YAMDAS現更新履歴

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2015-05-26

[] パレードへようこそ  パレードへようこそを含むブックマーク

今年観た映画の中でダントツによい映画だった。

冒頭の歌が流れてきたところで気分が高揚し、本作が傑作であることを確信したが、本作の間中ほとんど観ながら泣いていた。あまりにぐしょぐしょに泣いてしまったため、映画が終わった後に難儀した。

本作は1984年におけるイギリスの炭鉱労働者のストライキと、彼らを支援するために立ち上がったレズビアンとゲイの活動家グループを題材とする映画であり、『リトル・ダンサー』などと同じくサッチャー政権時代の炭鉱労働者の多い地区を扱った映画の系譜に連なるものであり、ワタシが好きなイギリス映画そのものだった。

基本的に観に行くことにしている映画については、できるだけそれについて書かれた文章は読まないことにしているのだが、この映画についてはブレイディみかこさんが書いた文章を読んでしまっていた。オーウェン・ジョーンズが書くように、本作は冒頭で高らかに歌われもする solidarity(連帯)についての映画である。「社会などというものは存在しない」と言い切ったサッチャーですら殺すことができなかった英国人の連帯についての映画である。

炭鉱労働者を支援する同性愛者たちという時点で、ストーリーのつかみとなるに充分なフリクションを感じさせるが、ストーリーはベタだし、展開は少し安易かもしれないが、その摩擦が生み出す緊張とユーモアが本作をドライブさせる基点にちゃんとなっている。

自分たちの日常の価値観と相容れない存在に対したとき、柔軟なのは女性のほうなんですね。本作では、炭鉱労働者たちの妻たちがまず最初に同性愛者たちを歓迎して勇気を表に出すのだが、何より彼女たちがこれまでまったく縁のなかった人たちとの交流により、人生を楽しむ姿が活き活きと表現されているところがとてもよかった。

男性陣のほうも、パディ・コンシダインの良心的な役柄がよいし、ビル・ナイがいつもよりも口下手で朴訥とした役をやってると思ったら、彼とイメルダ・スタウントンが並んでサンドウィッチを作る場面がとてもよかった。

『Pride』という原題の映画が『パレードへようこそ』という邦題になると聞いてかなり嫌気が差したのだが、それが実は妥協の産物としてもちゃんと意味のある邦題であることは本作を最後まで観ると分かる。炭鉱労働者のストライキがどういう結末を迎えたか、我々は歴史的事実として知っている。しかし、その挫折を上回る晴れやかな本作のエンディングは格別であって、映画のストーリーが実話を基にしているというのにこれほど救われる気持ちになったことはない。

[][] OpenStreetMapの人道的活動がネパール地震の復興支援  OpenStreetMapの人道的活動がネパール地震の復興支援を含むブックマーク

自由に利用可能で、利用者が共同で作り上げる OpenStreetMap のことはここでも何度も取り上げているが、OpenStreetMapHumanitarian OpenStreetMap Team という NGO を設立していて、先ごろ大地震があったネパールにおけるチームの活動を紹介している。

要は彼らが得意とする地図サービスにデータ提供を結びつけることでネパールの復興を支援しようというものである。自然災害に対する OpenStreetMap の活動については東日本大震災の後に書いた文章でも取り上げているが、やはりずっと前からの取り組みの蓄積があるからこそ、迅速な協力ができるんだろうね。

この文章では、他にも関連するプロジェクトがいくつも紹介されている。

電子フロンティア財団(EFF)が創設25周年記念パーティを来月開催 電子フロンティア財団(EFF)が創設25周年記念パーティを来月開催を含むブックマーク

電子フロンティア財団って今年で創設25年なんやね。

25年前といえば1990年、パソコンの OS では Windows 3.0 が同年に発売になっているが、まだまだ一般ユーザのものではなかった。インターネットについては言わずもがな。ミッチ・ケイパー、ジョン・ギルモア、ジョン・ペリー・バーローという創始者の先見の明に改めて敬服せざるをえない。

もちろん創設25周年記念パーティには参加できないが(場所は Jamie Zawinski が経営者であることで知られる DNA Lounge やね)、ここ数年 EFF には寄付しており、今年もしようかね。

[][] Aaron Swartzとエドワード・スノーデンを主人公とするインターネットの支配をテーマとするドキュメンタリー映画『Killswitch』  Aaron Swartzとエドワード・スノーデンを主人公とするインターネットの支配をテーマとするドキュメンタリー映画『Killswitch』を含むブックマーク

Aaron Swartz を主人公とするドキュメンタリー映画というと『The Internet's Own Boy』、エドワード・スノーデンを主人公とするドキュメンタリー映画というと『Citizenfour』が既に作られているが、この両者を主人公とする『Killswitch』という映画が作られているようだ。

『Killswitch』は、この二人の若きハクティビストを通じてインターネットの支配を巡る闘いをテーマとしており、ティム・ウーやローレンス・レッシグなどもフィーチャーされている。

正直、既に先行する映画があるのでインパクトは薄いが、個人の伝記ではなく「インターネットの支配を巡る闘い」というテーマが重要なんでしょうな。

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内藤國雄に30年以上前に引退を言い渡した鈴木輝彦 内藤國雄に30年以上前に引退を言い渡した鈴木輝彦を含むブックマーク

内藤國雄九段が昨年度末をもって半世紀以上にわたる将棋棋士としての現役生活からの引退をしたのは、将棋を知る人ならご存知だろうが、内藤國雄と引退というので面白いツイートを見かけた。

『新・対局日誌』第4集という出典から想像するに、ここで描かれる宴席(多分)はおそらく1990年前後の出来事だろうが、鈴木輝彦が内藤國雄に言ったという発言をたまたまある本を読み返していて見つけたので、記録の意味で書いておく。

その本は芹沢博文の『王より飛車が好き』という本で、昭和59年12月15日が1刷の本である。

実はこの本は id:doublecrown さんにいただいたもので、今読むといろいろ面白いところがあるのだが、それはともかく問題の箇所は以下の通りである。

 内藤得意のセリフは、

「将棋指しではワシが一番歌がうまい。歌手ではワシが一番将棋が強い」

 何と他愛のないことを言う男であろうか。最近は、「女にもてんようになったら金が余って仕様がない。みんな遠慮せんで飲めよ」と若い者達に言っているようで、すっかりその気になってご馳走になった鈴木輝彦六段に凄いことを言われ、懐に”引退届”を持って歩いていると専らの評判である。

 鈴木に、「内藤さん、名人になれると思いますか?」と聞かれ、軽い調子で、「ちょっとしんどいやろ」と言ったところ、「それなら今直ぐ引退しなさい」と言われたのである。

 人間と豚なら人間の方が数段は優れていよう。内藤と鈴木は人と豚ぐらい格に差がある。内藤は豚に馬鹿にされたと嘆くことしきりである。(12ページ)

これを読むと旧世代の棋士の名人位にかける思いいれの深さと棋士の内面の激しさを垣間見る思いである。

内藤が直球の質問に「ちょっとしんどいやろ」と思わず口走ってしまったのは、当時谷川浩司が21歳の若さで名人位を獲得していたからだろう。

実際にはこの発言があった当時、内藤は王位のタイトルホルダーであったし、その後にはA級に復帰してもいるのだが、タイトル獲得4期の棋歴を誇りながら、名人位獲得はおろか挑戦することもできなかった。これはB級1組に陥落した後だが、B級1組の最終戦で昇級候補だった富岡英作と鋭く切り合う将棋で勝った後、感想戦で安全勝ちできる手をなぜ指さなかったのか聞かれ、「そんな手は(分かっていても)指せんのや」と即座に答えたのを聞いた河口俊彦が「なぜこれほどの将棋を指す男が名人になれないのだろう」と書いていたのを思い出す。

もちろん河口俊彦も内藤國雄もその答えを知っているはずだが。

2015-05-17

[] ゼロの未来  ゼロの未来を含むブックマーク

ゼロの未来 [Blu-ray]

ゼロの未来 [Blu-ray]

敬愛するテリー・ギリアムの新作にこういう言葉は使いたくないのだが、端的に言ってクソつまんなかった。

ギリアムの前作『Dr.パルナサスの鏡』は、大分「戻ってきた」感じがあった。本作は題材的には『未来世紀ブラジル』を思わせるものがある。まぁ、『ブラジル』の夢ふたたびとはいかなくても、それの現在版を見せてくれればと思ったのだが。

本作もビジュアルイメージは見事で、近未来のセットも単にクリーンなハイテクでなく微妙にアンバランスな感じで手間がかかるようなごちゃごちゃした感じをうまく組み合わせているところなどいかにもギリアムらしくて良いし、本作の場合通行人を追いかけていく広告や、広場にあるとんでもない数の禁止事項の注意など単なる『ブラジル』の焼きまわしでない現在的な要素もいくつか含まれている。

しかし……脚本が凡庸なのか、『ブラジル』などギリアムの初期作にあった興奮はなく、オンラインセックスの場面に代表される繰り返しなどはっきり退屈だった。そうした意味で、ギリアムの夢が基点となったストーリーに、「官僚制の腐敗」といった分かりやすいフックを持たせたトム・ストッパードの偉大さを逆説的に感じてしまった。あ、ティルダ・スウィントンのアレは笑ってしまったし、ラストのレディオヘッドも悪くなかったけど。

本作の主演はクリストフ・ヴァルツだが、彼にしては生真面目に演じすぎてるきらいがある。ワタシがこれまで観たクリストフ・ヴァルツが出ている映画はどれも面白かったので、彼が出ていても面白くない映画があるんだな、と当たり前のことに気付いたりした。

「Code for 青空文庫」アイデアソンと青空文庫の未来 「Code for 青空文庫」アイデアソンと青空文庫の未来を含むブックマーク

既に定員に達しており、そうした意味ではここで告知する意味はあまりないのだが、しかし、青空文庫がある意味危機的な状況にあることを周知する意味で取り上げさせてもらう。

青空文庫の現状については、今回の呼びかけ人である香月啓佑さんのスライド「青空文庫サーバの今と今後」を見るのがよいだろう。

(なぜか slideshare のはてなダイアリーへの埋め込みがうまくいかない。クソが)

しかし、データベースサーバが飛ぶと青空文庫のデータ資産が失われる状況だとは。青空文庫は日本における電子書籍、フリーカルチャーなどいくつものポイントにおいて最重要な、公共的な意味を持つサービスである。これはまずい。

楽天など電子書籍サービスを手がけるサービスは青空文庫にこれまでどえらくお世話になってるわけで、そういうところからの支援の話はなかったのかよとも思うわけだが、青空文庫大久保ゆうさんのツイートを見ると、逆にようやく支援を請える段階まで来たというのが適当そうだ。

資金的な制約も当然あるし、そんな簡単に全方位的な解決が一度のアイデアソンでなされるわけはないが、より良い青空文庫の運営につながることを願うのは言うまでもない。

今年も本の未来基金に寄付したものか……。

インターネット図書館 青空文庫

インターネット図書館 青空文庫

[][] ビットコイン歴史解説本の著者が推測するビットコインの作者サトシ・ナカモトの正体とは  ビットコイン歴史解説本の著者が推測するビットコインの作者サトシ・ナカモトの正体とはを含むブックマーク

こないだ「ビットコインにいたるデジタル通貨の一般向け歴史解説書の決定版か『Digital Gold』」というエントリを書いたが、その著者の Nathaniel Popper が本の執筆過程を通じて得られた情報から、Bitcoin の作者である中本哲史の正体を推測している。

さて、それが誰かを知りたい人は原文を読んでくだされ……と書くと怒られそうなので結論を書くと、Nick SzaboWikipedia)だろうというのが Nathaniel Popper の見立てである。

彼は Nick Szabo に Bitcoin 関係のイベントで Nick Szabo に会っており、そのときにもその後のメールのやりとりでも、仕事の相似は偶然であり、自身が中本哲史であることを明確に否定しているのだが、果たして彼の推測は正しいかどうか。

この記事では中本哲史が正体を明かさない理由も書かれているが、誰であれ今後自分がナカモトだと認めることはないだろうし、現在のソフトウェアとしての Bitcoin の開発はその発明者と関係なく進んでゆくのだけど、それでもちょっとは気になるね。

ネタ元は Hacker News

[] Open Source Initiativeの代表にアリソン・ランダルが選ばれる  Open Source Initiativeの代表にアリソン・ランダルが選ばれるを含むブックマーク

Open Source Initiative の代表にアリソン・ランダルが満場一致で選ばれたというニュースなのだが、最近では Open Source Initiative もあまり話題に上ることがなくなったが、オープンソース関係の団体も女性が代表になるご時勢ということである。

もっとも彼女の場合、長いキャリアがあるので不思議ではないのだが。

そういえばワタシも「ブラウザを超えて」という彼女の文章を訳しているね。

[] NoTCP Manifestoの日本語訳が公開されている  NoTCP Manifestoの日本語訳が公開されているを含むブックマーク

The NoTCP Manifesto のことは……そうそう、O'Reilly Radar 経由で知ったのだが、正直文脈がよく分からなかったので、少し時間ができたら訳してみようかと思っていた(原文が CC BY-SA ライセンスだし)。

そうして例によって手をつけずにいたら、日本語訳が公開されていた。ありがたや。

しかしねぇ……この文章にも「本気か?」「ああ、もちろん」というコール&レスポンスがあるが、現実はどうなんやろね。実際にモバイルネットワークからのスマートフォンアプリからのアクセスを考えると、TCP 抜きでいけるんかねと懐疑的なのだが。

2015-05-14

[][] YAMDAS更新(GitHubへの中国の攻撃を特定する)  YAMDAS更新(GitHubへの中国の攻撃を特定する)を含むブックマーク

Technical KnockoutGitHubへの中国の攻撃を特定するを追加。Robert Graham の文章の日本語訳です。

GitHub への攻撃の話もとっくに旬な話でなくなっているが、しばらく翻訳をしてなかったのでリハビリがてらに訳させてもらった。

この話題についてもっと詳しいまとめを読みたい人には、piyolog の「2015年3月に発生したGithubへのDoS攻撃についてまとめてみた」をお勧めする。

サイバー・テロ 日米vs.中国 (文春新書)

サイバー・テロ 日米vs.中国 (文春新書)

今秋発売になるクレイ・シャーキーの新刊のテーマはズバリXiaomiみたい 今秋発売になるクレイ・シャーキーの新刊のテーマはズバリXiaomiみたいを含むブックマーク

3月に1万5千字の原稿を書き上げたのだが(世に出るのはまだ先)、実はそれを書く上で一番参考にした本が、クレイ・シャーキーの『みんな集まれ! ネットワークが世界を動かす』(asin:4480863990)だったりする。そのクレイ・シャーキーの新作が今秋刊行されるのを知る。

Little Rice: Smartphones, Xiaomi, and the Chinese Dream

Little Rice: Smartphones, Xiaomi, and the Chinese Dream

タイトルの『Little Rice』ってなんやねんと思ったが、副題の中に Xioami の名前があって分かった。Xioami って「小米」という意味だが、その英訳なんやね(「小米科技」が正式な社名なのか)。

つまりはシャーキーの新刊のテーマは、安価なスマートフォンメーカーとして急成長を遂げ、そして現在スマホ以外の製品もどんどん手がけつつある Xioami ということなんだろう。

昨年だか、シャーキーが中国のメイカームーブメントにコメントしていて、なんでそれに詳しいんだろうと不思議に思ったが、昨年から中国に出向いて Xioami 周りの取材をしてたんだろうな。

シャーキーの前作も5年前(!)に取り上げているが、この人は基本的に俯瞰的な論説の人であり、特定の企業をテーマに本を書く人とは思わなかったので正直意外である。

Xioami についてはフレッド・ウィルソンも大きな期待を寄せていたが、シャーキーもこれはおいしい題材と踏んだのだろうか。

[] ウィキペディアの編集をリアルタイムに「聞ける」サイト  ウィキペディアの編集をリアルタイムに「聞ける」サイトを含むブックマーク

「Wikipedia の変更と成長を聞く」ってなんだ? と思ったら、Hatnote というサイトがそれで、まさに Wikipedia の編集をリアルタイムに視覚的聴覚的に表現するサイトである(iOS 用アプリもある!)。

はてなブックマークを見ると、2013年夏に日本でも話題になったようだが、まったく知らなかったな。

編集だけでなく、新たな登録ユーザ情報なんかも表示されるなど細かいのだが、これ自体ははっきりいって何かの役に立つサービスではない。しかし、このサイトをぼけっと見ながら音を聞いているだけで、微妙に人間の仕事につながっているような不思議な気持ちになる。

[] ルー・リードの伝記『ワイルド・サイドの歩き方 ルー・リード伝』が来月出る  ルー・リードの伝記『ワイルド・サイドの歩き方 ルー・リード伝』が来月出るを含むブックマーク

ルー・リードの伝記本というと、ヴィクター・ボクリスの本を紹介したが、Jeremy Reed の本の邦訳が出るとな。

これの原書は、「俺に関する本はぜんぶクソだ。この本以外はね」というルー自身によるコメントからするに『Waiting for the Man: The Life and Career of Lou Reed』(asin:1468310674)だろうな。

しかし、この本も今年2月に出たものだから、この手の本にしては急ピッチで翻訳したのかな。

監修が大鷹俊一氏なので、翻訳のクオリティは心配していない。600ページの分量で3500円近くの値段となると少しひるんでしまうが、ルー・リードの伝記とあれば、ワタシは買うしかない。予約させてもらった。

[][] ポール・マッカートニー&ウイングス/ロックショウ  ポール・マッカートニー&ウイングス/ロックショウを含むブックマーク

ポール・マッカートニーの来日を記念してか GYAO! で無料配信しているのを知り、そういえば見てなかったと見てみた。

本作は1976年の全米ツアー「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」を撮影したもので、前年に出たウイングスの『At the Speed of Sound』(asin:B00M2OZGMY)同様、5人組のロックバンドというのを強調しており、ポール・マッカートニー以外がヴォーカルをとる曲がいくつもある。

今となってはそういうのは余計に思えそうなものだし、現在のライブのセットリストからすると驚くほどビートルズの曲が抑制されているが、当時のポールの勢いというか、ようやくビートルズでなくても満足いくアルバムを作り、バンドとして大規模な全米ツアーを成し遂げたという気概に満ちた姿は文句を言わせない堂々たるものである。

逆に本作などみると、現在でもたまにウイングスの曲しばりでライブやってくれたら楽しいのではないかと思えてくる。

しかしなぁ、これがほとんど40年前というのにクラクラくる。この当時の観客に、ポールは40年後もワールドツアーをやってるとか言っても誰も信じないだろうな。

2015-05-10

[] YAMDAS更新(雨宮まみ『東京を生きる』)  YAMDAS更新(雨宮まみ『東京を生きる』)を含むブックマーク

yomoyomoの読書記録雨宮まみ『東京を生きる』を追加。

東京を生きる

東京を生きる

連載を読んでいたのだけど、改めて本になったのを読むと、やはり当時とは少し感じが違ったように読めるところが面白いところである。

最初少し違和感があった表紙デザインも、本として読んだ後ではしっくりくる。これは素敵よね。

日経エレクトロニクス連載「iモードと呼ばれる前」ウェブ公開が素晴らしい! ……のだが 日経エレクトロニクス連載「iモードと呼ばれる前」ウェブ公開が素晴らしい! ……のだがを含むブックマーク

2002から2003年に日経エレクトロニクスで連載された「iモードと呼ばれる前」がウェブに再録されている。

ワタシは連載当時リアルタイムでこれを読んでおり、よく取材して書かれていると感動したのを覚えている。「iモード」の成功は、この連載にも少しだけ名前が出てくる人たち(名前は書かない)の手柄になることが多いのだが、それを実際に作り上げた日本のメーカーの技術者たちの奮闘がしっかり描かれているところが素晴らしい(ソフトウェア技術者として、読んでいて頭を抱えるというか、それダメだろ……と思うところも多々あるが)。

大分前の話になるが、尊敬する技術者を聞かれ、「ヤマハの広瀬さんと ACCESS の鎌田さん」と即答したところ、全然分かってもらえずにがっかりしたことがあるのだが、この連載における主役の一人である鎌田富久氏は既に ACCESS の取締役副社長を辞し、現在は起業家兼エンジェル投資家である。

いずれにしても、こうやってこの連載がウェブに掲載されることは良いことだ……と思うのだが、調べてみたら、日経テクノロジーオンラインに2009年に既に公開されていたんだね! 当時ここで取り上げなかったということは、不覚にも気付かなかったのか。

ともかく、当時の日経エレクトロニクスの Tech Tale という連載(「iモードと呼ばれる前」もその一つだったと記憶する)は、「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」みたいなお涙頂戴でないエンジニアたちの奮闘を描いた優れたものが多かった。今読んでも面白いものがいくつもあるだろう。

ビットコインにいたるデジタル通貨の一般向け歴史解説書の決定版か『Digital Gold』 ビットコインにいたるデジタル通貨の一般向け歴史解説書の決定版か『Digital Gold』を含むブックマーク

フレッド・ウィルソンが「失敗したプロジェクトからインスピレーションを得る」話を書いている。最初の試みがうまくいかないとそのアイデアを失敗と片付けがちだが、うまくいったところとうまくいかなかったところをちゃんと切り分け、それから学ぶべき、とのこと。

例として、先日のメイウェザー対パッキャオ戦が多くの人に(少し前に Twitter に買収されたPeriscope 上で視聴された話を挙げている。

ウィルソンは「それってかつての Justin.tv と同じじゃん」と思ったそうだが、Justin.tv は失敗した、というか正確にはピボットにより大きな成功を掴んだのだが、Justin.tv 自体はビジネスとしてはうまくいかなかった。Periscope にしろ必ず成功するわけじゃないが、Justin.tv でうまくいったところとうまくいかなかったところから学べば、うまくいく可能性が高くなる。

その上でウィルソンが紹介しているのは、New York Times のウォールストリート担当記者 Nathaniel Popper が書いた(来週刊行予定の)『Digital Gold』という本である。

『Digital Gold』では、Bitcoin の開発の話をするのに90年代半ばまでさかのぼり、1997年に Adam Back がデジタル通貨を作る初期の試みとして発明した Hashcash を紹介している。Hashcash 自体 はデジタル通貨としては失敗だったが、後に Bitcoin のアルゴリズムが機能する証拠として脚光を浴びることとなる。

Bitcoin を「どこからともなく現れた」画期的な発明と言いたがる人もいるが、実際には Bitcoin は数十年に渡る暗号、ピアツーピアネットワーク、そしてデジタル通貨分野における業績から生まれたということである。つまりは「巨人の肩に立つ」というやつですな。

ウィルソンは、技術系だけでなく、文学であれ、芸術であれ、ほとんどすべての分野でそうなのだと文章を締めているが、『Digital Gold』は、暗号分野におけるサイモン・シン『暗号解読』やスティーブン・レヴィ『暗号化 プライバシーを救った反乱者たち』(asin:4314009071)のような、デジタル通貨を巡るこれまでの歴史を比較的一般寄りの読者に紹介する決定版となるのではないだろうか。

ジョブスの伝記を書いたウォルター・アイザックソンやローレンス・サマーズ(!)が推薦の言葉を寄せているが、これは期待の新刊やね。

[] モンティ・パイソン再結成公演のBlu-rayが日本でも出る  モンティ・パイソン再結成公演のBlu-rayが日本でも出るを含むブックマーク

ずっとこれを待っていたので、嬉しい限りである。

再結成公演決定時には「英語が分からなくても(たぶん)楽しめるモンティ・パイソン入門」なんて書いたが、正直、もうさすがにライブなんて無理だろう、大失敗に終わったらどうしよう、と心配していた。

しかし、蓋を開ければモンティ・パイソンの有終の美を飾る盛況ぶりで安堵したものである。

もちろん NHK での放送も見たが、これは当然 Blu-ray も予約させてもらった。しかし……おそらくは、これがワタシが購入する最後のモンティ・パイソンの映像作品ということになる、と思い当たってなんとも言えない気分にもなった……テリー・ジョーンズの新作映画『Absolutely Anything』もあるけど、パイソン名義としてはね。

[] ミリオンダラー・ベイビー  ミリオンダラー・ベイビーを含むブックマーク

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

2月に欧州行きの飛行機を利用したのだが、機内放送で未見の新作映画で観たいのが『セッション』ぐらいしかなく、旧作で何かないかと探したら、思えばこれ一度テレビの深夜放送を観たが途中までで止めており、ちゃんと観てなかったなと本作を観てみた。

クリント・イーストウッドが二度目のアカデミー作品賞、監督賞を受賞した代表作を今までなぜか観てなかったんですね。

本作は女性版『ロッキー』のような映画ではない、くらいの事前知識はあったが、いや、やはり良い映画ですね。ヒラリー・スワンク演じる主人公が家族のことを語りだすところでぼろぼろ泣き出してしまった。まさか機内放送観ながら泣くなんて思いもしなかった。

本作の良いところはいくつもあるし、それはワタシ以外の人が既に何度も書いているだろう。ワタシが一つ挙げるなら、なんといっても主人公の家族のホワイトトラッシュの文句なしのクズっぷりである。

『グラン・トリノ』を先に観た後だと、あの映画でもあった神父の役割とか、デンジャーというまったく不似合いな名前のひょろっとした一生勝てなさそうなのに嬉々としてボクシングに興じる道化の役割とかいろいろ分かってないところを含めいろいろ考えてしまったが、満足いく映画体験だった。

2015-05-07

ビル・ゲイツやティム・バーナーズ=リーなどTED講演者が推薦する意識が高い読書リスト ビル・ゲイツやティム・バーナーズ=リーなどTED講演者が推薦する意識が高い読書リストを含むブックマーク

ビル・ゲイツやティム・バーナーズ=リーやダニエル・ピンクなど名立たる TED 講演者が勧める本あわせて52冊を紹介するものだが、こういうリストは面白い。しかも、ちゃんとテーマ毎に分けられているのもありがたい。

これがいいところは、古典ばかりに偏らず、比較的最近の本が多いこと、また推薦者の TED 講演を見ると(推薦者の名前を日本語字幕版の TED 講演をリンクしといたよ)、その本を選んだ理由がはっきり分かること。だから、TED 講演から先に見て面白いと思った人が、その延長戦上でもう少し突っ込んだ知見を得たい場合に読むと良い本がレコメンドされてるわけで、そうした意味でも実用性が高いリストになっていると思う。

具体的に推薦者がどういう理由でその本をお勧めしているかは原文をあたってくだされ。

創造性

デザイン

幸福

歴史

言語

哲学

数学と統計

医学

心や脳

政治と時事問題

科学と自然

仕事

こうしてみると、翻訳されにくい分野も見えてくるね。Simon Rogers の『Facts Are Sacred』は結局邦訳が出なかったのか。

takanorikidotakanorikido 2015/05/07 09:10 たまたま読みましたが『Parasite Rex』は邦訳あります。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334961053

yomoyomoyomoyomo 2015/05/07 21:08 ご指摘ありがとうございます。
邦訳をリストに反映させてもらいました。

2015-05-01

邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2015年版) 邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2015年版)を含むブックマーク

この企画も今年で5回目になる。私的ゴールデンウィークの恒例行事である。タイトル通り、邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくるのだが、ワタシの調べが知らず、既に邦訳が出ていたら教えてください(邦訳が出るよ、という情報も歓迎です)。

Andreas Antonopoulos『Mastering Bitcoin: Unlocking Digital Cryptocurrencies』

これは間違いなく邦訳が出ると思うのだが、ビットコインを書名に掲げる本が日本では下火になりつつあるのが気になる。

Mastering Bitcoin: Unlocking Digital Cryptocurrencies

Mastering Bitcoin: Unlocking Digital Cryptocurrencies

スティーブン・ジョンソン(Steven Johnson)『 How We Got to Now: Six Innovations That Made the Modern World』

この本もイノベーション論と読むことができそうだが、昨年の『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』(asin:4772695419)と『イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則』(asin:4822285170)に続いて邦訳が出るだろうか。

How We Got to Now

How We Got to Now

Renee Diresta, Nick Pinkston『The Hardware Startup』

昨年7月に「今年の9月に出るよ」と紹介した本なのだが、まだ出てなかったのかよ! 6月後半に発売とのことで、なんでここまで伸びてしまったのだろうか。

この分野は今いろいろ新しい動きが起きてる分野だし、執筆中にあれも入れたい、これも入れたいとなったのかもしれない。

Jay Jacobs, Bob Rudis『Data-Driven Security: Analysis, Visualization and Dashboards』

こういうセキュリティ本が日本でももっと出るべきだと思う。バズワードとしてのビッグデータ本はもうたくさんなので。

Robert Gordon『Respect Yourself: Stax Records and the Soul Explosion』

そういえば『黄金のメロディ マッスルショールズ』は結局、映画館で観れなかったんだった。DVD が出たら観ることにするが、3月にイギリスに行ったときも、BBC2 で南部ソウルをテーマにしたと思しきドキュメンタリーをやってたっけ。この本の映画版も日本公開されるといいな。

デイヴィッド・ミッチェル『The Bone Clocks』

何かと日本にゆかりのある著者なので、今年中には邦訳が出るんじゃないかな。

The Bone Clocks

The Bone Clocks

The Bone Clocks: A Novel

The Bone Clocks: A Novel

Aaron Swartz『The Boy Who Could Change the World: The Writings of Aaron Swartz』

あれ? 元々はそろそろ出るくらいのスケジュールだったはずだが、今年秋の発売に変わっているね。残念なことに、著者が新たに文章を書き起こすことは不可能なので、その遅れではないはずだ。すると何が問題になったのだろう。

ブルース・シュナイアー『Data and Goliath: The Hidden Battles to Collect Your Data and Control Your World』

今にして思えば、この本だけを主題にして一本文章を書くべきだったかもしれない。それくらい例によってためになるシュナイアー先生の本である。来年あたり邦訳が出るんじゃないかな。

Ian Mortimer『Centuries of Change: Which Century Saw The Most Change?』

こんな本も紹介していたのか。でも、世紀ごとにもっとも大きな変化をもたらしたものは何かと考えるのは面白いね。これの日本版も読みたい。

Centuries of Change: Which Century Saw The Most Change?

Centuries of Change: Which Century Saw The Most Change?

アンドリュー・キーン(Andrew Keen)『The Internet is Not the Answer: Why the Internet Has Been an Economic, Political and Cultural Disaster - and How it Can be Transformed』

前作は邦訳が出なかったことを考えると、今回も出ないだろうな。最近の日本はやたらとポジティブがもてはやされ、こういうネガティブな本は受けないのかね。

The Internet is Not the Answer

The Internet is Not the Answer

The Internet is Not the Answer (English Edition)

The Internet is Not the Answer (English Edition)

Zoe SuggGirl Online

人気ユーチューバーといっても日本での知名度は低いので、これの邦訳は出ないだろうが、今年あたり日本でも人気ユーチューバーが本を出し、これと同じようなトラブルが一つくらい起きそうな気がする。

Girl Online: The First Novel by Zoella (Girl Online Book)

Girl Online: The First Novel by Zoella (Girl Online Book)

Girl Online (English Edition)

Girl Online (English Edition)

ジョン・クリーズ『So, Anyway...: The Autobiography』

イギリスのスーパーマーケットでこの本を見かけたときは、記念に買いかけたが思いとどまった。いずれ紹介するが、昨年のモンティ・パイソン再結成ライブ公演も日本版 Bluray が出る。ついでにこれの邦訳も出てほしいが、それはちょっと難しいか。

So, Anyway.: The Autobiography

So, Anyway.: The Autobiography

So, Anyway...

So, Anyway...

Kevin Ashton『How to Fly a Horse: The Secret History of Creation, Invention, and Discovery』

ある意味、スティーブン・ジョンソンの本を思わせるイノベーション論だが、ある出版社が版権取得を断念した話は聞いたが、その後他の出版社は動いているのだろうか。

Marc Goodman『Future Crimes: Everything Is Connected, Everyone Is Vulnerable and What We Can Do About It』

これも面白い本だと思うのだが、邦訳を読むと読んだで怖くなるというか、いささか気が滅入る本かもしれない。

ジョージ・クリントン『Brothas Be, Yo Like George, Ain't That Funkin' Kinda Hard on You?』

こないだの来日時は、きさくに渋谷タワレコで握手会をやったという話に驚いたものだが、そんな好々爺キャラになるとは。

ナイル・ロジャースの回顧録も邦訳が出なかったことを考えると、こちらも難しいかな。

ヴィクター・ボクリス(Victor Bockris)『Transformer: The Complete Lou Reed Story』

こないだロックの殿堂入りしたルー・リードだが、やはりキャリア全体を網羅した決定的伝記本が邦訳されてほしいところ。出たらもちろん買う。

Transformer: The Complete Lou Reed Story

Transformer: The Complete Lou Reed Story

Transformer: The Complete Lou Reed Story

Transformer: The Complete Lou Reed Story

それでは皆さん、楽しいゴールデンウィークを。ワタシには今年もゴールデンウィークはないのですが……。

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