y o m u : n e l

ヨムヨムエブリデイ

ブラヨムネル 熊本篇

文化の日に休みをくっつけて熊本に行ってきた。評判の橙書店にいつか行ってみたいものよのうとずっと思っていたけれど、地震があったりしてなかなか実現しなかった。やっと念願がかなう。熊本市内は初めてでわくわくする。村上春樹の熊本旅行記を読み返す。
2日(水)。晴れ。阿蘇くまもと空港到着後、バスで一日阿蘇をめぐる。雄大な景色。両側にすすきの草原がひろがるワインディングロードをぶっとばす運転手さんの超絶技巧にうっとり。熊本市内泊。

3日(木)。快晴。市内観光と書店めぐり。熊本の第一印象はお城と市電の街。最初に下通アーケード側にある蔦屋三年坂店へ。3フロアあり、スタバや色んなショップが入っていてとても活気がある。本の量も多く、全体を把握して使いこなせるようになるのには時間がかかりそう。まあそれも新しい町に住む楽しみであるのだが。
電車通りを渡って上通アーケードへ。ここのアーケードは新刊、古書店が点在するブックストリートになっている。たまたまこの日はアーケードで「くまもと一箱古本市」が開催されていた。端から箱を覗いていくも、自分はこの対面販売というのがいつまでたっても苦手なんだなあと思う。「ヒトハコ」創刊号を買う。

次に長崎書店へ。意外に狭い店内だが、並んでいる本の背表紙を順に眺めていくのが楽しい。コンパクトな店内、好みの棚というので、往来堂書店や福岡のブックスキューブリックが浮かんだ。熊本に住んでいたらここが行きつけの書店になりそう。
さらに北上していくと、右手に古書店の舒文堂河島書店。左手に先月28日にプレオープンしたばかりの古書汽水社、天野屋書店と続く。オシャレな外観と店内の古書汽水社はまだ本の量が少ない印象。舒文堂がよかった。

アーケードを抜けて、坪井川沿いをさらに北上すると夏目漱石内坪井旧居がある。地震のため閉館中だが、庭から建物を見られるようになっている。あれ?中に誰かいるとズームしていくと漱石先生と目が合った。周りにJKがわんさかいて、何事かと思ったら、旧居の隣りに高校が。

[

鶴屋百貨店裏の小泉八雲熊本旧居も地震の被害のため一部のみ公開。山田太一のサイン色紙があった。
世の中/どっちを向いても/「のっぺらぼう」ばかり・・・  山田太一
管理人と思われるおじさんがお話好きで、地震の話を詳しく聞かせてくださる。中には入られないんだけどお城の被害の大きさをぜひ見て行ってよと熱く勧められ熊本城の周囲を一周する。もうこの段階で、ヨレヨレになっていたが、今日の締めくくりにと、市電に乗り慶徳高前で下車、橙書店へ。市電楽しい。コロッケのものまね電停アナウンスに思わず吹きそうになるが、他の乗客はニコリともしない。
入口ここでいいのかと不安になりつつ(その時はまだオレンジ色の看板はなかった)急な階段を昇ると2階に橙書店。急な階段にこぢんまりした隠れ家的な部屋から、今はなき「ちょうちょぼっこ」を思い出した。海外文学が充実していて、詩集、写真集、映画の本、雑誌のバックナンバーなどが並ぶ。なんかものすごく趣味のいい人の本棚を覗いているよう。隙がないというか。小さなスペースだから吟味に吟味を重ねてセレクトされているのが感じられる。カウンターでは常連さんたちが、映画の話で盛り上がっていた。

夕暮れがせまり、益城町を通り、再び阿蘇くまもと空港へ。山の稜線がオレンジ色に染まっている。駆け足でまわった2日間。めちゃめちゃ楽しかったー。またゆっくり来たい。