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2013-10-28

[] 追悼ルー・リード 〜 偉大なるロック詩人、ギタリスト、偏屈オヤジ  追悼ルー・リード 〜 偉大なるロック詩人、ギタリスト、偏屈オヤジを含むブックマーク

彼は打ちのめされ叩きつぶされて横たわり
十字架の上でクシ刺しにされ血を流して
ロクに話すこともできなかった

Lou Reed, "Dime Store Mystery"

朝 iPhone のアラームで目覚めると、そのまま iPhone で Twitter をチェックするのが習慣になってどれくらいになるだろうか。いきなりルー・リードの訃報が目に飛び込むも、寝ぼけ頭のため感情がついてこず、ぼけっとしたまましばらく放心状態だった。

好きなミュージシャンはたくさんいるが、ワタシの場合、究極的にはルー・リードロバート・フリップの二人に行き着いてしまう。その片方の死はもちろん悲しかった。

ワタシが自分の志向に従って本格的に洋楽を聴き始めたのは80年代後半だが、1989年にリアルタイムに出会ったルー・リードの新譜が、彼のキャリアにおいて屈指の名盤である『New York』だった。このアルバムは当時多くの中年ミュージシャンたちが苦しんでいたコマーシャリズムと MTV の80年代の低迷期から吹っ切れ、名盤『Blue Mask』のときと同じくシンプルな4ピースバンドのロックンロールに回帰し、また一方で『Blue Mask』以降試行錯誤してきたジャーナリスティックな詩がそれに噛み合った作品である。

もっとも当時のワタシは、完全にトーキングスタイルな彼の歌に、「こんな歌がメジャーに流通してもいいのか……」と慄いたくらい無知だったわけだが、1989年当時において啓示を受けたのがストーン・ローゼズでなく47歳のオヤジだったのは、ワタシの音楽探求の旅に大きな影響を与えたのは確かで、夜寝る前に必ずヴェルヴェット・アンダーグラウンドのベスト盤か『Berlin』のB面(もっとも CD だったが)を聴くような暗い高校生になってしまった。

ジョン・ケールとの久々の共演となった1990年の『Songs For Drella』も素晴らしかったし、1990年の来日公演も恐ろしく地味だが凄かったらしく、この当時何度目かのキャリアの頂点にあったのは間違いない(今日、Twitter で大変な数拡散されている血祭りインタビューをやらかしたのもこの来日時だ)。

この後、ヴェルヴェッツの再結成、ローリー・アンダーソンとのロマンスを挟みながら、2000年の『Ecstasy』あたりまでは充実期と言えるだろう。ワタシは1992年、2000年、そして2003年と来日公演に足を運んだが、4ピースバンドでヴェルヴェッツ時代を思わせるノイズギターを存分に鳴らしていた2000年の来日公演が一番良かった。しかし、彼のライブを最後に観て10年になるんだな……

21世紀に入ると、エドガー・アラン・ポーの詩に材をとった『Raven』あたりからちょっと変則的な活動が多くなった印象がある。なぜかWeb 2.0サミットに登場して偏屈オヤジぶりをいかんなく発揮したり、新譜が出たと思ったらただの環境音楽だったり、世紀の駄作『Metal Machine Music』をライブで再演したり『ベルリン』を再演したり音楽に無関係な iPhone アプリを出したりドキュメンタリーで映画監督デビューしたりモントルージャズフェスティバルで大ブーイングをくらったりメタリカとアルバムを出すも評判悪かったり、ゴリラズと共演したり、精力的な活動には敬意を払うが、できれば早く通常のアルバムリリースのサイクルに戻ってほしいと願っていた。しかし、残念ながらその日は来なかった――

そのうちにワタシもルー・リードの音楽に距離を保って接することができるようになり、ウェブサイトを開設して以来10年以上懸案だった「ルー・リードの音楽の核心にまったく迫らないルー・リードについての雑文」をシリーズ「魔法と喪失」四部作としてようやく書くことができた。

これで個人的にかなり気が済んだところがあったが、とはいえ今年になって肝臓移植を受けたというニュースにはショックを受けた。回復が伝えられ、本人も「毎日オナってるぜ!」とのたまっていたわけだが、一番最後に見たミック・ロック絡みのパーティにおいてエルトン・ジョンロジャー・ダルトリーと写ったルーの姿が状態が悪そうでとても痛々しく、これは覚悟しなければならないなと思ったものである。一番最後のレコーディングは、ピーター・ガブリエルのカバーアルバムにおける "Solsbury Hill" になるのか?

ヴェルベット・アンダーグラウンドのメンバーが介するイベントが2009年にあったが、このとき不参加だったジョン・ケールとはヴェルヴェッツの『White Light/White Heat』45周年記念盤の作業を一緒にやったようで、最後に和解できていればなとファンとして願う。

彼の訃報に接し、ワタシが思い出したのは、1995年に死去したヴェルヴェッツのギタリストであるスターリング・モリソンへのルーの追悼文 Sterling Morrison Velvet Warrior の胸に迫る一節である。

I missed the train back to New York and sat on the cement pavement waiting for another. I very badly wanted a cigarette and a drink. My God, I thought, We'll never play guitar together again. No more Nico. No more Andy. No more Sterl.

ニューヨークに戻る電車を逃し、次の待ってセメントの道路に腰を下ろした。どうしようもなく煙草と酒がほしかった。なんてことだ。俺たちはもう二度と一緒にギターをプレイすることはないのだ。ニコとも。アンディとも。スタールとも。

No more Lou. I miss you.

Velvet Underground & Nico

Velvet Underground & Nico

Velvet Underground

Velvet Underground

BERLIN

BERLIN

Blue Mask

Blue Mask

New York

New York

Songs for Drella

Songs for Drella

Ecstasy

Ecstasy

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