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yomunelの日記 Z

2017-11-10 (Fri)

せんさいなガラッパチ

月はじめ、職場に郵送されてくる請求書の封筒にいつも可愛い記念切手を貼ってくる会社があって、今月はおむすび切手(天むす)だった。普通の切手シートをまとめ買いしておけば、いちいち郵便局に行かなくても済むのに、天気のよい日のお昼休みかなんかに、ちょっと足をのばして郵便局まで行き、「あ、いい切手が出てる!」と小躍りして買う請求書係の人(がいるのかどうか知らない)が目に浮かぶ。請求書送付という地味な作業を楽しんでいる気配が伝わってきていいなと勝手に好感を持っている。この請求書係の人が、同僚から「よっちゃん」とか呼ばれていたらなんとなく嬉しい気がする。

もう一人、仕事上電話で話をする男の人がいて会ったことはないのだけど、この人がいつも笑いを含んだ声でしゃべるのがいい。そういう声なんだと思う。話す内容はきわめて事務的なやりとりだけで、とくに冗談を言うわけでもないのに、今にも笑いだしそうな感じでおっとりとしゃべるので、電話を切ったあとにいい余韻がずっと残る。

え、なに、このちょっといい話的展開は、鼻白むわぁと思われるかもしれないが、簡単に折れそうなポッキーのような細い棒1本でかろうじて支えられているきっつい毎日も、顔も見たこともないこんな人々に少しずつ助けられているのだと思う。ポッキーも束になれば、パルテノン神殿の柱みたいになる。あるいは、三本の矢、的な?

webでも考える人の津野海太郎の連載、今回のテーマは「蔵書との別れ」で、紀田順一郎がいろんな事情で、3万冊ある蔵書を6百冊に減らす話が紹介されていた。それが書かれているという紀田順一郎『蔵書一代』(松籟社)を読んでみたいなと思っていたら、帰りに寄った図書館にあり、さっそく借りる。目につくところにあった『佐野洋子 あっちのヨーコ こっちの洋子』(平凡社)も一緒に。帰路、佐野洋子のほうから読み始めるとこれが面白い。「佐野洋子を一言でいうと……」というアンケートの長嶋康郎の答え「せんさいなガラッパチ。」がよかった。抜粋されているエッセイが絶妙で、もっと読みたい!となり、佐野洋子のエッセイ集をパラパラ読み返しているところ。

2017-11-05 (Sun)

秋晴れ

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金曜日の祝日は法事のため実家へ。次の日が仕事だったので日帰りの慌ただしい帰省となった。黒スーツと読みさしの文庫とPR誌を数冊かばんに入れ電車に乗る。青い空に浮かぶうろこ雲や遠い山なみをボーッと眺め、あいまにPR誌をパラパラする。

「ちくま」11月号から柴崎友香の連載が始まった。岸本佐知子の〈ネにもつタイプ〉はジョー・ブレイナードの『ぼくは覚えている』をパクった「私は覚えていない」。「波」11月号の津村記久子の「やりなおし世界文学」は意外なことに『子規句集』が取り上げられている。五七五の十七文字で物事を表現しなければいけないという縛りが、だらだら話をしがちなわたしからしたら驚異的な弊害に思えるなんていうくだりがいかにも津村さんらしくて笑ってしまう。そうこうしていると実家のある町に到着。法事を終え、あれ食えこれ食え攻撃で満腹になり、夜遅くに戻ってきた。

今日はひさびさにゆっくりできる日。洗濯をし、ベランダでコーヒーを飲み、読書、昼寝。おととい母にどっさり持たされたおかずを食べる。篠田節子『長女たち』(新潮文庫)、三角みづ紀『とりとめなく庭が』(ナナロク社)、吉村萬壱『回遊人』(徳間書店)を読んだ。

2017-10-29 (Sun)

週末台風

昨夜は仕事を終えてから友人宅でたこ焼き器を囲んだ。たこ焼きのタコだけがずっと口の中に残り、味のないゴムみたいになってクチャクチャクチャクチャいつ飲み込んでいいかわからないのが嫌だなと言っていたら、タコを入れないバージョンを作ってくれる。おいしい。シブ抜きをしたという柿もトロッと甘くておいしかった。また台風が来ているとの予報なので、外に出なくてもいいように食料やおやつを買い込み雨のなか帰宅。

日曜日。朝から雨。もう今年の漢字は「雨」でいいんじゃないか。台風も、先週と似たようなコースで近づいていて、毎週末に必ず台風が来る世界にまぎれ込んでしまったような、というか同じ1週間を何度も繰り返しているような心地がする。金曜日の気持ちよく晴れわたった空をもう思い出せない。

先週と同様、食べて、寝て、読んでいると日が暮れる。新米がおいしい。合間に天皇賞。26年ぶりの不良馬場ですと言っていた。馬も騎手もドロッドロ。リポーターの女性がきびきびしてそつがない。日本シリーズ。どちらが勝ってもいいようなものだけど、なんとなくDeNAを応援してしまうのはなんでだろう。

読んだ本。アーナルデュル・インドリダソン『湖の男』(東京創元社)地味だけど楽しみにしているシリーズ。角幡唯介『漂流』(新潮社)。吉本ばなな『人生の旅をゆく3』(NHK出版)。

夜になって雨がやんだ。明日は台風一過で晴れるらしい。やったー。あと知人の手術がうまくいきますように。

2017-10-22 (Sun)

合体

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ポケットの中の『ポケットの中のレワニワ』

台風が近づいていて雨の予報だったので、期日前投票を済ませ、食料を買い込み、一日こもっていた。朝、玉子を茹でて、おでんを仕込む。今年初おでん。食べて、寝て、読んでいると日が暮れた。雨だんだん強くなる。

先週、文庫3冊で200円の冊数合わせで伊井直行『ポケットの中のレワニワ』(講談社文庫)を買った。これは、単行本が出てすぐに読んだ記憶があるのだけれども、ずいぶん前のことなので内容をあまり覚えておらず、それでもいい感触だけは残っていて、今度は文庫で読んでみようかなと手に取った。単行本は上下巻に分かれていたのが、文庫では1冊にすっきりまとまっているのが嬉しい。大きい単行本2冊を合体させてポケットに入るくらいにしゅるしゅるっとコンパクトに畳みましたという感じが文庫好きにはたまらない。

文庫化される際、1巻だったものが上下巻に分かれたり、『1Q84』のように単行本は3巻で文庫版は6巻になったり、文庫になると巻数が増えるのはよくあるパターンだ。京極夏彦の文庫などを見ると、かなり分厚くても1巻にまとめようと思えばできないことはないと思うのだが、分けたほうが売れやすいとかあるのだろうか。だからこの『レワニワ』みたいに逆パターンの文庫本を見ると嬉しくなってしまう。カズオ・イシグロの『充たされざる者』 (ハヤカワepi文庫)も上下合体本だが、あの分厚さが内容とマッチして妙に嬉しかった覚えがある。ポケットには入れづらいけど。

雨の音を聞きながら『レワニワ』を読み終える。伊井直行は前から好きで、著書の半分か3分の2ぐらいは読んでいるのではないだろうか。近頃は古本屋でもあまり見かけない気がする。ブックオフで『悲しみの航海』の文庫を見つけたときは飛び上がってしまった。図書館に行けば古いものもすぐに読めるし、アマゾンでも安く買えるようだが、とくに急いで読みたいわけでもなく、古本屋で見つけて、キャッと飛び上がる楽しみを取っておきたいと思う。ガツガツしていないゆるやかな期待感。

選挙速報は15分ぐらい見たところでやめた。明日の朝は台風大丈夫かな。

2017-10-16 (Mon)

最近読んだ本

その日の後刻に

冷たい雨の中、ぶるぶる震えながら帰る。野菜たっぷりの簡単一人鍋。おいしい。最後に玉子とごはんを投入して雑炊にする。あったまったー。CSシリーズ、楽天と西部のユニフォームの色が似ていて区別がつかず、ぱっと見どっちが攻撃中なのかわからない。ファンにしてみれば、どこがわからないのかがわからないという感じだろうが。子供にパルムのアイスを頼まれて、ガーナのやつを買ってきてキレられるお母さんの気持ちがわかった。

サマーリーディングなんていうけど、寒い夜に温かい飲み物を傍らに毛布にぬくぬくくるまって本を読むのが一番好きかもしれない。暑いときは忘れているが、寒くなるとああそうだったこの感じと思い出す。グレイス・ペイリー『その日の後刻に』(文藝春秋)読む。3作しかない著作を村上春樹が30年近くかけて訳した最後の作品。3作読んでも、残念ながらまだグレイス キタ━(゚∀゚)━!とはならない。何かを読んで キタ━(゚∀゚)━!となるのは、相性とタイミングがばっちり合ったときだけなので、合わないのか、まだ自分が追い付いていないのか。果たしてこれからクルことがあるのか。このペイリーの3冊とはずっと付き合っていこうと思う。

昨日、NHK短歌にゲストで出ていた津村記久子さんを見られてよかった。動く津村さんを見るのは初めてだった。STREETLIGHT MANIFESTOのTシャツにカーディガンを羽織ったいつものスタイル。これすっかり津村さんのトレードマークになった。作家は作品がすべてといわれるが、動いたりしゃべったりする姿を見てこんなに嬉しいのはなんでだろう。ただのミーハーと言われればそれまでだけど。