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2017-12-30

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その4  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その4を含むブックマーク

さて、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』という本を出す上で、避けられない話がある。

おお、これは読まねば! いいタイトルだ……!

https://twitter.com/inumaro/status/946011488505839616

確かにいいタイトルなのだが、ご存知の通り、ワタシの独創ではないんですな。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて』を買ってみたが、わしはまだ『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』を読み終えていないのじゃ…

https://twitter.com/lian_wired/status/945488465650581504

そういうわけである。

この対応が意識的なものであることは以前にも書いたが(電子書籍の中にも書いてます)、面白いことに来年にこれと似たまた別のタイトルの本が編まれるのを知った(笑)。

あと、堺屋七左衛門さんには、以下のように書いていただいている。ここまで言っていただけるのはありがたいことである。

特典で付いてきた長編エッセイ『グッドバイ・ルック』が気になったので先に読み始めたら最後まで一気に読んでしまった。これだけでお金を払っても良いくらいだ。

https://twitter.com/sakaiya/status/946730086903955457

さて、再開を宣言してから怒涛の6日間連続更新を行ったが、2017年の更新はここまで。来年は、そんな無茶なペースではなく、何かめぼしい反応があがってきたところで、それに合わせてぼちぼち更新したいと思う。

それでは皆さん、よいお年を。

[][] Wiki版『早稲田大学百年史』の公開とPukiWikiの最新版  Wiki版『早稲田大学百年史』の公開とPukiWikiの最新版を含むブックマーク

『早稲田大学百年史』がデジタル化され、しかも Wiki システムを利用して公開されるというのは、個人的にはグッとくるニュースだったのだが、そんなに話題になってないようで残念である。

サイト自体はあまり Wiki っぽくないのだけど(この「Wikiっぽさ」とは何かというのも突き詰めると面白いのかもしれないが、ここでは触れない)、確かに PukiWiki 1.5.1 とクレジットがある。

これでワタシも知ったのだが、PukiWiki は2016年に PHP7 に対応したバージョン1.5.1を公開してたんだね。

PukiWiki というと、2013年に5年以上正式リリースがない件を取り上げたが、その後 PHP の新しいバージョンに対応したバージョンアップがなされているようだ。

PukiWiki を書名に冠した本が二冊も出た2006年当時のような熱がもはやないのは仕方ないとして、単独で Wiki サイトを立ち上げる選択肢として残ってほしいという気持ちはある。

PukiWiki入門 まとめサイトをつくろう!

PukiWiki入門 まとめサイトをつくろう!

出版社やエージェントにもっとも多くの回数拒絶された名作 出版社やエージェントにもっとも多くの回数拒絶された名作を含むブックマーク

ツイッターで話題になっていて知ったページだが、確かにこれは面白いね。

ベストセラーや文学上の名作とされる作品が、出版社やエージェントに何度も拒絶されていたという話はよく聞くが、その拒絶回数をランキングにしている。100回以上拒否されても売り込む作家(やエージェント)の熱意がすごいよな。

全部紹介しても仕方がないので、邦訳が出ているものだけ、拒絶回数とともに挙げておく。

いやはや、ノーベル文学賞作家の初期作あり、ベストセラー作品あり、大ヒット映画の原作ありとすごいですな。デビュー前のスティーヴン・キングがボツばかりくらったのは有名だよね。あと関係ないが、エルモア・レナード の『The Big Bounce』(84回)って邦訳出てないのか。

しかし、『キャッチ=22』の拒絶回数が22回というの、ちょっと出来過ぎではないか……と思っていたら、リストの最後に挙がる作品にギョッとする。

15回目の拒絶でアンネ・フランクの父親が諦めていたら、と考えると怖いものがある。

[] 2017年に映画館で観た映画 その6(ゲット・アウト、IT/イット “それ”が見えたら、終わり。、KUBO/クボ 二本の弦の秘密)  2017年に映画館で観た映画 その6(ゲット・アウト、IT/イット “それ”が見えたら、終わり。、KUBO/クボ 二本の弦の秘密)を含むブックマーク

ゲット・アウト

評判が良かったので観に行ったのだが、確かにこれは面白いホラー映画だった。

異性愛のカップルが初めて二人で女性の実家を来訪するが、白人の彼女は両親に彼氏が黒人であることを伝えていない――ここまで聞けば、人種間のフリクションが作品をドライブさせることになるのは容易に想像できるが、単純な人種差別話でなく、展開が簡単に読めずに緊張が続くところに本作の巧さがある。

これはよく出来ている、と観終わって思うが、同時に映画のはじめのほうで主人公のよく鍛え上げられている肉体を見て、にいちゃんいい身体してるねぇ、と思った自分自身に戸惑いを覚えていしまう仕掛けにもなっている。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

なんなんだよ、この的外れな邦題は。

『IT』というと、昔テレビ映画があり、ペニーワイズがなかなか怖かったのだが、最後になってヘナヘナと腰くだけで、ここまで観た時間を返してくれよという気持ちになったことを覚えている。

本作は主人公達の少年少女の頃に絞っていて、結構エグい描写もあるホラーな『スタンド・バイ・ミー』(原作者同じですけど)、あと少し『グーニーズ』入った感じ、というべきか。本作もペニーワイズ怖かったねぇ。

ワタシは本作を街中の映画館で休日観たのだが、高校生くらいの若い観客が多く、上映後、「チャプター1って、どういうこと? 続編あるの?」と言い合っているのを聞いて、なるほど、スティーヴン・キングの原作などまったく知らん若人がたくさん来てるんだと思った。これはもちろん良いことである。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密

KingInK で一年以上前に評を読んでいて日本公開を楽しみにしていた映画だが、中世の日本に材をとった本作がこれだけ日本公開まで時間がかかるってどういうことよ。

ワタシは時間の関係で字幕版しか観れなかったのだが、シャーリーズ・セロンだのマシュー・マコノヘイだの有名な役者さんが声をやってたのに驚いた(マコノヘイのとぼけた感じが特によかった)。

エンドロールで本作のストップモーションアニメにどれだけキチガイめいた労力がかかっているか分かるのだが、作品世界の作り方自体映像も音楽もとにかく新鮮で、最後に題名の意味も分かるストーリー展開もお見事と言いたくなる感じだった。

[] スター・ウォーズ/最後のジェダイ  スター・ウォーズ/最後のジェダイを含むブックマーク

28日夜にようやく観ることができたこの作品だけは個別に書いておこう。

ワタシはまだ小学生の時分に家族とともにエピソード5と6を映画館で観た人間で、旧三部作は大好きだが(ジョージ・ルーカスの映画で一番評価するのは『アメリカン・グラフティ』だけど)、このサーガに対する深い思い入れが基本的にない人間だったりする。

本作は公開するなり賛否両論で、中にはこれをスターウォーズの正史から外すよう求める署名活動なんかもあってるようで、上に書いたような人間であるワタシ的にはかなり楽しめるのではないかという予感があったのだが、その通りだった。やったじゃないか、ライアン・ジョンソン

スター・ウォーズは、神話を持たないアメリカにとっての神話とか言われるが、何よりスペースオペラである。手に汗握り盛り上がる活劇であり、悪役はこけおどし的に強大で、どうなってしまうんだと主人公達に立ちはだかる困難があり、それを切り抜けるある種のご都合主義があり(科学考証の放棄ぶりは本作特にすごい)、物語の緊張をもたらす意外性と緩和をもたらすユーモアがある……それらは本作に全部揃っている。

本作に怒る人がいるのは、やはりフォースというこのサーガの根幹を成す設定を軽んじているように見えるからだろうか。ワタシは速水健朗さんが言うように、フォースなんて「ジョージ・ルーカスがエスパー設定に思いつきで東洋思想っぽいものを混ぜただけ」としか思わない人間なので、フォースやジェダイに関する膝かっくんもダメージを感じなかった。

それにしてもカイロ・レン! ワタシは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観て、なんてこいつはダメなヤツなんだと呆れた。本作でも、ヤケを起こして暴れた後、前作同様部下に「うわぁ」という目で見られているのだが、こいつのヘタレ加減を楽しめるようになったぞ。でも、お前、悪役として大して強くないのどうなんだ? スヌークの手下くらい秒殺しろよ。

ワタシはカイロ・レンを演じるアダム・ドライバーのことがどうも好きになれなかったのだが、本作を観ていて、その理由が突然分かった。それは個人的なものなので、ここには書かないが、今年は『パターソン』を観て、彼に対する印象が良くなっていたのもあり、以前のように彼にイラっとしなかった。

本作はキャリー・フィッシャーの遺作になったわけだが、確かライアン・ジョンソンは、本作の脚本を書くと、フィッシャーに見せて相談をしたと語っていたと思う。本作を観ていて、その脚本には、極めて有能なスクリプトライターだったフィッシャーの手が結構入っているのではないか、と特に何の根拠もなく思ったりした。

さて、このようにワタシは本作に好意的なのだが、本作に怒る人の気持ちも分かる気はする。それはかつて呉智英が相撲の国際化(外国人力士)について書いていたたとえ話、ちょっとした小料理屋に言って、これぞという日本料理を出してくれと注文したらカレーライスと餃子が出て、確かに両方とも日本の代表的な家庭料理だが、それを受け入れられるか? という話……は、相撲界がいろいろとアレな状況でもよいたとえではないか(笑)。それはともかく、人それぞれ、スター・ウォーズに見たいと思っているものの保守性に向き合わされるのかな。

2017-12-29

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その3  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その3を含むブックマーク

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』について、ぼちぼち「買った」というツイートを見かけてありがたいのだが、このツイートには思わず前のめりになった。

船田巧さん、というか、ワタシにとっては船田戦闘機さんである。

船田さんがワタシのことを認知してくださってるらしいのは知っていたが、こうして買ったと言ってもらえると、雑誌ログイン(LOGiN)の読者だったワタシとしては、少し気が遠くなる感覚がある。30年前(!)の自分にこれを教えてあげたくなるよ。

実は船田戦闘機さんとは、(ここ数年行けてないのが心苦しいのだが)Maker Faire Tokyo で何度も遭遇している。

というか、ワタシがお見かけして、勝手に「船田さんだ!」と感動しているのである。そのとき船田さんはいつも子供らにとても熱心に説明をしていて、その姿を見て、まさにログインがそうだったように、これこそ DIY の精神じゃないかと思うわけだ。

一言お声をかけたいと思いながら、yomoyomo とか名乗られて「はぁ?」とならないかなという恐怖心があって、遠巻きに見てばかりだった内気というかコミュ障な自分が情けない。

デザインをテーマとしていないけどデザインについて学べる最良の本12選 デザインをテーマとしていないけどデザインについて学べる最良の本12選を含むブックマーク

今年特に「デザイン思考」という言葉をいろんなところで聞いたものである。もちろんこの言葉は以前からあったのだけど、「デザイン」という言葉が改めて重要視されている流れがある。

そういうわけで、デザインをテーマとしていないけど、デザインについての最良の本を12冊選んだブログを知った。果たしてどんな本が挙げられているのだろうか。邦訳を調べてみた。

  1. ジェイン・ジェイコブズ『アメリカ大都市の死と生』(asin:4306072746
  2. クリストファー・アレグザンダー『時を超えた建設の道』(asin:4306043061
  3. トレーシー・キダー『国境を越えた医師―Mountains Beyond Mountains』(asin:4796880143
  4. Edward Tufte『The Visual Display of Quantitative Information』
  5. スチュアート・ブランド『How Buildings Learn』
  6. イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』(asin:4309462294
  7. スコット・マクラウド『マンガ学―マンガによるマンガのためのマンガ理論』(asin:4568501989
  8. リチャード・P・ルメルト『良い戦略、悪い戦略』(asin:4532318092
  9. ニコルソン・ベイカー『中二階』(asin:4560071225
  10. ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』(asin:4150504105asin:4150504113
  11. ドネラ・H・メドウズ『世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方』(asin:4862761801
  12. エド・キャットムル、エイミー・ワラス『ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法』(asin:4478016380

これは興味をそそるブックリストになってるのではないか。

スチュアート・ブランドの『How Buildings Learn』は、邦訳は出ていないが、このブログでも以前取り上げている(その1その2)。

この本やアレグザンダーやジェイコブズの本が入っているのは納得だが、イタロ・カルヴィーノニコルソン・ベイカーの小説も入っているのが興味深い。

ネタ元は kottke.org

「本の街」をテーマにした本の邦訳と筒井康隆が昔書いていた「過疎地に出版文化都市」の提案 「本の街」をテーマにした本の邦訳と筒井康隆が昔書いていた「過疎地に出版文化都市」の提案を含むブックマーク

TranNet のオーディション課題でちょっと興味をひく本があった。

世界には約40カ所も「本の街(Book Towns)」と言われる地域がある。本書ではそれらの具体的な場所、歴史、魅力を美しい写真と共に紹介。旅行に役立つアドバイスもする。日本が誇る本の街、神保町も掲載。

オーディション課題概要

これは面白そうじゃないか。2018年前半には邦訳が出るだろうから、マガジン航あたりで取り上げてほしいところ。

Book Towns

Book Towns

Book Towns

Book Towns

Wikipedia にも Book town の項目があって、しかし、その日本語版は古書店街になっており、ちょっと違う気がする。

そのあたりを考えていて、筒井康隆が昔書いていた文章を思い出した。『笑犬樓よりの眺望』を調べてみたら、「過疎地に出版文化都市を作ってはどうか」だった。

その文章は、ベルギーの人口450人の過疎の村ルデュで、ある本好きの退職サラリーマンが古書店を開いた。それがきっかけで書店が増え、専門化し、それ目当てにやってくる本好きが増え、そのうち出版社が常設書店を開き、作家が来て文化講演会を開くような「本の村」となったことを伝える朝日新聞の記事の話から始まる。

さて、上で紹介した Book town のリストの中に、もちろんそのルデュも含まれているのだが、上の話を受けて筒井康隆は、「本の村」なんて小さいことを言わず、日本の過疎地に出版文化都市を作れと提案する。

具体的には、出版社や大手取次などの移転、文壇パーティができるヒルトン級のホテルの建設、税金を安くして作家を移住させる、そして有名書店の開店は当然として、目玉となるのは国会図書館の移転……とどんどんぶちあげていくのだが、これが書かれたのは1987年9月である。

嗚呼、バブル経済まっただなかだったんだねぇ。もちろん当時だってこんな構想が実現したわけもないのだが、隔世の感がある。

笑犬樓よりの眺望(新潮文庫)

笑犬樓よりの眺望(新潮文庫)

[][] 『ブレードランナー 2049』のエンドロールにOpenStreetMapの名前があった話(がよく分からない)  『ブレードランナー 2049』のエンドロールにOpenStreetMapの名前があった話(がよく分からない)を含むブックマーク

ブレードランナー 2049』の感想はこの下のエントリに書いているのでそちらを読んでいただきたい。

この映画はいろいろ言われたが、ワタシ的に気になった脇道の話が一つあって、それはこの映画のエンドロールに OpenStreetMap のクレジットがあったという件。

よく気づいたものだと思うのだが、これについて言及したニュース記事を見つけることができなかった。OpenStreetMap の Wiki ページに言及があって、これを見ると OpenStreetMap のクレジットがある映画が近年ぽつぽつあることが分かるが、どうもそれ以上の情報がない。

そもそも『ブレードランナー 2049』は、OpenStreetMap の情報をどのように利用したのだろうか。そのあたりに突っ込んだ記事はないのだろうか。

[] 2017年に映画館で観た映画 その5(ダンケルク、パターソン、ブレードランナー 2049 2017年に映画館で観た映画 その5(ダンケルク、パターソン、ブレードランナー 2049)を含むブックマーク

ダンケルク

映画というよりアトラクションに近いという評判も聞いていたので、気合を入れて、日本でもっともでかい IMAX スクリーンで前から四列目で観てきた。確かに迫力満点だった。銃声とともにズボンが揺れるくらいの体感があった。

テンポが異なる複数の時系列を一つの映画にしており、そう聞くと『インセプション』を連想させるが、もちろん第二次世界大戦での岐路になったダンケルクの戦いに材をとっているので、当然感触はまったく異なる。

ほとんどが無名の役者からなる区別のつかなさ加減がリアルで、ハンス・ジマーのいつにも増して圧迫感のある音響も効果的だった。

やたらと長くなっている印象のあるクリストファー・ノーランの映画だが、本作は106分とコンパクトにまとまっていて、それも好印象につながった。こんな映画が二時間半もあったら、神経やられかねない。

パターソン

パターソン [Blu-ray]

パターソン [Blu-ray]

『わたしは、ダニエル・ブレイク』に続き、都会では既に上映終了済のタイミングで、故郷のアートシアター系映画館で国内時差を利用して観た。実はジム・ジャームッシュの映画を映画館で観るのは初めてだった。

今年観た映画の中では、圧倒的に低予算の映画である。しかし、ある意味、本作は今年観た映画の中で一番かもしれない。そういう特別な作品である。

本作はワタシにとって、とても心地の良い映画だった。現実のパターソンは、この映画で描かれるような安穏とした田舎ではないらしいという話も聞いたが、この映画の心地よさは、これがジャームッシュにとっての理想を表現したものだからかもしれない。

アダム・ドライバーってそんな好きな役者じゃなかったのだが、本作は安定感があって良かった。永瀬正敏が最後に重要な役で出てくるが、彼が律儀に「ニュージャージー州パターソン」と繰り返すのにクスクス笑っていたら、最後に彼が言う A-ha にカーッと胸が熱くなった。

ブレードランナー 2049

ブレードランナー』の続編という話を聞いたときは、とにかく止めてくれよと思ったし、『メッセージ』をものにしたドゥニ・ヴィルヌーヴが監督するというのを知っても、やはり不安が先に立った。

本作については賛否両論、というか否がワタシの観測圏では多い印象があるが、ワタシは賛のほうに回りたい。結局一度しか映画館で観れなかったが、複数回行くべきだった。

もちろんワタシにとっても『ブレードランナー』は特別な作品だけど、マニアックなこだわりはなく、すべて観たバージョンの中では、もっとも通俗的で最後に設定が破綻する劇場公開版が一番好きな人間だったりするんだけど。

3時間近い上映時間に観る前から少しゲンナリきてたし、寝不足の状態で観たので寝ちゃうのを危惧してたのだが、そんな余地のない、よく頑張った続編ですねレベルに留まらない、文句なしの傑作だった。例によってハンス・ジマーの圧迫感に満ちた音響を楽しみ――と書きたいが、今年は『ダンケルク』に続きなので、ちょっと飽きたかも。

本作の主人公はとてもかわいそうなのだけど、ライアン・ゴスリングがピッタリだった。彼の孤独の表現がよく出来ていた。

2017-12-28

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その2  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その2を含むブックマーク

ベータ版を刊行して、ようやく『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』そのものに関する作業から少し離れることができるかと思いきや、細かい問題が露見して、GitHub 上での作業が続いている。追って告知できると思います。

さて、実は発売日に既に感想をいただいていたので紹介させてもらう。

ボーナストラック、読み始めたら引き込まれて、一気に読み終えました。 縦書きがふさわしい文章だと感じました

https://twitter.com/tanakakohsuke/status/945283888229662720

田中汞介さんが感想一番乗りだった。そうなのである。今回書き下ろした文章は、縦書きで組まれているのだ。

ボーナストラック読みたさに購入したが、想像とここまで違うものだったとは(言葉が続かない)。 カットバックにしても。 三読の価値はあった。

https://twitter.com/arton/status/945290752011075584

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』に解説をいただいた arton さんの感想なのだが、なんで解説書いた人が購入してるんだとびっくりした。もちろん達人出版会からフルパッケージの献本はあっているので、その点誤解なきよう。

ワタシからボーナストラックを送りつけられた高橋さんも最初はっきり困惑されていた(と感じた)。arton さんが書く「三読の価値」とは違うかもしれないが、本体を読んでからボーナストラックを読むと、あそこの記述はこういう意味だったと分かるところが何点かあるし、逆にボーナストラックを読んでから本体を読んだ場合の発見もいくつかあるはずである。

[] ブロックチェーンを構築しながら学ぶ――Go言語の場合  ブロックチェーンを構築しながら学ぶ――Go言語の場合を含むブックマーク

少し前に「ブロックチェ−ンを構築しながら学ぶ」という翻訳記事を見かけたが、何かの仕組みを知るには構築するのが最短の方法、というのは確かにそうなのだろう。

ブロックチェーンを構築しながら学ぶという試みは他にもあって、Ivan Kuznetsov も Go 言語でこれを行っている。

ソースコードは当然ながら GitHub から取得できる。10月のパート7を最後に更新がちょっと止まってしまっているが、そのパート7を読む限り、これで終わりではないはずである。

そうそう、ブロックチェーンといえば、『ブロックチェーン技術の未解決問題』という、今年たくさん出た便乗本とは一味違う感触のタイトルの本が来月出るのが楽しみである。

著者に楠正憲さん(id:mkusunok)が名前を連ねているのだから、これは信用できそうだ。

[] 2018年にパブリックドメイン入りする作家は誰か  2018年にパブリックドメイン入りする作家は誰かを含むブックマーク

日本の著作権法では、著作者の死後50年が保護期間だったのが、TPP によりアメリカと同じく死後70年になりそう……と思ったら、ドナルド・トランプ大統領誕生によって TPP の枠組みがいったん頓挫し、著作権保護期間延長問題も棚上げになった……と思いきや、実は勝手に70年延長に決まってたらしいというどっちらけ状態で脱力なのだが、それはそれとして、2018年に著作権の保護期間が切れ、パブリックドメイン入りする作家をまとめている。

ロックとオカルトが大好きなワタシ的には、アレイスター・クロウリーの名前におおっとなるが、リストを見ていて、ウィンストン・チャーチルの名前に、ええっ、彼はもう死後70年になるっけ? と驚いた。が、同姓同名のベストセラー作家らしい。そんな人知らなかったよ!

ネタ元は Boing Boing

日本でパブリックドメインといえば青空文庫だが、2018年にパブリックドメイン入りする人のリストを見ると、うーん、今回は正直地味ですね。『二十四の瞳』の壺井栄、「花子とアン」で脚光を浴びた柳原白蓮、あと政治家では吉田茂くらいですかね。

二十四の瞳 (角川文庫)

二十四の瞳 (角川文庫)

白蓮自叙伝 荊棘の実

白蓮自叙伝 荊棘の実

日本を決定した百年―附・思出す侭 (中公文庫)

日本を決定した百年―附・思出す侭 (中公文庫)

[2017年12月31日追記]:ぶくまコメントで気づいたのだが、2018年は山本周五郎という大物がいましたね。失礼しました。

[] 2017年もルー・リードの本が二冊出ていた  2017年もルー・リードの本が二冊出ていたを含むブックマーク

2015年には暴露本的伝記、2016年には最初の奥さんの回顧録が出て、さすがにこれに続く本はなかろうと思っていたが、2017年もルー・リードの本が2冊出ていた。

まずは有名なフォトグラファーにして、ルー・リード生前最後のインタビューを一緒に行うなど長年親交が深かったミック・ロックとの連名による Transformer という豪華限定本。Amazon では売っていない。

これは言うまでもなく、ルー・リードの代表作と同じタイトルだが、要はあのアルバムのジャケットを撮ったのもミック・ロックだったのか。

そしてもう一冊は、Rolling Stone や New York Times などへの寄稿で知られるジャーナリスト Anthony DeCurtis による伝記本『Lou Reed: A Life』である。

Lou Reed: A Life

Lou Reed: A Life

Lou Reed: A Life (English Edition)

Lou Reed: A Life (English Edition)

ジャーナリストとしてリードと20年以上の親交のあった著者が「ルーの生前にこの本を書いていたら、彼は二度と口をきいてくれなかったろう」と語る決定版な伝記本なので、個人的にはこちらについては邦訳が出てほしいところだが、売り上げ予測を考えると難しいんだろうな。

Pitchfork にこの本から学べる5つの話を紹介している。

  1. リードは『ベルリン』への辛辣な批判にとても傷ついていた
  2. リードの電気ショック療法体験は、彼の家族を引き裂いた
  3. リードは性転換者のパートナーだったレイチェルと大恋愛(もっと暴力的で背徳的なイメージか)をした
  4. ローリー・アンダーソンが現れるまで、リードの恋人/妻たちは彼の雇用者扱いだった
  5. リードは1980年代にヴェルヴェット・アンダーグラウンドの再結成で金を稼ごうとして失敗した

うーん? 電気ショック療法の話が彼の性的志向の「治療」のために行われたという定説は、以前にも彼の妹が否定していたね。4番目の話は、暴露本的伝記でも恐らくは語られている、リードの女性に対する扱いの悪さについての話なのだろうな。5番目のヴェルヴェッツの再結成の話はちょっとおかしいような。

[] 2017年に映画館で観た映画 その4(スパイダーマン:ホームカミング、ベイビー・ドライバー新感染 ファイナル・エクスプレス 2017年に映画館で観た映画 その4(スパイダーマン:ホームカミング、ベイビー・ドライバー、新感染 ファイナル・エクスプレス)を含むブックマーク

スパイダーマン:ホームカミング

サム・ライミのスパイダーマンシリーズは観ているが、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの方は結局観ていない。マーベルユニバースの映画が嫌いという奇特な人間であるワタシは、本作についてもどうかと思ったのだが、評判が良かったので行ってみた。

まぁ、面白かったです。ローカルヒーローとしてのスパイダーマンのリブートですね。主人公の相棒である岡田斗司夫がいい味出していた。エリート層に怒りを抱えるブルーカラー寄りの白人、というマイケル・キートン演じるヴィランもいまどきなんだろうね。

ベイビー・ドライバー

エドガー・ライトの新作がアメリカで大ヒットしてるというのでかなり前のめりだったのだが、上映館の少なさに殺意すら覚えたよ。スケジュールの都合でこれは映画館で観れないかと諦めかけたが、街中の映画館で両脇カップルに囲まれて観るハメになった。

最高の車×音楽映画。もう観ただけで十分で、それ以上何か言葉を付け加えたい気持ちもない映画。ただちょっと期待値が上がりすぎてたかも。主人公の恋愛観が幼稚というか、極端に言えばただのマザコンで、そこに違和感を覚えたためか。

新感染 ファイナル・エクスプレス

今年観た映画中でピカイチな傑作だった。これはすごく良かった。大満足。

原題を蹂躙する邦題は嫌いなほうだが、本作はこれでよいのではないか。『釜山行き』じゃ埋もれてしまうだけでしょ?

本作におけるゾンビは、明らかに北朝鮮からの侵略のめたふぁーなのだけど、利己主義や家族を巡る韓国社会の問題点をしっかり仮託しており、ゾンビ映画として秀逸なのでアクションは魅せるし、ゾンビ映画らしいユーモアもあるし、泣かせるしで、最後までとにかく脚本がよくできていた。

かくして「走るゾンビ」の系譜のマスターピースがまた一つ誕生したわけだ。

2017-12-27

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その1  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その1を含むブックマーク

さて今日からは、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を実際に買ってくださった方々の声をぼちぼち紹介していきたいと思う。

タイトル見て絶対yomoyomoさんだと思ったらやはり。買おう。

https://twitter.com/yosuke__/status/945258743456862208

そして、実際に id:pho さんは購入してくださったわけだが、ありがたい話である。

「メイカーズのエコシステム」に言及された回もあったし、これは買おう

https://twitter.com/tks/status/945626726909886464

最近シンガポールから深圳に居を移された高須正和さんも購入してくださった。高須さんはこれからも面白い情報を我々にもたらしてくれるだろう。

yomoyomo先生の新著が出たと聞いて、さっそく購入いたしました。私も長崎の村さ来に連れて行ってください

https://twitter.com/Wslash/status/945654087340539904

これは IT 系ポッドキャストの金字塔として知られる mhatta ポッドキャストにおいて、けたたましい笑い声を担当しておられる横田真俊さんではないですか。横田さんのような IT 業界の有名人に買っていただけて光栄至極です!

yomoyomo 本のepub版はiPhoneのiBooksでは開けないのか。Macだと開けるけど。β版だからか、または最近のePub事情なのか。

https://twitter.com/yto/status/945542690115960834

たつをさんによるご指摘だが、このように実際に買ってみたが、閲覧に問題などあったら、遠慮なく声をあげていただきたい。解決可能な問題であれば、達人出版会の高橋さんが対応してくださると思うので。

[][] Red Hatコミュニティ主導による「オープンな組織論」本が公開されている  Red Hatコミュニティ主導による「オープンな組織論」本が公開されているを含むブックマーク

Red Hat の CEOが組織論の本を出した話を紹介したのが2年以上前だが、昨年その邦訳も出た。

面白いのは、そこで話が終わらず、コミュニティ主導でこの「オープンな組織論」についての議論が続き、The Open Organization Workbook にまとめられたこと。

この手の本では珍しい話ではないが、Creative Commons の Attribution-ShareAlike 4.0 International ライセンスが適用されており、自由に再配布が可能である。紙版も Lulu で売られているけど……ってそういえば、Lulu 自体 Red Hat の CEO だったボブ・ヤングが創業した会社だよな。

また例によって、GitHub でも公開されている。

現在 Red Hat の CEO である Jim Whitehurst ももちろん寄稿しているし、Jono Bacon など知った名前がクレジットされている。

エレン・パオの『Reset』は今こそ邦訳を出す価値がある本だろう エレン・パオの『Reset』は今こそ邦訳を出す価値がある本だろうを含むブックマーク

2017年の TIME のパーソン・オブ・ザ・イヤーは Silence Breakers ということで、この問題が大きくクローズアップされたのは、ハリウッドの大物プロデューサーであるハービー・ワインスティーンのセクハラ報道に端を発するわけだが、それより前にシリコンバレーのテック系文化圏におけるセクシズムを告発したエレン・パオ(Ellen Pao)は、Uber におけるセクハラの横行の告発と並び、ある意味露払いの役割を果たしたといえないか。

エレン・パオというと、2015年にインターネットでもっとも嫌われた15人に選ばれたり、Reddit の CEO 時代には何かと標的になることが多く、それには男性 Reddit ユーザのミソジニーが影響していなかったとはいえないだろう。Reddit の CEO 退任後も大手の投資家を訴えた裁判で敗訴したり、いろいろ大変であった。

今年彼女はそのあたりを主題とする本を刊行している。

Reset: My Fight for Inclusion and Lasting Change

Reset: My Fight for Inclusion and Lasting Change

Reset: My Fight for Inclusion and Lasting Change

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しかし、この本を翻訳でない日本のニュースメディアでちゃんと取り上げたところって、ワタシの観測範囲では ITmedia くらいなんだよね。

そういえば、この記事を書いている佐藤由紀子氏に対して、ワタシは昔イヤミめいたことを書いたことがある。性格悪くてすいませんでした。

それはともかく、この本は邦訳する価値あると思うのよ。少し前には元電通のクソクリエイター様が告発されて失脚する事件があったが、日本のテック系コミュニティでもセクハラ問題が炸裂する可能性が高いはずだし。

日本における MeToo 運動は、例の問題の告発側などのアレな言動によってちょっとアレな感じになってしまった印象があるが、それで済ませてよい問題じゃないし。

ビッグデータ並びにアルゴリズムの盲信に警鐘を鳴らす講演動画を2つ紹介 ビッグデータ並びにアルゴリズムの盲信に警鐘を鳴らす講演動画を2つ紹介を含むブックマーク

これは必見の動画である。タイトルには「ビッグデータ」とだけあるが、「アルゴリズム」も問題であって、そうした意味で、この TED 講演の問題意識は「我々は信頼に足るアルゴリズムを見極められるのか?」につながるものがある。

これはますます彼女の『大量破壊数学』は邦訳が待たれる本だと思うのだが、来年出るのかねぇ。

「ビッグデータを盲信」というと、ワタシはかつて「ビッグデータの不都合な真実」という文章も書いたことがあって、そこで紹介したケイト・クロフォードが、やはりビッグデータ、アルゴリズムが抱える可能性があるバイアスについて NIPS 2017 Conference で講演している動画を見つけた。

The Trouble with Bias - NIPS 2017 Keynote - Kate Crawford #NIPS2017 - YouTube

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彼女は今機械学習や AI の研究で第一線に立っているが、やはりこの分野でもバイアスについての問題意識は健在であるようで、キャシー・オニールの講演につながるものがある。

彼女は滑舌が良いので、字幕を出して聞けば、なんとか意味は取れると思います。

関係ないが、今年の NIPS などでセクシャルハラスメントの問題があったらしいですね。

ともかく、ここで紹介した講演内容は、ワタシの『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』にかなりつながる話なので、気になった人は是非電子書籍で読んでほしいな(宣伝)。

[] 2017年に映画館で観た映画 その3(LOGAN/ローガン、ハクソー・リッジジョン・ウィック:チャプター2 2017年に映画館で観た映画 その3(LOGAN/ローガン、ハクソー・リッジ、ジョン・ウィック:チャプター2)を含むブックマーク

LOGAN/ローガン

Xメンシリーズはさほど観ているわけではないのだが、本作はヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じるのが最後だし、評判が良かったので観に行った。

タイトルがウルヴァリンでなくローガンなのがポイントですね。例えば『ウルヴァリン The Final』なんかでなく、それをちゃんと踏まえた邦題にした映画会社に感謝したい……と思ったら、同じところが『Hidden Figures』の邦題で騒動を起こすとはね。

噂に違わぬ血と暴力の国の映画であり、ロードムービーであり、逃亡者の映画であり、要はアメリカ映画としかいいようがない。そして言うまでもなく継承の映画なのだが、それにはスティグマも含まれることを、まさかのあの名作の引用により分かりやすく伝えていた。

あと、後から本作にスティーヴン・マーチャントが出てたと知り驚いた。彼は俳優としては怪優に属する人だと思うのだが、ハリウッド大作で堂々の助演やないか!

ハクソー・リッジ

自業自得的に不遇を囲っていたメル・ギブソンが、彼にもっとも合った暴虐的な題材を監督するのに楽しみにして観に行った。

2017年は『沈黙 -サイレンス-』に続きアンドリュー・ガーフィールド主演の映画を観たことになるわけか。『沈黙』よりももっと直接的に追い込まれる役をやっている。しかし、本作の主人公に内在する正気と狂気は、どこか得たいが知れないところがあった。

さすがメル・ギブソンという暴力描写だったが、ワタシなど『野火』を思い出してしまった(そうした意味で本作について塚本晋也に語らせたナタリーはうまい)。

ジョン・ウィック:チャプター2

キアヌ・リーブスらしい復活作である前作が良かったので観に行ったが、ストーリーがその前作の数日後から始まるとは思わなかったな。

本作については、前作のような必然性が感じられないというストーリー上の弱さはあるが、殺し屋の流儀やプロトコルに見られる、シリアスそうで実はバカなところは健在で、その点においてワタシは本作も好きだ。

コモンと窮屈そうに撃ち合う場面で笑ってしまったよ。

2017-12-26

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』サポートページ公開  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』サポートページ公開を含むブックマーク

yomoyomoの執筆、翻訳活動に『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』のサポートページを追加。

現時点は達人出版会のページよりも情報量が少ないが、『情報共有の未来』のときと同様に、読者から情報があれば正誤表も追加するつもりだし、他にも何か参考になる情報をあげるかもしれない。

そういえば本サイトのトップページもバランスを考えて少しレイアウトを変更した。そもそも table タグレイアウトという恐怖の Web 1.0 丸出しをなんとかしなければいけないのは分かっているが、もうワタシ最近の HTML/CSS にはまったくついていけておらず、どうしようもないのである。ページ改修を依頼できる友人がいれば……。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、昨夜の公開から間もなく購入していただいただけでなく、もう読まれた方もいるらしい。ありがたいことである。

明日からは、そうした読者の方の感想などをぼちぼち紹介していくつもりである。

2017年も「ほぼ月刊山形浩生」が達成されてしまったという恐怖 2017年も「ほぼ月刊山形浩生」が達成されてしまったという恐怖を含むブックマーク

2014年2016年に続き、2017年も山形浩生が共著者、(共)訳者に名前を連ねた本が1ダース以上刊行されるという「ほぼ月刊山形浩生」状態が達成されてしまったようだ。

既刊の本の再刊、2016年中に刊行予定だったものが2017年にずれこんだ本も含まれるのだが、それを除いても12冊を多分超えるのだから恐ろしい話だ。

なお本人は、テレビ放送中に銀スプレーを口元に吹きかけるという暴挙に出た2年後に、今度はテレビ放送中にお金を撒き散らし、ヘリコプターマネーを実践(ただしジンバブエドル)しており、中年狂犬健在というか、この人には何を言っても無駄なのだろう。

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エコノミスト誌の「2017年最優秀書籍」に『黒い迷宮──ルーシー・ブラックマン事件の真実』の著者の新刊や東田直樹の本が入る エコノミスト誌の「2017年最優秀書籍」に『黒い迷宮──ルーシー・ブラックマン事件の真実』の著者の新刊や東田直樹の本が入るを含むブックマーク

エコノミスト誌の Books of the Year 企画だが、マイケル・ルイスの新刊のような例外を除き、見事に知らない著者の知らない本だらけで、嗚呼、オラはダメだなぁ、という気になる。

なんとか日本人であるワタシと接点のある本を探すと、2011年の東日本大震災津波被害を扱った本がリスト入りしている。

Ghosts of the Tsunami: Death and Life in Japan’s Disaster Zone

Ghosts of the Tsunami: Death and Life in Japan’s Disaster Zone

ん? この本の著者の Richard Lloyd Parry って、『黒い迷宮──ルーシー・ブラックマン事件の真実』(asin:4150505020asin:4150505039)の人か。ということは、これも邦訳出るでしょうな……と調べたら、『津波の霊たち──3・11 死と生の物語』という邦題で来月出るってよ!

あと、Naoki Higashida の『Fall Down 7 Times Get Up 8』って、東田直樹の『自閉症の僕の七転び八起き』のことか。

自閉症の僕の七転び八起き

自閉症の僕の七転び八起き

この本が話題になったのは、英訳を担当したのが『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルとその日本人の妻であるからなんだね。

しかし、エコノミストは東田直樹のことを「村上春樹以降、もっとも広く読まれる日本人作家になるだろう」とまで書いている。へぇ、そうかい?

あと書名を眺めていて、唯一興味が持てそうな『Everybody Lies: Big Data, New Data, and What the Internet Can Tell Us About Who We Really Are』という本について調べたら、未翻訳ブックレビューにて既に取り上げられていた。さすが! これは邦訳が出てほしいね。

スティーヴン・ジョンソンの新刊の邦訳と来年出る予定の新刊情報 スティーヴン・ジョンソンの新刊の邦訳と来年出る予定の新刊情報を含むブックマーク

昨年ブログで取り上げていた(その1その2)スティーヴン・ジョンソンの現時点での新刊の邦訳が11月に出ている。

スティーヴン・ジョンソンというと、恐らく初めてだと思うが、彼の本が文庫入りもしている。

これも面白いと評判だった本だが、値段との兼ね合いで手が伸びなかった人には、読んでみる好機ではないか……と他人事みたいに書いているが、まさにワタシ自身がそうだったので、買わないといけませんな。

で、2018年にはスティーヴン・ジョンソンの次の新作が出るみたい。

Farsighted: How We Make the Decisions That Matter the Most

Farsighted: How We Make the Decisions That Matter the Most

新刊のタイトルは、『先見の明:我々はどうやって最も重要な決定を行うのか』というもので、ちょっと心理学、行動経済学っぽい題材に思える。

[] 2017年に映画館で観た映画 その2(マンチェスター・バイ・ザ・シー、メッセージ、わたしは、ダニエル・ブレイク)  2017年に映画館で観た映画 その2(マンチェスター・バイ・ザ・シー、メッセージ、わたしは、ダニエル・ブレイク)を含むブックマーク

マンチェスター・バイ・ザ・シー

ケイシー・アフレックは『ゴーン・ベイビー・ゴーン』も良かったので期待していたが、セクハラ騒動が見事に水を差してしまい、今となってはアカデミー主演男優賞をとったのもちょっと気まずい感すらある(来年のアカデミー賞で、彼は本当に主演女優賞のプレゼンターを務めるのか?)。

本作は心に深い傷を負った男が、その過去を乗り越え……られるもんじゃないよね、人生そんな簡単なもんじゃないよなという映画で、その点において誠実な作品だと思った。

メッセージ

テッド・チャンの原作は未読なため、できるだけ事前情報は入れないようにして観た。こんな話だったのか! すごいじゃないか。おそらく何年後かに観直しても、初見のときとは違った意味で驚きを覚える種類の映画である。

『ダークナイト』以降、映画の最後にどーんとタイトルバックを持ってくる映画が多くなったが、あれを本当に効果的に使っているのって何があるだろう。ワタシがまず思いつくのは『アリスのままで』だが、柳下毅一郎さんに『Gravity』を指摘された。本作もその系列にあたる名作であり、そうした意味で(『Gravity』同様)原題のほうが相応しい(蛇足ながら書いておくと、そこで初めてこの映画の原題が、宇宙人の Arrival だけでなく、主人公の○の Arrival も意味していることに気づくということ)。

わたしは、ダニエル・ブレイク

わたしは、ダニエル・ブレイク [Blu-ray]

わたしは、ダニエル・ブレイク [Blu-ray]

都会では既に上映終了済のタイミングで、故郷に唯一残るアートシアター系映画館で国内時差(?)を利用して観ることができた。

ケン・ローチだから重い話かと思いきや軽妙で、至極あっさりと言ってもいい作品である。こんなこってりさのない映画がカンヌ映画祭のパルム・ドールをとったというのは驚きだが、政府の緊縮政策がいかに非人間的で個人の尊厳と生を壊すものかを老巨匠が力を尽くして訴える映画であり、それに対する賛同の表れなのだろう。

物語としては、主人公のダンがケイティの「仕事場」に乗り込んだ後にもう一捻り欲しかったが、最後のケイティのスピーチを聞いてしまえば、もうどうでもよくなる。

2017-12-25

[] 達人出版会から『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』ベータ版が刊行されました!  達人出版会から『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』ベータ版が刊行されました!を含むブックマーク

達人出版会において『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』ベータ版が公開された。

前著『情報共有の未来』が WiredVision 連載をまとめたのに続き、今回は WirelessWire News の連載をまとめたものである。連載終了から一年以上が経っての電子書籍刊行で、正直、ようやくか……という思いである。

2017年中に発売できて、正直ほっとしている。

今のワタシの願いはこれだけだ。

どうか『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を買ってください!

なにとぞよろしくお願いします。年末年始のおともにどうぞ。価格も前著よりもお求めやすい700円(税抜)となっております。

元となった文章は、WirelessWire News で今も無料で読むことができるのだが、何度かのサイトリニューアルで、文中の過去ログへのリンクが切れてしまっている文章が多く、そうした意味で電子書籍のほうがアドバンテージがある。もちろん前著『情報共有の未来』と同じく、文章全体の加筆修正、各回に「あとがき」を追加して情報のアップデートを図っている。

そして今回は、前著ではなかったボーナストラックを書き下ろし収録している。

実は、2017年は9月末までこの文章一本をずっと書いていた。この新作文章は、ウェブに単体で公開することはないので、電子書籍を購入していただかないと読むことはできない。なお、技術コラムではまったくないことを予めお断りしておく。

さて、およそ一年前、ワタシは本家ウェブサイトとこのブログの更新の無期限停止を宣言したが、そこでも書いたように、電子書籍の発売は大きなトピックであり、ワタシもプロモーションに微力ながら貢献したいので、そのプロモーション期間限定で、今日より本ブログの更新を再開させてもらう。

Stay tuned!

2017年は実はキャス・サンスティーンの年だった 2017年は実はキャス・サンスティーンの年だったを含むブックマーク

何を言ってるのかと言われそうだが、2017年は実はアメリカの著名な法学者キャス・サンスティーンの日本における当たり年だった。

2017年、彼の著書の邦訳がなんと4冊も刊行されている(しかもそのうち3冊は10、11、12月と3ヶ月連続!)。

邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2017年版)でも書いているが、2015年、2016年と続けて彼の著書の邦訳が出ていることを考えると、これはちょっととんでもない刊行ペースといってよい。

しかも、『スター・ウォーズによると世界は』を除けば(そうでもないのか?)、どれもとても現在的で重要なトピックを扱った本である。

そういえば、サンスティーンと共著『実践 行動経済学』(asin:4822247473)を出したこともあるリチャード・セイラーノーベル経済学賞をとったりもしたね。

この勢いで、2018年には #Republic の邦訳が出てくれればいいのだが。

cakesとnoteのストアとTEDブックス cakesとnoteのストアとTEDブックスを含むブックマーク

少し前にあたらしい「本」と「文具」の販売をはじめますとの触れ込みで、cakesとnoteのストアが立ち上げられている。

個人的には cakes の手帳と note のノートのほうがうまいなと思ったが、スマート新書は、加藤貞顕さんが cakes 立ち上げ時に、デジタルだからできる「短い本」というコンセプトを表明していたことを考えると、ようやくそれが具現化したのだなと感慨深い。

さて、その「短い本」というコンセプトで言うと、ワタシが5年以上前に「TEDは電子書籍でもトレンドセッターになるか」という文章を書いて紹介した TED Books という先行者がいる。

その TED ブックスが日本でも刊行されてるのを取り上げたのが2年前だが、2017年は朝日出版社の体制が整ったのか、6冊邦訳が出てたんやね。

恋愛を数学する (TEDブックス)

恋愛を数学する (TEDブックス)

なぜ働くのか (TEDブックス)

なぜ働くのか (TEDブックス)

判断のデザイン (TEDブックス)

判断のデザイン (TEDブックス)

知らない人に出会う (TEDブックス)

知らない人に出会う (TEDブックス)

煮えたぎる川 (TEDブックス)

煮えたぎる川 (TEDブックス)

上のリンクはすべて紙の本のほうだが、こういうのこそ Kindle で読むのに適したコンテンツなのかもしれませんな。

そういえば、note について、ワタシは以下のようなツイートをしているが、まぁ、よくも悪くもその印象は強まっている。

アンドリュー・キーンの反インターネット本の邦訳『インターネットは自由を奪う』が出ていた アンドリュー・キーンの反インターネット本の邦訳『インターネットは自由を奪う』が出ていたを含むブックマーク

アンドリュー・キーンの邦訳が出ているというので何かと思ったら、ワタシが3年前に紹介していた3冊目の本の邦訳なのね。

ハヤカワ・オンラインを見ると、8月には出てたのか。「カズオ・イシグロ推薦!」とのことで、うーん、それに釣られて100人くらい買ってしまうのかも(笑)。

ということは、邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2017年版)で取り上げたアンドリュー・キーンの4冊目『How to Fix the Future』も、やはりカズオ・イシグロが推薦の言葉を書いているので、早川書房から邦訳が一年後くらいに出るんじゃないかな。

キーンの本は10年近く前に「Web 2.0は我々の文化を殺すのか?(その1)(その2)」で取り上げたが、はっきりいって彼の主張には根本的に賛同できないところが多かった。

しかし、ワタシも『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』なんてタイトルの電子書籍を出したわけで、彼の悲観的な見方に説得力を感じる人がいるのは認めざるをえないわけで。

[] 2017年に映画館で観た映画 その1(沈黙 -サイレンス-ラ・ラ・ランド、T2 トレインスポッティング 2017年に映画館で観た映画 その1(沈黙 -サイレンス-、ラ・ラ・ランド、T2 トレインスポッティング)を含むブックマーク

2016年末でブログをやめてしまったため、当たり前だが今年は映画館で観た映画をブログで紹介することができなかった。今年は映画館で20本近くという、ワタシ的にはかなり良いペースで観ることができた。折角なので、駆け足で感想を書いておきたい。

沈黙 -サイレンス-

遠藤周作『沈黙』のマーティン・スコセッシによる映画化はワタシ自身長年待ち続けてきたものだった。よくできていたが、やはり期待値が高くなりすぎたところはあったように思う。あんな格好をしたリーアム・ニーソンを見ると、「おい、フォースを使えよ」と言いたくなったり。

冗談はともかく、本作の撮影を誘致できなかった長崎市は情けない。

意外にもといってはなんだが、窪塚洋介のキチジローが良かった。イッセー尾形の演技を誉める人が多かったが、まったく同意しない。それよりも塚本晋也である。『野火』『シン・ゴジラ』、そして本作と、彼は後に2010年代最高の日本人俳優と語られるようになるのではないか。

ラ・ラ・ランド

もう文句なしの美しい映像、歌。しかも狂気と闇をもしっかり感じさせる作りも見事である。ワタシは好きだ。素晴らしいじゃないか。しかし、ラストまで観て、映画として決定的にダメだと思った。

ワタシがダメだと思ったのは、ジャズの扱いやミュージカルとしてどうというのは全く関係ない。カップルのいずれもちゃんと大人として成功しているのに、あんな平行世界を見せられても、ないものねだりのぶりっ子にしか思えないし、苦みのあるエンディングにしとけば大人っぽさと深みが演出できるだろうという浅はかさが透けて見えるのだ。

T2 トレインスポッティング

前作を汚すような続編だけは絶対に作るまいという決意をダニー・ボイルからもユアン・マクレガーからも感じていたので期待して観に行った。

ある意味安心した。主人公たちは相変わらずそれぞれまぎれもないクズのままだったからだ。今ではクズの中年である。あー、トレインスポッティングってホントひっでぇ話だったんだなと再確認できた。そうした意味で、最初から最後までワタシは楽しめた。

しかし、前作の映像が挿入されるたびに、嗚呼、『トレインスポッティング』はなんと鮮烈な青春映画だったんだ……とため息が出たのも正直なところである。

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