経営とオペレーションについて

経営を会社全体の方針や戦略の企画運営、オペレーションを現行の通常業務の運営管理と定義すると、経営が会社の筋肉をつくっていく仕事だとしたら、オペレーションは会社に血液を流す仕事だといえます。
経営は当然、経営者、その会社の代表が行い、オペレーションはその他担当社員が組織としてまわしていくことになります。オペレーションは基本的に、既存業務をルーティンに沿って流すことが主眼である一方で、経営は当然、既存・新規関わらず会社全体に関わる業務をこなします。まぁ、だいたい攻めてますよね。新規の仕事をとるために動き回っていることが多いです。

私は幸いその狭間にいる経験が多かったので、色々考えることが多かったのですが、いいとか悪いでなく、宿命に近いものとして、やはり経営はオペレーションの実態を軽視しがちで、オペレーションは経営の厳しさを軽視しがちと思います。

血圧のこと考えず暴飲暴食で人生を謳歌しようとするおじさんよろしく、経営者は自分がやりたいこと、使命感、あせり、プレッシャーに背中を押されて、基本攻めて攻めて攻めまくります。よって、現行業務がうまくまわっているかは、軽視、また軽視まではいかなくとも基本的に全面委任のスタイルになります。一方、オペレーションの実務は、多くの場合細かいノウハウの集積により成り立ちます。そして担当者は、それらのノウハウを駆使し、タスクの質と量のバランスをとりながら、決められた期限内に業務遂行しようと務めます。人も時間のリソースも限られている場合が大半なので、日々移り変わる状況やリクエストに応じて、タスク遂行方法は微妙に変わっていきます。オペレーションも意外と日々同じことをしていなかったりするのです。こういう点を経営側は見落として、オペレーション側を激怒させるケースをよくみます。

一方、オペレーション担当者側は、基本的に雇われの身です。よって、別に自分が個人保証に入って借りた数億円のお金で仕事を回しているわけではありませんし、会社が仮に潰れても、最悪次の仕事を探せばいいだけです。今時倒産なんて珍しくないので、特にそれが自分の経歴に泥を塗るなんてありませんし、ある意味お気楽なもんです。一方、経営者は、個人保証に入っている場合は、会社が倒産した場合、家を取り上げられたりと家族にまで被害がいきます。さらに、自分が顔として仕事をまわしているので、会社の仕事全体の評判が自分の評判となります。よって、経営者(特にオーナー)は極めて強いプレッシャーの下で仕事をしています。そして、オペレーション側、つまり雇われ側は、多くの場合、そういう点を認識していません。よって、経営者がなぜあんなに焦っているのか理解できないのです。

書いてみると簡単なのですが、本当によくあるというか、その認識の齟齬は会社運営の宿命のように感じます。立場が明確に違う以上、究極的には分かりあえないとも言えますし。
そのような中、では、いかにして少しでも経営側とオペレーション側の距離を詰めるか、それが論点となってくるのですが、それはまたいつかここで纏めたいと思います。