an-pon雑記帳

表現者と勝負師が好きです。

本日読了

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

イマドキの文庫は字がでかいし余白も多いしで2日で読了。読みやすい。
一時、書店で坂本龍一の悲壮な音楽とともにこの作品の映画の予告がバンバン流れていたことを思い出し、なんとなく「そーいや、コレってどんな話なんやろか」と手に取りました。
著者の作品としては『横道世之介』を映画で観たくらい。風変わりでファンタジックな作品で、なかなかおもしろかった。

さて、この『怒り』。
物語の大枠はミステリーなので謎解き要素もあり、ぐいぐい読者を引っ張っていく・・・が。
猟奇的な殺人事件、ちょっと足りない家出娘、風俗、ゲイカップル、沖縄の離島、謎めいた三人の男、衝撃の幕切れ・・・と舞台装置や登場人物がやたらとハデなわりにあんまり後に残らない・・・なんというか、ライトノベルみたいな感じが・・・するようなしないような・・・(ライトノベル読んだことないけど。)。
殺人犯の山神が「激怒する人間、不意打ちの不幸に見舞われる人間」に対しての嘲笑をわざわざ「書き留める」行為はちょっとおもしろい。このへんに絡めてもう少しヤツの人間性(あるいは病理)を掘り下げてもよかったんじゃないかしら。
あと、ゲイカップルの情愛の経緯も物足りない。優馬ってばいつの間にそんなに直人を好きになったんや!


結論:「あなたのこと、信じてたのに!」「信じたいのに裏切ってしまった!」的な小説は40女にはちょっとぬるかったのであった。