中村桂子さんが選ぶ丸谷才一さんの3冊
今日の「毎日jp」の書評欄は内容が盛り沢山です。「今週の本棚・この3冊」は中村桂子さんが選ぶ丸谷才一さんの3冊です。
(1)歌仙の愉しみ(大岡信、岡野弘彦、丸谷才一著/岩波新書/819円)
(2)日本史を読む(丸谷才一、山崎正和著/中公文庫/840円)
(3)持ち重りする薔薇の花(丸谷才一著/新潮社/1470円)
これは意外なラインナップが並びました。中村さんも書いていますが、鹿島茂さんが昨年丸谷さんを取り上げ、小説家、批評家、書評家としての代表作『樹影譚(たん)』、『樹液そして果実』、『快楽としての読書』を紹介しています。
中村さんは自らも受験生状態と書かれているように、丸谷さんについての「参考書」を読み、鹿島さんとは違った視点から選んだのでしょう。しかし読んでいない本ばかりが並んでいます。持ているのは(2)だけ、それもまだ未読です。
では私のおすすめはというと、丸谷さんのエッセイを中心とした雑文集です。なかでも書評集は捨てがたいので、鹿島さん同様、『快楽としての読書』日本編と海外編(2冊ともちくま文庫)を挙げておきます。
[追記]
上記記事を書いたあと、毎日新聞を買って、書評欄を見ると、なんと「今週の本棚」で「鼎談 丸谷文学」をやっているではありませんか。丸谷さんが亡くなって一年。この鼎談に参加している人は湯川豊さん、高樹のぶ子さん、鹿島茂さんでした。
冒頭、この「今週の本棚」をつくったのが丸谷さんだったとは知りませんでした。書評のよき伝統はここから始まったのでしょう。毎日新聞を購読していないのですが、日曜版だけは気にしていました。
丸谷さんが亡くなったあとも、なお読み続けています。これは「今週の本棚」が読ませる書評であり続けているからだと思います。その伝統を維持継承してほしいと思います。
この鼎談は小説家、批評家、書評家、そして翻訳家としての丸谷さんについて、鹿島さんのリードで語られています。ブログ記事で触れるにはあまりに広大なテーマですので、詳しい内容については今日の毎日新聞「今週の本棚」をお読み下さい。
追記。丸谷さんが亡くなってもう一年たってしまった。本当に年月が過ぎるのは早いものです。ところで、丸谷さんという大きな難問を読み解く人がまだいない? そろそろ新しい丸谷才一論を読みたいものです。