まだあまり親しくない人と食事しているときに「好きなものって、最初に食べます？それとも最後に？」というただ沈黙を埋めるだけの苦しまぎれの話題が提供されることがある。比率としては最後派が多くて、自分もそう。たとえば寿司だったら、大好物のウニがラスト。大切にとっていたウニをゆっくりゆっくり味わいつくし、茶を啜ってフィニッシュ、うーん満足。というようなことをなんで思い出したかというと、この連休のために『高架線』をとっていたから。連休前の土曜日の夜にホーホッホッと読み始めて、連休中はリュックに入れて持ち歩いていた。
今日は友人たちとドライブに。快晴。絶好のドライブ日和。日差しはまだ強いけれど、窓から入ってくる風が爽やか。とっかえひっかえされるBGMと、友人たちのどうでもいい会話を聞き流しながら、後部座席からぼんやり車窓を眺めている時間が心地よかった。車は、密室なのにみんなが同じ方向を向いているのがよい。電車のボックス席なんかだとこのグダグダ感はでないな。蕎麦やソフトクリームやたこ焼きなどずっと食べっぱなしだった。帰路、赤く染まる空に見慣れた街のシルエットが浮かび上がりだんだん近づいてくるときの安堵感と、楽しかったじゃあまたね、バフッとドアが閉められ一人減り、二人減りしていく心もとなさで何ともいえない気持ちになる。夜、連休を締めくくるように『高架線』を読みおえた。今度はカレーうどんキター。
