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2013-11-18

来月ちくま文庫より再発される河口俊彦『大山康晴の晩節』に解説を書きました 来月ちくま文庫より再発される河口俊彦『大山康晴の晩節』に解説を書きましたを含むブックマーク

yomoyomoの執筆、翻訳活動に河口俊彦『大山康晴の晩節』(ちくま文庫)の解説を追加。

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

別にワタシの頭がおかしくなったわけではない。そうなのだ。このワタシが文庫解説を書いたのである。

依頼があったのは9月半ばで、ワタシもこの10年余りいろんな原稿依頼を受けてきたが、メールを読んであっけにとられるというか、真剣にドッキリを疑う依頼はこれが初めてだった。依頼主である編集者の名前をググり、どうやら先方が実在するらしいことは分かったが、それでも俄かに信じがたく、解説ってあの文庫本の最後にあるあの解説ですよね? それを yomoyomo とか名乗るどこの馬の骨とも分からん奴に頼んでいいんですか? とこちらから確認したほどだ。

もちろん筑摩書房の編集者もワタシが将棋について書いた文章を読んで依頼しているのだが、それにしても大抜擢に違いない。

『大山康晴の晩節』は河口俊彦が構想から二十年かかって書き上げた大山康晴論の集大成であり、第15回(2002年度)将棋ペンクラブ大賞を受賞した著者の代表作でもある。本書は2006年に新潮文庫より文庫版が出ているが、そこで解説を書かれたのはドイツ文学者にしてエッセイストとしても大変に著名な池内紀氏である。

それを今回筑摩書房より新たに文庫版を出すにあたり、解説がワタシなのである。これは大抜擢というより暴挙と呼ぶほうがあたっているかもしれない。しかし、これにはもちろん意図があって、既存の読者は単行本なり新潮文庫版をもっているのだから、ちくま文庫から新装するにあたり、若い読者を取り込みたいということである。

本が出たら、「解説書いてんの、これ誰?」という声が嘲笑とともにあがるのが容易に想像できるが、このようなチャンスは二度とない。ワタシは燃え、原稿に取り組んだ。のだが、10月のはじめ風邪にかかり、また普段はないプレッシャーにより執筆は遅々として進まず、大変難儀した。

ワタシの苦労話はどうでもよいのだが、ワタシと河口俊彦の文章との出会いに始まり、本書の意義と価値について全力を尽くして書いた。解説を書くために実家にあるものを含め、彼の著書を何冊も読み返し、この人の文章のファンである幸福を改めて感じた。

正直なところ、近年の老師の文章には感心しないところもあり、端的に言えば昔の将棋/棋士のほうが良かった/強かった式の文章には基本的に同意しないのだが、そうした現在の将棋や棋士の魅力は若い世代が伝えればよいことであって、いつまでも老師の文章に頼ろうとするほうが間違っているのだ。

解説を書いていて一箇所「穿った見方だが」と断りを入れたところがある。実はここにはワタシ自身の願望が出ており、要はワタシはある棋士を心中必死に応援していることに自分の文章を読み直して気付いてギョッとしたのだが、その棋士とは谷川浩司のことである。

実はこの手法はかつて河口俊彦がやっていたもので、それをワタシも氏の著書の解説を書きながら無意識のうちに真似てしまったということだが、読者にはさっぱり分からない話だろう。いずれワタシは「美しき敗者 米長邦雄」という文章を書くつもりだが、その中で説明できると思う(が、それは数年後だろう)。

話が横道にそれたが、ちくま文庫版『大山康晴の晩節』は12月10日発売予定です。本に占める棋譜の割合は小さいので、将棋をルールを知っている程度でも読める本です。何より史上最強の棋士と言われる大山康晴十五世名人の決定的な伝記なので、ちくま文庫版において一人でも多くの新しい読者を獲得することを解説者として心より願います。

実はこの日曜日、北九州で開かれた第39回「将棋の日」のイベントに参加したのだが、初めて間近で羽生善治三冠のお姿を見てそれだけで興奮したし、森内俊之名人と羽生三冠の対局における寄せ(どちらのかは、12月29日のテレビ放映時に確認いただきたい)の見事さに感動した。ワタシは今、一番将棋のことを愛している。

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