とみいよむよむにっき

本のこと、ベランダのこと、おはなし会のこと、日常のあれこれ。

雲見

蛙の消滅―画本宮沢賢治
これは、『蛙のゴム靴』の先駆形。

蛙たちは、雲見といふことをやって居りました。

雲見…優雅な時間。

雲の峰がぺネタ形になるのを、眺めている蛙を想像する。
例えば、ハイジがアルプスの山の夕焼けの色が
めまぐるしく変わるのを見ているようにか。
枕草子の中のようよう白くなり行く山際を、
じっと見つめて、変わりゆく色を楽しむようにか。

今日、昼過ぎに南の方から雲が黒くなって、
だんだん迫ってくるのを見ていて、
雲の流れや、風の具合を、じっとみている
そういう時間がこの頃は、少なくなってしまったなぁと思った。
蛙たちがぺネタ形の雲を、高尚なものと思うように、
人間も、何か自然のものに、思いを寄せることがあっても
いいんじゃないかと思う。
雲見…風情あるなぁ。

物語の内容はシニカルで、主人公カン蛙が気の毒なきもするが、
『蛙のゴム靴』よりは、好きかなぁと思ったりする。

こちらにも
宮沢賢治全集〈7〉銀河鉄道の夜・風の又三郎・セロ弾きのゴーシュほか (ちくま文庫)
宮澤賢治全集7』ちくま文庫
異稿と、最終形を比べ読みするのもいい。