作家の罠
「愚行録」(110/122)
インタビューと独白で構成された作品。
貫井徳郎ですから、
注意して読み進めなくちゃ、
仕掛けられた罠にはまらないようにしなくちゃ。
と、思いながら読み始めるものの、
一気に文章の中に取り込まれてしまい、
まんまと罠に。。。
でも、この「罠」が心地よい。
一家惨殺事件。
その一家の夫、妻に対して、
関係者が語るさまざまなエピソード。
僻み、妬み、憧憬、賞賛。
人の心の「いい加減さ」が浮かび上がってくる。
語る方も、そして殺された当事者も。
そして、「犯人」も。。。
タイトルのとおり、みんなの「愚行」だらけ。
でも、その愚行の集まりが社会の営みであるのでは?
品行方正な行動なんて、どこにあるのだろうか。
自分にとっては、間違いなく「正しい」行動でも、
他人にとっては愚かでしかありえない。
それが、今であり、世界であり。
心震える作品です。
で、本作品、最大の罠は、
大矢博子の解説が終わった後にやってきました。
それって、僕だけ??
※はてな年間100冊読書クラブ(2007-2008.134/122)(2006-2007.133/122)(2005-2006.128/108)
※「もう一つの趣味は「ランニング」ですから」
- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/04/05
- メディア: 文庫
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