わが人生最高の10冊(「週刊現代3/16号」より)

森村誠一(作家)
 人生にゴールを置かないという精神に感動
森村誠一さんのベスト10冊
1位 『ジャン・クルストフ』全4巻

ジャン・クリストフ 1 (岩波文庫 赤 555-1)

ジャン・クリストフ 1 (岩波文庫 赤 555-1)

ドイツの小都市に生まれた音楽家ジャン・クリストフの生涯を描く大作。ロマン・ロランは本書などでノーベル賞を受賞した
2位 『立原道造詩集』
立原道造詩集 (ハルキ文庫)

立原道造詩集 (ハルキ文庫)

若者の憧憬と悲哀、青春の光芒を歌った立原道造は、第1回中原中也賞を受賞した年に、24歳という若さでこの世を去った
3位 『甲賀忍法帳 山田風太郎忍法帳1』
甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍者伊賀忍者。家康の命を受けて、精鋭各10名が血みどろの戦いを繰り広げる。秘術、妖術、艶術ありの戦慄の死闘
4位 『おくのほそ道 現代語訳/曾良随行日記付き』
おくのほそ道―現代語訳/曽良随行日記付き (角川ソフィア文庫)

おくのほそ道―現代語訳/曽良随行日記付き (角川ソフィア文庫)

曾良の日記もいい。情緒はないけど、ガイドブックとして効果的。芭蕉との対比が面白い」
5位 『若き日の山』
若き日の山 (yama‐kei classics)

若き日の山 (yama‐kei classics)

『山のパンセ』でも知られ、哲学者、詩人、登山家であった著者が山をテーマにしたエッセイ集
6位 『占星術殺人事件
占星術殺人事件 (講談社文庫)

占星術殺人事件 (講談社文庫)

「出版当時は評価されなかったが、日本のミステリーのベスト10に入る傑作。これぞ本格推理」
7位 『特攻基地知覧』
特攻基地知覧 (角川文庫)

特攻基地知覧 (角川文庫)

特攻隊員の多くは、志願させられていた。丹念な取材で特攻の真実と戦争の内実を掘り起こす
8位 『山、わが生きる力』
山、わが生きる力

山、わが生きる力

山岳写真に巨匠が、山との出会いから別離の悲しみまで、山と人生を綴る。写真も壮麗
9位 『砂の器』上・下
砂の器(上) (新潮文庫)

砂の器(上) (新潮文庫)

推理小説を書く上で勉強になった。『人間の証明』は、方言のトリックにヒントを得ています」
10位 『カラマーゾフの兄弟』全4巻
カラマーゾフの兄弟〈第1巻〉 (岩波文庫)

カラマーゾフの兄弟〈第1巻〉 (岩波文庫)

「神格化されていたゾシマ長老の死後、腐臭いが漂うと皆の信仰が冷めていく様の描写が凄い」
最近読んだ1冊:『ブラックボックス
ブラックボックス

ブラックボックス

「食物に対してここまで対峙したサスペンスはないと思う。僕も取材は好きですが、清張、アーサー・ヘイリーに匹敵する取材力に驚きました。農業が工業化し、効率化、衛生化が進む反面、ナチュラルさが失われていく。その怖ろしさが描かれています」