かきつばたになった少女


  かきつばたになった少女4


梅雨があけた七月のある日。
その日は、からりと晴れた良い天
気でした。



かきつばたは、一人で霧ケ峰へ行こ
うと思いました。
大好きなおばさまに、きすげの花
をプレゼントしようと思ったのです。



おばさまは、おとうさんの妹。
心のやさしい美しい人でした。でも、
おばさまは独身でした。
「すてきなおばさまなのに、なぜ結
婚しないのだろう」
かきつばたは、ふしぎに思っていま
した。



おばさまは、かきつばたを自分のこ
どものようにかわいがってくれます。
そのおばさまが病気になり、何カ月も
床についたままでした。
「おばさま、早く元気になってくだ
さいね」
かきつばたは、毎日おばさまのみま
いに行きます。 



「かきつばた、おみまいありがとう。
残念だけれど、私は後わずかしか生
きられないわ。
霧ケ峰には、もうきすげの花が咲い
ているかしら」
「きれいに咲いているでしょうね」
かきつばたは、黄橙色のきすげの花
をおもいうかべながらいいました。



                つづく



      昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090308#p1




「かきつばたになった少女」は、
霧ケ峰高原の八島湿原に咲いている
かきつばたのお話。



ある日、女神のかきつばたは、霧ケ
峰高原へきすげの花をとりに行きま
した。
そして、ふもとの少年・山彦と出会
います。
さて、二人は・・・?



「かきつばたになった少女」は、みほ
ようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に、収録されています。



童話集「ライオンめざめる」は、
2006年10月、「鳥影社」
から発行されました。





    童話集「ライオンめざめる」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu4.html