 人脈的には、TBS の新討論番組「田村総研」には主任研究員として荻上「ちきりん」じゃねえっつってんだろおおおおよおおおおおお!チキさん(彼は1980年代生まれ)が登場する。こないだの朝生なんか見てるとチキさんの話をまとめて前に進める手際の確かさは明らかだしね。また客員研究員に津田大介飯田泰之さん(Wired Vision 連載仲間、ということにしてください)など知った名前がちらほら。

ワタシとベンジャミン(誰や)は、津田大介は今年の紅白歌合戦の審査員に選ばれると予想しているのだが、果たして彼はどこまで行くのだろうか。最近は忙しさが尋常でないことだけは確かである。

2012-03-19

[] ヒューゴの不思議な発明  ヒューゴの不思議な発明を含むブックマーク

3D映画は過去『アバター』『トイ・ストーリー3』を観ただけで、その後は積極的に3Dでは観たくないと思っており、正直早くこのトレンドには死んでほしいとすら願っている。

しかし、マーティン・スコセッシの新作が3D映画としてとても良いという話を小耳に挟み、およそ一年半ぶりの3D映画観覧となった。ワタシは近眼なので3Dでは字幕も読み辛いだろうと吹替版を選んだのだが、ここまでこだわってる時点で何かおかしい気もする。

人工的な映像美や小道具が多い本作の題材は3Dに適していたと思うし、確かによくできていた。それでも3D映画鑑賞時に感じるフラストレーションはやはりあって、ワタシの考えを大きく変えることはなかった。

それでは一本の映画としてはどうかというと、自分でもまったく理由が分からないのだが、サシャ・バロン・コーエン演じる鉄道公安官が花屋の売り子に自らの足の話を一言したところで涙がこぼれ出し、以後は最後までずっと泣きながら観ていたため冷静に判断はできない(朝一の客の少ない上映でよかった…)。どうやら良い映画だったようだ。

本作の主人公ヒューゴは世界を機械にたとえ、その視点でみればこの世に無駄なものはなく、どんな人間にも存在意義と役目があるという考えを披瀝する。実はワタシ自身はこの考えをまったく支持しないのだが(だから不幸なのかもれない)、もっと自然に即した言葉で似た考えが披瀝される名画が他にもあったっけ。そう、フェリーニの『道』だった。あれも大好きな映画だ。

主人公の信念はこの映画の中で、「修理する、直す(fix)」という行為で表現される。それは彼の父親が残したオートマトン(偶然にも『謎のチェス指し人形「ターク」』を読んだばかりでよかった!)に始まり、失意の晩年をすごす駅のおもちゃ屋の主人、そしてただ主人公の邪魔をするだけのコメディリリーフでしかないと思っていた鉄道公安官にも及ぶ。

本作は、ジョルジュ・メリエスなど初期の映画人の作品に対する臆面もない映画愛を謳う映画である。ある登場人物は、自分が人生で学んだこととして「ハッピーエンドは映画にしか存在しない」と苦々しく語るが、本作はそれを覆さんとするファンタジーの傑作である。ストーリーは端的に言って破綻していたと思うけど。

個人的には、煮ても焼いても食えない『ギャング・オブ・ニューヨーク』でスコセッシの評価を大きく下げ、その後もオスカー狙いミエミエな映画を作っていると観もしなかったが、本作はこれまでとまったく作風が異なる、しかし、紛れもなく彼らしい映画愛を表現した映画を観れてよかった。ハワード・ショアのクラシカルな風格のある音楽は本作によく合っていた。

役者ではレイ・ウィンストンがしょうもない役をやっていて悲しかったが、ジュード・ロウに髪が残っていた。そうそう、クロエ・グレース・モレッツは『キック・アス』以来だけど、ホントこの人チャーミングな女優さんですね。

もう一度、今度はあえて2D字幕で普通に観たらどうだろう。

[][] ダン・ギルモアの新プロジェクト「Permission Taken」が楽しみだ  ダン・ギルモアの新プロジェクト「Permission Taken」が楽しみだを含むブックマーク

Boing Boing で知ったのだが、ダン・ギルモアが Permission Taken という新プロジェクトの告知をしている。

彼の文章の冒頭部を大雑把に訳しておく。

最近まで、私は Apple 教の幸福な侍者だった。私は一日のほとんどの時間 Macintosh のラップトップを使っていた。iPhone を使っていた。Facebook のアカウントには何千もの「友達」がいたし、ほとんど Google の検索エンジンだけを使っていた。自分の情報がサードパーティに誤用されるのが心配ではあったが、それについて特に何もしなかった。私は、それがいきつく先を考えることなく最新の最良のテクノロジーを愛していたのだ。

私は今でもテクノロジーを愛しているし、それが我々の生活を変革する役割を果たしていると信じている。だが、それがどのように機能しているか、またいかに強力な利益がそれを機能させようとしているか学ぶにつれ、ますますいくらか変化する必要性を感じるようになった。

だから今日、私はフリーでオープンなオペレーティングシステムである Linux が走るコンピュータ上でこれを書いている。Android のスマートフォンを手に入れ、製造メーカーや通信キャリアが課すことを好む制約を取り除くよう変更を加えた。私は Facebook のアカウントを閉じ、かなり違ったやり方で検索エンジンを使っている。そして、サードパーティが私や私の活動について知ることを許可していることについてずっと注意するようにしている。

ダン・ギルモアがこいうテーマを採用するとは予想してなかったので意外な感じがしたが、個人的には楽しみである。今一度フリーでオープンなテクノロジーの重要性と情報がどこに流れるはしっかり把握する必要性の認識ということか。これにはクラウドがどんどん閉じていくことへの危機感もあるのだろうね。

自分のプロジェクトに先行する仕事としてレベッカ・マッキノンの『Consent of the Networked』ジョナサン・ジットレインの『インターネットが死ぬ日』、あとドク・サールズEdging toward the fully licensed world というブログ記事、そしてリチャード・ストールマンの名前が挙げられている。

これまで通り、書籍の形をとるが、ウェブサイトにクリエイティブ・コモンズのライセンスの元で公開の予定とのこと。Android アプリでの展開も考えているのが今風か。

[] オンライン論文誌First Mondayの最新号で気になった論文をいくつか  オンライン論文誌First Mondayの最新号で気になった論文をいくつかを含むブックマーク

ここでも何度か紹介しているオンライン論文誌 First Monday の最新号がなかなか面白そうなので、気になったブツを以下あげていく。

まず Censorship and deletion practices in Chinese social media。これはタイトル通り、中国のソーシャルメディアでどのように検閲と削除が行われているかのなかなか力の入った調査を基にする論文である。クリエイティブ・コモンズの表示 - 継承 3.0 ライセンスで公開されてるので、誰か日本語に訳したりしないかな。

つづいて The gross face and virtual fame: Semiotic mediation in Japanese virtual communication だけど、日本語によるバーチャルなコミュニケーションについての論文で匿名性や不透明性、そのための独特の慣習を扱っている。

冒頭に引用されている画像に少したじろぐがもちろん真面目な論文である。著者の Shunsuke Nozawa さんって Twitter アカウントとかお持ちだろうか?

そしてもう一つ、Do open source software developers listen to their users? だけど、これは多くの人が疑問に思ったことがあるであろう「オープンソースソフトウェアの開発者はユーザの声に耳を傾けているか?」ということを調査しており、結果としては開発者のユーザビリティへの意識はあまり高くないとのこと。ふーむ。

2012-03-15

[][] はてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか?:後記  はてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか?:後記を含むブックマーク

はてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか?は、本サイトに5年近くぶりに公開する技術コラムだったのでそれなりに気合いを入れて書いた文章だったが、まさか自分が過去書いたり訳したどの文章も超えるはてなブックマークを1日足らずで集めたのには驚いた。「最近のはてなの体たらくへの失望感に名前を付けたい」というだけの文章という誉め言葉をいただいたのはともかく(皮肉でなく、本当にそれだけだったら素晴らしいと思うので)、サッカーのフロントにあてはめた文章まで出るとは思わなかった。情報を加える後記を少し書かせてもらう次第である。

まずその前に、はてなブログについてチーフエンジニア兼ディレクターの大西康裕さん(id:onishi)が行ったプレゼン資料「新はてなダイアリーの裏側」が公開されていることを id:laiso さんにブックマークコメントで教えていただいた。はてなブログについて論じる上で、こうした公開情報にリンクしないのは片手落ちだった。

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当方が文章で紹介した、「プログラムをスクラッチから書き直すことに決める」ことは絶対やってはいけないという Joel Spolsky の論については、柏野雄太さんが書くように「思いっきり状況に依存してる」のかもしれない。つまりはケースバイケースということですね。少し前に読んだ『グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ』にも、創業者が Java で書いた検索エンジンのコードを Python で丸ごと書き直す話が出てきたっけ。

それではスクラッチから書きなおして成功するところと失敗するところの違いは何か? それを考える上で、とても重要な証言といえるのが、ライブドアの次世代ブログサービス(になるはずだった)nowa の話である()。自分の文章を書いたときはこの存在を知っていたら絶対援用していたはずだ。それくらい相似を感じるのだが、これもいわゆるひとつのシンクロニシティなのだろうか。

開発者なら誰しも一度は「あー、もう全部捨てて一から作り直したい!」と叫んだ経験があるだろう。その選択が正しいことも勿論あるのだが、多くの場合、それは期待しているほどの「銀の弾丸」ではない。作り直すうちに、結局過去と同じような道を辿り、過去と似たような問題が発生し、時間とコストだけかかってだいたい元と同じ程度にしがらみを抱えたコードが完成する。そしてその間は、外から見るとただの停滞期間だ。重要なのはしがらみを捨て去ることではない。そのしがらみをいかに受け止められるかだ。

nabokov7; rehash : ライブドアという会社の話をしよう - Q12. 次世代ブログサービス(になるはずだった) nowaの撤退をどうみた?(下)

書き直しの成功例は、飽くまで既存サービスの内部的置き換えに徹している場合が多いのではないか。つまり、Joel Spolsky が原文で書く、注意深いリファクタリングによるアーキテクチャの再構築に近いもので、高速化などいろいろ目的はあるにしろユーザに見える外部仕様が(既存サービスに寄り添う形で)はっきりしている。

対して失敗例は、既存サービスと平行して公開され、しかし、その完全な置き換えにならず既存サービスとの距離感がユーザに理解されず求心力を持てない場合が代表としてありそうだ。「およそたいていのことは、技術で実現できる。でもユーザを集めてくることは、技術だけでは無理だ」という指摘はとても重い。

以下、個人的に気になった Twitter 上の主な反応をピックアップさせてもらう。

藤川真一さんは「エンジニアの病気」という表現を使っているが、結城浩さん(id:hyuki)が書くはじめからやり直したい症候群に近いと思われる。

はてなブックマークをフルスクラッチで書き直し、また同じくフルスクラッチの書き直しの成功例と言われるクックパッド(id:heimin さんによるとはてなブログより約5000倍直感的に操作できる)に転職した舘野祐一さん(id:secondlife)のとても貴重な証言。

なお、はてな前 CTO の伊藤直也さんも、一から書き直すべきかどうかは結論なんて出ないという趣旨のツイートをされていたが、既に削除済でここには引用できない。

奥一穂さんのツイートは正直ちょっとよく分からなかった。

これは田中ばびえさん(id:babie)の早合点で、見放すも何もワタシは今もはてなダイアリーの有料ユーザであり、現に今もこうしてはてなダイアリーに書いている。

正直なところ、少し前からずっと気分が落ち込んでいるため、新しくブログを立てて「はてなダイアリー止めました!」とか宣言する元気がないし、またそうするだけの張り合いが今の自分には持てないのだ。

2012-03-12

[][][] YAMDAS更新(はてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか?)  YAMDAS更新(はてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか?)を含むブックマーク

Technical Knockoutはてなは「絶対すべきでないこと」をやらかしたのか?を追加。

本サイトに技術コラムを書くのは2007年以来、およそ5年ぶりだ!

冒頭にも書いたけど、タイトルから容易に想像されるはてなブックマークボタンの話じゃないからね!

実はこれを書いていて、冒頭にモリッシーが80年代に受けたあるインタビューを引用と思い立ったのだけど、それを収録した(はずの)本が実家にしかなく断念した。

Joel on Software

Joel on Software

「データジャーナリスト」とは具体的にはどういう人たちか? 「データジャーナリスト」とは具体的にはどういう人たちか?を含むブックマーク

近頃は「ビッグデータ」がすっかりバズワード化しており、その影響が各分野に及んでいる。その一つがジャーナリズムの世界で、思えばティム・バーナーズ=リー卿が「データ解析こそがジャーナリストの未来」と言って一年以上経つのね。

しかし、固定観念があると「データジャーナリスト」と言われても、それは一体データで何をする人なんだろうとイメージが湧かないだろう。

ちょうど Strata 2012瀧口範子さんが参加された感想を書いている)の開催にあわせ、O'Reilly Radar に掲載された「データジャーナリスト」へのインタビューがまとめられている。

インタビューを受けている「データジャーナリスト」たちは New York Times や Los Angeles Times といった新聞社や NPR といった放送局というよく知ったところに属しているが、その仕事は API architect であったり Daily Visualizer であったり Human Algorithm であったり、確かに旧来のジャーナリズムだけ考えていると想像もつかない職種である。

「データジャーナリスト」へのインタビューはこのエントリ公開後も続いているので、この分野に興味のある人は O'Reilly Radar を辿ってみるのがよいだろう。

[] 天才が意図的に作ったクソアルバム5選(でも実はそれほどひどくない)  天才が意図的に作ったクソアルバム5選(でも実はそれほどひどくない)を含むブックマーク

これは面白い企画である。長いポップ音楽の歴史では(主にレコード会社との軋轢が基で)ミュージシャンが意図して駄作を作る結果となった作品がいくつかある。この記事では、マーヴィン・ゲイが、レーベルと元妻に印税を巻き上げられると分かっていたので『離婚伝説』(このアルバムは邦題で書きたい)を駄作にした都市伝説が紹介されているが、天才が意図的に作ったクソアルバムの代表5枚は以下の通り。

5. Prince, Chaos and Disorder

Chaos & Disorder

Chaos & Disorder

これは殿下がワーナー最後のアルバムで、この何年も前から改名するとかリリース方法で揉めに揉めており、顔に「SLAVE(奴隷)」と描くなどの行為を含め、正直ファンとして当時はうんざりしていた。

昔ロキノンに載ったワーナーの担当者座談会でも、この当時の来日時はワーナーとの関係が最悪なので、担当者はワーナーの人間と名乗れなかったとか言っていたっけ。

このアルバムは確か非常に短時間のレコーディングで作られたはずで、かなり荒い作品だし、そのあたりタイトルにも出ている。

Lou Reed, Metal Machine Music

Metal Machine Music

Metal Machine Music

えーっと、このアルバムについては「でも実はそれほどひどくない」という但し書きは必要ない、正真正銘のクソだと思います。だって、アナログ2枚組にわたりひたすらギターノイズのみ、ですから。

ただ本人はこのアルバムを会社名にしたり、近年もライブ盤をリリースしたり、リマスターしてオンライン販売したり、愛着があるようだ。困ったオヤジである。

3. Mike Oldfield, Amarok

AMAROK-REMASTERED

AMAROK-REMASTERED

彼がデビュー時から在籍したヴァージンレコードでの最後から2番目のアルバムである。

今では知らない人も多いのだろうが、ヴァージンレコードから最初にリリースされたアルバムがマイク・オールドフィールドの『Tubular Bells』で、この2000回のダビング、5回のリマスタリングを経て偏執狂的に作られたアルバムが世界的に大ヒットしたことでリチャード・ブランソンはでかい顔ができるようになったわけだ。

後にオールドフィールドがロキノンのインタビューで語っていたが、80年代以降彼とヴァージンの関係も悪化の一途で、ヴァージンは彼がアルバムを作るたびに『Tubular Bells II』と名前をつけて売りたがり、彼が完全拒否する、の繰り返しだったようだ。『Amarok』に "fuck off RB" というモールス信号が埋めこれまれているという話はこの記事で初めて知ったな。

で、この後もう一枚出してようやくレコード契約が切れたと思ったら、ヴァージンは契約書の穴を見つけて彼を拘束しようとしたらしい。それに対してオールドフィールドは、記者会見を開いてその場でリチャード・ブランソン人形を機関銃で蜂の巣にするなどありとあらゆる奇行をやらかすと脅し、なんとか身柄解放となったそうな。

で、ワーナーに移籍するとともに晴れて『Tubular Bells II』を出してヒットさせたそうな。めでたしめでたし(?)。

2. Neil Young, Trans

Trans

Trans

70年代の栄光と比較して80年代の迷走が目立ったニール・ヤングだが(当時在籍したゲフィンレコードから「意図的に売れないアルバムを出している」と訴訟を起こされたくらい)、特にこの1982年発表のアルバムは、全ファンを困惑させた。

ニール・ヤングといえばあの震える甲高い声と人を刺し殺すようなむき出しのギターがトレードマークだが、『Trans』ではその両方が排され、ヴォコーダーを通した無機質なヴォーカルと単調なテクノなサウンドに満ちていたからだ。

これには実は理由があって、当時生まれたばかりの息子が脳性麻痺で喋れなかった。このアルバムのヴォコーダーの使用は、この息子から見た世界、彼が感じる世界を表現したものだったのだ(確かその前に生まれた彼の息子もやはり脳性麻痺で、さすがに80年代は世捨て人になりかけた、とインタビューで語っている)。

なので『Trans』を駄作とはヤング自身は考えておらず、実際90年代に入り復活を遂げた後の MTV Unpluggedasin:B000002MKM)でこのアルバムから "Transformer Man" の見事なバージョンを披露してそれを証明し、ファンを「アコースティックでやったら名曲じゃん……なんで当時やってくれなかっただよ」と苦笑いさせた。

1. Bob Dylan, Self-Portrait

Self Portrait

Self Portrait

ディランの場合、80年代にもっとクソなアルバムをいくつも出しているので、長期的に見れば衝撃も薄れているが、70年当時存在が既に神格化されていたディランが、他人の曲やトラディショナルの曲を2枚組にわたってやらかし、そうした何ともディラン色の薄いアルバムに自作の絵をジャケットにして「自画像」というタイトルをつける彼のセンスにファンはひどく当惑したそうな。

数年前に読んだインタビューで、『Self-Portrait』までのキャリアは完璧だったのにというインタビュアーにディランが同意し、ちょっとここらで駄作も出したくみたくなってね、あのアルバムはジョークだ、みたいなことを堂々と語っていて、おいおいおいおい! と驚き呆れたものだ。

2012-03-08

[] おとなのけんか  おとなのけんかを含むブックマーク

『ゴーストライター』に続くロマン・ポランスキーの新作である。しかし、なんなんだこの三谷幸喜の映画みたいな邦題は。

舞台劇の映画化というのが一目で分かるつくりで、登場人物はほぼジョディ・フォスタージョン・C・ライリーケイト・ウィンスレットクリストフ・ヴァルツの二組の夫婦四人のみ。場所もほぼ前者夫妻の部屋のみというミニマルなつくりだが、さすがポランスキーというべきか、しっかり起伏を作っている。

映画は、木の枝で殴って歯を折る喧嘩をやらかした二人の両親が集まり、礼儀正しい話し合いをはじめたはずがいろいろあってやらかしてしまう文字通り「おとなのけんか」のみを描いた映画である。80分という短い上映時間というのを知っていたので、二組の夫婦が言葉を変えながらただ罵り合う映画だったらどうしようと思っていたが、そんな単純なものではなく、言い争いの中で他の不満点が混ざってしまう感じ、責められる立場が微妙に変わるうちに本来敵同士の立場な人に連帯感が生まれる感じをうまく表現していたと思う。

ジョディ・フォスタージョン・C・ライリーが、芸術を愛しリベラルな文明人たろうとしながら神経質さが顔をのぞく妻と鷹揚だけど男として旧態依然でガサツな夫といういかにもな役柄を演じていて、あとクリストフ・ヴァルツの嫌なヤツぶりも印象的。『イングロリアス・バスターズ』もそうだったけど、この人は慇懃無礼でふてぶてしい悪役をやらせると上手いなぁ。

映像的にあと一歩アクセントがほしい気がしたが、ぽかんとなる顛末までひきつけられたままだったし、その後の後味も良い映画である。

ニコラス・G・カー先生が5冊の本で語る「情報時代の影響」 ニコラス・G・カー先生が5冊の本で語る「情報時代の影響」を含むブックマーク

恥ずかしながら知らなかったのだが、The Browser に各種分野の専門家が重要書籍を(自分の本以外で)5冊ずつ挙げていくインタビューシリーズ Five Books というのがあり、そのアーカイブを見るとジェフリー・アーチャーが「ベストセラー」、ブルース・シュナイアーが「信頼」を担当しているが、ホントにすごい数だ!

そのシリーズでカー先生が情報時代の影響についてインタビューを受けている。彼は以下の5冊を選んでいる。

トム・スタンデージ『ヴィクトリア朝時代のインターネット』

ヴィクトリア朝時代のインターネット

ヴィクトリア朝時代のインターネット

『謎のチェス指し人形「ターク」』を先に読んだが、この本についても読書記録を書くつもり。カーがこの本を選んだのは、我々が情報時代というものをまったく新しいものと考えがちだからとのこと。

James Gleick『The Information: A History, a Theory, a Flood』

The Information: A History, a Theory, a Flood

The Information: A History, a Theory, a Flood

著者はピューリッツァー賞も受賞したことがある作家で、かなり大きなテーマに取り組んだ本みたい。

Tim Wu『The Master Switch』

The Master Switch: The Rise and Fall of Information Empires

The Master Switch: The Rise and Fall of Information Empires

やっぱり邦訳は(以下略)

Matthew Crawford『Shop Class as Soulcraft: An Inquiry into the Value of Work』

Shop Class as Soulcraft: An Inquiry into the Value of Work

Shop Class as Soulcraft: An Inquiry into the Value of Work

この本の存在自体知らなかった。少し調べたが、この本についての日本語の書評は見つからなかった。この本自体はインターネットとは特に関係ないが、情報時代に重要なものの考え方について語っているとカーはみているようだ。

Gary Shteyngart『Super Sad True Love Story』

Super Sad True Love Story: A Novel

Super Sad True Love Story: A Novel

最後に小説をもってきたのも意図的みたいだが、以上の本についてカー先生が具体的にどう言っているかは原文をあたってくだされ。

[] トーキング・ヘッズの「(Nothing But) Flowers」のちょっとした改変、「Blind」の未だ見ぬエンディング、他名作ビデオ紹介  トーキング・ヘッズの「(Nothing But) Flowers」のちょっとした改変、「Blind」の未だ見ぬエンディング、他名作ビデオ紹介を含むブックマーク

YouTube で調べものをしていて、トーキング・ヘッズのラストアルバム『Naked』に収録された "(Nothing But) Flowers" を久しぶりに見た(以下紹介するビデオはすべて EMI のチャンネルにあるので、堂々と紹介して問題ないだろう)。

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ワタシにとってこのビデオの最大の美点は、若く美しいジョニー・マーカースティ・マッコールの二人が見れることなのだが、歌詞を実にうまく見せるビデオの代表例と言える。

……と見ていて、あれ? と思った。これはワタシが知ってるビデオと微妙に違う!

どこが違うか? このビデオは曲中 "you got it, you got it" という歌詞が繰り返されるところで各メンバーの顔が半分写り、そのもう半分の緑バックに歌詞と関係ない統計などのランダムな情報がテロップで表示されていたのだが、このビデオではそれがすべて削除されている。

……なんで? そうしないと統計の値が現状にあわないと抗議がくるのだろうか?

せっかくなので、同じ EMI のチャンネルから名作揃いのトーキング・ヘッズのビデオをいくつかはっておく。

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アルバム『Little Creatures』収録。この曲は日本でも確か車の CM に使われていた記憶があるし、日本でもっとも有名なヘッズの曲だろうか。

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これもアルバム『Little Creatures』収録。

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アルバム『True Stories』収録。1987年の MTV Video Music Awards の Best Group Video をとったビデオで、プリンスのパロディーが楽しい。まだ映画俳優として有名になる前のジョン・グッドマンが出ている。

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アルバム『Naked』収録。見ての通り、共和党大会を模した政治色の強いビデオだが、それとは関係なしにこれ日本のテレビではオンエアできなかったのではないか?

ピーター・バラカンの『ミュージック捜査線』によると、このビデオの最後赤ちゃんがレンチをキャッチした後、以下の映像が続くらしいのだが、そこまで収められたバージョンをワタシは未だ見たことがない。

そしてその赤ちゃんが座っているところからカメラが退いて行くと、だだっ広いスペースにどでかい文字が書いてある。V-O-T-E(投票しろ、つまり選挙権を無駄にするな、ということ)である。(335ページ)

"(Nothing But) Flowers" もそうだが、YouTube で見れるものがそのまますべてとは思ってはいけない。

なお、トーキング・ヘッズの再結成は「デヴィッド・バーンからの電話待ち」らしいが、10年前のロックの殿堂入りのときのバーンと残り3人の間に流れる冷たい空気を見てしまうと、バーンが再結成に応じるとは思えない。

2012-03-05

[] YAMDAS更新(トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』)  YAMDAS更新(トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』)を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録トム・スタンデージ『謎のチェス指し人形「ターク」』を追加。

謎のチェス指し人形「ターク」

謎のチェス指し人形「ターク」

読む本がまだまだたまってるんだよね……早く同じ著者の『ヴィクトリア朝時代のインターネット』も読みたいのに。

Amazonへのリンクを理由に電子書籍の販売をAppleに拒否されたセス・ゴーディン Amazonへのリンクを理由に電子書籍の販売をAppleに拒否されたセス・ゴーディンを含むブックマーク

すっかり乗り遅れてしまったが、Boing BoingReadWriteWeb など各所で話題の記事である。

日本でも多くの著書が翻訳されているセス・ゴーディンが電子書籍 Stop Stealing Dreams の販売を Apple から拒否されたのだが、その理由が本の中で紹介した参考書籍に Amazon へのリンクをはってたからじゃないのとのこと。

ゴーディンが書くようにこれは Vimeo を宣伝する動画を YouTube がブロックしたり、Bing が Google Docs へのリンクを検索結果から外すようなもので、電子書籍のプラットフォーム囲い込みがこれから進むのだろうなと暗い気持ちになる。

この辺についてもう少し掘ってマガジン航に原稿書けたらよいのだが。

ITベンチャー創業者インタビュー集『Founders at Work』のヨーロッパ版が刊行されていた ITベンチャー創業者インタビュー集『Founders at Work』のヨーロッパ版が刊行されていたを含むブックマーク

この記事を見て初めて知ったのだが、『Founders at Work 33のスタートアップストーリー』の続編といえる European Founders at Work が今年の1月に刊行されていた。

screenshot

ただ今回は Jessica Livingston でなく Pedro Gairifo Santos という人が著者である。

ヨーロッパとなると知らないところばかりなんだろうなと思っていたら、Last.fmFON といった予想できたところだけでなく、TweetDeck や Moo.com や Daily Motion といった知ったサービスが並んでいて面白そうである。

果たしてこちらの邦訳は出るのかな。

European Founders at Work

European Founders at Work

ギークのダイエットブームが来る? ギークのダイエットブームが来る?を含むブックマーク

毎月いただいている Software Design の3月号で、谷口公一さんの「ITダイエッターにぽたん」という新連載が始まっている

Software Design (ソフトウェア デザイン) 2012年 03月号 [雑誌]

Software Design (ソフトウェア デザイン) 2012年 03月号 [雑誌]

最初思わず笑ってしまったが、氏のブログのダイエット記事は評判になったし、この連載第1回目も「ようこそ、論理的ダイエットの世界へ」とのことで、ギークらしいダイエット論が読めるのだろう。

何より帰省するたびに母親に頼むから少しは痩せてくれと泣かれてしまうワタシ自身この話題は他人事ではない。

そんなところでオライリーから4月に Fitness for Geeks という本が出るのを知り、今年はギーク向けダイエットブームが来るのかも? と勝手に思ったり。オライリーも目の付け所がいいというか、面白い本を作るものだ。

Fitness for Geeks: Real Science, Great Nutrition, and Good Health

Fitness for Geeks: Real Science, Great Nutrition, and Good Health

[] ゴーストライター  ゴーストライターを含むブックマーク

ゴーストライター [DVD]

ゴーストライター [DVD]

映画館で観ようと思いながら微妙に予定が合わず観そびれていた映画。思えばワタシはポランスキーの映画って『チャイナタウン』と『赤い航路』ぐらいしか観てないのよね。

本作は彼がスイスにて身柄を拘束されるトラブルの前後に製作されたはずで、ベルリン国際映画祭の銀熊賞などいくつも賞を取ったのは、ヨーロッパの映画人によるポランスキーに対する支援の気持ちの現れでもあったのだろう。

映画としては意外にもシャープにかっちりまとまった政治スリラーの佳作で、謎が解かれ、さらにその後に続くエンディングまで楽しんで観れた。孤島という舞台設定もサスペンスの盛り上げ方も巧くて、題材から想像した重々しさよりもむしろポランスキーの手腕に軽やかさを感じた。

「テロとの戦争」において命令した過去で戦争犯罪人として告発されるイギリス前首相アダム・ラングがあからさまにトニー・ブレアを模しており、その彼ならびに彼が支持したアメリカのブッシュ政権への批判が意図されているのは明らか。告発されたラングは本国イギリスには帰れないが、(中国や北朝鮮といった国と同じく)アメリカにいる限り、国際司法裁判所の手が及ばず逮捕されないという話は皮肉で面白い。が、それって収監されてしまうのでアメリカに入国できないポランスキーの境遇の裏返しとも言えるわけで、本人はその皮肉をどこまで意識してたのか。

主人公のゴーストライターを演じるユアン・マクレガーが映画の所々で「お前、イギリス人だろ?」と言われるのだが、そんなに分かるものなのか。吹替でなく字幕で観るべきだったか。

2012-03-01

[][] ルー・リードが70歳を迎え、屈指の名盤『The Blue Mask』がリリース30周年を迎える  ルー・リードが70歳を迎え、屈指の名盤『The Blue Mask』がリリース30周年を迎えるを含むブックマーク

昨年のメタリカとの共演作について「ルー・リードはネットでの批判に傷ついている」と伝えられ、苦笑いしてしまった。

彼の熱狂的なファンとしてワタシはその『Lulu』のことを擁護すべきなのだろうが、正直そういう気になれない。『Lulu』は悪い作品ではない。しかし、彼のファンであるワタシもおよそ10年間続いている変則的な作品形態にいい加減うんざりしているからだ(ただ単なる批判にとどまらず、メタリカのファンから脅迫めいたものもあったようで、それはひどい話だと思う)。

そんな折、Rolling Stone のサイトに彼の名盤『The Blue Mask』がリリースされて30年が経つことを祝う文章が見かけた。またこの記事で知ったのだが、ルー・リードは明日3月2日に70歳の誕生日を迎えるのね。古希である。

『The Blue Mask』については昔はてなダイアリーが選ぶ名盤百選企画(!)で取り上げたことがあるが、本当に素晴らしいアルバムである。

1980年代に入り、ジョン・レノンが期せずして一抜けした後、ポール・マッカートニーボブ・ディランポール・サイモンといった彼と同年代のロックスターは軒並み作品が低調になっていく。そんな中、アラフォー(当時そんな言葉はなかったが)でも生々しく優美で緊張感に満ちた大人のロックをやれることをいち早く示したアルバムなのだと今にして思う。

ルー自身はこのアルバムの成功の鍵としてセカンドギタリストとしてのロバート・クインの存在を挙げており、ワタシはその彼についても「イカれた保険外交員の青春」という文章を書いていてとても良い文章なので(自分で言うか!)読んでもらえると嬉しい。

Blue Mask

Blue Mask

[] 『情報共有の未来』に登場する回数が多い人は誰か? #infoshare  『情報共有の未来』に登場する回数が多い人は誰か? #infoshareを含むブックマーク

旧聞に属するが、八田真行さんのツイートを見てはっとした。

八田さんには『情報共有の未来』の中で何度もその論を参考にさせてもらっている、端的に言えば、本書成立の恩人の一人だ。これは献本するのが筋だと思ったのだが、なんだか面倒になって止めてしまった(おい!)。

その後、この本にもっとも多くの章に登場する人は誰だろうと思いつく人名で検索をかけて調べてみたところ、以下の結果になった(登場回数は本文のみを対象とし、あとがき部分は含めないことにした)。

  1. ティム・オライリー(13章)
  2. ニコラス・G・カー(13章)
  3. ローレンス・レッシグ(11章)
  4. 山形浩生(9章)
  5. 津田大介(8章)
  6. 八田真行(7章)

数え間違いがあったらごめんなさい。あと実はワタシが気づいてないだけで、他にもっと登場回数が多い人がいたら申し訳なし。

オライリーとカーが同数1位というのはちょっと意外だった(カー先生大健闘という意味で)。6つの章に登場となるとリチャード・ストールマンなど複数の人が入るので省略するが、要は『情報共有の未来』においてワタシはストールマン御大より八田先生を参照することが多かったということである。

[] ゾンビ黙示録に立ち向かうオープンソースガイド  ゾンビ黙示録に立ち向かうオープンソースガイドを含むブックマーク

ゾンビがはびこる世界になっても、エネルギーの確保から生き残った友人の探索や暇つぶしなどまでオープンソースがあなたの各種ニーズを満たします! という The Open Source Guide To The Zombie Apocalypse(リンク先 PDF ファイル)が作られているのだが、こういうくだらないネタ好きだなぁ。

というかゾンビが好きなんですね。個人的に驚いたのは、上記リンク先に示された「公開されたゾンビ映画の数グラフ」の画像で、21世紀になって数がどーーーん! と増えている。これホントだろうか?

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[][] LocalWikiプロジェクトがオープンソースコミュニティを生み出す  LocalWikiプロジェクトがオープンソースコミュニティを生み出すを含むブックマーク

近頃珍しい Wiki でコミュニティな話題の直球な実例。

具体的には LocalWiki を使ったコミュニティ構築の話で、Triangle Wiki 立ち上げにあたり、Triangle Wiki Day と称して Red Hat 本社に50人ほど集まってその地域の情報を Wiki にまとめたということで、要はオープンソースってのはソースコードがすべてではなく、こうした貢献もできるよということみたい。

Triangle Wiki Day に Wiki に集まった情報は相当なものらしいが、Wiki がある程度継続的にメンテナンスされ、情報が更新されないといけないんだよな。

[] Software Freedom ConservancyによるGPL執行活動と非GPLBusyBox代替物を求める動き  Software Freedom ConservancyによるGPL執行活動と非GPLなBusyBox代替物を求める動きを含むブックマーク

この件、正直ワタシはよく分かってないので日本語で誰かまとめてくれないかなと思って待ってたら半月以上経ってしまったので簡単に触れておく。

ワタシは Harald Welteブログエントリで知ったのだが、Busybox の著作権保有者である Software Freedom Conservancy(SFC)による GPL 執行のやり方が論争になっていたようで、非 GPL ライセンスな Busybox の代替物を作ろうやという提案がなされたとのこと。

Harald Welte がこの話題に関心を持つのは、彼自身著名なオープンソースプログラマというだけでなく、Software Freedom Conservancy が Busybox についてやっているように、彼も gpl-violations.org において Linux カーネルの GPL 執行の活動をやってるからなのだが、非 GPLBusybox を提案した人が Sony のエンジニアであり、Busybox は組み込み Linux 機器の相当割合で使われているユーティリティであるため、いろいろ憶測を呼んだようだ。

その後 SFC の Bradley M. Kuhn が Embedded Linux Conference の会場で、その Sony の Tim Bird と会合をもちBusybox に対する SFC の GPL 執行についての懸念が誤解であることを伝えたようだ。

Kuhn としてはフリーソフトウェアが書かれること自体はよいことなのだから、非 GPLBusybox 代替物だって別にいいよということみたいだが。

そうそう、ワタシも Kuhn の「当代GPL違反分析」という文章を訳してるね。

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