yosi350の雑記帳

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星々の彼方を目指して

アルファ・ケンタウリにナノ探査ロボット群を送るStarshot計画発足。20年以内が目標、ホーキング博士とFacebookのザッカーバーグ、ロシア富豪が推進 - Engadget 日本版

ヘッドラインと記事を読み始めてすぐに、記事の文末でも触れられている恒星間 鮭の卵計画 9th June 1998を思い出しました。

この計画をだけでも面白いのですが、これを受けて書かれた短編があります。野尻抱介さんの「沈黙のフライバイ」です。

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

巻頭に収められているの50ページ程度の短編ですが、スピード感がありワクワクします。

鮭の卵計画が考えられていた時点では、探査機を造ることはいずれ可能になると結論付けられました。それから約20年、やはり実現は可能なようです。

「恒星間 鮭の卵計画」、「沈黙のフライバイ」作中の「サーモン・エッグ計画」、そしてニュースとなった「Breakthrough Starshot 計画」での私の注目点は探査機です。

なぜ「鮭の卵」なのか

宇宙へ送り出されれる探査機はとても高価で、一点ものの印象が強いと思います。しかし、これらの計画で考えられている探査機はそれとは正反対に安価に量産されます。

無数に送り出された探査機が途中でトラブルを起こしても、最低限の機能を果たすだけの数が確保できればいいという考えです。

恒星間の運用となるため、地球からのコントロールは不可能です。では、衛星自身が判断するロジックを載せるか?いいえ、探査機が肥大化し送り出すことが逆に困難になってしまいます。

よってトラブルを織り込んだうえで確実に運用するために「数」で勝負します。鮭の卵計画では

百万個の内、99.9%が失敗しても、残り0.1%つまり1000個の探査衛機が共同して、αケンタウリ恒星系を観測し、その情報を地球に送り返す

とされています。百万機の探査機を組み立てることは現実的ではありません、しかし「百万個」の探査機をウエハーから切り出せるとしたら可能性は高まるのではないでしょうか。

機構が単純であれば量産効果が期待できます。量産可能で安価であるからこそ、0.1%の生存率かつ回収を考えない運用が可能になります。

残念ながら星々の世界に人の手は届きませんが、「Breakthrough Starshot 計画」が実現したなら眼だけは送り込むことができるのではないでしょうか。