YAMDAS現更新履歴

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2014-01-30

[] ビフォア・ミッドナイト  ビフォア・ミッドナイトを含むブックマーク

シリーズ三作目の本作を観て気付いたのだが、主人公のカップルはワタシとだいたい同じ年の設定なんだな。二人ともしっかり歳をとった……。

ワタシはこのシリーズをリアルタイムで追いかけてきたわけではなく、4年近く前に『ビフォア サンライズ 恋人までの距離』を初めてレンタルして観てみた。が、正直そこまで良い映画とは思わなかった。折角だからと続けて『ビフォア・サンセット』も観たのだが、こちらのほうが抜群に良かった。

どちらもアメリカ人の男性とフランス人の女性がただ街を歩き、語り合うだけとも言える映画なのだが、シチュエーションのロマンチックさと初々しさに頼った『ビフォア サンライズ』よりも、大人の余裕もズルさもあわせもった『ビフォア・サンセット』のほうが遥かになじめたのだ。

まさかの三作目(確かに9年毎に公開されてる!)の話を聞いたときは期待するとともにあの二人のストーリーの先をつなげることは可能なのかとも訝しくも思ったものだが、蓋を開けたら『ビフォア・サンセット』よりもさらによくなっていて素晴らしかった。続編が作られるたびに出来がよくなっていくシリーズなんて他にあるだろうか?(『トイストーリー』シリーズくらい?)

本作はイーサン・ホークの息子や、彼とジュリー・デルピーとの間にできた双子の娘さんといった家族をはじめ登場人物も何人かいるのだけど、基本的には主人公二人の会話をとらえた長回しを基本とする構成にかわりはない。

旅先での美女との出会いというロマンがあった第一作、運命の女性との再会というドラマがあった第二作に続き、本作はそんな運命の人と結ばれ、家族を作った後の現実が描かれている。

もちろんイーサン・ホークはちょっとした人気作家で、ジュリー・デルピーも忙しく立ち働いており、ギリシャに6週間のバカンスに来れるくらいの余裕がある身分である。しかし、二人が本作で交わす会話は、お互い歳をとり、もはやロマンチックな偶然になど頼りようがない生活を踏まえたものである。これが実にいいのだ。

二人がお互いに対して思う不満は珍しいものではない。男性の隠れマッチョ性であったり、妻は夫のためにキャリアを犠牲にしないといけないのか、離婚した後残された子供のために親は何をしてやれるのか――それらの問題は、どうしてパートナーを変えようとするのか、パートナーのために変わらないといけないのか、という話にいきつくように思う。

飽くまで『ビフォア サンライズ』が大好きな人が求める映画ではないのかもしれない。しかし、本作は『ビフォア サンライズ』や『ビフォア・サンセット』よりも深められた男女関係が描かれた、そして過去二作にあったテンポの良さとケミストリーがやはり存在する映画である。

新年一発目からとても良い映画を観れてよかった。

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[] 浅野紀予さんが管理者日下九八氏と語る、ウィキペディアの現在  浅野紀予さんが管理者日下九八氏と語る、ウィキペディアの現在を含むブックマーク

情報アーキテクチャを考えるためのメディア「architexture/アーキテクスチャ」については少し前に取り上げているが、そこに掲載された浅野紀予さんと Wikipedia 日本語版管理者の一人である日下九八氏の対話が掲載されている。

The Decline of Wikipedia(ウィキペディアの衰退)の話に始まり、情報アーキテクチャとしての Wikipedia について突っ込んだ対話がなされている。

ワタシは教養に欠けるので、読んでてもやもやしたものが残るのだが、こういうことについても時間をとって考えないといけないなと思わせる。

ジミー・ウェールズに影響を与えた人を見るとリバタリアン的精神があるが、それが Wikipedia という利他的なプロジェクトの土台になっているという話は面白かった。

[] 2007年にローリングストーン日本版が選定した日本のロックの名盤100枚  2007年にローリングストーン日本版が選定した日本のロックの名盤100枚を含むブックマーク

Facebook 経由で知ったページだが、これはローリングストーン日本版のために選ばれたオールタイムの日本のロックの名盤100枚リストのようだ。2007年のエントリなので、その頃雑誌のほうにも掲載されたんだろうね。

正確にはこれを選定したのは川崎大助で、個人的にはこのアルバムが1位なら、その後の40年はなんだったんだという気にもなるし、他にも各人のキャリアの初期作に偏りすぎという不満はあるが、ともかくとても網羅的に100枚選ばれているのは間違いない。

トップ20はこんな感じ。

  1. はっぴいえんど『風街ろまん』(asin:B001INLH5A
  2. RCサクセション『RHAPSODY』(asin:B001J8NRPW
  3. THE BLUE HEARTS『THE BLUE HEARTS』(asin:B00005EYG7
  4. YMO『Solid State Survivor』(asin:B00007KKZ3
  5. 矢沢永吉『ゴールドラッシュ』(asin:B00005G3DI
  6. 喜納昌吉&チャンプルーズ『喜納昌吉とチャンプルーズ』(asin:B00005GF84
  7. 大滝詠一『A LONG VACATION』(asin:B004DGD3VU
  8. フィッシュマンズ『空中キャンプ』(asin:B00005FJS3
  9. サディスティック・ミカ・バンド『黒船』(asin:B000GALG9S
  10. CorneliusFantasma』(asin:B00410QBQW
  11. 佐野元春『SOMEDAY』(asin:B00AAKVVF8
  12. 荒井由実『ひこうき雲』(asin:B00EZMG2SS
  13. ジャックス『ジャックスの世界』(asin:B0007IO07E
  14. 山下達郎『SPACY』(asin:B00005UD3T
  15. X JAPAN『BLUE BLOOD』(asin:B00000764X
  16. アナーキー『アナーキー』(asin:B00005GX20
  17. キャロル『燃えつきる〜ラスト・ライヴ』(asin:B00005FEO5
  18. 戸川純『玉姫様』(asin:B004P0A12I
  19. PLASTICS『WELCOME PLASTICS』(asin:B0002V01D8
  20. 村八分『ライブ』(asin:B0015R8298

しかし、上記の中でワタシがアルバムで持ってるのは4枚だけだな……。それはそうと、川崎大助は昨年小説を上梓してたんだね。

東京フールズゴールド

東京フールズゴールド

来月ちくま文庫から出る『将棋エッセイコレクション』が「観る将棋ファン」にもお勧め 来月ちくま文庫から出る『将棋エッセイコレクション』が「観る将棋ファン」にもお勧めを含むブックマーク

実はこの本のことは昨年末の上京時に筑摩書房の伊藤さんから教えていただいていた。将棋に関するエッセイを集めたものだが、編者が後藤元気さんなので、これはしっかりしたものに違いない。

誰の文章が収録されているかは、後藤元気さんのツイートを参照ください。ネット時代にも対応した新旧、プロアマ幅広いチョイスがなされていて、「観る将棋ファン」にもお勧めである。

ちょっとバラしておくと、今では将棋とは関係なく有名人な「桐谷さん」の文章が収録されているが、これは面白いというか苦笑いしますぞ。この文章について河口俊彦老師に伺ったところ、まったく予想外の言葉が返ってきたのだが、それについてはここには書かないでおこう(笑)

2014-01-27

[] 最近のWirelessWireブログのフォローアップ  最近のWirelessWireブログのフォローアップを含むブックマーク

昨年 WirelessWire News にて復活した情報共有の未来だが、なんとか続いている。少なくともまだ2回くらいは先があるだろう(笑)

それはそうと、最近書いた文章についてその後の進展を知ったので、いくつか紹介しておく。

やはりネット中立性は死んでしまうのか?

「ネットワーク中立性の死とともに我々は現在のインターネットを失うのか?」で取り上げたベライゾンと米連邦通信委員会FCC)の裁判だが、案の定ベライゾンが勝っちゃいましたな。

「ネット中立性」という言葉の提唱者であるティム・ウーは、FCC の裁判戦術がダメだったと激しく非難している

ReadWrite の記事にあるように、ベライゾンFCC には勝訴したが、ネット中立性に勝利したわけではない、と思いたいのだけどね。

Aaron Swartzのドキュメンタリー映画がプレミア公開されていた

「今年のうちに見ておきたい講演その他(その2):Think different. Think Aaron」の最後にも紹介した、Aaron Swartz のドキュメンタリー映画 The Internet’s Own Boy がこないだのサンダンス映画祭でプレミア公開された。

これについてのレビューをティム・ウーが The New Yorker に寄稿しているが、映画祭では上映後スタンディングオベーションを受けたらしい。彼の文章で重要なのは、以下のあたりだろうか。

Mixing coding with a sense of public purpose, Swartz spent his short life launching one project after another--little code bombs designed, in ways large and small, to change the way the world is. He had the quintessential programmer’s instinct: If you notice something lousy or absurd, instead of just complaining, why not fix it? That instinct has catalyzed tech projects from the personal computer to the search engine; in Swartz’s case, the projects were political and social instead of technical.

no title

あと Aaron Swartz を Christopher McCandless(その生涯をジョン・クラカワーが『荒野へ』で描き、それショーン・ペン『イントゥ・ザ・ワイルド』で映画化した)と比べるむきがあるが、両者の違いは Swartz の場合、その死の理由がはっきりしているところ、とティム・ウーは書いている。

Bitcoinの重要性、とはあんまり関係ない話

おかげさまでというべきか、こないだ公開された「2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい)」が好評いただいている。

これの公開時にも触れたが、マーク・アンドリーセンが Why Bitcoin Matters なんて文章を New York Times のサイトに書いているが、その冒頭のただしがきに、彼のベンチャーキャピタルは、Bitcoin 関連のスタートアップに5000万ドル(!)を投資したばかりである、とあってケタを見間違えたかと思ったぞ(笑)。スゴいね。

それはそうとあんまり関係ないが、アンドリーセンのビジネスパートナーであるベン・ホロヴィッツが初めての著書を春に刊行する予定である。これは時間を作って読みたいところだが……。

[] 名画のストーリーをビデオゲーム風に再現する動画「8 Bit Cinema」シリーズがそこそこ面白い。  名画のストーリーをビデオゲーム風に再現する動画「8 Bit Cinema」シリーズがそこそこ面白い。を含むブックマーク

コーエン兄弟の公開時は酷評も多かったものの、徐々にカルト的人気を博すようになった『ビッグ・リボウスキ』を昔ながらのビデオゲーム風に再現するものだが、少し前にもこの『パルプ・フィクション』版を見た覚えがある。

ちょっと調べてみたら、ワタシが好きな映画では『ブレードランナー』『シャイニング』『キック・アス』『ダークナイト』あたりか(ストーリーを再現してるので、これらを未見の人は注意ね)。

これらがどれも面白いかというとそんなことはなくて、特に『ビッグ・リボウスキ』は、何かやったらボーリング場に戻ってばかりで、あの映画さのヘンさを再現するのは難しいものがある。

一番面白かったのは、やはり最初に観た『パルプ・フィクション』で、あの映画のストーリーが多彩なゲームに置き換えられていてこれはよくできていると思う。

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パルプ・フィクション [Blu-ray]

パルプ・フィクション [Blu-ray]

今なら前者が76%引き、後者が41%引きやで!

[] スタンリー・キューブリックの名作『時計じかけのオレンジ』の貴重な撮影風景画像  スタンリー・キューブリックの名作『時計じかけのオレンジ』の貴重な撮影風景画像を含むブックマーク

時計じかけのオレンジ』はスタンリー・キューブリックの映画の中で個人的には一番好きなものだが、ワタシはキューブリックの研究書を読むほどコアなファンでないため、リンク先にある写真はもちろん初めて見るものばかりで嬉しかった。

ルドヴィコ療法の装置をつけたアレックス役のマルコム・マクダウェルと談笑するキューブリックとかステキだし、キューブリックも禿げてるけどまだ若い。そうそう、この写真集にも何枚か写っているアレックスがキャットレディを攻撃する「あのオブジェ」も Amazon で買えるんだぜ。

MEDICOM TOY LIFE ENTERTAINMENT The Rocking Machine (ザ・ロッキング・マシーン)

MEDICOM TOY LIFE ENTERTAINMENT The Rocking Machine (ザ・ロッキング・マシーン)

ネタ元は Boing Boing

時計じかけのオレンジ [Blu-ray]

時計じかけのオレンジ [Blu-ray]

[] 『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語グレアム・チャップマン自伝〜』のBlu-rayが来月発売になる  『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語 〜グレアム・チャップマン自伝〜』のBlu-rayが来月発売になるを含むブックマーク

ここでも何度も紹介してきた映画『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語 〜グレアム・チャップマン自伝〜』だが、結局東京と大阪で二週間ずつしか上映せず、田舎在住のワタシは映画館で観れなかった。

来月ブルーレイ版が発売になるとのことで(DVD のセル発売はないとのこと)、モンティ・パイソン方面については一通りはコンプリートしてきたワタシとしては、これも買わなければならないのだろうな。

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2014-01-24

[][] WirelessWire Newsブログ第13回公開(2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい))  WirelessWire Newsブログ第13回公開(2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい))を含むブックマーク

WirelessWire Newsブログに「2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい)」を公開。

Bitcoin の話題はずっと取り上げるまいと決めていたのだが、心変わりして書いてしまった。

毎回毎回書いていることだが、今回こそ短くまとめようと思いながら、書き出すと盛り上がってしまいどんどん長くなってしまう悪癖が今回も出た。

文章中マーク・アンドリーセンの名前を引き合いに出しているが、火曜日深夜に原稿を送付した後で Why Bitcoin Matters なんて文章を書きやがった。もう少し早く書いてくれたらとりこんだのに!

[][] iptablesの後継となるnftablesがLinuxカーネルにマージされたのか  iptablesの後継となるnftablesがLinuxカーネルにマージされたのかを含むブックマーク

今ではもう誰も知らんと思うが、ワタシはかつて Linux JF (Japanese FAQ) ProjectLinux 2.4 NAT HOWTOnetfilter/iptables FAQ の翻訳を提供しており、netfilter/iptables にはそれなりに精通していたのである。

余談だが、JF には他にもいくつかワタシの翻訳があるのだが、どれも10年以上経ち、現代的な価値は皆無だろうなぁ……。

それはさておき、iptables(正確にはそれに加えて ip6tables と arptables と ebtables)の後継となる nftablesLinux カーネルにマージされたんやね。ワタシなど nftables の存在自体知ったのが最近だったりする。

昔を思い出し、何か手頃なドキュメントがあったら勉強がてら訳してみようかと思ったのだが、今のところ Nftables quick howto くらいしか見当たらなかった。

これはほとんどコードばかりなので訳す必要はないが、iptables tutorial のような決定的なドキュメントが作られるのはまだ先ということか。

とりあえずは上にリンクした quick howto と、同じ人のプレゼン資料を見ておくぐらいなのか。

朝日新聞がデータジャーナリズム・ハッカソンを開催する 朝日新聞がデータジャーナリズム・ハッカソンを開催するを含むブックマーク

平和博さんのブログで知ったのだが、朝日新聞がデータジャーナリズム・ハッカソンを開催するのね。

具体的には来月アイデアソン、3月頭にハッカソンというスケジュールだが、日本の大手既存メディアでデータジャーナリズムのハッカソンをやろうというところはもちろんこれが初めてだろう。こういう試みは良いことに違いないので、参加者が良いフィードバックを得られればと思う。

そういえばデータジャーナリズムそのものの話題ではないが、同じく平和博さんのブログの「オープンデータと監視社会が同じ顔してやってくる」はすごく良い文章だった。ワタシもこれを読んで、WirelessWire ブログで Beyond Transparency を紹介する予定が狂ってしまったくらい(笑)。

[] 創業者が書いた「ライノ・レコード物語」が出ていたのか(誰か訳して……)  創業者が書いた「ライノ・レコード物語」が出ていたのか(誰か訳して……)を含むブックマーク

Rhino Records という往年の洋楽好きなら大抵お世話になっているレコードレーベルがある。

元々は Harold Bronson と Richard Foos の二人が始めたレコード屋で、70年代はノベルティーレコードを手がけるヘンなレーベルだったが、ワタシなどがお世話になるのはコンピレーションの再発専門になってから。ライノが出すコンピレーションはブックレットなどがとても充実していて、とにかく音楽を好きな人がやってる会社なんだなというのがひしひしと伝わり、それがレーベルの信頼感につながるのだが、詳しくは萩原健太と宮治淳一の以下の対談企画を見てくだされ。

Boing Boing で知ったのだが、創業者の片方の Harold Bronson が書いた「ライノ・レコード物語」本が出てたのね。

The Rhino Records Story: Revenge of the Music Nerds

The Rhino Records Story: Revenge of the Music Nerds

「音楽オタクたちの逆襲(Revenge of the Music Nerds)」という副題も彼らにぴったりで、タートルズ、ナック(!)、モンキーズへの彼らの愛情も十分に語られているらしい。創業者二人は、買収された先のワーナーに対する不満がたまり2003年に会社を離れてしまうので、おそらくはそこまでの話なのだろう。

これ邦訳が読みたいのだが、誰か訳してくれんかな。さすがに「ライノ・レコード物語」では邦訳が難しいか。時間を見つけて原書を読むしかないかも……。

[][] 映画『24アワー・パーティ・ピープル』とハワード・デヴォートと真実と伝説  映画『24アワー・パーティ・ピープル』とハワード・デヴォートと真実と伝説を含むブックマーク

うーん、そうだったのかぁ。映画『24アワー・パーティ・ピープル』を観たのは10年ぐらい前で、言われてみるとここで解説されている場面におけるトニー・ウィルソンの台詞をなんとなく素通りしてしまったような気がする。

こういう文章を読むと、他にも見落としたネタがあるに決まっているので、また『24アワー・パーティ・ピープル』が観たくなるな! ということで、DVD をレンタルさせてもらおう。

24アワー・パーティ・ピープル [DVD]

24アワー・パーティ・ピープル [DVD]

Real Life

Real Life

2014-01-20

[] YAMDAS更新(『ギークマム ―21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』)  YAMDAS更新(『ギークマム ―21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』)を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録Natania Barren、Katchy Ceceri、Corrina Lawson、Jenny Williams『ギークマム ―21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』を追加。

少し前に読んでいたのに、読書記録を書くのが遅くなって申し訳なし。しかし、まだ読書記録を書くべき本がいくつもあるなぁ……。

「quality」という単語の意味は日本と韓国と中国で変わる? 「quality」という単語の意味は日本と韓国と中国で変わる?を含むブックマーク

Derek Sivers が面白い文章を書いている。

彼は現在シンガポール在住だが、日本、韓国、中国に計13年住んだことのある Benjamin Joffe と話していて、この三つの国に住んで学んだ一番重要なことは何か尋ねたところ、Joffe は「quality」という単語の意味の違いを挙げた。

「quality」という単語、通常「質、品質」と訳されるが、この単語の意味を聞かれ、Derek Sivers は「quality と言ったら、機能するということだ。しっかり作られてること。それが継続すること」と答えている。アメリカ人にとって「quality」という単語の意味は、基本的に「機能する(It works)」ということである。

それが日本や韓国や中国では違うのか? Benjamin Joffe は次のように語る。

韓国では、「quality」とはそれが「真新しい(brand new)」ということを指す。つまり、韓国では新しいことが重要であって、一方で品質が長持ちすることは重要ではない。

日本で「quality」と言えば、それが「完璧、欠陥がない」ということを指す。日本の文化は完璧を目指すことの重要性を強調する。

そして中国では、「quality」とはそれに「ステータスがある」ことを指す。中国では人脈、コネがすべてであり、何しら社会的地位を付与するものこそが quality とみなされるというのだ。逆に言うと、ステータスを与えるものでありさえすれば、それがしっかり作られてること、機能が長持ちするかどうかは重要ではない。

この比較論には異論もあるだろうが面白いね。

Derek Sivers はこの話に続けて、起業家にアジア16カ国を紹介する本を執筆する彼の Wood Egg というプロジェクトを宣伝している。このプロジェクトについてはここでも昨年紹介したが、その2014年版が発売になったということである。

彼のブログには、その日本版の中から Understanding Japan というエッセイが転載されている。

16カ国各国版は現在 Amazon Kindle 版が各1000円、16カ国全部入りは4000円で買えるよ。

[][] なぜGoogle MapsがあるのにOpenStreetMapが必要なのか  なぜGoogle MapsがあるのにOpenStreetMapが必要なのかを含むブックマーク

SlashdotBoing Boing で話題になっている文章だが、OpenStreetMap について人に話したときに多くの人から言われる「Google Maps があるのになんでそれが必要なん?」という疑問に対する反論である。

それは地理情報が巨大ビジネスだからこそ、その情報の利用を特定企業に独占されてはまずいということなのだが、この記事で挙げるのは三つの懸念事項である。

一つ目はマップに掲載する情報を企業が恣意的に決める可能性があること、二つ目はある人の現在地と行くべき場所を企業が決めることができること、そして三つ目はお決まりだが個人のプライバシーの問題。

これらの問題があるので、中立的で透明性があり、自由にデータを利用できる、オープンソースで Wiki 的な選択肢が必要ということなのだが、興味ある方は原文を読んでくだされ。

というか、元々 Serge Wroclawski の個人ブログで話題になったエントリの Guardian への転載なのね。

[] オバマ大統領の米国国家安全保障局改革案を電子フロンティア財団が採点  オバマ大統領の米国国家安全保障局改革案を電子フロンティア財団が採点を含むブックマーク

エドワード・スノーデンによる暴露を受け、米国国家安全保障局(NSA)の改革を約束したオバマ大統領だが、その改革案を電子フロンティア財団(EFF)が採点している。

「デジタル通信の大規模監視を止める」、「外国人のプライバシー権を保護する」などといった12の観点で評価した結果、12点満点中3.5点となっている。EFF の採点はなかなか辛いわけだが、詳細はリンク先をあたってくだされ。

[] マッドマックス2  マッドマックス2を含むブックマーク

マッドマックス2 [Blu-ray]

マッドマックス2 [Blu-ray]

年末にテレビでやってるのを知り、思えばこの映画観てなかったと初めて観てみた。

本作はマッドマックスシリーズの中でも傑作と言われており、ちょっと期待値があがりすぎていたため、いささか拍子抜けするところもあった。主人公がそんなに「マッド」でないというか。

しかし、文明崩壊後の荒廃した世界観を表現する悪役側のビジュアルが斬新だったのは間違いない。日本における『北斗の拳』への影響は知られるが、この手の「終末もの」の準拠枠の一つになった作品であり、今観ても一種の新鮮さがある。

オーストラリア(のB級)映画については『マッド・ムービーズ 〜オーストラリア映画大暴走〜』に詳しいが、本作も元々はオーストラリアの低予算映画で、第一作がヒットしたおかげで予算が10倍になったとのことだが、基本的にそれは(主に)車の破壊描写につぎこまれたんだろうな。

だからそうしたアクション方面の迫力については文句ないが、石油が何より貴重であり、それがすべての争いの基となるという設定の作品において、特に説明なくオートジャイロを乗り回す登場人物がいるというご都合主義はちょっとどうかと思った。

2014-01-16

[] 電子フロンティア財団が選んだ2013年の読書リスト  電子フロンティア財団が選んだ2013年の読書リストを含むブックマーク

取り上げるのだが遅れたが、昨年末電子フロンティア財団(EFF)が(主に)2013年刊行された本から17冊選定していた。EFF の Reading List を紹介するのは2011年もやったが、2012年分はリストが公開されなかったか、単にワタシが忘れていたのか。

邦訳が出ている本はないと思うが、ワタシが見落としているだけなら教えてください。

Nate Anderson『The Internet Police: How Crime Went Online, and the Cops Followed』

この本のことは 著者が寄稿した WIRED の記事で知ったが、ネット上でどのように犯罪が行われ、それに警察がどう対応しているかという本。著者は Ars Technica の副編集長

Marvin Ammori『On Internet Freedom』

この著者が危惧した通り、ネットワーク中立性に赤信号である。

On Internet Freedom (English Edition)

On Internet Freedom (English Edition)

Benedetta Brevini、Arne Hintz、Patrick McCurdy編『Beyond Wikileaks: Implications for the Future of Communications, Journalism and Society』

Wikileaks 本も一通り出尽くし、ハリウッド映画化は大コケしたが、今改めて Wikileaks が切り開いたものの先を描くエッセイ集ということのようだ。

Jerry Brito編『Copyright Unbalanced: From Incentive to Excess』

著作権の問題についてのエッセイ集で、日本から買えるのは Kindle 版のみ。

Gabriella Coleman『Coding Freedom: The Ethics and Aesthetics of Hacking』

著者の Gabriella Coleman は Anoynmous の研究でも知られるが、本書は Debian に取材したハッカーとフリーソフトウェアコミュニティについての本である。本のサポートサイトにて、PDF 版と ePub 版が CC BY-NC-ND 2.5 ライセンスの元で公開されている

Coding Freedom: The Ethics and Aesthetics of Hacking

Coding Freedom: The Ethics and Aesthetics of Hacking

Susan P. Crawford『Captive Audience: The Telecom Industry and Monopoly Power in the New Gilded Age』

著者の Susan Crawford は、「ネットワーク中立性の死とともに我々は現在のインターネットを失うのか?」でも紹介したように、オバマ大統領誕生時には FCC の政権移行作業チームの舵取りも行ったミシガン大学法学部の教授だが、本を出すのは本書が初めてだった。

Captive Audience

Captive Audience

Ronald J. Deibert『Black Code: Surveillance, Privacy, and the Dark Side of the Internet』

著者の Ronald Deibert は、ここでも何度か取り上げてる(その1その2)OpenNet Initiativeの『Acess ○○○○○』シリーズにも寄稿している人だ。詳しくは本のサポートサイトをどうぞ。

Black Code: Surveillance, Privacy, and the Dark Side of the Internet

Black Code: Surveillance, Privacy, and the Dark Side of the Internet

Black Code: Inside the Battle for Cyberspace

Black Code: Inside the Battle for Cyberspace

Cory Doctorow『Homeland』

著者はワタシも Make などでよく文章を翻訳する SF 作家で Boing Boing の寄稿者としても有名だが、本書は『リトル・ブラザー』(asin:4152091991)の続編だったかな。著者の単著の通例に従い、本書も各種フォーマットでデジタルファイルがダウンロード可能

Homeland

Homeland

Homeland

Homeland

Andy Greenberg『This Machine Kills Secrets: Julian Assange, the Cypherpunks, and Their Fight to Empower Whistleblowers』

著者は Forbes のテクノロジー担当で、内部告発の歴史から Wikileaks を読み解く本である。本のサポートサイトを見ると、ブルース・シュナイアーをはじめとしてワタシのブログでもおなじみの人が推薦している。

なお。本書の書名はウディ・ガスリーがギターに書いた文句のもじり。

Thomas Healy『The Great Dissent: How Oliver Wendell Holmes Changed His Mind--and Changed the History of Free Speech in America』

この本は知らなかったが、米国憲法における言論の自由に関する歴史書のようだ。

Monica Horten『A Copyright Masquerade: How Corporate Lobbying Threatens Online Freedoms』

著者は Iptegrity.com をやってる人で、本書は企業がいかにロビー活動で著作権を強化してネットの自由を脅かしてるかについての本。

A Copyright Masquerade: How Corporate Lobbying Threatens Online Freedoms

A Copyright Masquerade: How Corporate Lobbying Threatens Online Freedoms

Phil Lapsley『Exploding the Phone: The Untold Story of the Teenagers and Outlaws who Hacked Ma Bell』

本書のことは小林啓倫さんの書評で知ったのだが、著者は NNTP の規格を定めた RFC977 の共作者という古株のハッカーで、本書は電話ハッキング(フリーキング)の歴史についての本である。詳しくは本のサポートサイトを参照あれ。

Exploding the Phone

Exploding the Phone

Evgeny Morozov『To Save Everything, Click Here: The Folly of Technological Solutionism』

情報共有の未来ブログでも何度か名前を引き合いに出しているが、ちょうど小林恭子さんがこの本の要約をやっているので(その1その2その3その4その5)、本書の内容を知りたい方はそちらを読まれるのがよかろう。

本のサポートサイトをみるとブライアン・イーノブルース・スターリングも推薦しているが、著者の否定的なな論説には批判も多く、電子フロンティア財団関係でこのリストにも選ばれているコリィ・ドクトロウも辛辣に書いていたはずで、リスト入りはちょっと意外だった。

Seth Rosenfeld『Subversives: The FBI's War on Student Radicals, and Reagan's Rise to Powe』

著者の Seth Rosenfeld はフリーランスのジャーナリストで、本書は FBI が60年代の学生運動と如何に戦い、当時カリフォルニアの知事であり、後にロナルド・レーガンの政治的台頭を後押ししたかについての本である。

Subversives: The FBI's War on Student Radicals, and Reagan's Rise to Power

Subversives: The FBI's War on Student Radicals, and Reagan's Rise to Power

Bruce Schneier『Carry On: Sound Advice from Schneier on Security』

Carry On: Sound Advice from Schneier on Security

Carry On: Sound Advice from Schneier on Security

Carry On: Sound Advice from Schneier on Security

Carry On: Sound Advice from Schneier on Security

Rick Smolan『The Human Face of Big Data』

著者のことは「文脈の時代」がもたらす強力なサービスの光と影でも少し紹介したが、本書については本のサポートサイトができている。

The Human Face of Big Data

The Human Face of Big Data

Ethan Zuckerman『Rewire: Digital Cosmopolitans in the Age of Connection』

Rewire: Digital Cosmopolitans in the Age of Connection

Rewire: Digital Cosmopolitans in the Age of Connection

2014-01-13

[] YAMDAS更新(ブレイディみかこアナキズム・イン・ザ・UK −壊れた英国とパンク保育士奮闘記』)  YAMDAS更新(ブレイディみかこ『アナキズム・イン・ザ・UK −壊れた英国とパンク保育士奮闘記』)を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録ブレイディみかこ『アナキズム・イン・ザ・UK −壊れた英国とパンク保育士奮闘記』を追加。

三連休を経ても風邪が治らない……ゲホッ。体調のせいだけではないのだが、えらくとっちらかった文章になってしまった。

それにしてもこれを書くのにえらく時間がかかってしまった。読書記録を書くべき本がたまっているのに困ったものである。

[] 現在最高のオープンソースのプロジェクト管理ツール5選  現在最高のオープンソースのプロジェクト管理ツール5選を含むブックマーク

プロジェクト管理ツール……Excel シートですかね(震え声)みたいな意識が低いワタシにとっては知らない名前ばかりだったりする。

さすがに Redmine は知っていたが、上に名前が挙がるそれ以外のものを実際にプロジェクト管理に使っている人って日本にどれくらいいるんだろうね。

Redmine超入門 (日経BPムック)

Redmine超入門 (日経BPムック)

今年の秋にニコラス・カー先生の新刊『The Glass Cage』が出るぞ 今年の秋にニコラス・カー先生の新刊『The Glass Cage』が出るぞを含むブックマーク

半年以上先の話で恐縮だが、『クラウド化する世界』などの著作で有名なニコラス・カー先生の新刊が今年の10月に出るということで、早くも Amazon にページができている。

The Glass Cage: Where Automation is Taking Us

The Glass Cage: Where Automation is Taking Us

The Glass Cage: Where Automation is Taking Us

The Glass Cage: Where Automation is Taking Us

The Glass Cage(ガラスの檻)というフレーズは映画のタイトルにも何度かなっているが、ここでの原典は分からない。たた今 www.theglasscagebook.com にアクセスするとGoogle Glass に関する特許明細書の図面(?)だけがあるページに飛ぶが、Google Glass にかけたところもあるんでしょうな。

カー先生の新刊の内容は彼のブログで小出しにされているが、基本的に The Atlantic に寄稿した All Can Be Lost: The Risk of Putting Our Knowledge in the Hands of Machines の内容を発展させたものになりそうである。

この文章の元々のタイトルは The Great Forgetting(大忘却)とのことだが、要はあまりに機械の自動化に身を任せることで人間は才能や知識を失ってしまっているのではないかという危惧を扱ったものである。

そうした意味で、同じく The Atlantic に寄稿した Is Google Making Us Stupid? の内容を発展させた『ネット・バカ』の延長上にある本になりそうである。

『ネット・バカ』のときは、原書刊行前から青土社から邦訳が出ることが告知されていたが、新作についてもそろそろ日本の出版社も動いているところじゃないですかね。

[] 惑星ソラリス  惑星ソラリスを含むブックマーク

惑星ソラリス Blu-ray

惑星ソラリス Blu-ray

言わずとしれた SF 映画の名作とされるが、映画初心者のワタシはずっと観てなかった。というか、アンドレイ・タルコフスキーの映画自体これが初体験だったくらいである。恥ずかしながら、スタニスワフ・レムの原作も未読である。

本作を SF 映画として観る場合、当然ソラリスに到着した後の話が主になるのだろうし、その美術もよかったのだけど、ワタシにはその前の地球の場面、特に自然の美しさに目がいった。あの水の中でゆらゆらと揺らめく水草はなんなのだろう。

ソラリスに着くと、ずっと前に自殺したはずの主人公の妻ハリーが突然あらわれ、みたいな話になることはさすがにワタシも事前知識があった。彼女をロケットで追い払おうとしても、また自身が本物でないことに気付き、自殺しようとしても彼女は主人公の前にあらわれる。

果たして主人公と妻との関係にはどう決着がつくのか。と思っていたら、最後その決着というよりも、主人公と家族の話に横滑りしてしまったようで、ワタシ自身はこういう風にソラリスの海の不可知性に飲み込まれるような感じは嫌いじゃないのだけど、この映画ではちゃんと決着をつけたほうがよかったのではないかと思った。

2014-01-09

[][] ルー・リードのインタビュー発掘:偏屈オヤジはエレカシをどう聴いたか  ルー・リードのインタビュー発掘:偏屈オヤジはエレカシをどう聴いたかを含むブックマーク

本当は読書記録を書くべき本がたまっているのだが、今風邪でひどい状態なため、1989年から2004年あたりまでおよそ15年間読者だった雑誌 rockin' on から記事を発掘する「ロック問はず語り」でお茶を濁したいと思う。

今回取り上げるのは、昨年秋に惜しくも亡くなったルー・リードについての記事である。

彼のインタビュアーに対する当たりの強さは有名だが、ロキノンで実際に彼にインタビューした人はどうだったか。まず1996年6月号の「知ってるつもり?!」というどこか聞いたような名前のコーナーにおける「ルー・リードっていい人? 悪い人? どんな人?」という回における証言を見てみよう。

この回の対談者は中本浩二と井上貴子で、彼らは確か今も株式会社ロッキング・オンに在籍されているのだろうか。ちなみに前者は仲本工事の書き間違えではないし、後者も主に90年代に活躍した女子プロレスラーとは同名異人である。

インタビュー現場におけるルー・リードを中本浩二はこう語る。

中本――実は俺、『ソングス・フォー・ドレラ』の方が『NEW YORK』より鮮明に記憶が残ってんだよなあ。ほれ、うちらが初めて観たルー・リードって、この時の来日じゃん。で、あの伝説のヴェルヴェット・アンダーグラウンドが垣間見られたモーリン・タッカー入りの『NEW YORK』も確かに素晴らしかったけど、ジョン・ケイルと二人だけの『ドレラ』なんて、もう化け物みたいなテンションだったじゃん。途中、ルーが延々とギター・ソロを弾く箇所があったんだけど、ステージ上にあるスタンドの灰皿がビビビビッてハウっちゃってさ、それをルーが”うるせえっ!”ってギター弾きながら蹴り倒すんだよ。クーーッ、かっくいー!

井上――ひどい。自分で灰皿用意させたクセに。92年のインタビューで実際会った彼もやっぱヒトデナシでした?

中本――んー、なんかいちいち人を恫喝するような返答ばっかしててさあ、それがあまりにルー・リードらしいんで「ひゃははは」と手を叩いて笑ったら、その場がシーンとしちゃってさあ。

井上――………………命知らずな。

中本――でも、おかげで妙に気に入られたみたい。最後に自分の方から握手の手を差し出してくるわ、予定時間をとっくにオーバーしてるのに「他に聞きたいことはないか? まだ答えてやるぞ」と言ってくるわ。

井上――で、どうしたんですか!?

中本――別にないですって言っちゃった。

なかなかこいつも命知らずのツワモノである。確か彼は当時ロリコンとか女性差別主義者の豚とか自分で標榜して、小田島久恵にちんこ見せたりしてたっけ。そして、1996年12月号において井上貴子がルー御大にインタビューするのだが、LUSH の取材中に電話がかかってきて、2時間後に20分だけインタビューしてやってもよい、というかなりシビアな条件下だった。

井上貴子はリード文でこう述懐する。

怖い。山下えりかさんが二度と通訳したくないほどイヤな奴だったとか言ってたのを思い出す。

挨拶するとギロッと威嚇され、インタビュー中も目を背けた方が負けだと言わんばかりにこちらを凝視する。時折、試すように、皮肉だか冗談だかわからない言葉を真顔で語り、私が清水の舞台からダイブする覚悟でこわごわ笑うと、じーっと顔を覗き込む。

しかし、この井上貴子さん、その天然ぶりを当時の編集長である増井修にいじられていたが、堂々清水の舞台からルー・リードにダイブをかましている。

「......(質問表を覗いているインタビュアーに向かって)そもそも君はインタビューをどれくらいやってるんだ?」

●えっ? 私ですか? えーと、六年くらいです。

「六年だって? 君が? 大体、君の名前は何て言うんだ?」

●貴子です。

「タタコ?」

●たかこ。

「タコ」

●た・か・こ。

「タタコ?」

●………。えーと、それと、若く見えるかもしれませんが、これでも一応三十一歳なんです。

「それは不可能だ!! おい、ベス、聞いたか? 彼女、これで三十一だって言うんだぞ」

マネージャー「まったくそう見えないわよね」

「養女になる気はないかと訊こうと思ってたのに」

●…………。

「でも、俺も三十一の頃には、君のようだったな」

マネージャー「(爆笑)」

これはかなりルー親父にかなり気に入られているのではないか。

「ひどいもんだと思ったよ。別に若くもないのに誰もが若造扱いをする。しかし、君にはわかっているだろうけど、若く見られることにも利点はある。まず、さまざまなことを見逃してもらえるということがあるな。誰もこいつじゃわからなくたってしょうがないかって考えるんだ。ところで、君は大学を出たのか?」

●はい。

「どこで?」

●京都です。

「どこまで?」

●大学まで行きました。

「何を勉強したんだ?」

●社会学科です。

「社会学科だって? 前途洋々じゃないか(笑)。俺が英語をやってたのと同じくらいどうしようもない学歴だな」

だからお前のユーモアセンスは分かりにくいんだよ! こんなこと言われたら笑っていいかわからんっての。インタビューの最後で、ルー親父から意外なリクエストが出る。

●……わかりました。じゃ、明日のライブは一つ時差ボケを直してウキウキな気分でお願いします。

「もちろん、そうするさ、それは約束できるよ。あ、ちなみに君の質問、とてもおもしろかった」

●えっ? どうもありがとうございます。

「冗談だろうと思ってるかもしれないけど、本当だぞ。たいていの取材より質問がおもしろくて、実際、何を訊かれるものかとひやひやもんになった瞬間もあった」

●…………はははは。

「ところで君のおすすめで、俺が聴いて気に入りそうな日本のミュージシャンを教えてほしいんだが」

●えーっ、あなたの気に入りそうな音楽ですか? そ、それは…………………………えーっとエレファント・カシマシとか……。

「エレファント?」

●カ・シ・マ・シ、です。ギターサウンドがカッコいいんです。三島の歌は歌ってませんが、男はサムライとか歌ってます。

「(突然ワーナー担当I氏の方を振り向いて)君は知ってるか?」

ワーナー担当I氏「はい」

「じゃ、明日買ってくるように」

●ひぇー。

ルー親父、かなり井上貴子を気に入ったようで、日本のミュージシャンのお勧めを所望している。しかし、1996年のエレファント・カシマシということは、一度メジャーから契約を切られた後、ポニーキャニオンと契約し、「今宵の月のように」による一般的なブレイク直前、アルバムなら『ココロに花を』のあたりだろうか。

果たしてルー・リードはエレファント・カシマシを聴いてどんな感想を持ったのだろう?

ココロに花を

ココロに花を

[] 2014年におけるオープンソースに関する10の予言  2014年におけるオープンソースに関する10の予言を含むブックマーク

まぁ、こういうのは一年後にふりかえってそのズレっぷりを苦笑いするのが楽しいのだが、Jack Wallen の予言は以下の10個。

  1. オープンソースは企業のデータを支配する
  2. Linux Foundation に加わった Valve は OEM ハードウェア開発者にオープン化を促す
  3. Linux タブレットが遂に日の目をみる(Android タブレット以外で、ということだろう)
  4. 昨年ユーザを大いに失望させた GNOME 3 はまたマシになる
  5. KDE は大きな、考え方を根本から変える機能をリリースする
  6. MariaDBMySQL のシェアを侵食し始める
  7. オープンソースはスマートマシンを主導する
  8. OpenStack や OpenShift などにより、オープンソースはクラウド管理を再定義する
  9. Linux デスクトップの市場シェアのパーセンテージは二桁に達する
  10. プリインストール Linux の売り上げは着実に上昇

さあ、どうでしょう。ネタ元は opensource.com

Aaron Swartzの死から一年、その父親のMITとの戦い Aaron Swartzの死から一年、その父親のMITとの戦いを含むブックマーク

昨年末「今年のうちに見ておきたい講演その他(その2):Think different. Think Aaron」という Aaron Swartz についての渾身の文章を書かせてもらったが、年明けに Boston Magazine が Aaron Swartz の父親である Bob Swartz の長文インタビュー記事を公開している。

記事のリード文を訳しておこう。

息子が MIT でファイルをダウンロードした咎で逮捕されてから、Bob Swartz は息子を守るために全力を尽くした。しかし、彼には息子を守れなかった。今彼はアーロンの死の責任の一部を MIT に認めさせようとしている。

ワタシの文章にも書いたが、Aaron Swartz が時代遅れのコンピューター詐欺と濫用防止法のために過度の量刑が課されたことで検察が批判されたが、事件の舞台となった MIT も同じく批判されたものである。Bob Swartz 自身 MIT の関係者だったはずで、なおさら許せないものがあるだろう。

最初のページにも引き合いに出されているが、Aaron Swartz の逮捕後の苦闘は、カフカの『審判』を思わせるものがあったのだろうな。息子を守れなかった父親の後悔の念は読んでて辛いものがあった。

ネタ元は Slashdot

[] 「この日のビートルズ」が書籍化されていた  「この日のビートルズ」が書籍化されていたを含むブックマーク

こないだの休みに久々にはてなアンテナを整理していたら、朝日新聞のサイトで連載されていた「この日のビートルズ」というコーナーがサイト再編か何かで消えているのに気付いて残念だったが、調べてみたら昨年秋に書籍化されていたんだね。

この日のビートルズ (朝日文庫)

この日のビートルズ (朝日文庫)

ビートルズについての本はそれこそ山ほどあるが、ワタシは著者の上林格氏のニュートラルな文章が好きだった。ビートルズへの確かな愛を感じる、しかし偏ってなくて軽く読むことのできる読み物としてお勧めできる。

[] 脱出  脱出を含むブックマーク

脱出 [Blu-ray]

脱出 [Blu-ray]

昔からいろんなところで名前を聞く映画だが、観たことがなかったのでレンタルしてみた。

ダム建設によって湖底に沈む渓流を川下りする四人の男たちの恐怖の体験を描いた映画である。ワタシはてっきり主人公たちが大学生くらいの若者かと思ったら、ほとんど妻子がいる立派な大人なんだな。それが映画としての妙な生々しさにつながっている。

映画は必然的にヒルビリーの皆さんが悪者になっており、今では人種差別的とみなされるのかもしれないが、とにかくイヤーな感じを担っている。

本作はなんといってもカヌー場面の迫力が素晴らしくて、もちろんスタントマンも起用してるに決まってるのだが、この自然との対峙がとてもしっかり描かれているからこそ、主人公たちが遭遇する恐怖が際立つし、本作の緊迫感となんともいえない不安感が演出されるわけですな。

最後あたり、川から手が出るだけで夢に出そうなくらいイヤーな感じになるのだろうからたまらない。本作はそういう映画だ。

2014-01-06

[] YAMDAS更新(YAMDAS対談第27回「遅れてきた2013年年忘れ呆談」)  YAMDAS更新(YAMDAS対談第27回「遅れてきた2013年年忘れ呆談」)を含むブックマーク

YAMDAS対談第27回「遅れてきた2013年年忘れ呆談」を追加。

今更「良いお年を」もないものだが、この対談を行ったのが昨年の12月30日なんだから仕方がない。今日から仕事始めの皆さんの短時間でも現実逃避になってくれれば幸いである。

対談の最後にも書いたように、今回は酒の席でのベンジャミン氏の記憶に基づき再構築されたもので、ベンジャミン氏が都合よく書いたものである。

このように形式で対談ができるのは実は二回目である。なんだベンジャミン、やればできるじゃないか!

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

[] エリック・S・レイモンドの提言「Bazaarは死にかけだから、EmacsはGitに移行すべき」  エリック・S・レイモンドの提言「Bazaarは死にかけだから、EmacsはGitに移行すべき」を含むブックマーク

エリック・S・レイモンドが Emacs の開発者メーリングリストに投げたメールが SlashdotLWN.net で話題になっている。

恥ずかしい話、ワタシは Bazaar(コマンドラインツールが bzr)のこと自体ほとんど知らなかったのだが、元々は Canonical の社員が作った分散型バージョン管理システムで、現在も Canonical のドメイン内に公式サイトがあるが、GNU プロジェクトの一部なのね。

Canonical という出自があり、Ubuntu などがソース管理に使っており、GNU プロジェクトの関係で GNU Emacs も然り。

で、esr は Bazaar は死にかけだから、Emacs は(同じ分散型バージョン管理システムの)git にソース管理を移すべきと提言している。

不都合な真実は、多くの若いハッカーたちにとって、Emacs はとっくに恐竜みたいなものであることだ――扱いが面倒で、図体がでかくて、とっつきにくくて、つまりは前世紀の遺物なんだ。そのイメージと戦うつもりなら、これ以上プロジェクトのイメージを愛想なしで、閉鎖的で、後ろ向きなものを支持する余裕なんかないんだ。

当然ながら、bzr に執着するのはそういう選択肢なわけよ。潜在的な開発者候補を失うことになるが、それは bzr に学習コストがあるからじゃなくて、そのイメージが愛想なしで、閉鎖的だったりするからだ。

皮肉なのは、Bazaar の名前が(多分)esr のかの「伽藍とバザール」にちなんでいること。

esr は Mercurial のほうが好きだったみたいだが、こちらも未来は明るくなさげで、結局この分野は Git が勝ったんだから、ということだろう。

しかし、esr の名前自体久しぶりに見たな(笑)。

[] 元ギャラクシー500のドラマーが書く音楽ストリーミングサービスとミュージシャンの報酬の実態  元ギャラクシー500のドラマーが書く音楽ストリーミングサービスとミュージシャンの報酬の実態を含むブックマーク

一昨年の秋に「ギャラクシー500の偉大な音楽的功績と金銭的不遇に改めて涙する」として紹介したギャラクシー500やデーモン&ナオミの活動で知られる Damon Krukowski が Pitchfork に寄稿した Making Cents が翻訳されている。

昨年はトム・ヨークやデヴィッド・バーンが Spotify を批判し、それに対する賛否があったが、問題点を知る上でこの文章はすごくためになるのでワタシからもお勧めしたい。

そういえば先日も Pandora が著作権団体 BMI との配信料をめぐる訴訟で敗訴というニュースがあり、以前ならネットサービスである Pandora に肩入れしていただろうが、いろいろ数字を知ると単純にそうとばかりもいえなくなっている自分がいるわけだ。

それはそうと、Galaxie 500Damon & Naomi も BandCamp 上にすべてのアルバムが公開(!!)されているので、少なくともギャラクシー500を知らん人は是非聴いて、新年から弛緩してほしい(笑)

Box Set

Box Set

[] 映画やテレビドラマの中で登場するコンピュータコード画面ばかりを集めたTumblr  映画やテレビドラマの中で登場するコンピュータコード画面ばかりを集めたTumblrを含むブックマーク

Boing Boing で知った Source Code in TV and Films だが、これは面白いな。

screenshot

これはブログ名の通り、映画やテレビドラマの中で登場するコンピュータコード画面ばかりを集めたもので、例えば映画『エリジウム』のスペースステーションをリブートするコードが、Intel Architecture Software Developer's Manual からのパクリであるという発見があったりする(笑)

[] キャプテン・フィリップス  キャプテン・フィリップスを含むブックマーク

2013年、映画館で最後に観た映画がこれだった。無駄に IMAX シアターの大画面で観た。

冒頭、トム・ハンクスとキャサリン・キーナーが演じる夫妻が車の中で、自分たちの子供たちの時代のしんどさを語るが、この映画自体、ソマリア海賊の人質になるというフィリップス船長の実話を映画にすることで、アメリカ人のしんどさを描く映画と言えるんじゃないですかね。

トム・ハンクス演じる船長の機知がとても良くて、ちょっとした会話から情報を伝えるところなど、観てて観客もまさに手に汗握る感じになる。最後の医者と船長のやりとりの場面なんてすごかったね。

ポール・グリーングラス監督の演出は例によって的確で、当代最高の映画監督の実力を遺憾なく発揮している。そしてワタシは、こいつのとにかく手ぶれカメラを揺らして撮ればリアルだろという手法にヘキエキした。揺らす必要のない地上の場面くらいかっちり撮れよ、お前。

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