Hatena::ブログ(Diary)

月のひつじ

2010-10-22

 愉しめる映画

ハムナプトラ」シリーズの主役ブレンダン・フレイザーが主演の「センター・オブ・ジ・アース」は初の全編3D映画という冠がついて2008年に劇場公開されたものの、さほどヒットしなかったように思う。

実際、ボクも予告編を劇場で観たさい、「これはお子様映画やな」な感想を持って、映画館に行かなくてもイイやと感じたのだった。そもそもディズニーランドの同名アトラクションが元になってるという話もあったので余計にだ。

f:id:yoshibey0219:20101022023559j:image:left

ところが、これが大間違い。

実に良く出来た作品なのである。

ヴェルヌを原作とする映像作品としては最新中の最新。

ヴェルヌの「地底探検」を読んでる方も読んでない方も愉しめるが、どっちかといえば、読んでる方の方が濃く愉しめるのだ。

脚本がよく練られた気配があって、小説の「地底探検」を追体験させてくれつつ、その上にもう一つ、新たな物語が編まれているから、向かう方向は同じだけども2本の太い糸がからんでくようなアンバイな愉しさが醸されて、いわば、2倍、愉しめるのだ。

しかも、地底の情景がヴェルヌのオリジナル版の木版画に見られるものに近似しているから、嬉しさがドドンと加味される。

さらに加えて、当初はさほどにウダツの上がらない男に見えたブレンダン・フレイザーが、冒険の渦中にあって徐々に「ハムナプトラ」的なアクションを起こすのが非常によろしいのだ。

この映画の中でボクは『ヴェルニアン』なる造語をはじめて、聞いた。

ま〜、そこがこの映画のストーリーの要となっているんだけども、ヴェルヌの書いた「地底旅行」を実際のドキュメンタリーとして読んでる人という意味合いでこの映画では使われてる。

大人的なメダマで見ると、いささかこじつけ気味な味覚もあるんだけど、その部分を説明するさい、映画の中では小道具として、ヴェルヌが生きてた頃の本「地底旅行」が出てくる。

ジュール・ヴェルヌの小説は『驚異の旅』というシリーズとして、パリのエッツェル社から刊行されたんだよ。

いわば、これは原典だ。

そういった小道具が登場する辺り、そして本筋の組み立て方に、この映画の脚本を書いた人がかなりのヴェルヌ通であり、フアンだと感じられるのだ。

おそらく、この脚本家は少年の時代にヴェルヌにどっぷり浸ったのではあるまいか。その上で自らの物語と"原典"とをからませて、自身にとって最高に楽しいホンを書いたんではなかろうか… とも思えるのだ。"製品"としての根底にはディズニーランドのアトラクションとの連動もあるんだろうけれど、1本のヴェルヌ的映画としては上出来だ。

実際、この映画では旅の道中ずっと、主人公達の道標としてペーパーバック版の「地底世界」が携帯されていて随所に登場してくる。ジュール・ヴェルヌへの敬意にあふれてるんだ。

ヴェルヌの小説はユーモアが随所に潜んでいるけれど、この映画でも本領がよく発揮されている。ドングリ目玉なブレンダン・フレイザーのセリフにそれがよく顕れていて、地底に向けて真っ逆さまに落ちてく描写での会話は、この部分をヴェルヌ本人に見せたら彼もきっと大爆笑、大満足なのではなかろうかと思える傑作シーンなのだった。

こんな映画をお子様向けに置いておくのは、実にもったいない。

DVDのパッケージも、なんだか対象を限定してるようであんまりよろしくない。売る方角をちょっと広げたら良いような気がするな。

ともあれ、かの「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」のパロデイめく秀逸なシーンも盛られつつ、ヴェルヌの楽しさを伝えてくれる、

「これは傑作! お勧め!」

と、ボクは判を押すね。

こんなコトなら、チャンと映画館で3D版を観りゃよかったと後悔してるんだ。そしたら、もっと愉しめただろうからね、立体的に。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証