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2011-11-30

秋の夜長のブックレビュー

菊五郎といえば六代目、文楽といえば八代目、山口組といえば三代目、・・・そしてサントリー社長といえば二代目なのである。小玉武著『「洋酒天国」とその時代』。

『洋酒天国』とその時代 (ちくま文庫)

『洋酒天国』とその時代 (ちくま文庫)

アンクル・トリスのイラストが漂わせるムードそのまんま、軽妙洒脱ながらもちょっぴり屈折したユーモアをにじませる読み物を掲載したサントリーのPR誌『洋酒天国』が二代目社長・佐治敬三の発案のもとに創刊されたのは昭和31年のこと。
残念ながら私は読んだことがないけれど、一企業のPR誌にあるまじき豪華な執筆人と、どこかで耳にしたことがあるコピー(「トリスを飲んでHawaiiに行こう!」など)になんとなく惹かれて読んでみた本書は、現場を知る者の回顧録だけにとどまらず、当時の生活文化の萌芽と文壇エピソードを融合させた大変に面白いものだった。
「やってみなはれ」。口は出さぬが金は出す、男前気質な社長(・・・後年は経営者のトップにありがちな失言でえらい目にあってらっしゃいますが)にバックアップされ、新進気鋭の才人・開高健山口瞳、そこに群がる個性派たちによって新しいものをつくりだそうとする溌剌とした空気が存分に味わえる上、絡んでくる人物がまたどいつもこいつも興味深いのだ。「植草甚一世代の登場」(←はい、今でもファン多いですね)「薩摩治郎八のパリ・浅草伝説」(←初めて知りました。現代人にはもはや理解不能クラスの明治生まれの豪快さんです)「埴谷雄高の酔虎伝」「酒場文化の復権」等々、目次タイトルを並べるだけで「おおっ」と思う方がおられるだろうし、花森安治淀川長治吉行淳之介、ジャーナリストの本田靖春もチラリと顔を出したりする。
つれづれなる秋の夜長、昭和30年代モダニズムを肴に一杯いかがでしょう。

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沢木耕太郎ノンフィクション『凍』(壮絶すぎて目まいが・・・)、平松洋子の料理道具エッセイ(道具、ってとこがミソ)『平松洋子の台所』、酒見賢一のチャイナ・ファンタジー(たまにはこんなのもね〜)『後宮小説』などをハイペースで読了。
ついで職場にて電話番があまりに退屈なので青空文庫岡本かの子『鮨』再読。
・・・これらの本に共通する感想以下一言。
いやぁ〜、女って本当にすばらしいですね。強くて、やさしくて、かしこくて。
男どもが夢中になる気持ちがわかるぜ・・・って、そんなことわかってどうする(笑)。

凍 (新潮文庫)

凍 (新潮文庫)

平松洋子の台所

平松洋子の台所

後宮小説 (新潮文庫)

後宮小説 (新潮文庫)

岡本かの子 (ちくま日本文学全集)

岡本かの子 (ちくま日本文学全集)

(2008年11月7日記)

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