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ヨムヨムエブリデイ

年譜

雨。ものすごく寒い。せっかく収納した毛布をまた引っぱり出しくるまる。砂抜きしているシジミのように布団から手足をでろーんとはみ出させて、夜が明けたら石垣りんに食われてしまうと思っていた先週の暑さがうそのよう。
「Webでも考える人」の津野海太郎の読書日記に誘われて、連休明けから読んでいた『須賀敦子全集 第8巻』収録の長大な年譜を読んでしまう。よかった。これまでちょこちょこ拾い読みしたりはしていて、3月20日 風の吹き荒れた日に帰天というところは強く印象に残っているけれど、最初から通して読んだのは初めて。淡々と事実が記されていくだけなのに読みだしたらやめられず合間をみつけては脚注も併せて読んでいった。だんだん最期が近づいてくるのが悲しかった。
津野海太郎とは読書の波長が合うようで、彼の文章を読むのは楽しい。この読書日記で触れられているキンジー・ミルホーンも懐かしかった。サラ・パレツキーのヴィクやP・D・ジェイムズコーデリア・グレイやリザ・コディのアンナ・リーなどの女探偵ものにハマった時期があったが、キンジーが一番好きだった。うろ覚えだけど、女に生まれて不便だと思ったことはないが、ただひとつだけ、張り込み中に立小便できないのがつらいと言っていたような。
連休に佐伯一麦の『鉄塔家族』を手に入れた。本当は朝日文庫版の上下2冊組がよかったのだが、でかい単行本のほう。100円だったのでまあいいかと買ったのだけど、あとで見ると、精興社印刷のいい感じの造本でこっちでよかったーと思った。すごく重たいが。『ノルゲ』や『空にみずうみ』のように毎日少しずつ読むのが楽しみ。