YAMDAS現更新履歴

このページは YAMDAS Project の更新履歴ページです。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS1.0

2018-03-25

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その12  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その12を含むブックマーク

本当はこの週末にちょっとやりたい作業があったのだが、あいにく風邪をひいてしまい体調が悪化したため、何も作業ができなかった。

さて、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、ワタシも情報源としてお世話になっている「未翻訳ブックレビュー」に書評「ある敗北の記録」が公開されている。

さて、本書が語るテーマはビッグデータ、IoT、人工知能といった先端的なテクノロジーが多いのだけど、そのトーンは暗い。タイトルにある通り開かれた自由な空間になり得たかもしれなかったウェブが、少数企業による寡占で失われてしまったからだ。

ある敗北の記録 - もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 by yomoyomo - 未翻訳ブックレビュー

だから本書は、敗北の歴史を記録した本のようにも読める。何が何に負けたか。自由や公正といった社会的価値がある技術は広まるという楽観主義が、クローズドなウェブの使いやすさや、広告料収入の最大化といった力学に負けたのだと思う。

ある敗北の記録 - もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 by yomoyomo - 未翻訳ブックレビュー

ここでの「少数企業による寡占」とは、スコット・ギャロウェイが『The Four』に書く Amazon、Apple、Facebook、そして Google の「四天王」に代表されるが、それに対して脱中央集権的なウェブという方向性をワタシは書いている(し、今週末にやりたいと思っていた仕事も、実はそれに関係したものだったりする)。

が、この書評に続けて書かれるように、脱中央集権的とか分散型とかそれはユーザには関係ない話で、技術とか思想が入口になっているサービスは流行らないというのも認めざるをえないわけである。そのサービスが強力な価値を利用者に新たにもたらすのでない限り。

あと、ボーナストラックのエッセイについて以下のように書いてくださっている。

最後に、ボーナストラックとしてついている長編エッセイについて。本編がウイスキーだとしたらチェイサーみたいなものだろうと勝手に思って読んでいたら(このエッセイはバーで飲んでいる場面がやたらと多い)、チェイサーどころか氷をガリガリ丸かじりさせられるような、傷みをもたらす文章だった。

ある敗北の記録 - もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 by yomoyomo - 未翻訳ブックレビュー

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を出すにあたりワタシが心配していたのは、このボーナストラックのエッセイについて、ある種のネタばらしみたいなことをされることだった。

しかし、この書評を含め、これまで取り上げてくださった方は皆、節度をもって書いてくださっており、本当にありがたいことだと思っている。

折角なので一つ著者から舞台裏を書いておくと、以前から「テリー・レノックスの側から書いた『長いお別れ』」というアイデアがあり、今回ボーナストラックを書くにあたり、これをそれで書けるのではないかと思い当たったというのがある。この文章の語り手が「バーで飲んでいる場面がやたらと多い」のはそういうことだったりする。もちろんボーナストラックのエッセイの意図はそれだけではないのだが。

長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))

長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))

誰もがテクノロジーについて理解しなければならない12のこと 誰もがテクノロジーについて理解しなければならない12のことを含むブックマーク

一昨年からは Fog Creek Software の CEO であるアニール・ダッシュだが、面白い文章を書いている。

テクノロジーは産業ではなく、既存のシステムや制度の文化や経済を変える手法である、という宣言から始まるテック論だが、とりあえず見出しだけ紹介しておこう。

  1. テクノロジーは中立ではない。
  2. テクノロジーは不可避ではない。
  3. テクノロジーに携わるほとんどの人は心から善をなしたいと思っている。
  4. テクノロジーの歴史はしっかりと記述されておらず、ほとんど理解されていない。
  5. ほとんどのテクノロジー教育には道徳上のトレーニングが含まれない。
  6. テクノロジーは多くの場合、そのユーザについて驚くほど無知なまま作られる。
  7. テクノロジーにはたった一人の天才的な創造主というものは存在しない。
  8. 大抵のテクノロジーはスタートアップからは生まれない。
  9. 大抵のテック系大企業は、広告、大規模ビジネス、個人向けの3つのうちのいずれかでお金を稼いでいる。
  10. 大企業の経済モデルは、あらゆるテクノロジーを歪曲する。
  11. テクノロジーは機能と同じくらいファッションが目的となる。
  12. どんな制度にもテクノロジーの悪用を抑える力はない。

テック論として、その通りという項目もあれば、逆じゃないかという項目もあるが、詳しくは原文をあたってくだされ。

ネタ元は Four short links

[] オープンソースプロジェクトのネーミングの由来  オープンソースプロジェクトのネーミングの由来を含むブックマーク

ちょっとした雑学に属するが、オープンソースプロジェクトのネーミングの由来についての記事である。

Debian が創始者と当時のガールフレンドの名前の組み合わせ、Pythonモンティ・パイソン由来といったあたりは有名だが、Arduino が共同創始者のお気に入りのバーの名前、Kubernetes は「スタートレック:ヴォイジャー」関係、Raspberry Pi は昔のマイクロコンピュータの伝統である果物由来のネーミングの継承とかはまったく知らなかったね。

まぁ、モンティ・パイソンとかスタートレックとか出てくるところがギーク的なんだろうが、若い世代のギークなら、また違った定番サブカルチャーをよりどころにするんだろうな。

他にも全部で11のプロジェクトが紹介されているので、気になる人は原文をあたってくだされ。

[] リメンバー・ミー  リメンバー・ミーを含むブックマーク

ピクサー映画はちょっといいかなと思っていたが(抱き合わせで短編見せられるのに、いささかうんざりしている)、本作はとても評判がよかったので、レイトショーで吹替版を観てきた。

本作のメキシコにおける「死者の日」という風習は、日本におけるお盆に置き換えれば、日本人にとっても割りと違和感なくストーリーに入っていける。しかも本作での「死者の日」はとにかくカラフルに描かれており、とても画面映えするのだ。

また、人間は二度死を迎える。一度目は肉体の死、二度目はその人を思い出す人がいなくなるとき――というのは、近年の映画でも『ミッドナイト・ガイズ』の台詞にもあったし、ワタシ自身その視座で書かれたロジャー・イーバートの文章を題材にして文章を書こうとしていたので(けれど、どうしても書ききれなかった)、ワタシの琴線に触れるところがあった。

しかし、本作をもって「家族の絆って素晴らしい」というのは違うだろう。ワタシは本作を観て、むしろ家族や血筋第一主義の「呪い」を感じてしまった。

とはいえ、そうであっても観てて泣いてしまうんですな。本作は途中からかなり展開が読めてしまう。こいつが助けてくれるだろうと思ったら、まずその通りになる。そうした意味で本作は、例えば『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』に劣るのだが、さすがピクサーな見事なエンターテイメント作品でした。

D

[] 15時17分、パリ行き  15時17分、パリ行きを含むブックマーク

とてもヘンな映画だった。

ワタシはクリント・イーストウッドのファンで、彼の映画におけるアメリカ映画を体現しながらも、そこからはみ出てしまう異物感を愛する人間なので、本作も面白く観た。が、まぁ、一般的にはそりゃ不評だわなと納得するところもある。

イーストウッドは早撮りを極めた先に実録もの、しかも事件の当事者本人にやらせるところまで来てしまった(しかし、事件の被害者も本人がやってるのかな? PTSD が心配……)。

主役の三人が驚くほど達者である。でも役者でない本人たちがやっているのだから、時系列的な変化を見せることはできないという弱さがある。のだが、これはそういう映画ではない。

それならどういう映画かというと、「生きるということは、何らかの目的に向かっているんじゃないか」という主人公の台詞に到達するための映画、まさにそれだけなのである。

D

2018-03-05

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その11  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その11を含むブックマーク

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、WEB+DB PRESS Vol.103 の BOOK REVIEW コーナーで取り上げられていることを高橋征義さんに教えてもらった。

週末にようやく読むことができたのだが、まさに過不足なく『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』のことを紹介している文章で、とてもありがたく思った。

惜しむらくは書名と副題が逆になってたこと。つまり、「続・情報共有の未来」が書名のように表示されていたわけだが、とにかく書評が出て何よりである。

[] 久方ぶりに出るケビン・ミトニックの邦訳と来るべきソーシャルエンジニアリング本の決定版  久方ぶりに出るケビン・ミトニックの邦訳と来るべきソーシャルエンジニアリング本の決定版を含むブックマーク

Facebook 経由でケビン・ミトニックの新刊が先月出ていたのを知る。

ケビン・ミトニックとツトム・シモムラの戦いなんてもはや知る人のほうが少ないし、彼の本の邦訳が出ること自体10年以上ぶりなのだが、なかなか評判がよさそうである。

ミトニックの本は、個人情報をはじめとするネットワークへの侵入を許してしまう各種情報をゲットする方法、いわゆる「ソーシャルエンジニアリング」を主に扱っているわけだが、これはそんな特殊な話ではなく、日常生活において、やってる人はやっているテクニックだったりする。

今から7年前に、このソーシャルエンジニアリングについての決定版といえそうな本を紹介しているのだが、調べてみるとその第2版がもう少しすると出るとのこと。

Social Engineering: The Science of Human Hacking

Social Engineering: The Science of Human Hacking

この本の初版は、『ソーシャル・エンジニアリング』(asin:4822284972)という邦訳がちゃんと出ているのだが、第2版も邦訳が出てくれないかな。難しいか。しかし、IoT 時代の現在は、ソーシャルエンジニアリングの知識もアップデートすべきだと思うんだよね。

[] 人気SF映画の設定を科学的に検証する『Science(ish)』という本が面白そう(だし、今年後半に邦訳が出そう)  人気SF映画の設定を科学的に検証する『Science(ish)』という本が面白そう(だし、今年後半に邦訳が出そう)を含むブックマーク

トランネットのオーディション課題で面白そうな本を知る。

Science(ish): The Peculiar Science Behind the Movies

Science(ish): The Peculiar Science Behind the Movies

『オデッセイ』『28日後...』『インターステラー』、『エクス・マキナ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『ジュラシック・パーク』といった人気 SF 映画の設定を科学的に検証する本とのことで、これは面白そうじゃない。

6月下旬に翻訳終了予定ということは、今年の後半に邦訳刊行となるんでしょうな。

著者のリック・エドワーズは、イギリスで科学系の番組を手がける人気テレビ司会者だし、もう一人の著者であるマイケル・ブルックスは、以下の邦訳で知られる著名なサイエンスライターである。

まだ科学で解けない13の謎

まだ科学で解けない13の謎

つまり最適な著者2人ということ。このように一般向けに興味を惹く科学解説書を書いてくれる人がいるということも、その題材となるような科学的知識を要する SF 映画が作られているということも、日本人からすると羨ましい話である。

[] ルー・リードの初期の未発表の詩集が来月出版される  ルー・リードの初期の未発表の詩集が来月出版されるを含むブックマーク

ルー・リードの未発表の詩集 Do Angels Need Haircuts? が出版されるされるとのこと。確か彼は詩人としての成功を目指していた時期があり、未発表の詩はあると思っていた。

Do Angels Need Haircuts?

Do Angels Need Haircuts?

この本に収録されるのは、1970年にヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退し、ソロで再デビューするまでの間、父親の弁護士事務所で働いていた時期に書かれた詩らしい。

これが今になって陽の目を見たのは、彼のパーソナル・アーカイブがニューヨーク公共図書館入りが大きかったようだ。少し前に滝本誠が、海外のクリエイターのドキュメンタリーを見るといつも感心することとして、(その人がビッグになるか分からないのに)昔の写真や映像をしっかり残しているアーカイブ精神を挙げていたが、この精神がないところに文化など根付きえないのではないか。

洋書の値段がべらぼうなので、邦訳が出てくれないかとも思うが、そういえば昨年観た映画『パターソン』の中で、永瀬正敏が「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」とか言っていたっけ(笑)。

あ、amass でも記事になっていた。

[] シェイプ・オブ・ウォーター  シェイプ・オブ・ウォーターを含むブックマーク

以下、登場人物やストーリーに触れているので、ネタバレを気にする人は注意ください。

ギレルモ・デル・トロの新作、しかも『ハッピー・ゴー・ラッキー』で知って以来好きなサリー・ホーキンスがヒロインを演じ、他にも『扉をたたく人』などで知られる、地味に出演作の格調を高める名優リチャード・ジェンキンスも出ていると知って、かなり期待値が高まっていた

で、その期待を裏切らない愛おしい映画だった。本当に半漁人とヒロインの剛速球なラブストーリーなのに少したじろいだけど。ダークファンタジーとしてあるべき理不尽さという意味で、映画としては『パンズ・ラビリンス』のほうが上なのかもしれない。しかし、好きなのは、圧倒的に本作のほうだ。

この映画は、観客がヒロインの心情に寄り添えるかが鍵になる。ワタシが思い出したのは、フェリーニの『道』。あの映画のヒロインは美人ではないし少し頭も弱いのだけど、冒頭でジュリエッタ・マシーナが帽子を手にし、それを頭にひょいとのっけてポーズをとるだけで、もうどうにもチャーミングなのである。本作も、主人公がタップのステップをちょっと踏む冒頭のところでもう彼女に魅せられてしまう。サリー・ホーキンスは素晴らしい。

声が出せないヒロインに、ゲイや黒人の友人たち、そしてロシア人の科学者といった、それぞれ(主に性的な)抑圧を抱えているマイノリティたちの切実さ、一方で悪役となる、常に成功者としての「男」に囚われ、自己啓発書を読みながら、好物の飴を手放せない警備責任者のマッチョいずむの描き方の対比がギレルモ・デル・トロらしいといえるだろう。ストーリー的にはかなり無茶なのだけど、本作の愛おしさの前では、それも許せてしまう。

サリー・ホーキンスリチャード・ジェンキンスを必死に押し留める場面でワタシの涙腺は決壊したが、ギレルモ・デル・トロは本当に『美女と野獣』が嫌いなんだな、と思わせるミュージカル場面で涙が止まった。しかし、これは逆に言えば、このような状況でこの人が歌いださざるをえないからこそのミュージカルなんだよ! という監督の強い想いが伝わる。

さて、今週アカデミー賞が発表になる。個人的には、作品賞は『スリー・ビルボード』にとってほしい。でも、監督賞は是非ともギレルモ・デル・トロの名前が呼ばれてほしい。

2003 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2004 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2007 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2008 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2014 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2015 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2016 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2017 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2018 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2018 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)