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2018-01-08

【邦訳期待】(Wiredの)BackChannelチームが選出した2017年最高のテック系書籍11選 【邦訳期待】(Wiredの)BackChannelチームが選出した2017年最高のテック系書籍11選を含むブックマーク

もはやすっかり Wired のサイトに埋没してしまい、アイデンティティーを喪失してしまった感のある BackChannel だが、例年選出している最高のテック系書籍リストの2017年版をやっている。

本ブログは現在、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』の宣伝を第一の目的としているが、かなり長くなってしまったので、これだけで更新させてもらう。

Erik Malinowski『Betaball: How Silicon Valley and Science Built One of the Greatest Basketball Teams in History

著者のサイト。「いかにしてシリコンバレーと科学が歴史上最高のバスケットボールチームを作り上げたか」というタイトルを見ると、バスケットボール版&シリコンバレー風味『マネー・ボール』(asin:4150503877)みたいな内容を連想させるが、ゴールデンステート・ウォリアーズの近年の復活を取材している。

Brooke Erin Duffy『(Not) Getting Paid to Do What You Love: Gender, Social Media, and Aspirational Work』

著者のサイト。著者はコーネル大学の助教で、メディアとテクノロジーとジェンダーあたりの兼ね合いを専門にしているみたい。この本は、ミレニアル世代にとってのマントラである「好きなことをして生きる」を書名に掲げ、そうした好きを仕事にすることとソーシャルメディアやジェンダーの関係を解き明かす本である。テクノロジー×世代論な本は他にも選ばれており、間違いなくトレンドの一つなんでしょうね。

Trebor Scholz、Nathan Schneider編『Ours to Hack and to Own: The Rise of Platform Cooperativism: A New Vision for the Future of Work and a Fairer Internet』

編者によるサポートページ。仕事の未来とより公平なインターネットの構築について改めて考える本で、ティム・オライリーの新刊もそうだし、ワタシが『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』に収録した複数の文章の問題意識にも通じる。副題に掲げられた、編者のトレバー・ショルツが発明したとされる「platform cooperativism」という言葉がポイントみたい。これはもちろん、昨今よく言われる「プラットフォーム資本主義(Platform Capitalism)」に対するオルタナティブで、この言葉について2015年の段階で記事を書いている瀧口範子さんは偉い。

Zeynep Tufekci『Twitter and Tear Gas: The Power and Fragility of Networked Protest』

著者のサイト。この本についての記事を読んだことがあると思って記憶を辿ったら、MIT Tech Review の「ソーシャル発の抗議デモはなぜいつも失敗するのか?」だった。そういえばワタシも昔、「マルコム・グラッドウェルの苦言と岡田斗司夫の予言」という文章を書いたことがあるのを思い出した。アラブの春もオキュパイ運動も過去のものとなり、安易な「ネットで動員の革命!」論に対するシビアな主張の本が出てくるのも必然なのだろう。しかし、著者の TED 講演「インターネットで社会運動が容易になっても、目的達成は難しいのはなぜか?」を聞くと、マルコム・グラッドウェルも批判されているので、それは注意ね。

Sara Wachter-Boettcher『Technically Wrong: Sexist Apps, Biased Algorithms, and Other Threats of Toxic Tech』

著者によるサポートページ。書名は、Twitter がエラー画面で出すメッセージ(Something is technically wrong)からとられたものなのかな。もちろん Twitter に限定される話ではなく、副題に掲げる「性差別的なアプリ、偏りのあるアルゴリズム、その他の有毒なテクノロジーの脅威」についての本である。アルゴリズムの問題についてはこないだ取り上げたが、ダナ・ボイドを含め、このあたりについて警鐘を鳴らす研究者には女性のほうが多い印象があって、それはこの本の副題の並びを見れば分かるし、昨年のスーザン・ファウラーあたりに端を発したテック企業における性差別問題の告発の流れも関係しているに違いない。

ジェイソン・ファゴニー『The Woman Who Smashed Codes: A True Story of Love, Spies, and the Unlikely Heroine Who Outwitted America's Enemies』

著者によるサポートページ。著者は『闘う胃袋 食らえ!大食いアスリート列伝』(asin:4270001550)の邦訳があるジャーナリストで、本書は「アメリカ初の女性暗号解読者」と言われるエリザベス・スミス・フリードマンの伝記本。この方面の分野の偉人に女優のヘディ・ラマーがいたことは有名だが、エリザベス・スミス・フリードマンのことは知らなかった。アル・カポネの組織を壊滅されたのは彼女とも言われるらしい。夫の栄光に影に隠れた、しかし、同じくらい有能だった妻の伝記というのは、「忘れられたアメリカの英雄」の系譜にあるもので、邦訳出るんじゃないですかね。

Brian Dear『The Friendly Orange Glow: The Untold Story of the PLATO System and the Dawn of Cyberculture』

公式サポートサイト。今日のインターネットの源流を40年前の PLATO コンピュータネットワークに求める本で、ダグラス・エンゲルバートのデモやゼロックス PARC の GUI のイノベーション、オンラインコミュニティの草分けである WELL に匹敵する存在と著者は見ているわけだが、確かにそれらと比べると、PLATO の知名度は低いよね。この手の歴史本って面白いものが多いので、これも邦訳が出るといいな。

ジーン・M・トウェンギ『iGen: Why Today's Super-Connected Kids Are Growing Up Less Rebellious, More Tolerant, Less Happy—and Completely Unprepared for Adulthood—and What That Means for the Rest of Us』

著者によるサポートページ。著者の名前に見覚えがあるなと思ったら、10年以上前に彼女の『Generation Me』を取り上げていたし、その後出た本には『自己愛過剰社会』(asin:4309245765)という邦訳もある(が、山形浩生に「長すぎるし治療法がショボ過ぎ」と dis られている)。副題を見る限り、新刊もやはり若者(Z世代)を対象とする世代論本で、しかも副題を見る限り、内容的には10年前とあまり変わってない気もするのだが、Generation Me がそうだったように、iGen という書名が、ちょっとダサめだけど確かにキャッチーである。果たしてダナ・ボイド『つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの』の先をいく知見があるかどうか。あまり期待できんかな。

Noam Cohen『The Know-It-Alls: The Rise of Silicon Valley as a Political Powerhouse and Social Wrecking Ball』

著者の Twitterシリコンバレーの政治との関わりについての歴史本みたいで、「知ったかぶり」を書名に持ってくるあたり、著者のスタンスがうかがえる。選者のスコット・ローゼンバーグが、インターネットの初期の理想の腐敗についての説明が不完全な点などを挙げ、本書の出来にムラがあると不満点を書いているが、シリコンバレーが政治の世界でも影響力を増してきたと言われる昨今、時宜を得たテーマなのは間違いない。

Leslie Berlin『Troublemakers: How a Generation of Silicon Valley Upstarts Invented the Future』

著者によるサポートページ。例によってシリコンバレー本だが、著者はスタンフォード大学シリコンバレーの歴史を専門としている人だったりする。Google の元 CEO のエリック・シュミットが推薦の言葉を寄せているのもいかにも。退屈な歴史本でなさそうなのは、Apple であればジョブズでなくマイク・マークラ、Atari であればブッシュネルでなくアラン・アルコーンといったちょっと意外な人に光を当てているところに出ているし、「トラブルメーカー」という書名もその狙いがあるのだろう。

Troublemakers: Silicon Valley's Coming of Age

Troublemakers: Silicon Valley's Coming of Age

レイチェル・ボッツマン『Who Can You Trust? How Technology Brought Us Together—and Why It Could Drive Us Apart』

著者によるサポートページ。著者には『シェア 〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略』(asin:4140816996)の邦訳がある。新刊は、テクノロジーがいかに信頼のあり方を変えたか、それが人生や仕事、我々のビジネスのやり方にどんな意味があるか、前作の延長にある本なのだろう。「信頼」がテーマということで、彼女の最近の TED 講演「機関よりも赤の他人 — 現代人に広がる新しい「信頼」とは」を見れば、ある程度新刊の内容は分かるだろう。

2016年版は12冊取り上げていたはずだが、2017年版は11冊になっている。果たして、今年このうち何冊の邦訳が出るでしょうな。

ここまで読んでくれた方に改めて、ワタシの新刊の電子書籍を宣伝させてください。本年もよろしくお願いします。

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