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2011-11-07

『Who Wants a Cheap Rhinoceros 』Shel Silverstein

Who Wants a Cheap Rhinoceros?

Who Wants a Cheap Rhinoceros?

シェル・シルヴァスタインといえば『ぼくを探しに』ですが、有名すぎて若干手垢がついてるので、こちらをセレクトしてみました。
まず、ネコとかクマとかウサギとか愛くるしい動物ではなく、サイを主人公にもってきたところが新鮮です。このサイ、イタズラ好きの困ったちゃんなのですが、坊や(飼い主・・・?)に叱られるとすぐナミダぐんだりして実にカワイイ奴なのです。
シンプルな線で余白を生かしたシルヴァスタインの絵のタッチは大変心なごみます。アメリカン・ユーモアもたっぷり。
ストーリーを追うのではなく、ヒトコマの絵で楽しませてくれる素敵な絵本ですので、画面いっぱいに情報がつまりまくっているような最近の漫画にうんざりしている方、ぜひ手に取ってください。
英語版のほうが廉価でおすすめです。
(2006.2.15記)


>追記
これも好き。手元においておきたい一冊。

『SO』ピーター・ガブリエル

SO (紙ジャケット仕様)

SO (紙ジャケット仕様)

先日のトリノオリンピック開会式はごらんになられたでしょうか?録画したものをうっとりしながら観ておりましたら、あららオノヨーコ。すっかり平和の広告塔、相変わらず商売上手だの〜などと思っていると「イマジン」のメロディーが。なんと歌っているのはピーター・ガブリエル!!この英国の優男がまるでカーツ大佐(by地獄の黙示録)のような体形(および頭髪)になっていたことに驚愕したのは私だけではないはず!
・・・とはいえ、声は昔と変わらずセクシーでございました。そう、このちょっとかすれた低音の声がなんか切実な、狂おしいようなカンジで胸にギューッとせまってくるのです、こんな私でも(笑)。
彼のキャリアの中でも最高のクオリティを誇るこのアルバムは、どれも映画のテーマ曲にでもなりそうな(挿入歌はありましたね)ドラマチックでメロディアスなものばかり。
自信をもってオススメできる一品です。
(2006.2.13記)


>追記
今でも時々聴いています。
こちらもどうぞ!

UP

UP

『半島を出よ』村上龍

半島を出よ (上)

半島を出よ (上)

北朝鮮の反乱軍を名乗る特殊部隊がたった9人で福岡ドームに乗りこみ、人質をとられて封鎖された福岡にさらに12万もの援軍がむかってくる。福岡制圧を阻止すべく、イシハラグループの少年たちは武器を手にして敵地にむかう・・・ヘタしたらお話にならない茶番劇か妄想的たわごとになりそうなストーリーを、村上龍は膨大な情報量と100余名にのぼる登場人物を駆使して戦慄すべき壮大な小説に作りあげた。
脱帽だ。こんなものを書くには気が遠くなるほどの取材と資料の読込みを強いられたことだろう。少しは痩せたか。それとも幻冬舎の子分をだいぶパシらせたか(笑)。

あっという間に絶望的状況に陥る様は、お前らは救いがたい阿呆だと言われ続けているような気分になるし、凄惨な殺戮シーンが即物的な表現でたたみかけるように繰り返され、無力感に打ちひしがれる。もう読んでる間ずっと眉間にシワよりっぱなし。
しかしですね、それでもこの小説の展開に強くひきつけられるのは、圧倒的な暴力をまえにして生き抜くためには、恐怖と不安を自分自身の中でしっかり見据えて何をすべきか考え、行動することだ。そして、他人とのつながりとか、共有する何かを信じる想像力と強い意志が必要なのだ!ということを感じさせるからだと思うのだ。それは勇気や元気を与えてくれるようなものではなく、胸ぐらつかんで「どうする?お前、どうするよ!?」と言われているような乱暴なものではあるのだが。
 
今時の20代、30代ってやたら忙しそうな人ばっかりだし、実際そうなんだろうけど、貴重な週末の休みを全部つぶしても、読む価値があると私は思います。
蛇足ですが、登場人物中の脇役たちの中で・・・
高麗遠征軍にビビりまくって子供のように泣いた福岡県知事には武部幹事長が、マヌケな朝日新聞記者にはタイゾー君が、気骨ある老医師には天本英世が、気狂い少年たちのカリスマ、イシハラにはボーダーシャツ(ショッキングピンクあたりがいいね)の楳図かずおがビジュアルイメージにぴったりはまって爽快感を得ました。どんなもんでしょう。 
(2006.2.11記)


>追記
ええと、ここ最近はすっかり経済評論家っぽい龍さん。
またヘヴィな小説、お願いしますよひとつ。
こちらもおすすめ。
[rakuten:ubook:10335521:detail]

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

『服が掟だ!』石川三千花

服が掟だ! (文春文庫)

服が掟だ! (文春文庫)

映画のイラスト付きコラムから読み始めた石川三千花さんですが、セツ・モードセミナーとおフランスで鍛えられたセンスと観察眼はファッションにおいてますますその鋭さを増すのです。
ファッションセンスなんて全く自信がないし、無難路線でいっときます。流行のものや奇抜なファッションなどもってのほか、着るものでワタシという人間を判断しないでね・・・という小心な人生を歩んでいる私など容赦なく一刀両断されますな。やっぱり着ているもので何かしらの主張はしているワケで(笑)。あ、こういう人か、と判断するもんな〜格好で。・・・努力しよ・・・。
ここでは「ターバンマダムの謎」「今そこにある女学生服の謎」「ブランド・ジャンキー女の謎」などのタイトルを掲げて自己主張炸裂な有名人・無名人を取り上げ、辛辣だけど「そのとおり!!」なエッセイと細部にこだわったイラストで笑える一作に仕上がっております。やっぱセンスが光ります。気になったらどうしても一言言わずにいられない作者のおせっかいオバさん的体質がなんだか好ましい。
最近の動向もまた変化してるし、(ゴスロリとか・・・もういないのかな?)本書の第2弾そろそろどうでしょう。
(2006.2.7記)


>追記
40代にして双子ちゃんのママに!(私もがんばろう・・・笑)
現在もパワー炸裂です。こちらも大好き!

石川三千花の勝手にオスカー

石川三千花の勝手にオスカー

『ハーメルンの笛吹き男−伝説とその世界』阿部謹也

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界

まだらの服を着た不思議な男(または鼠とり男)の笛の音に村中の子供たちがついてどこかへ行ってしまうというミステリアスな童話は広く知られていることと思います。
この本は、ドイツ中世史専門の歴史学者の重鎮・阿部謹也氏がピンセットで薄皮を一枚一枚はぐような精密さで中世史料を読み解き、「1284年6月26日、ハーメルンの子供たち130人がカルワリオのあたりで行方不明になったことがまさに現実に起こった歴史的事実として確認しうる」というところから始まります。
子供たちがどこへ行ったのかという単純な謎解きではなく、「何故子供たちが出て行かなければならなかったのか」「何故これほど有名な伝説となったのか」そして「笛吹き男」とは何者か?このような視点にたって「民衆の日常生活とその思考世界に接近」を試み、キリスト教に基いた都市の成り立ち、下層民・賤民の生活、伝説の変貌の過程まで、ローカルな一都市の出来事を中世ヨーロッパ思想史にまでその考察は深められています。
 
・・・軽い読み物ではないので、じっくり時間をかけて読みすすめてほしい一作です。
歴史を学ぶ一人の人間の、ものを考える力に圧倒され心震えるはずです。
(2006.2.3記)


>追記
学者さんてすごいもんだなあ、と単純に感動した(笑)。
もっといろいろ読んでみたい1人です。
こちらもどうぞ。

自分のなかに歴史をよむ (ちくまプリマーブックス (15))

自分のなかに歴史をよむ (ちくまプリマーブックス (15))

『田紳有楽・空気頭』藤枝静男

田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)

田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)

            「  夢、  夢、  埒もない夢  」

陶器が己の過去を語るからといってファンタジーではもちろんないし、チベットの人骨笛や風葬が出てくるからといってスピリチュアルなものでもないし、弥勒菩薩の化身が出てくるからといって因果応報の有難い話でも全然ないのだ。

「私」にこだわった著者が「私」を解き放つ瞬間の、この荒唐無稽。
あまりにデタラメな世界に目がくらみ、奇妙な開放感とグロテスクなユーモアにしばし呆然となることでしょう。贋物も本物も異形のものも、何もかも包み込む混沌と包容力がここにはある。
『空気頭』もそうとうキレてます。 両方一気読みしてノックアウトされましょう。
(2006.2.1)


>追記
『悲しいだけ』タイトルも内容も気になる。

『パラノイア創造史』荒俣宏

あと20年もしたら水木しげるのマンガに出てくるような爺さんになるんじゃなかろうか。本をしょって背後から忍び寄る博覧強記な妖怪・アラマタ(笑)
その多彩な仕事ぶりから、一体どれから読んだらいいものやらと思っておられる方には(少し前の著作ではありますが)この一冊がおすすめ。オカルトな匂いのする古今東西奇人伝です。
「妖精に憑かれた家系ーチャールズ・オルタモント・ドイル」「地球を割ろうとした男ーニコラ・テスラ」「偉大なる記憶力の持ち主」「新文字を発明した人びと」etc・・・悪魔憑きありフロイトあり幻視体験あり黎明期の精神病院あり・・・著者の大好きな奇天烈な人たちのエッセンスを凝縮した「おいしいところだけ」な一品です。歴史的事実をふまえ、随所に資料や写真を用いてこちらの好奇心を捉えて離しません。「創造と狂気の間」を鮮やかにみせてくれる一作。
・・・個人的には、精神病と「電気」「電話」の関係を書いたところが新鮮でした。文明は新しい病をも生み出すのだな・・・。
(2006.1.31記)


>追記
アラマタ先生にはおもしろそうな本がたっくさんあるのですが、意外と読んでないなあ・・・。語り口がフィットしないのかも。

『赤い花束』高橋留美子

赤い花束―高橋留美子傑作集 (BIG COMICS SPECIAL)

赤い花束―高橋留美子傑作集 (BIG COMICS SPECIAL)

主人公はさえないおじさんとかおばさん。夫婦、嫁姑、親子、家族とのすれ違い、初めての介護・・・身近な関係の中での小さな違和感や困惑を描いた、ささやかな物語ばかりです。実はこの平凡な日常ってヤツの中に悲劇を生み出すきっかけが潜んでいて悲惨な結末に・・・こんなはずでは!!・・・なんてことはいかにも起こりそうだし、今時なカンジがする。ところがそういう展開にせずに、納得いく微笑ましいストーリーに仕上げたのはさすがだなと思う。
そうそう、こんなふうに実際はみんなちょっとした気持の匙加減でうまくバランスとってるんだよなぁ。そういう感情の機微をユーモア交えて描いております。今まで気付かなかったけど、「おお、こんなところに花が咲いておったか」みたいな作品。
(2006.1.30記)


>追記
サスガに今はもう高橋留美子を追いかけてはいませんが、大活躍中です。
ちょっと、絵柄がコドモっぽくなったかな?(笑)

『はらいそ』細野晴臣

はらいそ

はらいそ

もはや「御大」と呼ぶにふさわしい細野氏でありますが、70年代にはこんなお茶目な音楽を作っておりました。
ファンの間ではトロピカル3部作のひとつとして有名なこの一品、ジャケットデザインと音楽が感動的なまでに「はらいそ」(パラダイス)だ。
それほど熱心に細野氏を聴きこんではいないのですが、そのキャリアにおいて一番カラフルな音(異国テイストタップリ)で、ヴォーカルはもちろん魅惑の低音、しびれます。
名曲「はらいそ」ではホントに気持よくなってあの口笛のフレーズが頭まわります。
つかの間の夢見心地。おススメです。
(2006.1.27記)


>追記
ライブで生「はらいそ」を聴いたときは感激しました。
こちらも好き。

S-F-X

S-F-X

『アメン父』田中小実昌

アメン父 (講談社文芸文庫)

アメン父 (講談社文芸文庫)

コミさんといえば、脚萎えになってもゴールデン街で飲み続け、世界各国を気ままにバスで放浪するニットキャップおじさん。ナゼかいつもモテモテ(笑)。
たたずまいはほのぼのだが、「僕は哲学的なことしか興味がない」と言いきるように、無頼の徒にして考える人なのであります。
本書はそんなコミさんのお父さんのことを書いた「長編小説」であり、「鎮魂歌」であるそうだが、(←解説による)はっきり言って小説としては破綻している。思いつくまま、断片的に父の軌跡を記し、この時の父はこんなふうに思ったかも。・・・いや、違うかも・・・・という調子で同じことを繰り返したり、まるで酔っ払いである。

明治の時代にアメリカで洗礼を受け、帰国後は十字架のない、信者が奇声を発して祈るような教会の牧師であったのだから、その気になれば大変にドラマチックな伝記が出来上がったことだろう。だが、彼はそのような物語を語ることを拒否した。
そしてこういう。「宗教はココロの問題ではない」「十字架がせまってくる」「アーメンがぶちあたってくる」と。信仰は持つものでなく、受けるもの。・・・難しい。簡単な言葉なのだが読めば読むほどわからない。だが、なにか大事なことを教えてくれているような・・・と、何度読んでもはがゆい思いをさせられる一冊だ。きっとまた読み返すだろう。

・・・そ、それにしても文庫で¥1200て!!
(2006.1.25記)


>追記
相変わらずつかみどころのない人なんです。
こちらもどうぞ。

世界酔いどれ紀行 ふらふら (知恵の森文庫)

世界酔いどれ紀行 ふらふら (知恵の森文庫)

『10年目のセンチメンタルな旅』荒木 経惟・荒木 陽子

10年目のセンチメンタルな旅

10年目のセンチメンタルな旅

旅・・・読むより自分で行くほうがいいに決まってます。・・・あえて読むことを選ぶなら、少なくとも興味深い人が書いたものか、視点おもしろく文章うまく読ませるもの。(最近はイラストがいいのも可)本書はそのどちらも満たしてくれました。

フランススペインアルゼンチンの旅を陽子さんが綴ったもので、ダンナの写真もふんだんに掲載されており、気持ちよく異国の空気を感じさせてくれます。
このご夫妻のこと、しかもおフランスということで、さぞかし「アムール」で「ジュテーム」な旅行記かと思いきやさにあらず、どちらかと言えばおトボケ珍道中なかんじです。アラーキーがお約束どおりお姉ちゃんを口説きにかかったり、二人して汽車に乗り間違えてボーゼンとしたり。楽しいアクシデント続出です。
しかし、もちろんこの夫婦がただのおトボケのはずがない。陽子さんは何気ない日常の中にスッと落とす目線がけっこう鋭いし、写真にはスペインの光と影。味わい深いです。ウマそうなものもいっぱいでてくるし。
ま、夫婦にしろ友人にしろ楽しく旅できる相棒ってのは最高の存在であるな、と。
(2006.1.24記)


>追記
荒木さんは「愛しのチロ」も近年亡くされ、写真集などは見るからにつらいです。
こちらも大好きな一冊。

愛情生活

愛情生活

『お笑いテロリスト大川総裁がゆく!』大川豊

お笑いテロリスト大川総裁がゆく! (新潮OH!文庫)

お笑いテロリスト大川総裁がゆく! (新潮OH!文庫)

不肖私、まだ大川興業のライブは未見、江頭2:50には若干の嫌悪感を抱き、下ネタでは笑えないタイプの堅物。
しかし!!大川豊(元)総裁の書くものは有名な『金なら返せん!』をはじめ、本書も文句なくおもしろいです。表紙にひるんではいけない。
ここで取り上げられているネタはちょっと古いものではありますが、総裁は意外(・・・でもないか)にも政治・経済オタクであり、よく勉強なさっています。行動力もナミじゃない。山一證券の最後の株主総会の模様や、選挙のインディーズ候補のけったいなオッサンとのマンツーマン討論会などは爆笑モノです。
またご親切にも、今時の自意識過剰な引きこもり野郎の相談窓口になったりもしておられます。大量殺人をしたいなどというガキに「そんなに人殺しがしたいならフランスの外国人部隊の傭兵になれ!!」と。なんという適切なアドバイスでしょう。これくらいのことはさっと言えるオトナになりたいものです。
(2006.1.23記)


>追記
世界中の紛争地にどこからともなく現れる大川総裁。
もしかしてそのへんのジャーナリストより骨があるかもー!(笑)
こちらも大笑い。

金なら返せん!―大川総裁の借金返済日記 完結編 金メダル

金なら返せん!―大川総裁の借金返済日記 完結編 金メダル

『神の子どもたちはみな踊る』村上春樹

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

阪神大震災をモチーフにした短編集です。真面目な語りで「UFO」だの「かえるくん」だのが登場し、日常と非日常が交錯して奇妙な余韻を残しますが、読みすすむごとにそれぞれの癒しがたい喪失感がせまってくるのです。
しかし、ラストの一編では主人公が「たとえ空が落ちてきても、大地が音を立てて裂けても」、大事な人を守るべく生きていこうとするところで終わっています。これがうまいなぁ。粋です。

村上春樹は、地下鉄サリン事件被害者を取材した「アンダーグラウンド」という大仕事によって、現実と人間を見る目が深まったのじゃなかろうかと思います。より表現に奥行きが増したような。・・・でも長編はちょっとくどい(笑)。
(2006.1.22記)


>追記
今やノーベル文学賞獲得か?といわれるほどのすごいお方に。
その人気の上昇とともにすっかり読まなくなってしまったのですが(笑)、これは好きで愛読書です。

遠い太鼓 (講談社文庫)

遠い太鼓 (講談社文庫)