苦しむ人々への慈愛に敬意 刮目すべき核廃絶の具体策

2012年4月8日(日)更新:1
SGI会長の平和提言に寄せて 広島平和文化センター スティーブン・リーパー理事長】
 広島平和文化センターの理事長として、池田SGI会長の「平和の文化」に対する多大な貢献に対し、心からの敬意と感謝を表します。苦しみに直面している人々に対する池田会長の思いと慈愛は、提言全体にわたって感じることができます。
 特に女性、また貧困や病気、自然災害によって苦しむ人々の窮状に焦点を当て、私たちが互いにつながり、相互に依存していることについて深く考察されています。
 そして池田会長は、「私たち全員が人類という家族の一員であること」「宇宙船地球号を人間が生活できる場所であり続けさせるために真摯に取り組む必要があること」「人間の普遍的幸福にとって平和は不可欠の条件であること」を明らかにしています。
 また、環境悪化と核兵器の問題が、今日の好戦的な国際社会を平和に向かわせる二つの大きな契機になると主張されています。
 この点についても池田会長は、私たちが一つに結ばれた存在であることを、次のように強調しています。
 「貧困や格差の問題をはじめ、災害のような突然襲いかかる脅威を真摯に考慮すると同時に、生態系の破壊を食い止め、生物の多様性を保護するための課題を掘り下げ、考察していく。そして議論を重ねる中で、地球上の人々の生存・生活・尊厳を未来にわたって守り抜くためには、どんな生き方が求められ、いかなる社会を築いていくべきなのかを、世界の英知を結集して探究すべきだ」と。
 また私は、「原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討していくべき」と力強く訴えておられることを特にうれしく思いました。この提言が、政策の転換を加速させることを心から願っています。
 核兵器の廃絶を求める人々にとって、今回の提言の最も刮目すべき点は、池田会長が具体的に、核兵器禁止条約の交渉をすみやかに開始し、その帰結として、2015年の広島でのサミットなどで条約の調印を呼びかけておられる点です。
 池田会長は、核軍縮の世界の情勢を正確に捉えており、議論の争点を的確に指摘し、即座に廃棄に踏み出すべきとの結論に過たず導いています。
 それによって、「核あるいは原子爆弾の実験禁止運動が、今、世界に起こっているが、私は、その奥に隠されているところの爪をもぎ取りたいと思う」と宣言された、創価学会戸田城聖第2代会長の精神を引き継いでおられるのです。
 私たちは今、「その奥に隠されているところの爪をもぎ取る」闘いに挑むか、核兵器とそれに代表される思考によって破壊や滅亡の道へと突き進んでいくのか、危機的な帰路に立たされています。
 世界中の軍縮を呼びかける人々や国家、そして市民の大多数は、核兵器を禁止し、廃絶する国際条約に賛同する意志があります。
 私は、池田会長とSGIの全面的で力強いサポートがあることに対し、勇気づけられる思いです。 (聖教新聞 2012-04-08)