リニア中央新幹線、現飯田駅併設を断念へ

リニア県内駅は「座光寺」で決着へ 飯田駅併設困難 (信濃毎日新聞)

リニア中央新幹線の県内中間駅位置をめぐり、JR飯田駅への併設を求めていた飯伊地区期成同盟会長の牧野光朗飯田市長は13日、都内でJR東海と再協議し、その後の取材に「JRの考えを重く受け止めて今後を考えたい」と述べ、事実上、現駅併設の主張を転換する意向を示した。JR東海飯田市側が求めていた水源域回避の路線を設定する考えで、駅位置案(直径5キロ円)で示した天竜川右岸平地部のうち、同市座光寺地区にリニア駅を設ける方向だ。

 同盟会は14日以降、飯田市議会や南信州広域連合などに協議結果を報告。最終的に地域としてJR東海側の意向の受け入れを決める見込み。現駅併設の断念でまとまれば、郊外型のリニア駅を県内交通網再構築やまちづくりにどう生かすか、県や関係地域を交え、新たな段階の議論が始まることになる。

 この日の再協議はJR東海東京本社で非公開で行い、牧野市長ら同盟会役員6人と同社の宇野護中央新幹線推進本部長らが出席した。

 関係者への取材によると、双方はリニア新幹線の具体的な路線設定で、飯田市西部の水源域を南に迂回(うかい)させることで一致。下伊那郡高森町下市田を含む駅位置案のうち、水源域を避けるように路線を設定すると、駅位置は座光寺地区になる。さらに宇野本部長は5キロ円内の飯田線の駅にリニア駅をできる限り近接させると明言。このため、リニア駅は元善光寺駅近くの天竜川右岸となる見通しだ。

 同盟会側は、JR東海案の受け入れを視野に、飯田駅周辺の中心市街地からリニア駅までのアクセス向上を提案。同社側も「協力する」と応じるとともに、今後も手続きの節目ごとに飯伊地区側と協議に応じる姿勢も示した。

 JR東海が8月5日に県内の駅位置案と概略路線(幅3キロ)を記した環境配慮書を公表した後、JR東海と同盟会の直接協議は今月7日に続き2回目。牧野市長は協議後、同社側の回答について「真摯(しんし)に踏み込んでくれた。信頼関係につながる第一歩になった」と評価。今回の協議を「一つの節目」とし、配慮書公表に伴う直接協議は今後求めない考えも示した。

 JR東海は9月末から10月上旬にも、環境影響評価(アセスメント)の次の段階となる方法書を公表。本格的な環境調査の手法案を示し、12月からの猛禽(もうきん)類営巣調査に入りたい考えだ。

リニア新幹線めぐり地元で協議・現駅併設は事実上「断念」へ(SBC信越放送)

リニア中央新幹線をめぐるJR東海との直接協議を受けて、飯田市の牧野市長は、現在の飯田駅に併設するというこれまでの主張を事実上断念する方針を示しました。

地元の関係者からは別の場所に建設するというJR東海の案を受け入れる意見が相次ぎました。

リニア中央新幹線をめぐっては、地元、飯田下伊那地域が、県内の駅を現在のJR飯田駅へ併設することや、水源を回避することなどを求めて、JR東海に意見書を提出し、今月7日ときのうの2回にわたって直接の協議を行いました。

きのうの協議では、JR側から、水源域を回避することや、リニアの駅をJR飯田線や市街地にできるだけ近づけることなどが示されました。

飯田市ではきょう午後、市議会の全員協議会など、リニア新幹線に関連する5つの会議が相次いで開かれ、牧野市長はJRとの交渉について報告しました。

そのなかで駅の設置場所について「ベストなところはどこかと言えば現駅がベスト。

しかしながら痛感したことは困難であると言わざるを得ない。

あきらめるのかという話をいただいたがそうではない。

併設のメリットや機能を活かしていくことが必要」と述べました。

さらに牧野市長はリニア駅と市街地との利便性の向上をJRに求めていく方針を示しました。

このあと開かれた周辺14市町村でつくる南信州広域連合の会議。

出席者からは方針を受け入れ、次の段階に進むことを歓迎する意見が出されました。

きのうのJRとの協議では、350億円かかるとされる中間駅の地元負担についても、JR側から「考えていく用意がある」との話があり、これまで平行線だった協議はようやく次の段階に向けて、大きく動き始めました。


いつかはこうした決断が迫られるのですが、このタイミングでの決断は苦渋に満ちたものを感じます。

しかし、いつまでも地元自治体とJR東海との協議が平行線を辿れば、リニア中央新幹線計画そのものに影響が出るのは必至だと思います。

ここは現飯田駅併設を断念し、JR東海と郊外駅設置に関する条件の協議に移ったほうが賢明ではないでしょうか。