かきつばたになった少女


  かきつばたになった少女19


「それは、強い風が吹いてきて、水
面が波立ったからだよ」
山彦がいいました。
でも、かきつばたは、山彦のことば
を信じることができませんでした。



山彦がはっと気がついた時、かきつ
ばたの姿は消えていました。
「かきつばたさんはどこへ行ってし
まったのだろう?」



びっくりした山彦は、「かきつばた
さーん、かきつばたさーん」とさけ
びながら、広い高原をさがしまわり
ました。
しかし、かきつばたはどこにもいま
せんでした。



一方、女神さまたちが住んでいる村
では、夜になってもかきつばたが帰
ってこないので、大騒ぎになりました。


              つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090323#p1




「かきつばたになった少女」は、
霧ケ峰高原の八島湿原に咲いている
かきつばたのお話。



「かきつばたになった少女」は、みほ
ようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に、収録されています。



童話集「ライオンめざめる」は、
2006年10月、「鳥影社」
から発行されました。





    童話集「ライオンめざめる」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu4.html