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2014-06-29

[][] 岩谷宏のクソ訳はどうでもいいとして、Aaron Swartzの伝記映画が公開されている  岩谷宏のクソ訳はどうでもいいとして、Aaron Swartzの伝記映画が公開されているを含むブックマーク

Aaron Swartz についてのドキュメンタリー映画の話は、昨年末に「今年のうちに見ておきたい講演その他(その2):Think different. Think Aaron」を書いたとき触れたし、先月にここでも取り上げているが、遂に一般公開されたようだ。日本からは正規の方法では購入/レンタルはまだできない……と思ったら、Internet Archive で全編視聴可能である。クリエイティブコモンズ表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際ライセンスで公開されているんだね。

TechCrunch 日本版に翻訳記事が公開されているが、タイトルを見た時点でワタシは萎えた。この記事の翻訳者が岩谷宏だとそれだけで分かったからだ。

岩谷宏は co-founder をなぜか「協同ファウンダ」と訳す。ワタシが知る限りこのように訳す人を他にほぼ見たことがない(嘘だと思うならgoogle:協同ファウンダを見てみよう)。企業が対象の話なら、なんで普通に「共同創業者」と訳さないのだろう(正確に書くと、Aaron Swartz は Reddit の co-founder ではないのだが、これについては説明が面倒でワタシもそう書いてしまったことがあるし、原文にもそういう記述があるからここでは置く)。

そして、記事を読んでいて、いちいちひっかかるのである。岩谷宏の翻訳はそんなものだと言われればそれまでだが、この記事は最初の段落からイラつかされる。

若き天才Aaron Swartzは、インターネットはオープンである(べき)と信じていた。彼はRedditの協同ファウンダとして19歳でお金持ちになり、RSSの開発にも参加、その後は活動家のハッカー(hacktivist, hacker+activist)としてSOPAと戦った。

Reddit協同ファウンダAaron Swartzの死が示している重要な問題、映画「インターネットの嫡子」が一般公開へ | TechCrunch Japan

「オープンである(べき)と信じていた」とかあるから、てっきり原文に (should) 〜と括弧書きがあるのかと思ったら、そうではない。

Aaron Swartz was a young, bright genius who believed in the open Internet. A self-made millionaire by the age of 19, he co-founded Reddit, was part of the creation of RSS and became a political organizer and Internet hacktivist who was instrumental in the fight against SOPA.

no title

普通に「Aaron Swartzは、オープンなインターネットを信じた若き天才だった」と訳せばいいだけだろう。中学生だってそう訳すだろうし、それで何も問題はない。なんで勝手にややこしくするんだ。

「活動家のハッカー(hacktivist, hacker+activist)」という書き方も、いちいち括弧書きで説明しれくれなくても、少なくとも TechCrunch の読者層ならgoogle:ハクティビストが十分流通している言葉だろう。塚越健司『ハクティビズムとは何か ハッカーと社会運動』が新書で出たのは一昨年の話である。

折角なので記事の訳文で気になるところも一点指摘しておく。

そしてその挙句、100万ドルの罰金と35年の懲役、という刑が確定した。

Reddit協同ファウンダAaron Swartzの死が示している重要な問題、映画「インターネットの嫡子」が一般公開へ | TechCrunch Japan

いや、正式には確定してはなかったんじゃない? これの原文は "He was facing $1 million in fines and 35 years in prison." で、罰金と懲役が迫りつつあったということだと思うが、ワタシのほうが間違っていたら指摘していただきたい。

個人的に一番ゲンナリしたのは、問題のドキュメンタリー映画につけた邦題についてのくだり。

Knappenbergerはこう言う、“Swartzは、一つの選択の象徴だ。彼は、インターネットの嫡子*であることを選んだ”。〔*: own boy, 養子ではなく実子。〕

Reddit協同ファウンダAaron Swartzの死が示している重要な問題、映画「インターネットの嫡子」が一般公開へ | TechCrunch Japan

いやさ、養子だろうが実子だろうがどうでもいいって! 「インターネットの子」あるいは「インターネットの申し子」と訳したとして、それが「養子」か「実子」かと誰が問題にするというのだ。

つまり、普通に訳せばそれでいいのに、岩谷宏が一人で勝手にややこしくしているのだ。その文章の論旨を伝えるためのフックとしてひっかかりを作るならまだいいだろう。しかし、そうでもなく、本質的でないところでただ読者の理解の細かい支障となる訳文に見え隠れするのは、ワタシには岩谷宏の自己顕示欲に思える。

岩谷宏が訳文でやる一種のひからかしは、実に見苦しいものがある。岩谷宏というと、google:余計な訳注 site:jp.techcrunch.comもお得意だが、ほとんどどれも見事に余計で、しかも、往々にしてそこに書かれているのは一種の知識のひけらかしである。しかも、どうでもいいようなレベルの。

この手の文章はいろんな人の恨みをかい、自分の執筆活動の妨害につながることは過去何度か経験して分かっているので、書かないほうが利口なのだろう。そうでなくても、ワタシだって翻訳でミスをするわけだしね。しかし、もういい加減うんざりしたので書かせてもらった。

インターネットはなぜかくも「青い」のか? インターネットはなぜかくも「青い」のか?を含むブックマーク

Boing BoingVerge で話題になっていて知ったページだが、子供がなぜ空は青いの? と尋ね、大人はそれに対して答えるわけだけど……えーっと、なんでだっけ? 空気のせい?

それはさておき、インターネット、正確に言えばウェブサービス、あるいはそのモバイルアプリの世界は青が基調になってるね、という話である。

確かにリンク文字も基本は青色だったし、言われてみれば Twitter も Tumblr も Instagram もマイクロソフトも Google も Facebook を青を基調にしている。

Facebook については、マーク・ザッカーバーグの発言を引用しているが、それについてはワタシが以前訳した文章に出てくる話だね。

色はザッカーバーグにとってあまり重要ではない。数年前、彼はオンラインテストを行い、赤緑色覚障害であることが判明した。青は Facebook のトレードマークの色だが、それは彼が言うように、「青は僕にとって最も貴重な色なんだ――青ならどれでも分かる」からなのだ。

no title

で、インターネットはなぜかくも「青い」のだろう? やはり空気のせい?

恋は水色

恋は水色

[][] 映画『グランド・ブダペスト・ホテル』に写る新聞の文章はWikipediaからとられていた  映画『グランド・ブダペスト・ホテル』に写る新聞の文章はWikipediaからとられていたを含むブックマーク

kingink さんのツイートで知ったのだが、ウェス・アンダーソン『グランド・ブダペスト・ホテル』の画面に写る新聞の文章は、Wikipedia の「音楽」や「カーニバル」や「雪崩」のページ(もちろん英語版ね)からとられていたそうだ。

つーか、kingink さんも書いているが、なんでそんなのに気付くんだよ! 世の中おかしな才能を持った人がいるものだ。

[] ドローンで一発撮りしたミュージックビデオ  ドローンで一発撮りしたミュージックビデオを含むブックマーク

Verge で知ったのだが、LA のダンスユニット DJ Dodger Stadium の新曲 "Love Songs" のミュージックビデオが、ドローンで一発撮りしたものだとのこと。

てっきり空から見下ろした視点だけからなるのかと思っていた。それだけでも楽しめるだろうが、この曲の場合最後にちょっと変化があるので、まぁ、観てみてくだされ。

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そういえば同じくニューアルバムに収録される "Never Win" もドローンからの一発撮りなんだね。

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個人的にはじわじわと盛り上がる曲調がドローンからのゆったりとした映像に合った "Love Songs" のほうが好きかな。

[] 死ぬまでに聞くべきジャズのアルバム10枚  死ぬまでに聞くべきジャズのアルバム10枚を含むブックマーク

かの矢野顕子さんのツイートで知ったページだが、ワタシのようなジャズ初心者にはこういうリストはありがたい。

  1. マイルス・デイヴィス『Kind of Blue』(asin:B001O1ADFQasin:B00D1B8R9Gasin:B00JL3TB6Q
  2. ジョン・コルトレーン『Blue Train』(asin:B0000A5A0Tasin:B00E9R3EEEasin:B0045PL2IU
  3. チャールズ・ミンガス『Mingus Ah Um』(asin:B00000I14Zasin:B00D1B8TUIasin:B007YVRBFK
  4. ザ・デイヴ・ブルーベック・カルテット『Time Out』(asin:B000002AGNasin:B000056C6D
  5. セロニアス・モンク『Monk's Dream』(asin:B00006GO99asin:B00D1B8TQC
  6. マイルス・デイヴィス『Bitches Brew』(asin:B00000J7SSasin:B00D1B8TU8
  7. エラ・フィッツジェラルドルイ・アームストロング『Ella and Louis』(asin:B004RTD7AKasin:B004QEF74A
  8. ハービー・ハンコック『Head Hunters』(asin:B004GKXC46asin:B00D1B8T3K
  9. ソニー・ロリンズ『The Bridge』(asin:B003LWVDQEasin:B00D1B8U8O
  10. オーネット・コールマン『The Shape Of Jazz To Come』(asin:B000002I4Wasin:B00C2WF7MAasin:B009YSB1DO

以上のリストの中でちゃんとアルバムを持っているのは、ワタシの場合、1位、2位、そして6位の3枚だけですな。というわけで、名盤を聴いてみる契機ができたわけである。

hachihachi 2014/06/30 13:51 i氏の、詩人をこじらせた説教の空回り&ネット時代に乗りそびれたあたり、何というか狩撫麻礼に似たものを感じてしまいます。

yomoyomoyomoyomo 2014/06/30 23:31 ワタシがrockin' onを購読するようになった頃はとっくに寄稿されなくなった後だったため、当時を体験できてないのは残念に思います。

2014-06-23

[][] YAMDAS更新(グレン・グリーンウォルド『暴露――スノーデンが私に託したファイル』)  YAMDAS更新(グレン・グリーンウォルド『暴露――スノーデンが私に託したファイル』)を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録グレン・グリーンウォルド『暴露――スノーデンが私に託したファイル』を追加。

読書記録には入れなかったが、本書でトーマス・ジェファーソンの以下の文句をスノーデンがグリーンウォルドへのメールでもじるところがある。

権力に関わる事柄で、もはや人間への信頼を語るのはやめよう。悪さなどしないよう、権力者を憲法という鎖で縛るのだ。

これなど現在の日本にすごく当てはまる文句に思えてしまうのがなんとも。

ローレンス・レッシグはなぜSuper PACへの対抗策MayOneキャンペーンを始めたのか ローレンス・レッシグはなぜSuper PACへの対抗策MayOneキャンペーンを始めたのかを含むブックマーク

ローレンス・レッシグMayday.US を始めたときはここでも取り上げようと思ったのだが、ワタシは彼がその行動を起こす理由である Super PAC 自体に対する知識が乏しく、あまりまともなことを書けそうにないと断念していた。

すると @atsuya さんがとても分かりやすい解説を書いたのを教えてもらったので紹介させてもらう。やはりこれもレッシグ先生の現在の研究テーマである「腐敗」の問題なんですな。

そういえば Boing BoingSlashdot で話題になっているが、スティーブ・ウォズニアックもレッシグの構想を支持するアニメ動画を公開している。

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Republic, Lost

Republic, Lost

[] プライバシー重視でしかも永久無料なインスタントメッセンジャーは可能なのか  プライバシー重視でしかも永久無料なインスタントメッセンジャーは可能なのかを含むブックマーク

昨夜 Hacker News を見たら、Telegram というアプリ(のページ)がトップになっていて、恥ずかしながらこのアプリのことを知らなかったので調べてみたら以下の記事などがあった。

つい最近公開されたアプリというわけでもないのになんで今話題かは分からないが、"taking back our right to privacy" というサイトに掲げるモットーがグレン・グリーンウォルド『暴露――スノーデンが私に託したファイル』にピッタリだったので取り上げてみた。ちょうど楠正憲さんが LINE の韓国当局の傍受関係の話題で「もっと安全なメッセンジャーを考える」という文章を書いているし。

プライバシー重視を謳うくらいで当然メッセージは暗号化されており、しかも永久無料で広告もなしと断言していてすごいのだが、他にも API はオープンで(それに添えられた画像が……)使用量の制限もないというのだが、そんなの可能なんだろうか?

長崎県美術館で「ふんどしミーティング」が開催され盛況だったって…… 長崎県美術館で「ふんどしミーティング」が開催され盛況だったって……を含むブックマーク

実はこの「ふんどしミーティング」が開催された日、ワタシは長崎にいたのである。しかし、ほぼ満席だったとは……以前長崎のふんどし専門店の記事に衝撃を受けた話を書いたが、ワタシの故郷はそんなことになっていたのか。

冒頭、店主・かのこゆりさんが「日本で初めてのふんどしのミーティング。最後まで楽しんでほしい」と主催者あいさつ。

長崎県美術館で「ふんどしミーティング」?鳥刺し踊りに会場爆笑 - 長崎経済新聞

いやいや、世界でだって初めての「ふんどしミーティング」だろうよ(笑)。しかし、驚いたね。

人生はふんどし1枚で変えられる

人生はふんどし1枚で変えられる

2014-06-15

[] 「The Data Journalism Handbook」翻訳&勉強の会が6月21日に開催  「The Data Journalism Handbook」翻訳&勉強の会が6月21日に開催を含むブックマーク

The Data Journalism Handbook のことはここでも何度も取り上げてきたし、その翻訳プロジェクトにも参加している。が、その翻訳プロジェクトは残念ながらずっと停滞している。

今回その翻訳&勉強の会を開催するとのことで、このあたりの停滞を打破しようとのことらしい。

元々ワタシは田舎に隠棲してる身であり、またこれが開催される6月21日には抜けられない用事が既に入っているため、ワタシは参加できないのだが、未だに Data Journalism Handbook はこの分野における貴重な文献だし、データジャーナリズムに興味ある方はどうか参加をご検討いただきたい。

ネット配信もあるみたいね。

The Data Journalism Handbook: How Journalists Can Use Data to Improve the News

The Data Journalism Handbook: How Journalists Can Use Data to Improve the News

1880年代のアメリカには8000もの時間帯が存在した!? スティーブン・ジョンソンのテレビ番組と新刊、そして邦訳 1880年代のアメリカには8000もの時間帯が存在した!? スティーブン・ジョンソンのテレビ番組と新刊、そして邦訳を含むブックマーク

日本でも『創発』や『感染地図』の邦訳で知られるサイエンスライターのスティーブン・ジョンソンが PBS で「How We Got to Now」という6回シリーズのテレビ番組を10月にやるそうな。

現在その予告編が公開されているが、1880年代のアメリカ合衆国には8000もの時間帯があったという話は面白い。一つの州で数十の時間帯が存在するところもあったとな!

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もちろん時間帯についての番組ではなく、番組の主題は優れたアイデアやイノベーションのようで、『イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則』(asin:4822285170)に続く本なのかな。

このテレビシリーズが放送される少し前に同タイトルの新刊も出る予定。

How We Got to Now: Six Innovations that Made the Modern World

How We Got to Now: Six Innovations that Made the Modern World

How We Got to Now

How We Got to Now

今回このエントリを書くために調べていたら、来月彼の前作の邦訳が出るのを知った。しばらく彼の本の邦訳が出ない時期があって他人事ながら心配したが、その状況は二年続けて邦訳が出ることで打開されたようだ。

[] (日本で何人ファンがいるか知らんが)People Get Readyのセカンドアルバムを推す  (日本で何人ファンがいるか知らんが)People Get Readyのセカンドアルバムを推すを含むブックマーク

こないだメールで People Get Ready のセカンドアルバムが出ることを知った。

このバンド(正確にはパフォーマンス集団というべきか)のことは、デヴィッド・バーンがツアーに起用したことで知り、ためしにファーストアルバムを買ってみたら、エレクトリックなゴスペルを感じるなかなか良いアルバムだった。

セカンドアルバム『Physiques』は6月24日発売とのことで、BrasslandBandcamp で既に何曲か聴ける。

本作もデジタルファイルを購入することになるだろう。

Physiques

Physiques

[] チボ・マットによるコンピレーションアルバム『Women In Music』  チボ・マットによるコンピレーションアルバム『Women In Music』を含むブックマーク

今年15年ぶりの新作を出したチボ・マットが、彼女らがリスペクトする国内外の女性アーティスト/バンドの曲を集めたコンピレーションアルバムを出している。

アルバムは二枚組で、一枚目は割と有名どころの曲が多いが、笠置シヅ子雪村いづみアレサ・フランクリンスージー・クアトロとヨーコ・オノが同居するアルバムなんて確かに他にはないな(笑)。

二枚目は彼女ら自身の曲に始まり、同時代で面白いと思う曲をチョイスしてるようだ。

Women in Music selected by Cibo Matto (ALBUM2枚組)

Women in Music selected by Cibo Matto (ALBUM2枚組)

[] ローラーガールズ・ダイアリー  ローラーガールズ・ダイアリーを含むブックマーク

ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]

ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]

以前からときどき評判を聞くことがあり、借りてみた。

本作はドリュー・バリモアの映画監督デビュー作品で、題材となるローラーゲームのマイナーさもあってか興行的には成功しなかったが、作品としてはとてもよくできていて、ドリュー・バリモアやるじゃんと思った。

映画の作りとして『リトル・ダンサー』を連想したが、本作はあれほど作品の背景に厳しさがないが、ローラーゲーム自体昔から最低所得者層がファン層とされてきたことには注意が必要かもしれない。そのようにローラーゲームが持つ文脈について知っていたほうが理解はしやすいだろうが、ちゃんと分かりやすく作られているし、何より主演のエレン・ペイジがとても良かった。

本作は『リトル・ダンサー』の女性版というところに留まらず、女性同士の友情、仲間意識、敵対意識(ワタシが好きなジュリエット・ルイスがらしい役をやってるね)、何より女性たちが同じゲームに熱中する楽しさをよく描いていてよかった。逆に言うと、主人公の恋愛描写は正直あまりどうでもよかった。

あと作中二度ほど少し中性的な人の曲が耳をひいた。調べたら Jens Lekman という人で、後でアルバムを聴いてみようと思う。

2014-06-08

[] グランド・ブダペスト・ホテル  グランド・ブダペスト・ホテルを含むブックマーク

前作『ムーンライズ・キングダム』が良かったので劇場に足を運んだ。

ウェス・アンダーソンの映画について書くときにお決まりと言える、制御されたカラーコーディネート、動き回るカメラワークに代表される箱庭的世界は本作でも徹底されており、ウェス・アンダーソンの映画としか言いようがない作品になっている。本作は特に縦方向のカメラワークで楽しませてくれる。

観終わって、本作は初めてオーウェン・ウィルソンが出てないウェス・アンダーソンの映画じゃないかと思ったが、これはワタシが気付かなかっただけでちゃんと出ていた。しかし、とにかく豪華キャストで、彼らが監督の箱庭に配されている。ワタシはそれを大いに楽しんだ。

物語は1960年代のグランド・ブダペスト・ホテルにおいて、1930年代のコンシェルジュの話をホテルの主から作家が聞く形である。コンシェルジュが懇意にしていた老婦人が死に、犯人とされたコンシェルジュが追われながら、彼の弟子にあたるロビーボーイとともに遺産の絵画の謎と老婦人の死の真相に迫るわけだが、本作でもこの監督らしいコミカルでチャーミングな演出は健在なのだけど、同時に本作では登場人物の死が多く扱われており、そのあたり落差が効果的とみるか、しゃかしゃか煩わしい演出と合ってないと見るかは分かれるかもしれない。しかし、この監督に自然主義的リアリズムは似合わんよな。

ウェス・アンダーソンの映画にしては死人が多い映画であることは書いたが、浮世離れした架空のホテルを舞台としながら、時代的に台頭するファシズムとその不安が影を落としている。伝えられている通り、本作はシュテファン・ツヴァイクに影響を受けており、本作の最後にホテルの主の話は必然的に深い哀しみを帯びるが、本作の冒頭とエンディングでアンダーソンは、ツヴァイクが抱き挫折した理想の精神が未だに何かしら人を惹き付けるところがあるのを示したかったのではないか。

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[][] Bitcoinの発明者サトシ・ナカモトの全仕事を網羅するサイト公開  Bitcoinの発明者サトシ・ナカモトの全仕事を網羅するサイト公開を含むブックマーク

Verge で知ったが、Satoshi Nakamoto Institute というサイトで、仮想貨幣 Bitcoin の発明者とされる謎の人物サトシ・ナカモトのすべての仕事(メール、論文、文章など。直にソースコードも?)が CC BY-SA 4.0 のもとで公開されている。

screenshot

関係ないが、Verge は(多分)同名異人のサトシ・ナカモトさんの写真を載せてるが、何か新事実でも出てこない限りそういうのもう止めたほうがいいんじゃないかね……。

ワタシも今年はじめに「2014年はビットコインの年になるか?(別にならんでいい)」という文章を書いたが、サトシ・ナカモトの2008年から2012年までの仕事はもはや歴史的遺産になったのだろうか。

世界でもっとも遅れたソフトウェアリリース――テッド・ネルソンのザナドゥが54年の時を経て公開 世界でもっとも遅れたソフトウェアリリース――テッド・ネルソンのザナドゥが54年の時を経て公開を含むブックマーク

SlashdotVerge など各所で話題となっているが、「ハイパーテキスト」という言葉の発明者であるテッド・ネルソンが構想した Project XanaduOpenXanadu を公開しているので、どんなものかリンク先を見てくだされ。

screenshot

上記の通り、テッド・ネルソンはハイパーテキストという言葉の発明者だけど、彼のザナドゥは一向に成果を出せず、そのうちティム・バーナーズ=リーがその構想の一部を World Wide Web として実現してしまったことはご存知の通り。ネルソンにしてみれば、WWW なんて不完全極まりないものだろうが、とにかく動くものを作って世界を変えた者の勝ちであることは歴史が証明している。

ザナドゥについては1995年に Wired が世界一のベーパーウェアと断じる記事を書いたが、それから20年近く経ってようやく公開とは驚いた。

リテラリーマシン―ハイパーテキスト原論

リテラリーマシン―ハイパーテキスト原論

[] 達人出版会において長尾真『未来の図書館を作るとは』公開  達人出版会において長尾真『未来の図書館を作るとは』公開を含むブックマーク

取り上げるのが遅くなってしまったが、ワタシもお世話になっている達人出版会において『未来の図書館を作るとは』が公開されている。CC BY-NC-SA 4.0 のもとで公開されており、無料でダウンロードできる。

本書は国立国会図書館館長だった長尾真氏の図書館論の集大成であり、ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) の岡本真さんとの特別対談が収録されているが、おそらくは岡本さんが全編にわたって協力しているのではないか。

ワタシもダウンロードしたばかりでまだ読んでないのだが、図書館とは何か、未来の図書館とはどうあるべきかについて興味がある人はもれなく読んでおくべきものではないか。

電子図書館 新装版

電子図書館 新装版

[] モリー・リングウォルドが10歳の娘と『ブレックファスト・クラブ』を観たら……  モリー・リングウォルドが10歳の娘と『ブレックファスト・クラブ』を観たら……を含むブックマーク

これ面白いね。モリー・リングウォルドが、自身の出世作であるジョン・ヒューズ『ブレックファスト・クラブ』を10歳の娘マチルダさんと一緒に観たときの音声が聴ける。

果たして当時のモリー・リングウォルドを観て、現在の本人と分かるだろうか、などと失礼なことを最初思ったが、当然ながら娘さんは母親に気付いて叫び声をあげている。

そういえばモリー・リングウォルドは昨年この映画のテーマ曲ををカバーしているが、思い出深い映画なんやろね。彼女の話で面白いのは、当時ティーンエイジャーだった頃の映画を、今では親側の視点で自身の役を見てしまうというところ。なるほどねぇ。

ネタ元は Boing Boing

2014-06-03

[] WirelessWire Newsブログ第18回公開(暗く、苦々しく、悲しい話にこそワタシは惹かれる)  WirelessWire Newsブログ第18回公開(暗く、苦々しく、悲しい話にこそワタシは惹かれる)を含むブックマーク

WirelessWire Newsブログに「暗く、苦々しく、悲しい話にこそワタシは惹かれる」を公開。

ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢

ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢

超マシン誕生 新訳・新装版

超マシン誕生 新訳・新装版

ハッカーズ

ハッカーズ

結局5月は WirelessWire Newsブログの更新はなしで、書くのに予定していたよりずっと時間がかかってしまった。

それはともかく、面白かったねぇ、『ツイッター創業物語』。果たしてビズ・ストーンの本の邦訳は出るのかしら。そういえば『ツイッター創業物語』でも、ビズが日本での記者会見を控えたあたりでエヴァン・ウィリアムの失脚を国際電話で伝えられ驚愕する場面があったが、日本側の社員などまったく知らなかったんだろうねぇ。

[] 『となりのトトロ』のバス停の場面をOculus Riftを使ってバーチャルリアリティで再現  『となりのトトロ』のバス停の場面をOculus Riftを使ってバーチャルリアリティで再現を含むブックマーク

いやぁ、Oculus Rift ってすごいね。宮崎駿の代表作『となりのトトロ』のバス停をバーチャルリアリティで再現している。

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トトロが! 猫バスが!

よくよく考えるとちょっと気になる点もあるのだが、ともかくこれはすごいね。

ネタ元は Slashdot

となりのトトロ [Blu-ray]

となりのトトロ [Blu-ray]

世界的人気ブログZen Habitsなどレオ・バボータの文章の日本語訳 世界的人気ブログZen Habitsなどレオ・バボータの文章の日本語訳を含むブックマーク

例によって調べ物をしていて、Renji Talk Homezenhabits などレオ・バボータの文章の日本語訳が公開されているのを知った。

Tak. さんのサイトは、かつてアウトラインプロセッサについての貴重な資料サイトとして紹介させてもらったが、レオ・バボータ関連翻訳も電子書籍の翻訳「フォーカス -雑音化時代を生きるシンプル化宣言-」など相当な規模になっている。すごいね。

レオ・バボータの zenhabits は Wikipedia に項目が立つくらいの有名ブログだが、日本でもライフハック系ブログに内容がつまみぐいされることが多い。名前に覚えがある方は彼の文章を読んで気持ちが楽になることも多いだろうから紹介させてもらった。

減らす技術 The Power of LESS

減らす技術 The Power of LESS

[] ウソから始まる恋と仕事の成功術  ウソから始まる恋と仕事の成功術を含むブックマーク

『The Office』『エキストラ Extras』に続き、またリッキー・ジャーヴェイスのコメディーが見たいと思ったのだが、Life's Too Short は日本では未だディスク化されてないようで、それに続く Derek に至っては題材的な問題で日本ではテレビ放映すらされないかもしれない。

調べてみたら、彼はアメリカで映画作ってたのね。というわけで借りてみた。

本作はジャーヴェイスがテレビ番組と同様に主演だけでなく共同監督、脚本をこなしている。ジェイソン・ベイトマンフィリップ・シーモア・ホフマンエドワード・ノートンといった有名どころがカメオ出演に近いワンシーンのみの出演をしていて、ジャーヴェイスのアメリカ進出への期待感があったのではないかと想像する(本作では組んでない相棒スティーブ・マーチャントもやはりカメオ出演しているが、ほとんど出落ちの感覚である)。

しかし、本作を観て、どうしてこの映画のことを調べるまで知らなかったのか、つまりそこまで話題にならなかったのか分かった気がする。正直、ワタシはあまり楽しめなかった。そういうことだ。

本作の原題は The Invention of Lying(嘘の発明)で、嘘というものが存在しない世界において、嘘がつけるようになった主人公をジャーヴェイスが演じるわけだが、主人公が嘘により無条件にアドバンテージを得るようなコメディーが面白いわけないだろ。

そして、その主人公が人が死んだ後のことを口走ってしまったものだから、彼に対する救世主的願望が高まり……おいおい、やっぱりそういうキリスト教(のパロディ)的な方向にいっちゃう? とうんざりした。

脇を固めるルイ・C・K やジョナ・ヒルといった芸達者も大して活かせてないし、これは失敗作だろう。

ango_netango_net 2016/01/16 16:16 こちらの記事で興味を持ち借りてみました。

確かに地味だしくどいところも多々あるけど、私にはとても面白い映画でした。特にブラックなギャグが炸裂し続けるところ。また、嘘の虚しさもちゃんと描いていたし。

変な話「ブレインストーム」を思い出しました。「もし他人の思考を追体験できたらどうなるか」という「強引な設定での思考実験」と言うのが似ていると思いました。

リッキー・ジャーヴェイスって知らなかった。紹介してくれてありがとうございます。

yomoyomoyomoyomo 2016/01/16 20:01 ごぶさたしております。
『ウソから始まる恋と仕事の成功術』については、他の方からも「私はすごく面白いと思ったんだけど」という感想をいただいたので、もう一度見る必要があるかもしれません。
リッキー・ジャーヴェイスはやはり『The Office』がお勧めですねー。

2014-06-01

[] インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌を含むブックマーク

ネタばれを気にする映画ではないが、以下ストーリーにも触れているので、これから観る予定の人は注意してください。

公開初日に観に行った。コーエン兄弟の映画を映画館で観るのは『シリアスマン』以来である。もともとワタシはコーエン兄弟の映画が好きなのもあるが、むっちゃ良かった。

本作はフォーク歌手の自伝(asin:4152094567)をヒントにしているそうだが、ボブ・ディランがデビューしようかという頃のニューヨークのフォークシーンを舞台としている。個人的にはそんなフォーク音楽には思い入れはないのだが、T=ボーン・バーネットが関わっているだけあって劇中の歌唱は主人公をはじめとして見事で、その点も大いに満足だった。

ストーリーとしては、貧乏暮らしで知人、友人の家を泊まり歩く生活を送る主人公のフォーク歌手が過ごす一週間を追ったもので、主人公を演じるオスカー・アイザックという人は知らなかったが、基本的にひたすら困った目に遭う、しかし、大体自業自得なダメ男の主人公を好演していた。貧乏だけど貧相でなく、悲惨な目にあっても冷たい気持ちにならない。

途中からこれってコーエン兄弟版『ユリシーズ』(あるいは『オデュッセイア』?)だなと思っていたら、作中意外な形でその名前が出てきて笑ってしまった。円環構造というほどではないが、ラストになってオープニングの意味が分かるところも、一週間の漂白を経て、結局主人公のステータスは変わっていないことを示している。

あと本作は猫がちょっとしたコメディーリリーフの役割を果たしているのだが、こいつが実に良い演技をしている。と書いても未見の人には信じてもらえないだろうが、実に良い顔で何度か写っているのだよ。そういえば、コーエン兄弟の映画に久しぶりにジョン・グッドマンが出ていて嬉しかったが、割とどうでもよかった。

あとコーエン兄弟の映画にしては久々に台詞中の "fuck" の登場回数が多かったかも(笑)。

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[][] Wikiaのライセンス問題とソニーとのコンテンツの連携の話  Wikiaのライセンス問題とソニーとのコンテンツの連携の話を含むブックマーク

Wiki ホスティングサービス Wikia は、2003年まではそのユーザ作成コンテンツのライセンスは CC-BY-SA だったけど、後に商用利用を禁じる CC-BY-NC ライセンスも適用されるようになり、2012年には非商用コンテンツへの遡及条項が追加され、CC-BY-NC ライセンスとのデュアルライセンスになったらしい。

先日 Wikia はソニーとアプリケーションによるコンテンツの連携に合意したが、スマートTVへのコンテンツ表示って商用利用じゃないかい。こういう利用って最近いくつかあるけどどうよ? という Slashdot のストーリーである。

うーむ、ソニーとの提携の話すら知らなかったな。Wikia は元々ジミー・ウェールズとアンジェラ・ビーズリーが始めた会社だが、少なくともビーズリーのほうは離れているし、ウェールズにしても Wikia 絡みの話は聞かないので多分同様なのだろう。

[] リーナス・トーバルズが悪口ツイートを読み上げるパロディー動画  リーナス・トーバルズが悪口ツイートを読み上げるパロディー動画を含むブックマーク

リーナス・トーバルズが Twitter で自身に対する悪口ツイートを次々と読み上げ、にこやかに反撃する動画が Linux Foundation の YouTube チャンネルに公開されている。

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これはアメリカ ABC の「ジミー・キンメル・ライブ!」における人気企画「Mean Tweets」のパロディーなんですね。これ本当に毎回すごい面子が登場する豪華コーナーで、詳しくは以下を参考にしてくだされ。

さすがリーナスさん、この程度の悪口にはびくともしない。ネタ元は Slashdot

無料で読めるデータマイニング本が12冊も 無料で読めるデータマイニング本が12冊もを含むブックマーク

ウェブ上で無料で読める、あるいはまとめてダウンロード可能なデータマイニング本が12冊も紹介されているが、普通に書籍も売られているものも多いわけで、こういうのも惜しげもなく(かどうかは知らんけど)公開されると不勉強の言い訳ができなくなるわけで……まぁ、英語じゃ分からんというのは理由にはなるが、それもまた不勉強の謗りを免れない。

しかし、無料公開されると Kindle 版の立場がないよなぁ(笑)。

ネタ元は O'Reilly Radar

Think Bayes: Bayesian Statistics in Python

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Bayesian Reasoning and Machine Learning

Bayesian Reasoning and Machine Learning

Information Theory, Inference and Learning Algorithms

Information Theory, Inference and Learning Algorithms

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