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2018-04-20

[] ティム・バーナーズ=リーの文章を二つ訳したぞ  ティム・バーナーズ=リーの文章を二つ訳したぞを含むブックマーク

Technical Knockoutウェブは危機に瀕している。我々とともにウェブのために戦おう。発明者が語る、ウェブの三つの課題を追加。Tim Berners-Lee の文章の日本語訳です。

ティム・バーナーズ=リー卿の文章を訳すのは、ネットの中立性だから……12年ぶりかよ!

サイト更新停止中なのになんで訳したのかというと、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』の宣伝のためである。またかよ! と言われそうだが、当たり前じゃないか。ワタシも今の活動はすべてこのためにあるのだ。

ティム・バーナーズ=リーが World Wide Web の誕生日に文章を書くのは恒例化しつつあり、それが出るとニュースになるのだが、ざっと見たところ全体の日本語訳はなかったみたいなので訳した。

Aaron Swartz が書くように「現在は彼は特には重要ではない」のかもしれない(しかし、そう書いた彼の方が死んでしまうんだからな……)。それでもウェブの父が書くウェブ論にはしかるべき重みがある。ワタシが『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』に収録された文章と現在のウェブを考える場合、ティム・バーナーズ=リーが今年の3月、そして昨年の3月に書いた文章は、その線上にある、理解を助ける良い材料だと思ったのである。

そうして訳そうと決めたものの、何しろ長らく翻訳をやっておらず、何よりワタシがひどく怠惰なため時間を捻出できず、えらく時間がかかってしまった。結局はバタバタな作業になってしまったので、誤記誤訳などあったらご指摘お願いします。

近頃ではテクノロジー企業の社会的責任を問われることが多いし、シリコンバレー企業への風当たりが強い。具体的には、プラットフォームを握るAmazon、Apple、Facebook、そしてGoogleという「四天王」だが、メディア支配や租税回避などの論点を巡る各国政府と GAFA の闘いはこれから本格化するだろう。

2016年の米大統領選挙でトランプ陣営に協力した英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカが Facebook の8700万人ものユーザー情報を不正に入手していた問題で、先ごろ Facebook のマーク・ザッカーバーグ CEO が、米連邦議会上院司法委員会の公聴会に引き出されるなど真っ先にやり玉にあがった格好である。

ネット中立性という言葉の生みの親であるティム・ウーにしろ、AIのアルゴリズムが導くディストピアへの道を問う Zeynep Tufekci にしろ、今回の件で Facebook の DNA が変わるわけはないし、我々がそれを正すことはできないという立場である。

それでは未来のウェブはどうある形であるべきか。ワタシ自身「もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて」で書いたように decentralized(脱中央集権、分散型、非集中型)なウェブという話になるし、そのバックボーンとして必ず名前が挙がるのがブロックチェーン技術である。

例えば、「Web 3.0の6つの特徴」といった文章などその典型的な例だが、そう素直に行くとはワタシ自身思えないのである。それなら、「フェイスブックのない世界を目指して」で書いてある内容のほうがまだ現実的だが、現在のプラットフォーマーの強大さを考えるとまだ現実味がない。

むしろ、ブロックチェーンを担ぐ人たちは、本当にニーズから出発してブロックチェーンという技術に行きついたのではなく、先にブロックチェーンに入れ込み、その後でブロックチェーンが解決できる問題を探しているのではないかという「ブロックチェーンは、技術としても未来像としても残念なものである」という指摘にほうに肩入れすらしたくなる。

しかし、それでも書いておきたいのは、ティム・バーナーズ=リーが書くように、ウェブを固定的なものとしてではなく、ユーザである我々が変えられるという気持ちを失ってはいけないということである。データ分散経済到来の日は近いかはともかくとして、現在のプラットフォーマーからプライバシーなど個人データのコントロールを取り戻す努力は必要である。

ティム・バーナーズ=リーの議論は、ドク・サールズ『インテンション・エコノミー 顧客が支配する経済』と親和性が高い。しかし、この本で紹介されている試みも、現時点で評価すると死屍累々というのが妥当なことは書いておかなくてはならない。

ただ、武邑光裕が少し前に「「新たな西部」対「欧州委員会」」という面白い文章で、データ主権を個人にもたらすための欧州委員会のプロジェクト DECODE のことを肯定的に紹介していたが、このプロジェクトが成功すれば、インターネット自体の勢力地図や力学に少なからぬ影響があるのではないか。

[] 今更ではあるが、本家サイトのHTTPS対応を行った  今更ではあるが、本家サイトのHTTPS対応を行ったを含むブックマーク

一昨年末より通常の更新を無期限停止している本家サイトの HTTPS 対応を行った。利用者側は何を変えなくても、ワタシの本サイトにアクセスしたら、自動的に HTTPS 通信になるということである。

本サイトをホストしているさくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ」が簡単操作で無料 SSL 証明書 Let's Encrypt を設定可能になった時点で一応設定はしておいたのだが、HTTPS をデフォルトにするのにはずっと躊躇があった。

更新停止しているサイトのデフォルト設定をわざわざ切り替えんでもというのがあったし、はてなブックマークを引き継げないのも気に入らなかったからである。

気持ちが少し変わったのは、大津繁樹氏の長大な解説記事を読んでからで、しかし、病的なものぐさであるワタシの腰はなかなかあがらなかった。

その後、思えば更新停止中のほうが URL 変更のリスクは小さいのではないかと思いなおした。HTTPS 対応しないと検索順位にも影響が出るというのもあるしね。

さくらインターネットの以下のページを参考にしたら、あっという間に作業は完了した。

たつをのChangeLogを参考にして、主なところは手を入れたつもりである。読書記録を中心に、Amazon の画像のリンクに問題が多々残っていることは把握しているので、これから牛歩の歩みでぼちぼち対応していくつもりである。

ところではてなが提供しているドメインを使用した全てのブログが HTTPS で配信できるようになったそうだが、ネット界の限界集落はてなダイアリーの HTTP 対応は叶わぬ願いなのだろうか。

[] 『2001年宇宙の旅』のHAL 9000の声についての逸話が面白い  『2001年宇宙の旅』のHAL 9000の声についての逸話が面白いを含むブックマーク

映画史上に残る傑作として必ず名前が挙がるスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』は、今月で公開から50年経ったそうだ。

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この New York Times の記事は、『2001年宇宙の旅』に登場する人工知能 HAL 9000 の声にフォーカスした記事で面白かった。ちょうど Amazon Echo(Alexa)や Google Home や HomePod(Siri)などのスマートスピーカーの AI にホットな時期だからかな。

元々キューブリックは、HAL 9000 の声にアカデミー助演男優賞も受賞している名優マーティン・バルサムをキャスティングしていたのだが、彼の「人間的」でいかにもアメリカ人のしゃべり言葉が、コンピュータの声にふさわしくないと考え、カナダ人の舞台俳優ダグラス・レインに変更する。

キューブリックダグラス・レインの淡白で英米混合なアクセントを気に入ったのだが、実際には彼のアクセントは飽くまで標準的なカナダ人の英語ということらしい。いずれにしても、レインの声の「色のついてない感じ」が HAL 9000 の声にぴったりだったのは、ワタシにも何となくわかる。

ダグラス・レインの HAL 9000 の声は、その後映画やテレビ番組などで数限りなくパロディにされてきたが、意外だったのは、アンソニー・ホプキンスは『羊たちの沈黙』でハンニバル・レクターを演じるにあたり、レインの HAL 9000 の声を参考にしたとのこと。

そして一番面白かったのは、ダグラス・レイン自身にとって、『2001年宇宙の旅』は数多く行ったナレーター仕事の一つに過ぎず、何の思い入れもなかったそうだ。というか、今年90歳になる彼は『2001年宇宙の旅』を一度も観たことがないという。マジかよ!

そうそう、スタンリー・キューブリックというと、先ごろ『フルメタル・ジャケット』でハートマン軍曹を演じた R・リー・アーメイが74歳で亡くなった。

ワタシもハートマン軍曹大好きなのだが、『フルメタル・ジャケット』の公開が1987年ということは、R・リー・アーメイがあの役を演じたときの年齢を、今のワタシはとっくに越えていることに思い当たって愕然となったことよ。

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[] ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男  ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男を含むブックマーク

愛するゲリマン(ゲイリー・オールドマン)がアカデミー主演男優賞を受賞したということで、観に行かないわけにはいかない映画である。が、観測範囲でこの映画に好意的な声がまったく聞こえてこなかった。

実際に本作を観ると、それが分かる気がする。この映画の設定を日本に置き換えて考えると、なんとも居心地が悪いんですね。

本作は1940年5月にチェンバレン政権が退陣し、ウィンストン・チャーチルが挙国一致内閣の首相に就任するところから始まる、一月程度の期間を描いた映画である。後半部は、昨年観た『ダンケルク』と時系列的に重なる。あれがダンケルク海岸に追い立てられた英仏軍を中心に描いたものならば、本作はそのとき英国の首相たるチャーチルがどのように国家の舵取りをしていたかの映画で、図らずも対になっている。

当時ナチス・ドイツが欧州を席巻しまくりな状態で、ベルギーやフランスがナチスの手に落ち、イギリスも国家存亡の危機を迎えていた。政権に残ったチェンバレンがそうだし、また例えばカズオ・イシグロの『日の名残り』(asin:4151200037)に描かれるようにドイツに対して宥和的な考えを持つ英国の要人もいる中で、主戦派にして、しかも過去に軍事作戦でひどい失敗をやらかしているチャーチルの旗色は明らかに悪かった。

あえて乱暴に言うならば、米国の助けを事実上拒否られた(ルーズベルトとの電話会議が完全にコメディになっている)当時の英国は、本土決戦もやむなしと見られていた大戦末期の日本に擬せられる。

そんな状況でナチス・ドイツとの講和を断固拒否して最後まで戦うことを訴えるチャーチルは、その後の歴史を知らなければ、本土決戦を叫ぶ日本の政治家と同じくらいファナティカルに見えてもおかしくない。また本作では、当時の英国国王であるジョージ6世が実は重要な役回りを演じる。しかし、その役回りを例えば昭和天皇がやるとしたらどうだろう?

映画の前半で、チャーチルが自分は地下鉄に一度しか乗ったことがないとか言い出して、何言ってんだよと思っていたら、それはちゃんと伏線になっていて、後になって彼は地下鉄の中で一般庶民と向かい合う。そこでチャーチルは腹を括るわけだが、同じことを大戦末期の日本の庶民が言うとしたら?

いずれも想像するだけでかなり居心地が悪い。本作がそうなっていないのは、言うまでもないがその後の歴史を知っているからというのがまずあるだろう。そして、イギリス国民が空気に縛られるのでない自己を持った存在として描かれているから。ただ、もう少し当時の庶民が感じた不安も描くべきだと思ったけど。

本作におけるジョージ6世を見ていて、どうしても題材的に『英国王のスピーチ』を思い出してしまう。ワタシはあの映画を言われるほど良いとは思わないが、ともかく彼の印象は二作でかなり異なる。どちらが実像に近いのだろう。

本作の地下鉄の場面など見ると、ジョージ6世についての描写と同じく、歴史的正確性に疑いをもってしまうが、本作のゲリマンの堂々たる演技を見ていると、タキ・テオドラコプロスの「スタイルとはなにか?」という文章(『ハイ・ライフ』(asin:4334783341)に収録)をどうしても思い出してしまう。そう思わせるだけ本作は成功しているのだろう。

スタイルとは見せかけの反対である。強い信念のことである。ひっきりなしに葉巻を喫い、痛飲を重ね、意地の悪いことで有名だったウィンストン・チャーチルは、本来的には、下品な男だった。にもかかわらず、その実行力と強い信念が彼を確固としたスタイルの持主にしていた。

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[] ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書を含むブックマーク

公開から数週間経ってようやく観れたわけだが、その一週間後には『レディ・プレイヤー・ワン』が公開になる。まさか2018年になって、スティーヴン・スピルバーグの新作を二週続けて映画館で観ることになろうとは思わなかった……と思ったら、都合により『レディ・プレイヤー・ワン』が公開日に観れないことになり、二週続けてとはいかなかった。いずれにしても、スピルバーグもこの歳になってバンバン新作撮ってるのスゴいよね。

本作は、明らかに現在のアメリカの政治状況が製作の動機になっている。そうした意味で本作は『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』に連なる作品である。

この二作が当時のオバマ政権に対するメッセージをこめたもので、そのメッセージは乱暴に短くまとめるなら、「困難な状況に耐えて屈せず、妥協もしながら意志を貫き大きな仕事をなせ」となるだろうか。なんとも忍従を要する話であるし、あまり映画として面白そうではない。特に『リンカーン』がそうだったわけだが、オバマの後にドナルド・トランプが大統領になり、それを受けた本作が主体的で面白いものになったのに一種の皮肉を感じる。

ただ本作で問われる理念が、アメリカだけでなく現在の日本にもとても重要なものであることは、ワタシが指摘するまでもないだろう。

キャストでは、ワシントン・ポストの社主であるキャサリン・グラハムを演じるメリル・ストリープの抑えた演技が実に素晴らしかった。『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』のファンとしては、ボブ・オデンカークが脇役をやってるのも嬉しかったな。

本作は、報道機関が巨大権力と戦う勇気を描いたものだが、それだけではなく、夫の自殺により図らずも社主の座を受け継ぎ、男性優位の社会で明らかに軽んじられていたキャサリン・グラハムが、報道機関の経営者としての覚悟と強さを獲得するという点でも現在的なテーマをもった作品と言える。

「権力に立ち向かう報道」と書くとかっこいいが、本作ではキャサリン・グラハムだけではなく、その勇気を鼓舞する記者の代表である編集主幹ベン・ブラッドリーが、JFK にべったりだった問題もきちんと触れているのがよかった。

本作は、リチャード・ニクソンを退陣に追い込んだウォータゲート事件につながることを示唆して終わるわけだが、キャサリン・グラハムが獲得した強さなしに、その報道はなしえなかったろう。

ウォータゲート事件の報道を描いた映画『大統領の陰謀』(asin:B004PLO5MO)を恥ずかしながらワタシは観たことがないのだが、ありがたいことにちょうどタイミングよく、BS プレミアムでこの映画が放送されるので、録画して観ることにする。

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