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2018-06-25

Hagexさんを偲ぶ…… Hagexさんを偲ぶ……を含むブックマーク

ワタシ的には例外的な事態だが、このエントリは泥酔した状態で書いている。

今もなお信じられないとしか言いようがない。当たり前だが、こんな文章を書く日が来ようなんて想像したこともない。

ネットウォッチ勉強会「かもめ」#2「100万PVブログ達成への道」「ブログトラブル110番」開催後に、講師の Hagex さんが刺殺されてしまった。

なんてことだ……ずっと茫然自失に近い状態である。

Hagex さんとは発言小町などのネットウォッチという共通の趣味を最初のきっかけにして、以降ずっと交流があったのだが、実際にお会いしたのは、2014年11月に開催された第十九回文学フリマでの会場でお目にかかった一度だけである。

そのときも大した会話は交わしていない。今覚えているのは、Hagex さんの実家と当時ワタシが住んでいたところが同じ選挙区なんですね、とどうしようもなく他愛もないことだったりする。

Hagex さんと一番の縁は、なんといっても角川インターネット講座の第5巻『ネットコミュニティの設計と力 つながる私たちの時代』への寄稿である。これについては「ラストスタンド」という文章に書いているが、第1章が yomoyomo、第2章が Hagex というかなり異人感のある並びを実現できたことを誇りに思う。

Hagex 名義の単著は『2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』だけとなってしまったが、彼の真価はそれだけに収まるものではない。今は、長らく当たり前のように享受してきた毎日更新される彼のブログで新しい文章を読むことができないのが悲しい。

最初事件の報に接したとき、ワタシが連想したのは村崎百郎の事件だった。が、現時点では加害者の動機や背景に何があるのか今は分からない。

どこまで書いていいのかわからないが、「弁護士を通じて記事を削除しろ、法的措置を取るというメールがしばしば来る」「差出人の背景を辿っていくと反社と繋がりがあることがわかったこともあった」「メンタルヘルスの必要がある読者からメールが来ることもある」と話していた。

hagexさん以外考えられない。 - はてこはときどき外に出る

これだけ物騒な話題にクビを突っ込んできた人なのだから、どの線で取り返しのつかない災厄を引き寄せてしまったのか断定できない。今回の訃報を受けた報道経由で彼の本業を知り、一層可能性が拡がってしまったあたりが Hagex さんらしい、ともいえるだろうか。

いずれにしろ、その凶行の舞台が、彼の出身地であり、「修羅の国」などと揶揄される福岡だったのは、その地に20年住んだワタシ的にはなんとも言えない気持ちになる。

ワタシもこの意見に同意する。そして、それは9年前に yomoyomo 名義で公の場で話をするのは、これが最後と明言したワタシ自身にとっても切実な問題だったりする。今回の事件は、現代の赤報隊事件とも言えるかもしれないのだよ。

5年ぐらい前になるだろうか、発言小町という共通の遊び場があり、ワタシは雨宮まみさんと Hagex さん(当時は Facebook をやってた)と3人でキャッキャやってた記憶がある。雨宮さんが2016年に亡くなり、そして今度は Hagex さんだ。なんてことなんだよ……

昨年の12月から『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』のプロモーションのため、このブログを再開していたが、そろそろ潮時だろう。また無期限活動停止状態に戻ることとする。新しいプロジェクトにとりかかるプランはあるので、また戻ってこれると思うが、ひとまずお別れである。

[][] OpenStreetMapオープンソースコミュニティの最優先事項であるべきか  OpenStreetMapはオープンソースコミュニティの最優先事項であるべきかを含むブックマーク

ソースコードの反逆―Linux開発の軌跡とオープンソース革命』(asin:4756141005)の著者……と言っても今は通じないかもしれないが、グリン・ムーディが OpenStreetMap についての文章を書いている。

Google Maps があるのになんで OpenStreetMap が必要なのかというのは以前から定期的に話題になるが、この文章はオープンソースコミュニティにフォーカスする形で、その重要性を説いている。

つまりは、オープンソースにはオープンな地理データセットであり、この分野を Google に依存するのは危険というわけだ。

OpenStreetMap2014年に開始10周年を迎えており、ということは来年15周年になる。ワタシが「OpenStreetMapへの期待と課題」という文章を書いたのが10年近く前というのに自分自身そんな経つんだと驚いてしまうが、それだけ息長く続いているプロジェクトではあるが、残念ながら Google Maps と互角に渡り合うとは言えない状況のままである。ワタシも過去寄付などしているが、このプロジェクトの意義というか重要性を心に留めるべきなのだろう。

そういえば昨年『ブレードランナー 2049』のエンドロールにOpenStreetMapの名前があった話を紹介したが、そのような利用例もこれから増えるのかな。

ネタ元は Slashdot

Craigslistの創業者クレイグ・ニューマークがニューヨーク市立大学に22億円(!)を超える寄付 Craigslistの創業者クレイグ・ニューマークがニューヨーク市立大学に22億円(!)を超える寄付を含むブックマーク

craigslist の創業者クレイグ・ニューマークが2000万ドル、本文執筆時点での為替レートだと22億円を超えるお金をニューヨーク市立大学に寄付するとのこと。

すごい話だが、面白いと思ったのは、寄付した先が CUNY Graduate School of Journalism、つまりはジャーナリズム学校なんですね。

これはある意味皮肉とも言える。Craigslist は無料でコミュニティサービスを提供することで、新聞社の貴重な収入源だった案内広告を殺したとしてアメリカの新聞業界から激しく嫌われていたからだ。

クレイ・シャーキーなら「社会は新聞を必要としない。必要なのはジャーナリズムだ」と断言するだろうし、クレイグ・ニューマークにしてもこの寄付は罪滅ぼしといった後ろ向きなものではなく、健全なジャーナリズムの発展が社会に必要と考えたからだろうが。

もう一つ感慨深いのは、Craigslist 並びにクレイグ・ニューマークの地味なイメージと寄付額の乖離。なにしろ Craigslist は、2004年の時点で梅田望夫さんに「頑固一徹のCraigslist」と、Web 2.0 の狂騒にまったく浮かれない一途さに半ば呆れられていた存在である。

eBay からの資金提供(確かその後袂を分かったんじゃなかったっけ?)により、クレイグ・ニューマークがそれなりの恩恵を受けていたのは知っているが、2000万ドルも寄付できるくらいになっていたとはね。

日本語圏ではまったく話題になっていないが、これはすごいニュースじゃないかね。日本のネット起業家でこういう多額の寄付をした人っているかね?

ネタ元は Scripting News

ジェームス・ブライドルの新刊『新たな暗黒時代:テクノロジーと未来の終焉』がキャッチーで面白そうだ ジェームス・ブライドルの新刊『新たな暗黒時代:テクノロジーと未来の終焉』がキャッチーで面白そうだを含むブックマーク

ジェームス・ブライドル(James Bridle)というと、New Aesthetic(新しい美学)という言葉を発明した人として有名だろうか……といっても知らん人が大半だろうから、谷口暁彦氏の引用でもって説明とさせてもらう。

New Aestheticは、イギリスのアーティスト・編集者であるジェームズ・ブライドルが提唱したタームですが、そこでコンピューターの画像解析で認識されないように、荒いドット模様の迷彩が施された戦闘機や、監視カメラに顔認識をさせないメークといったようなものをNew Aestheticの例としてあげています。これらの例はいずれも、僕らの身の周りに、僕らのためではなく、コンピューターの知覚のためにデザインされているものが入ってきているという状況を示しています。新しい自然環境としてのコンピューターやネットワークがあり、そこで僕らのためにデザインされていない、あたかも自然の造形のようなものが、意識的、無意識的にかかわらずコンピューターと人間の共同作業のような形で生まれてきているというのが興味深いです。

ポスト・インターネットとは? ──ネット化が生み出した現代アートの最前線?メディア・アーティスト・谷口暁彦氏 | ウェブ電通報

その彼が初の著書を出すとのこと。それが『New Dark Age: Technology and the End of the Future(新たな暗黒時代:テクノロジーと未来の終焉)』というタイトルで、ワタシの興味を惹いた。

New Dark Age: Technology and the End of the Future

New Dark Age: Technology and the End of the Future

以前から彼はインターネットの問題について書いていたが、この情報過多の時代に人間はもはやテクノロジーを制御できず、新たな暗黒時代に生きているのではないかという問題意識をもった本である。

インターネットのプラットフォームを握るテック系大企業の脅威についての本が昨年からいくつも書かれているが、もはや我々が新たな暗黒時代に生きているとまで言うかね。ブルース・スターリング邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2018年版)で新刊を紹介した Adam Greenfield などが推薦の言葉を寄せている。

ネタ元は kottke.org

[] 万引き家族  万引き家族を含むブックマーク

カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞おめでとう、と思ったらなんだかその後なんだかヘンな感じで話題になってしまってしまい、それが要らぬ雑音となった印象である。

是枝裕和監督の作品を映画館で観るのは、『海よりもまだ深く』に引き続きになるのだが、本作はよかった。公開前から難癖をつけた人たちは、いくらなんでもタイトルに釣られすぎだろうよ。

本作も家族をテーマにした映画であり、子役の演技がよいというのも他の是枝裕和の作品と共通する。ただ画の撮り方が以前の作品よりもはっきり優れているように思った。本作の場合、主人公となる一家の暮らしぶりにリアリティがないといけないわけで、その点あの元々広くない部屋にごちゃごちゃ年季の入ったモノがあって狭苦しくなった感じ、美術が良い仕事をしている。

上述の通り、本作は家族をテーマとしているのだが、そこに一種のトリックがあって、この家族の「絆」のあり方が徐々に暴かれていく仕掛けになっている。樹木希林の台詞にあるように、この家族は長続きしないことが分かっている。それを構成する者たちもそれぞれ、その生き方の持続可能性のなさを半ば承知しながらも、想像力の欠如や安易に流れるなどして「普通」も「正しさ」を選ぶことがもはや許されない。

是枝裕和は(当然ながら)それを肯定することなく、「普通」に「正しく」生きるべきと当然のように考えているワタシのような観客から不可視になっている「見捨てられた人たち」を描いているのだ。そしてその見捨てられた人たちによる偽りの家族を描きながら、それぞれのズルさというか裏もちゃんと描いている。特にリリー・フランキー演じる父親の一面の倫理観のなさが息子によって暴かれる仕掛けになっている。

役者では、やはり安藤サクラがよかった。彼女は黒沢清『贖罪』でも良い役者だと思ったが、本作はそれとはまったく違った母親の演技だった。

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2018-06-11

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その15  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その15を含むブックマーク

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、@heartfield さんからありがたい感想をいただいた。

「久しぶりに人の真剣な文章を読んだ気がする」って言っていただけると嬉しい。それだけで書いた甲斐があるというものである。

あと、@heartfield さんが書いているこの話は、ワタシも疑問に思っていたことだったりする。

レスポンスにも書いたが、正直これについてはワタシも正解が分からなくて、BiB/i を使ってブラウザで読んでいるのだが、パソコン(Windows、Mac)/スマホ(iOS、Android)で答えは変わるのだろうな。

ティム・ウーの新刊『大企業の呪い:新たな金ぴか時代における独占禁止法』が今秋出る ティム・ウーの新刊『大企業の呪い:新たな金ぴか時代における独占禁止法』が今秋出るを含むブックマーク

「ネットワーク中立性」という言葉の発明者として知られるティム・ウーの本は、2年前に取り上げているが、結局邦訳は出ないのかな。

さて、前作から2年で新作が出ることを調べものをしていて知った。

The Curse of Bigness: Antitrust in the New Gilded Age

The Curse of Bigness: Antitrust in the New Gilded Age

今回はページ数が170ページということで、これまでよりも分量が少ない。気になるのは『大企業の呪い:新たな金ぴか時代における独占禁止法』という本のタイトルである。

「金ぴか時代」とはアメリカにおいて資本主義が急速に発展を遂げた1870〜1880年代あたりを指し、ウィキペディアによると、「拝金主義に染まった成金趣味の時代として扱われることが多く、政治腐敗や資本家の台頭、経済格差の拡大を皮肉った文学者、マーク・トウェインらによる同名の共著小説に由来する」とのこと。つまり、現在を新たな「政治腐敗や資本家が台頭し、経済格差が拡大する時代」とウーはみなしているわけですな。

また「大企業の呪い(The Curse of Bigness)」という題名は、独占禁止などの合憲性を主張し、労働者の基本的権利を守り、合衆国最高裁判所判事となったルイス・ブランダイスの同名の著作に由来する。

邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2018年版)で、巨大テック企業の脅威を訴えるフランクリン・フォア『World Without Mind: The Existential Threat of Big Tech』にティム・ウーが推薦の言葉を寄せていることを紹介したが、彼の新刊も GAFA をターゲットとしているに違いない。遂に彼も巨大プラットフォームを握るテック企業を批判するトレンドに乗るのか。

こうした巨大テック企業の独占を民主主義の危機ととらえる視座は、ジョナサン・タプリンの Google 分割論、並びに彼の著作にもつながりそうな話である。

ティム・ウーはスタンフォード大学で、ルイス・ブランダイスの『The Curse of Bigness』についての講義を行っており、それはつまり彼の新刊のタイトルでもあるので、その内容もこれを聞けばだいたい分かるだろう。英語の得意な方は、字幕付きで挑戦してみてください。

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シリコンバレー小保方晴子」ことエリザベス・ホームズが新会社を立ち上げようとしているらしい 「シリコンバレーの小保方晴子」ことエリザベス・ホームズが新会社を立ち上げようとしているらしいを含むブックマーク

「『彼女は間違いなく社会病質者傾向がある』:エリザベス・ホームズがなんと新会社を立ち上げようとしている!」という記事タイトルに笑ってしまったが、書いているのはニック・ビルトンか。関係ないが、彼の『American Kingpin』は、結局邦訳出ないのかねぇ。

一時は時価総額が9000億円だかに達したが、後にそのインチキがバレた Theranos の創業者にして、「自力でビリオネアになった最年少の女性」とも言われたエリザベス・ホームズの隆盛と凋落については、同じくニック・ビルトンが Vanity Fair に書いた記事の邦訳「ジョブズになり損ねた女:DNA検査の寵児、エリザベス・ホームズの墜落」に詳しい。

TechCrunchForbes の記事にあるように、今年に入って米証券取引委員会(SEC)は Theranos を「巧妙大規模な詐欺」として告発している。

エリザベス・ホームズについては、ピューリッツァー賞も受賞したことのある調査報道記者にして、Theranos の詐欺行為を最初に暴いた調査報道で2015年のジョージ・ポルク賞を受賞している John Carreyrou が、彼女並びに Theranos についての本を出したばかりで、この記事もそれを踏まえたものである。

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup

エリザベス・ホームズを「シリコンバレー小保方晴子」という人もいるが、投資額や時価総額を考えれば、経済に与えた影響は小保方晴子の比ではないだろう。エリザベス・ホームズの恐るべきしぶとさについては昨年瀧口範子さんも記事にしているが、彼女はまったくめげてないようだ。John Carreyrou の話を聞いたニック・ビルトンは、ホームズの虚言の悪質さとそのエスカレーションに半ば呆れ、以下のように書いている。

そんな風にふるまう人を見て、しかも彼女は自身の行動が他者の生活を破壊することを完全に無視しているわけで、まず頭に浮かぶ疑問は「彼女ってソシオパス(社会病質者)なのか?」である。

そこでこの記事のタイトルになるわけだが、つまりは John Carreyrou も、エリザベス・ホームズにソシオパス傾向があると見ているわけですね(彼女はまったく反省していないどころか、Theranos の元従業員の話によると、すっかり殉教者きどりらしい)。しかも彼女は現在シリコンバレーの投資家行脚中で、新たなスタートアップのアイデアを売り込んでいるとのこと。いやはや、おぞましい話である。

John Carreyrou の本の邦訳が待たれるところ。ネタ元は Slashdot

[] スタンリー・キューブリックのカメラマン時代の写真を集めた本が出たとな  スタンリー・キューブリックのカメラマン時代の写真を集めた本が出たとなを含むブックマーク

こないだ『2001年宇宙の旅』のHAL 9000の声についての逸話を取り上げたが、今年生誕90周年だったりするスタンリー・キューブリックが、映画監督になる前に Look 誌でカメラマンやってた話は知られている。その当時に彼が撮影した写真を集めた『Stanley Kubrick Photographs: Through a Different Lens』という本が今月出たとな。

彼が雑誌のスタッフになったのは17歳(!)だったそうだが、それから5年間に撮影した写真が収録されているようだ。

ニューヨーク市立博物館において、同名の展覧会が10月28日まで開催されているが、ニューヨーク市立博物館の YouTube チャンネルにあがっている動画で、写真の一部を閲覧できる。

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我々はキューブリックが後になした仕事を知っているから、この時代の写真まで格調高く見えるところがあるが、邦訳も出てほしいねぇ。

あとこれも kottke.org 経由で知った話だが、『2001年宇宙の旅』において宇宙船でクルーが食事に使用したカトラリーはアルネ・ヤコブセンがデザインしたものだが、それが Amazon で買えるんだって。

高いな! 『時計じかけのオレンジ』に出てくる「あのオブジェ」ほどのインパクトはないが、Amazon でこんなものまで買えるんやね。

そうそう、スタンリー・キューブリックについては、5年前に彼が好きだった映画約80本のリストも作っているので、キューブリックに興味のある方にご一読をお勧めする。

[] デッドプール2  デッドプール2を含むブックマーク

前作は吹き替え版を観たが、今回はレイトショーをやってたのが字幕版だったので、そちらになった。字幕担当者も大変な苦労があったようだが、本作のように台詞の情報量の多い映画は吹き替えのほうがよかったかもしれない。

いずれにしても前作以上に楽しめました。本作では、例のメタな作りがさらに冴えている。特にラストで、主人公の(というか、もはやライアン・レイノルズの)修理したアレの使い方には笑ってしまった。

本作では、ライアン・レイノルズが主演と製作に加え脚本にも参画しているが、本当に彼はすごいキャラクターをものにしたもんだと思う。デッドプールの不死身という設定は、それじゃ結局誰と戦っても勝つじゃないと観客に冷静になられると終わりなわけで、本作の展開はそのあたりもうまく考えられている。

本作では「ダブステップ」という言葉が何度か出てくるが、一方で本作の音楽は(最近の映画に多いが)80年代推しだったりする。『フラッシュダンス』のようなちょっとした笑いどころとしての意匠の利用、『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』でもやっていた家の外から流す曲がピーガブだったりするのをはじめ、何より「テイク・オン・ミー」の使い方は、あの曲のビデオを知る人にとっては冗談抜きで感動的ですらあった。

なお、本作にあの人とあの人がカメオ出演しているのをうっかりネットの書き込みで読んでしまっていた。あの人の出演場面については、その人について「君、もっとヘタレ役をやりなさい」と昔書いていたワタシ的には、『バーン・アフター・リーディング』以来の良さがあったぞ!

本作は冒頭で「ファミリー映画」だと宣言される。バシバシ主人公が人を殺す血まみれな映画だが、本当に「ファミリー映画」なのである。それは、とんでもなく不謹慎で下品な主人公が暴れまくるこの映画が、包摂と多様性を実現していることとつながっている。

さて、最後にこの映画自体の感想から少し離れるのだが、アメリカの映画やドラマで、車を運転していて、助手席に座る人との会話で運転者が結構な時間はっきり横を向くシーンがワタシは苦手である。危ないだろが! とイライラするのだ。実際そのせいで事故る場合もあるし、そうでない展開もあるが、前向けよ! と怒りすら覚え、その作品自体への悪印象にすらつながる。

教えてもらったところによると、『アメリ』の主人公も「嫌いなのは昔のアメリカ映画で脇見運転するところ」と言ってるらしいが、「昔の」だけではないんですね。『デッドプール2』にもそういうシーンがあって、この映画の場合、それで事故にはつながらないのだが、その場面は観ていてソワソワ、イライラし、疲れてしまった。作品の展開として必然性がなければ、こういう演出もう止めてくれないかなぁ。基本、普通に運転手が前を見て運転し、助手席の人間と話せばいいだけじゃないのか。

2018-06-04

[] 『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その14  『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その14を含むブックマーク

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』については、もうそろそろ反応も出尽くしたのかもしれない、それならこのブログもまた無期限更新ステータスに戻ることになるのかなと思っていたのだが、いくつか新たに反応を見かけたので、宣伝のためにしつこく紹介させてもらう。

まずは Kenichi Murahashi さんのコメント。

もうすぐ絶滅するという開かれたweb〜 長く積んでたの読み始めた おもしろい こういうのかけたらかっこいいよなー

https://twitter.com/sanemat/status/1001727892257062912

いやー、書けてもうだつのあがらないこのザマですよ。コードで世界を変えるほうがどれだけ尊いか。

wired的な文章を読まなくなって久しいけどrssリーダー使わなくなってからそんなもんだよなあ

https://twitter.com/sanemat/status/1001732646068568064

グッドバイルック最後まで読んでしまった 読みふけってしまった

https://twitter.com/sanemat/status/1001975483066699776

この「最後まで読んでしまった」「読みふけってしまった」の「しまった」の繰り返しにいわく言いがたい感じが出ているようで、著者としては嬉しい(笑)。

続いては @eusuke さん。

これは僕ら世代にはどストライクに郷愁を誘うんだよなあ

https://twitter.com/eusuke/status/1002537524080795649

おそらくはボーナストラック「グッドバイ・ルック」のことを指していると思われる。「郷愁」と言われるとちょっとワタシもびびりますが(笑)。

言うの忘れてたけど、あとがきだけは読んどけよー

https://twitter.com/eusuke/status/1002544351723917314

そうです、本文→あとがき→ボーナストラックという順路に従って読むと、なにかしらの驚きがある、かも。

もうすぐ絶滅するという…を改めて読んでると、当時ダナ・ボイドには代表となる著書がなかったのだよなとか、色々思うとこはある

https://twitter.com/eusuke/status/1002552088889458689

確かに何年も連載やっていると、単著もなかった人が気鋭の存在になっていたり、その逆もあったりで、人に歴史ありとか思ってしまいますね。

[] 今こそブラウザをChromeからFirefoxに乗り換えるべき理由  今こそブラウザをChromeからFirefoxに乗り換えるべき理由を含むブックマーク

私はブラウザを Chrome から Firefox に乗り換えた。あなたたちもそうすべきだ、という文章だが、その根拠は何か?

ここでも持ち出されるのは、ユーザのデータを握るプラットフォーム企業の監視資本主義の話である。Chrome の開発元である Google もいうまでもなくプラットフォーム企業の一つであり、そこにインターネット利用におけるキンタマ握られる状態はまずいんじゃないのかというわけ。

その点、Mozilla 財団という非営利組織が開発元である Firefox は、プライバシーとセキュリティ重視の姿勢が、Chrome のプライバシーポリシーなんかと比較すると好ましいとのこと。

とはいえ、Firefox のデフォルトの検索エンジンは Google であり、Mozilla はそれにより Google から資金を得ているわけだけど、それでもプライバシーファーストな姿勢を評価している。

この文章でも、Chrome の市場シェアが大きいため、ブラウザ拡張も Chrome 中心になってしまう Firefox 採用の難点に触れているが、Firefox のアドオンについては、ちょっといろいろ言いたくなるところがあるわな(ところで、Tab Mix Plus 使ってた人って何に乗り換えたのかな?)。

うーん、ワタシはいまどきかなりな少数派(現在のブラウザのシェアは、Chrome が約6割で Firefox は約1割らしい)の Firefox ユーザである。が、それは開発元が非営利組織というのもないわけではないが、正直に書けば、ワタシが長年の Firefox ユーザである理由は、一言で言えば、ワタシが極度のものぐさ、怠惰だからだったりする。

邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2018年版)でも、「四天王」GAFA に代表される、プラットフォームを握るテック大企業の脅威についての本が完全に一つのトレンドであることを書いたが、果たしてその問題意識からブラウザを乗り換える人ってどれくらいいるんだろうねぇ。ワタシは Firefox ユーザだけど、そのあたり懐疑的である。

メアリー・ミーカーのインターネットトレンド報告によると、「自分のメリットになると分かれば消費者の79%は喜んで自分の個人情報を提供するそう」らしいしね。

ネタ元は Slashdot

[] ブロックチェーンと法の関係についての本が面白そうだ  ブロックチェーンと法の関係についての本が面白そうだを含むブックマーク

ハーバード大学のバークマン・センターで、Blockchain and the Law という新刊についての共著者による講演会が行われているのを知る。

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ここで講演している共著者の Primavera De Filippi が CoinDesk に寄稿した No Blockchain Is an Island をざっと読むと、この人もローレンス・レッシグ以降の研究者であることが分かる。ブロックチェーンの技術的な解説やビジネスの可能性についての本は既にいくつもあるが、「ブロックチェーンと法」という切り口は面白そうだ。

上で名前を挙げたローレンス・レッシグをはじめとして、『協力がつくる社会:ペンギンとリヴァイアサン』の邦訳があるヨハイ・ベンクラー、そして意外なところではブルース・シュナイアーといったビッグネームが推薦の言葉を寄せている。これは邦訳出るんじゃないかな。

ブロックチェーンと法」という切り口で本が書かれるのは初めてかと思ったのだが、調べてみると久保田隆『ブロックチェーンをめぐる実務・政策と法』という本があるみたいね。

ローレンス・レッシグ久方ぶりの新刊『America, Compromised』が今秋出る ローレンス・レッシグ久方ぶりの新刊『America, Compromised』が今秋出るを含むブックマーク

上で Primavera De Filippi について「ローレンス・レッシグ以降の研究者」と書いたが、そういえばコリィ・ドクトロウが O’Reilly Fluent Conference での基調講演を前にして受けたインタビューで、今一度ローレンス・レッシグの教え、すなわち『CODE』で彼が規定した、以下の4つの人を動かす力を思い出すことを勧めている。

  1. アーキテクチャ(コード)
  2. 規範
  3. 市場

それが、コリィ・ドクトロウが言うところの「設定可能で自由なインターネット(configurable and free internet)」のために闘う上で必要という認識で、それは『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』とも共通する問題意識である。それはともかくとして、そういえばそろそろレッシグ先生の本とか出ないのかなと調べたら、今年の秋に出るようだ。

『Republic, Lost』の第二版から3年になるが、純粋な新刊となるとかなり久方ぶりである。シカゴ大学Randy L. and Melvin R. Berlin Family Lectures の依頼を受けて書いた本みたい。

残念ながら、と書いてはいけないのだろうが、「Five Studies in Institutional Corruption」という副題を見ても分かる通り、本の主題はデジタルフリーダム周りではなく、彼の現在の研究テーマである「(特にアメリカにおける)腐敗と民主主義の危機」である。『Republic, Lost』同様、この本も邦訳は難しいのでしょうな。

さて、レッシグ先生の最近の講演となると、TEDx でいくつか行っている。いずれにも日本語字幕版はないようだが、レッシグ先生は講演の名手で聞きやすいし、字幕をつければなんとかなるでしょう。

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いずれにしても民主主義と平等がテーマであり、新刊の内容にも反映されているのだろう。しかし、レッシグが「ネットはいかに民主主義を破壊したか」というタイトルの講演をやるとは! これだけ見るとアンドリュー・キーンの本のタイトルみたいやないか。

[] 犬ヶ島  犬ヶ島を含むブックマーク

ウェス・アンダーソンのストップアニメーション映画というと、『ファンタスティック Mr.FOX』がすごく評価が高いのだけど、ワタシはなぜかあれが肌に合わなくて、正直彼のストップアニメーション映画はパスしたかったのだが、当代最高の映像作家の一人である彼の新作はやはり映画館で観ようと足を運んだ次第である。

ウェス・アンダーソンというと、強力なヴィジュアルコントロールで知られ、前作『グランド・ブダペスト・ホテル』はその一つの極みともいえるし、それがパロディの対象にもなってからかなり経つくらいである。本作では、作品のこぎれいさにつながりがちなヴィジュアルコントロールは排されており、美しさが失われたヴィジュアルの中で作品が展開するところに、紛れもなく彼の映像作品でありながら、さらに上を目指す感じがあってすごいなと思った。

多分映画としては、『ファンタスティック Mr.FOX』のほうが上なのかもしれないが、個人的には題材的にも本作のほうがよかった。ただし、ワタシが観たのが字幕版なこともあってか、劇中頻繁に登場する日本語を英語字幕で読み、さらに頭の中で日本語にまた訳してしまうような感じがあって(ちょっと説明しにくいですが)、観ていてヘンに疲れたところもある。

本作については、描かれる日本がステレオタイプだとか「ホワイト・ウォッシング」といった批判があるそうだが……バカですか? つーか、本作に描かれる「日本」が実在しない、監督の頭の中にある架空の存在であることが分からない人は映画鑑賞自体に向いていないのではないか。くだらない。この手の指摘って、最終的に自分たちの首を絞めることになるのが分からないのかな。

むしろ本作を観ていて、ウェス・アンダーソンは日本の現在の政治状況について特に知識がないはずだが、そういうのにリンクして観てしまう自分にいささか当惑した。これこそ(監督の)想像力の力だと思う。

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