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ヨムヨムエブリデイ

ビアガーデンへなんか行かない

谷中じゃないけど6:30

転勤直後から「君の歓迎会まだしてなかったね」と言われ続けて、いやもう歓迎会って時期すぎちゃったしとか、その日はちょっと用事が、とかのらりくらりと逃げてそろそろ忘れられたころだウッシッシと思っていたら、そんなら昼休みにやろうよ(覚えてたんかい)ということになり、まっ昼から焼肉屋で歓迎会。ノンアルコールビールで乾杯し、煙をもくもく浴びて、午後からは、食いすぎて前に屈めんと言いつつ仕事をしたのが先週のこと。そして今夜はビアガーデンに行くぜと盛りあがっていたので、丁重に辞退して、みんなを送り出したあと、ゆっくりコーヒーを飲みながらPCのバックアップなど済ませ退勤したのが6時半だった。ふう。
しんとした仕事場でひとり作業をしていたら、石井桃子の「ひとり旅」というとても好きなエッセイを思い出した。『石井桃子のことば』(新潮社)のラストはこの素敵なエッセイで締めくくられている。

 私は、自分はひとりぼっちでいるほうが、いい人間になれることを考えて、おかしくも思ったが、それは、うそいつわりのない事実であった。元来、不器用な人間が、すばやいひとたちについてゆこうとすると、納得もしないうちに物事を切りあげ、何かを口にし、先へ歩いていかなければならない。いつも中途半端なところで、粗雑に生きていかなければならない。(P123)

施錠して外に出ると、思いのほか涼しい。先週はこの暑さどうなることかと思っていたが、日曜の夜あたりから空気が変わった。
夏野菜のカレーを食べて、野呂邦暢『随筆コレクション2 小さな町にて』(みすず書房)を読む。『兵士の報酬』を読み終え返却した日に新刊コーナーにあったので借りた。巻末の解説に岡崎武志さんが、野呂の端正な文章を読むのは<夏の河原で、ズボンを膝までまくり、流れる水に足を浸しているような気分だった>と書いている。野呂邦暢はミステリ好きで「さよならマーロー君こんにちはモース警部」というタイトルの随筆もあり、親近感がわく。次にスタンバイしているクリスティーは『終りなき夜に生れつく』。ノン・シリーズものの傑作(だそう)で、楽しみ。